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第2章 新しい生活
3話
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馬車の事を気にしながら、ココロは昨日に引き続き中央の国へやって来た。
家を管理しているというお兄さんは不在だったのか、会うことなく外へ出る。
「えーっと、ショッピングモールは…」
昨日歩いてきた道はこっちだった気がすると思いつつ、迷ってしまわない為にタブレットを確認する。
地図機能が含まれていて、一度行ったところなら履歴に載るとの事だった。
見ながら歩いて周りにぶつかってもいけないので、経路を頭に叩き込む。
簡単に覚えてから、流れている歩道へそっと滑り込み、流れを止めないようにあるき出す。
しばらくは住宅街なのか、戸建てやマンション等が続いており、視界も広かったが、次第に高層が立ち並ぶ区域へとやって来た。
そこはメインストリートなのか、通りの幅が広い。
歩行者専用なのか馬車は1台も走っておらず、安全が確保されているし、人混みに窮屈さが無い。そしてビル街だが地上階にはお店を開いている所も多々あり、ウインドウショッピングが出来るスペースも確保されているので、歩行者の邪魔になる心配も無さそうだ。
そんな所を眺めていると、すでにショッピングモールが目に入る位置まで来ていた。
この人混みは殆どがそこへ向かっている。目的地が違う人がチラホラと別の道へ折れて行くのが時々目に写っていた。
「「いらっしゃいませ!」」
「「おはようございます!」」
モール内へ足を踏み入れると、昨日と同じくデスクにいるお姉さん達の元気な声が飛んできた。今日は特に用事は無いので、続いて入ってきた人の邪魔にならないように歩き、人混みの少ない位置へ移動する。
今日の目的は衣類と食料関係、後は種や苗。他にも昨日買えなかった雑貨類。
どれがどの階に売られているのか一つ一つ確認していると、とある事に気づく。
「あれ…?」
見落としたのだろうか。もう一度すべての階に目を通すも、やはり1つだけ見当たらない物があった。
「農業系のフロアが、無い…?」
見落としでは無かった。
行ってみないと何を売っているのか分からないフロアもあるが、農業に関するフロアは見当たらなかった。
買えないものはないと思っていただけに少し驚いたが、とりあえず先に買えるものだけ買ってから考えることにする。
まず最初に向かったのは衣料品のフロア。
アパレル系よりも量販店タイプの店が、婦人服や紳士服、子供服と別けられている。もちろん一番多いのは婦人服の店だった。
主流なのはワンピースタイプだが、パンツスタイル姿の女性も度々見かける。
異世界トリップ物は中世ヨーロッパをイメージ的した物が多いので、パンツスタイルは受け入れられない場合が多いがここはそうでもないらしい。どちらも好むココロにとってはありがたい事だ。
これからの季節にあった物をいくつか見繕い、購入を決めていく。
店員が寄ってくるタイプの店ではないので気楽だった。どうにもあの社交辞令には慣れない。いや、慣れたくなかった。
続いてやってきたのは、ドラッグストアが丸々入ったフロア。といっても食品関係は扱っているフロアがあるので置いてなかったが。
昨日は時間が無かったこともあり、さっさと決められる物、洗剤や掃除道具、タオル等は買えたが、体に使う物はゆっくりきめたかったので先延ばしにしていた。こだわりがある訳ではないが、相性が合うかの確認は必要だろう。
常備薬も揃えておきたい。
栄養ドリンクはどんなのがあるだろうかと立ち寄ってから、前とは違う事を思いだし、何も手に取らず通り過ぎた。
1つフロアを降りれば、メイク関係のフロアがあった。
人前に出る事は少なくなったが、それでも揃えておく必要は有るだろう。
そう思って立ち寄ったが、ここはまた他と雰囲気が違っている。
エントランスフロアにいるお姉さんと同じ制服を着た別のお姉さんが、笑顔でこちらを見ていた。
ココロの後からやってきた人達(女性が主だが、男性も少なくない)はその人には目もくれずフロアへ散っていく。
グルリと見回しても、店はどこも開いていないように見える。
この光景には既視感を覚えた。まるで…
「お客様、こちらは初めてですか?」
案内役であろうお姉さんが声をかけてくる。昨日と全く同じだった。
違うのは、頭部に、ココロとは違う色の猫耳が乗っていることだ。ちなみにココロは帽子を被っているので気づかれていない。
