痛み。

相模とまこ

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第1章

#3.最後の夏

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彼女はわたしを実の妹のように愛してくれていた。

わたしの住んでいた町からここは遠く離れていたため、長期休暇のたびに彼女の家へ泊りに来ていたものだ。わたしが小学六年生になった年、夏休みがもう終わりを迎えるころ。あの日もこの町へ来ていた。

もう夏も終わるというのに、その日は特にうだるような猛暑だった。

彼女はその日、何も言わずに家を出た。きっと近くへ買い物にでも行っているのだろうと、あまり深くは考えずに彼女の帰りを待っていた。

しかし、日が暮れても彼女の姿は一向に見えない。次第に不安がわたしを襲う。その時、一本の電話が鳴り響いた。

電話の相手は、少し離れた場所にある救急病院の方だった。受話器を持って電話の向こうの人と言葉を交わす伯母の声が、手が震えていたのは、今でも昨日のことのように覚えている。

電話の内容は、彼女が出先で交通事故に遭ってしまったこと、意識がなく危篤状態であること、院内で応急処置を済ませたが現在心臓の拍動があることが精一杯だということなどだった。

伯母は電話を切ると、青白い顔でこちらを向き、伯父を連れて病院へ行くとだけ言い残し、わたしを広い家に一人置き去りにして、行ってしまった。

はじめて一人で過ごすこの家はあまりにも広く静かで、不安も相まって、その晩はあまりよく眠れなかった。

翌朝、伯母の携帯電話からの着信で目が覚めた。伯父の車でわたしも病院へ向かった。

はじめて足を踏み入れる救急病院は、さまざまな機械の音や看護師の声、ナースコールの音で溢れかえっていて、とても居心地のいい場所とは思えなかった。

ナースステーション近くの一室へ入ると、そこには白いベッドに横たわり点滴や何かの機械、心電図モニターなどを装着され眠る琴子の姿があった。

よく見ると顔や頭にも傷があり、喉から直接気道へ繋がれた機械によって人工的に呼吸をしているらしかった。

医師から、走行中のトラックに撥ねられ内臓の一部が完全に壊れてしまっていることや、人工的に呼吸をさせ、薬によって一時的に拍動を強めていること、状態から見てもう長くはもたないことの説明を受けた。

その場に泣き崩れる伯母、その肩を抱いて俯く伯父の姿が、とても弱々しく痛ましかった。









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