死んだと思ったら異世界に

トワイライト

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「あの様な吹雪をその身1つでどうにかするなど、常人には不可能な事なのです」

女性は高いテンションのまま俺にフェルの凄さを語っている。

「そうだな、確かに普通の人ならどうにもならないだろうな」

俺は女性の言っている事に賛同する。

確かに普通の人なら自然災害である吹雪をどうにかする事は出来ないだろう。

だが、フェルならこれくらいの吹雪を抑える事は容易いと俺は知っている。

元々フェルの実力を考えれば余裕でここら辺一帯を消滅させる事も出来るのだ、一定範囲の吹雪をどうにかする事なんてそこまで苦労する事もなく出来るはずだ。

フェンリルは種族魔法として氷雪魔法を覚えているから雪や氷を操る事が出来るからな。

「あの規模の魔法を常に集落の周囲に発動させ続けるあの魔法操作技術、我々とは比べものになりません!」

まぁ大規模の魔法の効果を継続させるのは非常に難しい。

魔力は常に消費されるし、発動している魔法に送る魔力量を間違えたら直ぐに魔法の効果が変わってしまう。

常に一定の魔力を送り続ける魔法操作技術と高い集中力が求められるのだ。

「確かに、魔法の継続発動は高等技術だからな…」

プレイヤーの中でも魔法の継続発動を出来る奴は少なかった。

というのも、ユグドラシルオンラインでの魔法の継続発動というのは魔法を発動させながら行動する事が出来る…という物だったからだ。

ユグドラシルオンラインではただ魔法を継続して発動させる事が出来ても意味はない。

魔法の維持に意識を集中している間に他のプレイヤーに襲われてしまうからだ。

だからこそ、魔法の発動を維持しながら行動する事ができなければ魔法の継続発動が出来ているとは言えない訳だ。

でも魔法の継続発動が完全に出来なくても意味がないという訳では無い。

条件は絞られるが、自分の周囲に結界やバリアを張り続けて他のプレイヤーの応援を待つ…と言った状況だったら充分に使える。

実際に攻城戦などのイベントでは城の防衛に良く使われていた。

攻めてきたプレイヤーを押しとどめる事ができるからな。

でもそれも集団で攻撃されたり、バリアの強度を超える超火力で攻撃されたら意味がなくなるんだが、ある程度時間を稼ぐ事は出来る。

それに一撃で結界を破壊出来る様なプレイヤーはほんの一部だったから特に問題は無かったみたいだが。

他にも自分とパーティの周りにバリアを張る事でHPやMPを回復させる時間を稼いだりとか、意外と使えるらしいが…

まぁこれは今は関係ないか…

「でもフェルが魔法の継続発動ねぇ…いつの間に身につけたんだか」

俺は小さい声でそう呟いた。

俺はフェルが魔法の継続発動が出来る事を知らなかった。

基本的にフェルは放出系の魔法しか使っていなかったし、実際にフェルが魔法の継続発動をさせている所を見た事が無い。

フェルがいつから魔法の継続発動をする事が出来たのかは俺には分からないが、フェルの戦闘スタイル的にもフェルがそんな事を出来ると知る機会が無かった。

フェルの戦闘スタイルは基本は近接戦闘でちょくちょく魔法を使って牽制や攻撃を当てるっていうスタイルだ。

魔法主体の戦い方ならまだしも、近接主体の戦い方では魔法の継続発動など見る機会は無い。

もしかしたらこの世界に来てから身につけたのかも知れないがそれはフェルに聞いてみないと分からないだろう。

「君はいつからフェルがそんな事を出来る様になったか知ってるか?」

俺はダメ元で女性にフェルがいつ魔法の継続発動が出来る様になったのかを知っているかを尋ねた。

女性はフェルの事を本気で尊敬…いや信仰?しているのだ、もしかしたら理由知っているかも知れない。

「その事ですか…勿論知っていますよ」

「マジか!?」

女性の返事を聞いた俺は驚きの声を上げてしまった。

まさか本当に知っているとは思ってもなかったぞ。

「ええ、主人の臣下なら知っていて当然です」

女性は知っていて当たり前、と胸を張って俺にそう言ってきた。
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