「はい、初めてです」
「では、ご案内致します。ですがその前に、お手をお借りしても宜しいですか?」
「え、手、ですか?」
どういう事だろうと思いながらも右手を差し出す。
「ありがとうございます」
そう言ってお姉さんは、両手でココロの手を包み込んでそっと目を閉じた。
動物の耳を持っているということは、能力持ちだろうと思い至る。
けれど、引き継いだ能力なのか、自分で得た能力かは分からない。ココロの耳に気づいていたら、気軽に話しかけられただろうか。
そんな事を考えていると、閉じたときと同じようにそっと目を開く。
「ありがとうございました。では、あちらの扉へお入り下さい」
そう示されたのはココロから見て右側にある、少し先の扉だった。分かりやすいようにか、淡く光っている。
一体何が起こったのか、能力を使っていた事ぐらいしか分からないが、それに従って間違いは無いだろうと、お礼を言ってその扉へ向かい中へ入った。
この中もまた色々凄かった。
ココロの肌質に適した物が既にピックアップされており(おそらく先程のお姉さんの能力)、基礎化粧品から1つずつ、好みの物を選べるようになっていた。
メイクはしていればいいという感じの以前はかなり適当に商品を買っていたので、自分に合うタイプから選べるのは簡単で有難かった。
食品フロアへ降りる前に、書籍を売っているフロアへと立ち寄る。
この世界についてはハロルドに軽く聞いたが、まだわからない事だらけなので、少しでも知れればという思いと、農業の知識の再確認のための本を買いに。
しかし前者はともなく、こちらでも農業に関するものは売っていなかった。
「んー?なんでだろう」
疑問に思いながらも、ひとまず食品のフロアへ降りる。
野菜や果物、肉と魚も少し多めに買い込む。処理して保存すれば一週間ぐらいは持たせたい。
この世界で1番有り難いのは、米の存在だろうか。日本人としては有り難い。パンも嫌いではないが。
加工食品に、調味料も一通り揃えてから、思わず立ち寄ってしまったのは嗜好品売り場。いくつか気になったものを手にとっていく。
一通り、買う予定だった物(そうでない物もあれば、買えなかったものもあるが)を購入し終えたのを確認する。
それから、少し早いがフードコートへ寄って軽く昼食を済ませ、エントランスフロアへと向かった。
家を管理しているというお兄さんは不在だったのか、会うことなく外へ出る。
「えーっと、ショッピングモールは…」
昨日歩いてきた道はこっちだった気がすると思いつつ、迷ってしまわない為にタブレットを確認する。
地図機能が含まれていて、一度行ったところなら履歴に載るとの事だった。
見ながら歩いて周りにぶつかってもいけないので、経路を頭に叩き込む。
簡単に覚えてから、流れている歩道へそっと滑り込み、流れを止めないようにあるき出す。
しばらくは住宅街なのか、戸建てやマンション等が続いており、視界も広かったが、次第に高層が立ち並ぶ区域へとやって来た。
そこはメインストリートなのか、通りの幅が広い。
歩行者専用なのか馬車は1台も走っておらず、安全が確保されているし、人混みに窮屈さが無い。そしてビル街だが地上階にはお店を開いている所も多々あり、ウインドウショッピングが出来るスペースも確保されているので、歩行者の邪魔になる心配も無さそうだ。
そんな所を眺めていると、すでにショッピングモールが目に入る位置まで来ていた。
この人混みは殆どがそこへ向かっている。目的地が違う人がチラホラと別の道へ折れて行くのが時々目に写っていた。
「「いらっしゃいませ!」」
「「おはようございます!」」
モール内へ足を踏み入れると、昨日と同じくデスクにいるお姉さん達の元気な声が飛んできた。今日は特に用事は無いので、続いて入ってきた人の邪魔にならないように歩き、人混みの少ない位置へ移動する。
今日の目的は衣類と食料関係、後は種や苗。他にも昨日買えなかった雑貨類。
どれがどの階に売られているのか一つ一つ確認していると、とある事に気づく。
「あれ…?」
見落としたのだろうか。もう一度すべての階に目を通すも、やはり1つだけ見当たらない物があった。
「農業系のフロアが、無い…?」
見落としでは無かった。
行ってみないと何を売っているのか分からないフロアもあるが、農業に関するフロアは見当たらなかった。
買えないものはないと思っていただけに少し驚いたが、とりあえず先に買えるものだけ買ってから考えることにする。
