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ケモミミに人権はあるのか
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「この街で獣人を見かける事は少ないですが、近くの村が交易をしていると聞いています。そこに行けば情報があるかもしれません。簡単な地図を書いてあげますね」
なんか急に親切になったぞ。もしかしてこの人、獣人好きなのでは?
「できました。地図のココが南門ですから、街道に沿って2つ目の村ですね。朝早くに出れば夕方には着きますよ」
「結構遠いですね。あいつらの為にも時間を作って行ってきます。ありがとうございました」
「いえいえ、がんばってくださいね」
ニッコリ笑って送り出されてしまった。未だかつて無い対応。もしかして俺に惚れたか?
とにかく近い内に行ってみよう。留守番も出来たしな。
「戻ったぞ」
「おかえり。あれ、そちらの方は?」
「新しい奴隷だ。ちょっと特別な奴隷でな、こいつの事は人形みたいなもんだと思え」
「人形?」
「聞くな、屋敷の留守番を任せる。所有権が無くても出来るんだろ?」
「あぁうん、だけど大丈夫なの?名前は?」
「素性はない、名前は適当に付けていいぞ」
「えぇぇ……怖いんだけど」
「お前の部屋は二階の奥の方を使え、屋敷の使い方はこのデイガンに教われ。汚すなよ、仕事は都度与える」
「はい」
本当に分かってるのかな?知識は残ってるけど元がアイツラだからなぁ。【縛】が沢山あれば知能を上げても安心なんだが、どこかに奴隷落ちてないかな。
「あぁそうだデイガン、ミミナ。獣人の村は分からないが、獣人と交易している村があるらしい。何か思い当たることはあるか」
「大人がたまに人間と取引していたのは聞いてます。でも詳しいことはわからないです」
「そうか。まぁ別の村だったとしても獣人同士で何か分かるかもしれないし、近い内に行くぞ」
「いいんですか!」
「あぁ、働きたい奴がいたらスカウトだ」
獣人はいい、人間社会の中で孤立するからだ。ここに獣人を連れてきて働かせた場合、人間社会の中では獣人の小さなコミュニティが寄る辺になる。強い帰属意識が生まれて裏切りにくくなるというわけだ。後ついでに、ケモミミは人権に配慮する必要がないという一部の意見も。
デイガン達の家族がいたら?親と離れる選択なんてさせるわけ無いだろ……、家族もここで働かせる。
ん?そういえば賃金って……。やめよう、こんな事を考えても誰も幸せにならない。俺達は仲間だろう?
「いい加減、飯を作れる奴が欲しいんだよ」
「切実にね」
広い魔法のキッチンがあって、起動ルーンに触れるだけで火が付くんだぞ。そこらの飯屋なんて目じゃない設備が泣いてるよ。
「まぁ、飯にするか」
畑からレタスとトマトを毟ってきて、ちょいと癖のある骨付きラムチョップを出して完成だ。
「うみゃぁぁい」
美味い、けど感動が無いと言うかね。手の込んだ料理を食いたいんですよ。
「贅沢ではあるんだけどねぇ」
「すごく美味しいですよ」
(こくこく)
「俺はお前たちが不憫になるよ」
愚痴を言っても仕方ない。風呂に入って寝た。
翌朝。
「おはよう。本当にここに住んでるんだね」
「あぁ。裏に回れ、毎朝裏口から引き渡せる様にしておく。数の調整とかは前日に頼む。急の対応はうちでは無理だ」
「分かったよ、商売人じゃ無さそうだしね」
経験があると話がはやい、数の調整をするのは商人の仕事だ。急な注文に応えたいなら自分で調節すればいい。生産者が対応出来るほど発達してないんだよ。
「この台車だ。このまま持っていっていいぞ。数の確認だけしておけ」
「ありがとう!どれもいい出来だ。これなら絶対売れるよ。生産量を上げれるようにしておいてくれよ!」
「それと、次からはこいつが対応するからな。難しい話は出来ないから、何かあれば文章にするか俺を呼んでくれ」
「わかったよ、よろしくね。ヴィスだ」
「はい」
「う、うん?」
「あぁ、こいつは……いちたろうだ。すまん、緊張しているようだな」
「そうか、よろしく」
「よろしく」
大丈夫かなぁ。
なんか急に親切になったぞ。もしかしてこの人、獣人好きなのでは?
