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第3章 命を賭けた村の直訴 ーバイワン国ー
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村長が王城から帰ってきた。執行官に今の村の現状を訴えたが聞いてはもらえなかった。気落ちしていたが、それより村の者に何と説明しようかと道々考えていた。
「村長。お客さんが来ています。」村人が教えてくれた。すると門の前に一人の老人が立っていた。
「村長さんですかな。私が何かの役に立てるかと思いまして。」老人は笑顔で言った。村長が見るところ、その老人は身なりこそよくなかったが、何か神秘的な雰囲気を感じさせた。
「あなたはどなたですか?」村長は尋ねた。
「申し遅れました。儂は旅の方術師、ライリーと申します。」老人は答えた。
「方術師の方が何をしていただけるますのか?」村長は訊いてみた。もう藁にもすがりたい気持ちだった。
「ここに来る道すがら、作物の出来を見ました。そして川の水も確かめました。この2つのことは結び付いていると思います。儂の方術がお役に立てるかもしれません。」老人が言った。村長はそれを聞いて喜び、
「そうですか。それはそれは。まずは中に。」と言って老人を屋敷の中に招き入れた。
老人は奥の部屋に案内された。村長は入ってきて辺りを見渡して扉を閉じた。
「方術師とお伺いいたしましたが、川の水を変えることはできるのですか?」村長は尋ねた。
「できますとも。だがその前に川の水について仔細を教えて下さらんか」老人は言った。
「わかりました。でもこのことはよそで口外しないでください。王城のお役人から思い罰を受けますから。実は先年、この川の上流の山で鉱物を採掘することになりました。しかしそれが始まった途端、川の水は濁り、流れは変わり、作物の実りは悪くなりました。それに年々土地がやせてきているようで今年の穀物の出来は最悪になってしまいました。」村長は言った。
「王城には訴えられたのですかな?」老人が言った。
「ええ、でもそれはジャカン大臣の指示で起こした事業であり、我らのような下々が口をはさむことではないと執行官からお叱りを受けました。それでもそのことを口にした者はいましたが、その者は捕らえられて牢屋に入れられ、挙句の果てにそこで死にました。」村長は無念そうに言った。
「なんということを・・・」老人はつぶやいた。
「山の方はどうにもなりません。それならば川の水を何とか元に戻す方法がないかとお願いする次第です。」村長は言った。
「わかりました。だがそれには川の様子、村の様子、山の様子を詳しく調べる必要があります。」老人は言った。
「それならジョン殿がお手伝いしてくださるかもしれません。周辺のことをいろいろと調べておられるのです。この村によく来られます。」村長は言った。
「ほう。そんな方がおられるのかな。」老人の目が光った。ジョンに興味を持ったようだった。
「今も村に来ているはずです。そのうちこの屋敷に来るでしょう。それまでここでお休みください。」村長は言った。
ジャカン大臣は王城の見晴らしのいい場所に立っていた。そこでバンキ商会の会長と話していた。そこに執行官が現れた。
「どうじゃ?鉱物の方は?」ジャカン大臣が尋ねた。
「はっ。順調に採掘できております。計画通りでございます。」執行官が言った。
「それならバンキ商会に売ればばく大な儲けが出よう。」ジャカン大臣が言った。
「いつもありがとうございます。儲けの金塊は大臣様の倉に納めさせていただきます。」会長は笑顔で言った。
「そうか。ふふふ。」ジャカン大臣は笑っていた。
「時に村の者がまた参りました。献上の品を少なくしてくれとの願いの筋で。川の水がどうとか、今までの鉱物採掘が原因ではないかと申しておりました。」執行官が言った。
「捨てておけ。奴らなど牢屋に入れておけばおとなしくなる。献上の品は例年通りじゃ。いや、見せしめじゃ。多くせよと吹っかけてやれ!もしできねば全員、牢にぶち込むとな。」ジャカン大臣が言った。
「しかしあの山は王家の物で鉱物採掘は禁じられているはず。もし王様のお耳でも入ったら・・・」執行官は不安そうに言った。
「ふふふ。王様など何の力ももっておらぬ。今も謁見場で、儂の息のかかった者たちからいい話を聞いて喜んでいるはずじゃ。他の者は誰も通さないようにしているのでな。先代の王様がなくなり、あの稀代の方術師、ハークレイ法師が送り込んだ者らしいが、儂にとってはただのお飾りじゃ。若いだけのただの世間知らずだから、都合よく報告していれば操るのは容易い。もしいらぬことを言えばあの者も・・・いや、言い過ぎたか。とにかく心配せずともよい。」ジャカン大臣はきっぱりと言った。
