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第3章 新しい試み
5話
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翌日。
ココロは再び、東の国の街に向かった。
大規模な市は月末3日目で、昨日が最終日だったと聞いていた。
つまりは、この世界では今日から5月。逆算すれば、ココロがこの世界にやってきたのは4月23日ということにる。
そう言えば日付の事は気にしていなかったなと、今更ながらに気が付いた。
改めて確認してみれば、地球を基礎として作られているからか、大差無かった。
1月から12月。1か月30日。7日で1週間。1日24時間。
「ん?」
季節も春から冬…と、確認して、1つ大きな違いがある事に気が付いた。年間のカレンダーが無いか探す。
「わー、2月30日だって…」
なんと、こちらの世界では2月30日が存在するそうだ。
今までがせいぜい29日までだから、何だろう、違和感半端ない。
なんて、日付について確認していると、いつの間にか街に到着していた。
昨日、市が開かれていた時はお祭り騒ぎのように賑わっていたが、今はその欠片もない。
とは言え、大型の街ではあるから、それなりに人が行き交っている。
こちらが本来の街の姿であり、昨日と比べてしまうのが、間違っているのだろう。
「さて、そんな事より家畜屋は…っと」
改めて案内板を確認する。
この街には数軒家畜屋がある。どれも街の端に位置するのは、家畜達がいる小屋とを行き来しやすくする為だろう。
けれど一軒、中央寄りにあるのが気になった。
一度そこへ行ってみることにした。
「えっとここ、だよね?」
大通りから少し外れた、路地裏。
周りの建物の影のせいで、少し薄暗いところに、その店はあった。
窓にはカーテンがかかり、中の様子は伺えない。
看板も無く、営業しているのか分からない。
そっと扉を押してみると、抵抗なく開いた。薄っすらと、中から光が洩れる。営業中、だろうか?
もう少し中を見てみようと扉を押し開けると、カランとベルが鳴った。
「わ、わ、お客さん!?」
音に反応したのか、中から声が聞こえる。
その直後に、何かにぶつかる音や、落ちる音が聞こえてきた。
「いったぁ…」
「だ、大丈夫ですか!?」
慌てて中に飛び込むと、ぶつけたのか頭を押さえる少女が、床に蹲っていた。
少女を一言で言うなら…
「う、牛?」
思わず口から溢れて、慌てて押さえる。幸いにも、頭を気にしてるようでココロの呟きは聞こえなかったようだ。
ココロが牛と言い表した理由は2つ。
1つは、彼女自身の耳のその少し上に、牛の耳が垂れているから。
もう1つは、そう表現するのはあまり良いイメージが無いからと頭から消し去る。見比べてなんて、決して無い!
邪念を追い払い、未だに蹲っている少女に駆け寄る。
「大丈夫ですか?どこか怪我とか」
「い、いえ!大丈夫です!慣れてるので!」
それは一体何に。慣れなくていい気がするが、言わないでおく。
「それより、お買い物ですか!?」
「は、はい。ここは、家畜屋、ですよね?」
「ええ、そうです!きゃー!初めてのお客さんだー!」
「え?」
初めてのお客さん、彼女はそう言った。
そうか、だからあんなに慌てていたのか。
けれど何故。店自体そんなに新しいわけでは無さそうだけど。
「あ、ご、ごめんなさい!その、店を開いてから、まだそんなに経ってないから、誰もココに店があるの知らないみたいで…」
いや、案内板(最新の情報が載るタイプ)に載っているからあるのは知っているんだろうけど。
おそらく、カーテンが締め切っているのが第1の問題だろうと予想建てる。
1度来てもカーテンが閉まっているのを見て、他の店に行った人も少なからず居るだろう。
何故カーテンを開けないのか。どうやら、自然の光が苦手らしい。月明かりは大丈夫だから、明るい光が駄目なんだろう。店内もそんなに明るくない。
「わー!喋りすぎちゃいました!ごめんなさい、この世界に来てから、人と喋る機会が全然なかったので」
「え…」
「え?」
「来たばかり、なんですか?」
「はい、えーっと、半月?でしたっけ。それぐらいになります」
なるほど、数日違うくらいか。
何人か知り合ったり、見かけただけならそれなりの数見たけれど、その人たちはもう来て長いのか、そもそもこの世界生まれなのか、この世界での暮らしに馴染んでいた。
その中で初めて、まだ生活に馴れていない人に出会った。
勝手に親近感を抱いた少女は、黙ったココロを不思議そうに眺めている。
「あ、ごめんなさい。実は私も、来たばかりなんです」
そう言いながら、被っていた帽子を脱ぐ。ピョコンと飛び出した耳に、少女も直ぐに気が付いた。
「わぁー、そうだったんですね!あ、ワタシはリアラと言います!元々家畜業やってたので、そのままこっちでも始めました」
「私はココロです。この街の近くに住んでて、動物を飼える環境が出来たので、どこかで買えないかと思って来ました」
「あ、そでした。お客さんでしたね」
来た日にちが近いと言う事で少し盛り上がってしまったが、目的があってこそだ。
知らなかったとはいえ、二度手間になってしまったのだから、今度こそ目的を果たしたい。
「ところで、動物たちはどこに?別の土地にいるんですか?」
「あ、いえいえ。簡単に外に出せない子も居るんで」
「…ん?」
「別空間に入れておけるようにしてもらったんです。行きましょう」
何やら変な言葉が聞こえた気がするが…。
