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第10章 王様に似た男 ーアール国ー
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大広間ではようやく儀式の準備が整っていた。そこに再び、トーネル王に化けたヤコブと老人、そしてジャストが入ってきた。
(儀式をしてしまったら取り返しがつかない。ナザルは帰ってこないが確かめる方法はある。)そう思ったダジャル大臣はヤコブの前に進み出た。
「準備は整いました。ジャスト様を王様の後継者の王子にお迎えしましょう。儀式には王様の御玉印が必要です。どこにございましょうか?」ダジャル大臣はそう聞いてニヤリと笑った。偽物なら知るはずはないからだった。案の定、
「それは・・・」ヤコブは答えに窮した。
「答えられませぬか?しからばごめん!」ダジャル大臣はヤコブの右腕をつかんで袖口をたくし上げた。
「何をする!」ヤコブはダジャル大臣の手をあわてて振りほどいた。
「ふふふ。思った通りだ。本当の王様なら右腕に幼いころの怪我の跡があるはず。それがない。貴様、偽物だな。」ダジャル大臣は不気味に笑いながら言った。それを聞いて、
「しまった!」と声を上げた。後ろにいた老人が、慌てるヤコブを制して前に出た。
「ふふふ。よくわかったな。絶対にばれぬと思っていたが・・・。それはダジャル大臣、お前が本当の王様を幽閉しているからではないのか!」老人は問い詰めるように言った。図星を突かれてダジャル大臣はビクッと驚いたが、
「ええい!何を言う!王様の名をかたる不埒者め!この者どもをとらえよ!ひっくくれ!」と大声を上げて家臣たちに命じた。すると家来たちはすぐに集まってきて、老人たちに近づいて来た。それを見て老人は呪文を唱えた。すると赤い服の男と白い縞状の服の剣士が急に現れた。
「キリン、ビャッコ。向かってくる者たちを叩きのめすのじゃ。」老人が2人に命じた。
「はっ!」キリンは身構え、ビャッコは背中の2本の剣を抜いた。
「歯向かうのか!ならば構わぬ!斬れ!斬って捨てい!」ダジャル大臣は家来たちに命じた。すると家来たちは剣を抜いて向かって来た。キリンは突きと蹴りで家来に次々に打撃を与えて倒していった。一方、ビャッコは両手の剣で家来を平打ちにしていった。
「何をしておる! 敵は小勢ぞ! 早く倒さぬか!」ダジャル大臣は叱咤するが、キリンとビャッコには敵わず、家来たちは逃げ腰になった。
「こうなったら王宮にいる兵すべてをつぎ込んでも、この者どもを・・・」ダジャル大臣は別の扉の方に向かった。そしてそれを開けようとしたとき、それは急にぱっと開いた。
「あっ!」ダジャル大臣は驚いて声を上げた。そこにはトーネル王が立っていた。その後ろにはナザルを縛りあげたスザクと王宮の兵が従っていた。
「おのれ! ダジャル! 逃がさぬぞ!」トーネル王は怒りの声を上げた。その剣幕にダジャルは後ずさりした。
「さあ!こいつが何もかも吐いたわ!」スザクはナザルをダジャル大臣の方に突き飛ばした。ナザルはダジャル大臣の前でバーンと床に倒れこんだ。
「な。なんと!」ダジャル大臣はまだ信じられないというように目を大きく開いていた。その横でジール公は震えていた。
トーネル王は家来たちが戦いをしている方を見た。そこにあの老人が立っているのを認めると、すぐに、
「静まれ! 静まれ !剣を引け!」両手を大きく振りながらその方に向かった。
「あっ!王様!」家来たちは驚いて剣を引いて戦いを止めた。
「あちらにおられるのは稀代の方術師、ハークレイ法師様であるぞ。無礼があってはならぬ。皆の者、控えろ!」トーネル王はそう言って、老人の前で片膝をついて一礼した。家来たちもさらに驚いて一斉に片膝をついて頭を下げた。
「えっ!ハークレイ法師様!」ヤコブとジャストも驚いてあわてて片膝をついて頭を下げた。
「ハークレイ法師・・・まさか・・・」ダジャル大臣は驚きのあまり、腰が抜けてその場に座り込んでしまった。ジール公は震えながらも跪いて、頭を床につけていた。
「王よ。無事であったか。それはよかった。」ハークレイ法師はトーネル王に声をかけた。
「ハークレイ法師様。おかげで助かりました。」トーネル王が言った。
「間に合ってよかった。この反逆者どもの始末をお願いしますぞ。」ハークレイ法師は言った。
「はっ!」トーネル王は立ち上がってダジャル大臣とナザルをにらみつけた。
「ダジャルとナザル。そしてジール。よくも私を幽閉し、この国の実権を奪おうとしたな。者ども、この反逆者たちを牢にぶち込め。追って処罰いたす!」トーネル王がそう言うと、兵士たちはダジャル大臣、ナザル、ジール公、そしてナザルの家来を捕まえてその場から出て行った。