まず最初に向かったのは衣料品のフロア。
アパレル系よりも量販店タイプの店が、婦人服や紳士服、子供服と別けられている。もちろん一番多いのは婦人服の店だった。
主流なのはワンピースタイプだが、パンツスタイル姿の女性も度々見かける。
異世界トリップ物は中世ヨーロッパをイメージ的した物が多いので、パンツスタイルは受け入れられない場合が多いがここはそうでもないらしい。どちらも好むココロにとってはありがたい事だ。
これからの季節にあった物をいくつか見繕い、購入を決めていく。
店員が寄ってくるタイプの店ではないので気楽だった。どうにもあの社交辞令には慣れない。いや、慣れたくなかった。
続いてやってきたのは、ドラッグストアが丸々入ったフロア。といっても食品関係は扱っているフロアがあるので置いてなかったが。
昨日は時間が無かったこともあり、さっさと決められる物、洗剤や掃除道具、タオル等は買えたが、体に使う物はゆっくりきめたかったので先延ばしにしていた。こだわりがある訳ではないが、相性が合うかの確認は必要だろう。
常備薬も揃えておきたい。
栄養ドリンクはどんなのがあるだろうかと立ち寄ってから、前とは違う事を思いだし、何も手に取らず通り過ぎた。
1つフロアを降りれば、メイク関係のフロアがあった。
人前に出る事は少なくなったが、それでも揃えておく必要は有るだろう。
そう思って立ち寄ったが、ここはまた他と雰囲気が違っている。
エントランスフロアにいるお姉さんと同じ制服を着た別のお姉さんが、笑顔でこちらを見ていた。
ココロの後からやってきた人達(女性が主だが、男性も少なくない)はその人には目もくれずフロアへ散っていく。
グルリと見回しても、店はどこも開いていないように見える。
この光景には既視感を覚えた。まるで…
「お客様、こちらは初めてですか?」
案内役であろうお姉さんが声をかけてくる。昨日と全く同じだった。
違うのは、頭部に、ココロとは違う色の猫耳が乗っていることだ。ちなみにココロは帽子を被っているので気づかれていない。
「はい、初めてです」
「では、ご案内致します。ですがその前に、お手をお借りしても宜しいですか?」
「え、手、ですか?」
どういう事だろうと思いながらも右手を差し出す。
「ありがとうございます」
そう言ってお姉さんは、両手でココロの手を包み込んでそっと目を閉じた。
動物の耳を持っているということは、能力持ちだろうと思い至る。
けれど、引き継いだ能力なのか、自分で得た能力かは分からない。ココロの耳に気づいていたら、気軽に話しかけられただろうか。
そんな事を考えていると、閉じたときと同じようにそっと目を開く。
「ありがとうございました。では、あちらの扉へお入り下さい」
そう示されたのはココロから見て右側にある、少し先の扉だった。分かりやすいようにか、淡く光っている。
一体何が起こったのか、能力を使っていた事ぐらいしか分からないが、それに従って間違いは無いだろうと、お礼を言ってその扉へ向かい中へ入った。
この中もまた色々凄かった。
ココロの肌質に適した物が既にピックアップされており(おそらく先程のお姉さんの能力)、基礎化粧品から1つずつ、好みの物を選べるようになっていた。
メイクはしていればいいという感じの以前はかなり適当に商品を買っていたので、自分に合うタイプから選べるのは簡単で有難かった。
食品フロアへ降りる前に、書籍を売っているフロアへと立ち寄る。
この世界についてはハロルドに軽く聞いたが、まだわからない事だらけなので、少しでも知れればという思いと、農業の知識の再確認のための本を買いに。
しかし前者はともなく、こちらでも農業に関するものは売っていなかった。
「んー?なんでだろう」
疑問に思いながらも、ひとまず食品のフロアへ降りる。
野菜や果物、肉と魚も少し多めに買い込む。処理して保存すれば一週間ぐらいは持たせたい。
この世界で1番有り難いのは、米の存在だろうか。日本人としては有り難い。パンも嫌いではないが。
加工食品に、調味料も一通り揃えてから、思わず立ち寄ってしまったのは嗜好品売り場。いくつか気になったものを手にとっていく。
一通り、買う予定だった物(そうでない物もあれば、買えなかったものもあるが)を購入し終えたのを確認する。
それから、少し早いがフードコートへ寄って軽く昼食を済ませ、エントランスフロアへと向かった。
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