否応なしに手を引かれ、リアラが出したと思われる謎空間に入っていった。
ココロは再び、東の国の街に向かった。
大規模な市は月末3日目で、昨日が最終日だったと聞いていた。
つまりは、この世界では今日から5月。逆算すれば、ココロがこの世界にやってきたのは4月23日ということにる。
そう言えば日付の事は気にしていなかったなと、今更ながらに気が付いた。
改めて確認してみれば、地球を基礎として作られているからか、大差無かった。
1月から12月。1か月30日。7日で1週間。1日24時間。
「ん?」
季節も春から冬…と、確認して、1つ大きな違いがある事に気が付いた。年間のカレンダーが無いか探す。
「わー、2月30日だって…」
なんと、こちらの世界では2月30日が存在するそうだ。
今までがせいぜい29日までだから、何だろう、違和感半端ない。
なんて、日付について確認していると、いつの間にか街に到着していた。
昨日、市が開かれていた時はお祭り騒ぎのように賑わっていたが、今はその欠片もない。
とは言え、大型の街ではあるから、それなりに人が行き交っている。
こちらが本来の街の姿であり、昨日と比べてしまうのが、間違っているのだろう。
「さて、そんな事より家畜屋は…っと」
改めて案内板を確認する。
この街には数軒家畜屋がある。どれも街の端に位置するのは、家畜達がいる小屋とを行き来しやすくする為だろう。
けれど一軒、中央寄りにあるのが気になった。
一度そこへ行ってみることにした。
「えっとここ、だよね?」
大通りから少し外れた、路地裏。
周りの建物の影のせいで、少し薄暗いところに、その店はあった。
窓にはカーテンがかかり、中の様子は伺えない。
看板も無く、営業しているのか分からない。
そっと扉を押してみると、抵抗なく開いた。薄っすらと、中から光が洩れる。営業中、だろうか?
もう少し中を見てみようと扉を押し開けると、カランとベルが鳴った。
「わ、わ、お客さん!?」
音に反応したのか、中から声が聞こえる。
その直後に、何かにぶつかる音や、落ちる音が聞こえてきた。
「いったぁ…」
「だ、大丈夫ですか!?」
慌てて中に飛び込むと、ぶつけたのか頭を押さえる少女が、床に蹲っていた。
少女を一言で言うなら…
「う、牛?」
思わず口から溢れて、慌てて押さえる。幸いにも、頭を気にしてるようでココロの呟きは聞こえなかったようだ。
ココロが牛と言い表した理由は2つ。
1つは、彼女自身の耳のその少し上に、牛の耳が垂れているから。
もう1つは、そう表現するのはあまり良いイメージが無いからと頭から消し去る。見比べてなんて、決して無い!
邪念を追い払い、未だに蹲っている少女に駆け寄る。
「大丈夫ですか?どこか怪我とか」
「い、いえ!大丈夫です!慣れてるので!」
それは一体何に。慣れなくていい気がするが、言わないでおく。
「それより、お買い物ですか!?」
「は、はい。ここは、家畜屋、ですよね?」
「ええ、そうです!きゃー!初めてのお客さんだー!」
「え?」
初めてのお客さん、彼女はそう言った。
そうか、だからあんなに慌てていたのか。
けれど何故。店自体そんなに新しいわけでは無さそうだけど。
「あ、ご、ごめんなさい!その、店を開いてから、まだそんなに経ってないから、誰もココに店があるの知らないみたいで…」
いや、案内板(最新の情報が載るタイプ)に載っているからあるのは知っているんだろうけど。
おそらく、カーテンが締め切っているのが第1の問題だろうと予想建てる。
1度来てもカーテンが閉まっているのを見て、他の店に行った人も少なからず居るだろう。
何故カーテンを開けないのか。どうやら、自然の光が苦手らしい。月明かりは大丈夫だから、明るい光が駄目なんだろう。店内もそんなに明るくない。
「わー!喋りすぎちゃいました!ごめんなさい、この世界に来てから、人と喋る機会が全然なかったので」
「え…」
「え?」
「来たばかり、なんですか?」
「はい、えーっと、半月?でしたっけ。それぐらいになります」
なるほど、数日違うくらいか。
何人か知り合ったり、見かけただけならそれなりの数見たけれど、その人たちはもう来て長いのか、そもそもこの世界生まれなのか、この世界での暮らしに馴染んでいた。
その中で初めて、まだ生活に馴れていない人に出会った。
勝手に親近感を抱いた少女は、黙ったココロを不思議そうに眺めている。
「あ、ごめんなさい。実は私も、来たばかりなんです」
そう言いながら、被っていた帽子を脱ぐ。ピョコンと飛び出した耳に、少女も直ぐに気が付いた。
「わぁー、そうだったんですね!あ、ワタシはリアラと言います!元々家畜業やってたので、そのままこっちでも始めました」
「私はココロです。この街の近くに住んでて、動物を飼える環境が出来たので、どこかで買えないかと思って来ました」
「あ、そでした。お客さんでしたね」
来た日にちが近いと言う事で少し盛り上がってしまったが、目的があってこそだ。
知らなかったとはいえ、二度手間になってしまったのだから、今度こそ目的を果たしたい。
「ところで、動物たちはどこに?別の土地にいるんですか?」
「あ、いえいえ。簡単に外に出せない子も居るんで」
「…ん?」
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否応なしに手を引かれ、リアラが出したと思われる謎空間に入っていった。
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