「はっ。それでは仰せの通りに進めます。」執行官は言った。
「村長。お客さんが来ています。」村人が教えてくれた。すると門の前に一人の老人が立っていた。
「村長さんですかな。私が何かの役に立てるかと思いまして。」老人は笑顔で言った。村長が見るところ、その老人は身なりこそよくなかったが、何か神秘的な雰囲気を感じさせた。
「あなたはどなたですか?」村長は尋ねた。
「申し遅れました。儂は旅の方術師、ライリーと申します。」老人は答えた。
「方術師の方が何をしていただけるますのか?」村長は訊いてみた。もう藁にもすがりたい気持ちだった。
「ここに来る道すがら、作物の出来を見ました。そして川の水も確かめました。この2つのことは結び付いていると思います。儂の方術がお役に立てるかもしれません。」老人が言った。村長はそれを聞いて喜び、
「そうですか。それはそれは。まずは中に。」と言って老人を屋敷の中に招き入れた。
老人は奥の部屋に案内された。村長は入ってきて辺りを見渡して扉を閉じた。
「方術師とお伺いいたしましたが、川の水を変えることはできるのですか?」村長は尋ねた。
「できますとも。だがその前に川の水について仔細を教えて下さらんか」老人は言った。
「わかりました。でもこのことはよそで口外しないでください。王城のお役人から思い罰を受けますから。実は先年、この川の上流の山で鉱物を採掘することになりました。しかしそれが始まった途端、川の水は濁り、流れは変わり、作物の実りは悪くなりました。それに年々土地がやせてきているようで今年の穀物の出来は最悪になってしまいました。」村長は言った。
「王城には訴えられたのですかな?」老人が言った。
「ええ、でもそれはジャカン大臣の指示で起こした事業であり、我らのような下々が口をはさむことではないと執行官からお叱りを受けました。それでもそのことを口にした者はいましたが、その者は捕らえられて牢屋に入れられ、挙句の果てにそこで死にました。」村長は無念そうに言った。
「なんということを・・・」老人はつぶやいた。
「山の方はどうにもなりません。それならば川の水を何とか元に戻す方法がないかとお願いする次第です。」村長は言った。
「わかりました。だがそれには川の様子、村の様子、山の様子を詳しく調べる必要があります。」老人は言った。
「それならジョン殿がお手伝いしてくださるかもしれません。周辺のことをいろいろと調べておられるのです。この村によく来られます。」村長は言った。
「ほう。そんな方がおられるのかな。」老人の目が光った。ジョンに興味を持ったようだった。
「今も村に来ているはずです。そのうちこの屋敷に来るでしょう。それまでここでお休みください。」村長は言った。
ジャカン大臣は王城の見晴らしのいい場所に立っていた。そこでバンキ商会の会長と話していた。そこに執行官が現れた。
「どうじゃ?鉱物の方は?」ジャカン大臣が尋ねた。
「はっ。順調に採掘できております。計画通りでございます。」執行官が言った。
「それならバンキ商会に売ればばく大な儲けが出よう。」ジャカン大臣が言った。
「いつもありがとうございます。儲けの金塊は大臣様の倉に納めさせていただきます。」会長は笑顔で言った。
「そうか。ふふふ。」ジャカン大臣は笑っていた。
「時に村の者がまた参りました。献上の品を少なくしてくれとの願いの筋で。川の水がどうとか、今までの鉱物採掘が原因ではないかと申しておりました。」執行官が言った。
「捨てておけ。奴らなど牢屋に入れておけばおとなしくなる。献上の品は例年通りじゃ。いや、見せしめじゃ。多くせよと吹っかけてやれ!もしできねば全員、牢にぶち込むとな。」ジャカン大臣が言った。
「しかしあの山は王家の物で鉱物採掘は禁じられているはず。もし王様のお耳でも入ったら・・・」執行官は不安そうに言った。
「ふふふ。王様など何の力ももっておらぬ。今も謁見場で、儂の息のかかった者たちからいい話を聞いて喜んでいるはずじゃ。他の者は誰も通さないようにしているのでな。先代の王様がなくなり、あの稀代の方術師、ハークレイ法師が送り込んだ者らしいが、儂にとってはただのお飾りじゃ。若いだけのただの世間知らずだから、都合よく報告していれば操るのは容易い。もしいらぬことを言えばあの者も・・・いや、言い過ぎたか。とにかく心配せずともよい。」ジャカン大臣はきっぱりと言った。
「はっ。それでは仰せの通りに進めます。」執行官は言った。
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