「できました。地図のココが南門ですから、街道に沿って2つ目の村ですね。朝早くに出れば夕方には着きますよ」
「結構遠いですね。あいつらの為にも時間を作って行ってきます。ありがとうございました」
「いえいえ、がんばってくださいね」
ニッコリ笑って送り出されてしまった。未だかつて無い対応。もしかして俺に惚れたか?
とにかく近い内に行ってみよう。留守番も出来たしな。
「戻ったぞ」
「おかえり。あれ、そちらの方は?」
「新しい奴隷だ。ちょっと特別な奴隷でな、こいつの事は人形みたいなもんだと思え」
「人形?」
「聞くな、屋敷の留守番を任せる。所有権が無くても出来るんだろ?」
「あぁうん、だけど大丈夫なの?名前は?」
「素性はない、名前は適当に付けていいぞ」
「えぇぇ……怖いんだけど」
「お前の部屋は二階の奥の方を使え、屋敷の使い方はこのデイガンに教われ。汚すなよ、仕事は都度与える」
「はい」
本当に分かってるのかな?知識は残ってるけど元がアイツラだからなぁ。【縛】が沢山あれば知能を上げても安心なんだが、どこかに奴隷落ちてないかな。
「あぁそうだデイガン、ミミナ。獣人の村は分からないが、獣人と交易している村があるらしい。何か思い当たることはあるか」
「大人がたまに人間と取引していたのは聞いてます。でも詳しいことはわからないです」
「そうか。まぁ別の村だったとしても獣人同士で何か分かるかもしれないし、近い内に行くぞ」
「いいんですか!」
「あぁ、働きたい奴がいたらスカウトだ」
獣人はいい、人間社会の中で孤立するからだ。ここに獣人を連れてきて働かせた場合、人間社会の中では獣人の小さなコミュニティが寄る辺になる。強い帰属意識が生まれて裏切りにくくなるというわけだ。後ついでに、ケモミミは人権に配慮する必要がないという一部の意見も。
デイガン達の家族がいたら?親と離れる選択なんてさせるわけ無いだろ……、家族もここで働かせる。
ん?そういえば賃金って……。やめよう、こんな事を考えても誰も幸せにならない。俺達は仲間だろう?
「いい加減、飯を作れる奴が欲しいんだよ」
「切実にね」
広い魔法のキッチンがあって、起動ルーンに触れるだけで火が付くんだぞ。そこらの飯屋なんて目じゃない設備が泣いてるよ。
「まぁ、飯にするか」
畑からレタスとトマトを毟ってきて、ちょいと癖のある骨付きラムチョップを出して完成だ。
「うみゃぁぁい」
美味い、けど感動が無いと言うかね。手の込んだ料理を食いたいんですよ。
「贅沢ではあるんだけどねぇ」
「すごく美味しいですよ」
(こくこく)
「俺はお前たちが不憫になるよ」
愚痴を言っても仕方ない。風呂に入って寝た。
翌朝。
「おはよう。本当にここに住んでるんだね」
「あぁ。裏に回れ、毎朝裏口から引き渡せる様にしておく。数の調整とかは前日に頼む。急の対応はうちでは無理だ」
「分かったよ、商売人じゃ無さそうだしね」
経験があると話がはやい、数の調整をするのは商人の仕事だ。急な注文に応えたいなら自分で調節すればいい。生産者が対応出来るほど発達してないんだよ。
「この台車だ。このまま持っていっていいぞ。数の確認だけしておけ」
「ありがとう!どれもいい出来だ。これなら絶対売れるよ。生産量を上げれるようにしておいてくれよ!」
「それと、次からはこいつが対応するからな。難しい話は出来ないから、何かあれば文章にするか俺を呼んでくれ」
「わかったよ、よろしくね。ヴィスだ」
「はい」
「う、うん?」
「あぁ、こいつは……いちたろうだ。すまん、緊張しているようだな」
「そうか、よろしく」
「よろしく」
大丈夫かなぁ。
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