(儀式をしてしまったら取り返しがつかない。ナザルは帰ってこないが確かめる方法はある。)そう思ったダジャル大臣はヤコブの前に進み出た。
「準備は整いました。ジャスト様を王様の後継者の王子にお迎えしましょう。儀式には王様の御玉印が必要です。どこにございましょうか?」ダジャル大臣はそう聞いてニヤリと笑った。偽物なら知るはずはないからだった。案の定、
「それは・・・」ヤコブは答えに窮した。
「答えられませぬか?しからばごめん!」ダジャル大臣はヤコブの右腕をつかんで袖口をたくし上げた。
「何をする!」ヤコブはダジャル大臣の手をあわてて振りほどいた。
「ふふふ。思った通りだ。本当の王様なら右腕に幼いころの怪我の跡があるはず。それがない。貴様、偽物だな。」ダジャル大臣は不気味に笑いながら言った。それを聞いて、
「しまった!」と声を上げた。後ろにいた老人が、慌てるヤコブを制して前に出た。
「ふふふ。よくわかったな。絶対にばれぬと思っていたが・・・。それはダジャル大臣、お前が本当の王様を幽閉しているからではないのか!」老人は問い詰めるように言った。図星を突かれてダジャル大臣はビクッと驚いたが、
「ええい!何を言う!王様の名をかたる不埒者め!この者どもをとらえよ!ひっくくれ!」と大声を上げて家臣たちに命じた。すると家来たちはすぐに集まってきて、老人たちに近づいて来た。それを見て老人は呪文を唱えた。すると赤い服の男と白い縞状の服の剣士が急に現れた。
「キリン、ビャッコ。向かってくる者たちを叩きのめすのじゃ。」老人が2人に命じた。
「はっ!」キリンは身構え、ビャッコは背中の2本の剣を抜いた。
「歯向かうのか!ならば構わぬ!斬れ!斬って捨てい!」ダジャル大臣は家来たちに命じた。すると家来たちは剣を抜いて向かって来た。キリンは突きと蹴りで家来に次々に打撃を与えて倒していった。一方、ビャッコは両手の剣で家来を平打ちにしていった。
「何をしておる! 敵は小勢ぞ! 早く倒さぬか!」ダジャル大臣は叱咤するが、キリンとビャッコには敵わず、家来たちは逃げ腰になった。
「こうなったら王宮にいる兵すべてをつぎ込んでも、この者どもを・・・」ダジャル大臣は別の扉の方に向かった。そしてそれを開けようとしたとき、それは急にぱっと開いた。
「あっ!」ダジャル大臣は驚いて声を上げた。そこにはトーネル王が立っていた。その後ろにはナザルを縛りあげたスザクと王宮の兵が従っていた。
「おのれ! ダジャル! 逃がさぬぞ!」トーネル王は怒りの声を上げた。その剣幕にダジャルは後ずさりした。
「さあ!こいつが何もかも吐いたわ!」スザクはナザルをダジャル大臣の方に突き飛ばした。ナザルはダジャル大臣の前でバーンと床に倒れこんだ。
「な。なんと!」ダジャル大臣はまだ信じられないというように目を大きく開いていた。その横でジール公は震えていた。
トーネル王は家来たちが戦いをしている方を見た。そこにあの老人が立っているのを認めると、すぐに、
「静まれ! 静まれ !剣を引け!」両手を大きく振りながらその方に向かった。
「あっ!王様!」家来たちは驚いて剣を引いて戦いを止めた。
「あちらにおられるのは稀代の方術師、ハークレイ法師様であるぞ。無礼があってはならぬ。皆の者、控えろ!」トーネル王はそう言って、老人の前で片膝をついて一礼した。家来たちもさらに驚いて一斉に片膝をついて頭を下げた。
「えっ!ハークレイ法師様!」ヤコブとジャストも驚いてあわてて片膝をついて頭を下げた。
「ハークレイ法師・・・まさか・・・」ダジャル大臣は驚きのあまり、腰が抜けてその場に座り込んでしまった。ジール公は震えながらも跪いて、頭を床につけていた。
「王よ。無事であったか。それはよかった。」ハークレイ法師はトーネル王に声をかけた。
「ハークレイ法師様。おかげで助かりました。」トーネル王が言った。
「間に合ってよかった。この反逆者どもの始末をお願いしますぞ。」ハークレイ法師は言った。
「はっ!」トーネル王は立ち上がってダジャル大臣とナザルをにらみつけた。
「ダジャルとナザル。そしてジール。よくも私を幽閉し、この国の実権を奪おうとしたな。者ども、この反逆者たちを牢にぶち込め。追って処罰いたす!」トーネル王がそう言うと、兵士たちはダジャル大臣、ナザル、ジール公、そしてナザルの家来を捕まえてその場から出て行った。
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【作者より、感謝を込めて】
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
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