【完結】影を使って婚約者の秘密を暴いたら、とんでもないことになりました。

ハナミズキ

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浮気野郎撲滅の会発足①

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「皆様、今日は我がカーライル邸にお越しいただきありがとうございます。皆様にお試しいただきたくてカーライル商会の主力商品と、新商品をご用意させていただきました。よろしければ今後の参考に商品の感想などをいただけたら嬉しいですわ」



「まあっ、美味しそうですわ」

「このふわふわのマフィン、店舗で行列になっていると聞いたよ」

「このフルーツティーも前々から飲んでみたかったのよ。透明のガラスのティーポットに入れるなんて画期的よね。見た目もとても綺麗だわ」

「私もこのプリンというスイーツ?前々から食べて見たかったのです!とても嬉しいですわっ」



今日はある目的で彼らの婚約者達を呼び寄せた。誰かのお茶会や夜会で多少の交流はあったけど、こうして婚約者達だけで顔を合わせて話すのは今回が初めて。

まだお互い探り合いの段階だから、最初はこうして女子トークから始めましょうか。









◇◇◇◇


「とても美味しかったですわ。今話題のスイーツ達を堪能できて、充実したひと時を過ごせました」

「本当だね。とても美味しかった」

「ええ、とても満足ですわ」

「ブリジット様、この機会を作っていただきありがとうございます。───今日ワタクシ達をお呼びになったのは何かお話があるからではなくて?」



やはり彼女は私の意図に真っ先に気づいた。

流石王子妃候補。 

───キャサリン・マクガイア。


筆頭公爵家の長女であり、父親は王弟。次期女王であるマライア王太女の右腕となる女性。

彼女が表から、私は裏から未来の女王を支える事になる。

私が王家の影の次期当主である事はキャサリン様はまだ知らない。王弟であるマクガイア公爵は知っているけれど、彼女にはコンラッドと婚姻して王族になってから初めて知らされる。


王家の影は基本的に王族と、建国から存在する歴史ある家門しか知り得ない。そして影の存在を知った者は必ず口外無用の魔法契約を結ばされる。

口外しようとすれば、口に出す前に死がもたらされる。
エゼルが何の抵抗もなく私と結んだ契約。


その契約を私は、彼女達にも結ばせようとしている。

それが女王と王太女、王家の影当主である母の出した条件。



───彼女達を、あの馬鹿達から解放する条件。

全員が国の政治に深く絡んでいる家門の令嬢だ。同じ年齢で、高位貴族で、これだけ優秀な女性が揃うのはまずないと思う。

彼女達が王太女に忠誠を誓ってくれたなら、次期女王であるマライア様の治世は確固たる統制力を得る事が出来るだろう。



フランチェスカ女王を支える王弟マクガイア公爵家。

外交の要であるサージェス侯爵家。

王族と王宮を守る近衞騎士団の家門であるバルテ侯爵家。

国の貿易事業を担うソワイエ伯爵家。

そして、王家の影である私、カーライル侯爵家。



彼女達全員が力を合わせれば大きな権力となり、それで初めてあの男どもの家門を有責にして当主達に強力な交渉カードを切る事が出来るのだ。

あの男共の家門も力を持つ貴族。私達と同じく政治に影響を及ぼす家門だ。



王弟としてマライア女王を支える予定の第一王子。

宰相という貴族の中でトップの権力を持つアイレンベルク公爵家。

王都を守る王立騎士団の家門であるペルシュマン侯爵家。

王都の物流を担うハネス伯爵家。

地方で最大の力を持つ大商会で、最近王都に進出し、莫大な財力を持つマルセル男爵家。


どの家門も、家の為に息子の醜聞は避けたいだろう。彼らにはもみ消す力がある。正面きって対立すれば今の治世が乱れる。

だからこそ、最低限の被害息子を捨てるで済むように交渉する必要があるのだ。


もうただの学生のお遊びでは済まされない。

あの馬鹿達は、同年代の子息子女からの信頼を失った。それは卒業後の社交界に影響し、マライア女王の治世の憂いとなるだろう。

そんな憂いの元凶達に権力を与えるわけにはいかない。


王家の次期当主である私は、彼らを排除対象と定めた。そしてそれを遂行する為に、相手の当主達を黙らせる有力カードを自分の力で用意しろと言われた。


これはも試されている。

そして、彼らの父親達も試されている。息子の対処をどうするかで、マライア様の治世に必要かどうかふるいにかけられる。


あの馬鹿達はここまで影響を及ぼす行動を取っている事にまるで気がついていない。自分達の家の影響力を本当の意味で理解していない。

都合の良い権力としか思っていないのだろう。

権力は使い方を間違えれば悪と取られ、排除されるのが世の常だ。


イアンだけを潰すのは簡単だ。でも私は、あの男共全員を排除したい。でもそれは彼女達が望めばの話。

その為に本音を聞き出す必要がある。


もし彼女達があの男共から離れたいと願うなら、私はその願いを叶える為に、影として動くつもりでいる。




「では、単刀直入にお話させてもらいます」


私の真剣な表情に、全員が身構えた。


「ここにいる皆様は、ある共通の悩みがあると思っています。その件について是非皆様のご意見をお伺いしたいのです」

「共通の悩みとは?」


キャサリン様は既に察している瞳だった。マクガイア公爵家でも既に調べているのだろう。



「デイジー・バロー」



私がこの名前を口にすると、全員の表情が曇った。

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