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ハニートラップ返し
しおりを挟む「じゃあ、コンラッド第一王子に接触してるのなんで?」
あの王子はマライア様と仲が悪い。善意で第二皇子との仲を取り持とうなんて絶対しないと思う。
考えられる事は一つだけ。
マライア様の足を引っ張ることを企んでいる。
それしか考えられない。
両親も私の質問に微妙な顔を見せ、その予想が外れていない事を察する。
「あのバカ王子はマライア様の瑕疵を作ろうとしているのよ。側近達やその親も関わってる。王太女の座から引き摺り下ろして、女王制度を撤廃し、新たな新王制を確立して、自分が国王になるそうよ」
バカ過ぎる……!
これであの王子、反逆者決定なんですけど?
え?
死にたいの?
「そして、瑕疵が出来て廃嫡された元王女を、ネブロス帝国の第二皇子が娶って実質国外追放にする。そこまでが彼らの筋書きらしい。何ともまあ、杜撰で稚拙な計画だな」
「類は共を呼ぶってことよ。バロー男爵とデイジーは、国政を担う有力貴族に近づく為に、その息子である側近達を籠絡する役目を担ってたの。つまり彼らの目的は最初からバカ王子と、側近達の親との接触を狙ってたってわけ」
「マライア様を追い落としたいコンラッド第一王子と、マライア様を手に入れたいネブロス帝国第二皇子の利害が一致したってことね」
そして両陛下は、全部まとめて潰すことにしたと──。
もう息子は捨てるってことか。まあ、さすがに洒落にならないことやらかしてるものね……。
「そういうこと」
「同情の余地なしね……。彼らの父親は何でそんな事に加担したの?女王制度に不満があるわけ?」
「言っただろう。昔から愚か者は女と金で破滅するって。ネブロスのハニートラップに引っかかって誑かされたんだよ。スケベ親父と守銭奴を手玉に取ったのさ」
「でもそのハニートラップ要員は、ウチのハニートラップに引っかかってもらったけどね。うふふっ」
「え!?」
母によると、宰相や騎士団長を誑かした愛人達にハニートラップをしかけ、既に落としているらしい。
「あれ?確か騎士団長の愛人って同性愛者の若い男だったよね?」
「暗部の精鋭部隊も見目の良い男ばかりで、ハニートラップは得意なんだぞ。なんせダイアナ達に鬼の特訓を受けているからな」
「それにエゼルの魔道具があるからウチは最強よ」
「お役に立てて光栄です」
「大活躍よ!ネブロスの敗因は、王家の影が持つ独自の魔道具の存在を知らないことね。まさか自分達の計画がだだ漏れで、全ての証拠を押さえられているなんて夢にも思ってないでしょう」
そう。エゼルは影の魔道具も作っている。
これも私の前世の知識を元にエゼルが実用化させた。
写真や動画を撮影して映す投影機、私がキャサリン様達と使っているスレッド、録音機や認識阻害、幻影機など、諜報に役立つ魔道具をいくつも作り上げた。
もちろんこれらは世に出回っていない。
誰もその存在を知らない。
「陛下達は、証拠を国際裁判所に提出して世界にネブロス帝国の悪事を晒すつもりでいる。そうなれば皇家は諸外国からの信頼を失い、負債を抱えてどうにもできず、自滅するだろう」
「あの国は欲のために侵略を繰り返してきた国だから、力でねじ伏せられた国民達は皇家に対して不満を抱えているわ。大義名分さえ与えれば、帝国は簡単に内部崩壊するでしょうね」
諸外国からのライフラインを断たれれば、借金だらけの皇家にもはや内乱に抵抗する力はない。
我が国に目をつけたのが運の尽き。
「卒業パーティーが楽しみね」
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新連載始めました。
『親友を抱いていたのは、私にプロポーズをした恋人でした』
R18作品です。
興味ある方は読んでいただけると嬉しいです。
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