おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第七章 街の未来

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 おばばから商店街連合会の会長職を委譲されることとなり、実務はメリーやその他の商店街連合会の役職者がおこなってくれるらしい。

 俺がやることは今まで通り、ダンジョン内の店に物資を運ぶことと、店舗同士のトラブルの仲裁や、領主や貴族の開催する各種式典への参加をするなどの業務を割り振られたが、それらの業務は稀にしかなく実質的にはお飾りの役職を任されたことになった。

 おばばにしっかりと休養を取るように伝えると、おばばから冒険者ギルトのギルドマスターの方にも、俺が商店街連合会になったことを伝えて欲しいと頼まれていた。

 なので、みんなを連れて冒険者ギルドに顔を出していた。

「最近、アルマさん見ないね~。今日も窓口の方には出てないみたいー」

 ファーマが冒険者ギルドの中を見回してアルマの姿を探しているが、見つけられなかったようだ。

「そうですね。アルマさん、最近忙しいのか、こっちには顔を出されないようですしね。お茶会も仕事が忙しくて出られておりませんし」

 アウリースもアルマの姿を探して窓口周辺をキョロキョロと見回している。

「アルマ、有能。ギルマスの代わりに仕事してる。忙しい、仕方ない」
「そうね。冒険者ギルドも例の事件で幹部職員が一掃されたからね。それにジェイミーさんも去った今、短期間とはいえギルマスを代行したアルマに仕事が集中するのは仕方ないと思うわ」

 カーラやメリーが言う通り、現状で冒険者ギルドの実務を運営できる人材はアルマ一人あると思われた。

 ベテランの職員もいるが、多くは現場の職員で幹部クラスを失った上で新任のギルドマスターを戴いている状況であれば、ギルマス代行をしていたアルマの肩に色々な物が圧し掛かっていると思われた。

 それでも、今日はギルドマスターへの挨拶もあることだし、久しぶりにアルマの顔も見られそうな気もする。

「ともかく、今日はギルドマスターに挨拶に来たことだし、アルマにも会えると思うぞ。さぁ、面会申請しよう」

 俺はみんなを引き連れて、ギルドの受付カウンターに向かっていく。すでに昼を過ぎており、受注ラッシュを終えたギルドの中は閑散としていた。

「あっ! グレイズさん。今日は潜られるんですか? それにしては皆さん軽装な恰好で……」
 
「違うのー。今日はグレイズさんが商店街連合会の次期会長になることをギルドマスターさんにお伝えにきたー。ギルドマスターさんいるー?」

 ファーマが俺たちの来訪目的を受付嬢に伝えてくれていた。

「え!? グレイズさんが商店街連合会の次期会長ですか!? おばば様が指名されたということですか」

 受付嬢がめちゃくちゃ驚いていた。

 まぁ、そうなるだろう。普通は店主の代表が就任する職であるし、おばばが一五年ほどずっと会長職を執行していたから、代替わりは久しぶりでもある。

 ちなみにおばばの前の会長は、おばばの死んだ旦那がやっており、二人の任期を合わせるとおおよそ三〇年くらいは会長職をやっていたことになるのだ。

 その会長職を俺が引き継ぐことになったのだ。受付嬢の驚きもわりと理解できた。

「そうらしい。俺はお飾りだけどな。そういうわけだから、ギルドマスターに就任前のご挨拶をと思ってな。面会はできるか?」

「え? あっ、はい。只今聞いてきますので、お待ちください」

 受付嬢が口調を改めると、そのまま奥の部屋に消えていった。

「あの子が驚くのも仕方ないわね。ブラックミルズの商店街連合会の会長職って言えば、領主代行って言っていいギルドマスターも色々と配慮をしないとマズい地位だしね。グレイズさんの影響力がもっと増すと思うわ」

「別に俺が偉いわけじゃないけどな。ただのおっさん冒険者だし」

「グレイズさんは、そろそろ自分の影響力の強さを自覚した方がいいわね。ムエルから追放されてから、パーティーのリーダーなったグレイズさんは気付いてないかもしれないけど、ブラックミルズに結構な影響を与えているわよ。冒険者にも商店街にもね」

 メリーが俺のことをやたらと持ち上げているが。俺は神様から与えられた力を持つとはいえ一介の冒険者に過ぎない男でしかない。

 影響力なんて余りないと思うんだがな。

「そうなのか?」

「そうよ。じゃなきゃ、おばばが旦那さんから預かった商店街連合会の会長職を譲るなんて言い出さないわよ。ブラックミルズをいい街にする者にしか譲らんって常日頃言っていた人だからね」

「そうか。そういえば、おばばの口癖だったな。それにおばばの旦那さんも同じこと言っていたのを思い出したわ」

 地上の商店で働いていた時におばばの旦那さんには色々と世話になっていた。家に招いてもらって飯を食ったこともあるし、店が起こした仕事上のトラブルも解決してもらったこともあったことを懐かしさとともに思い出していた。

「お待たせしました。面会の許可が出ましたので、二階のギルドマスター執務室へご案内させてもらいます。面会はグレイズさんだけとのことで、他の皆さんはここでお待ちください」

「あら、残念。新しいギルドマスターさんのお顔が拝見できると思ったけどダメなのね。仕方ない。みんな、喫茶スペースでお茶にしましょうか。グレイズさん待つ間にデザート食べちゃいましょう」

「わーい。メリーさん。ファーマ、食べてみたいデザートあったのー」

「グレイズ、待つ間にお茶。賛成」

「グレイズさん、皆さんと一緒にお待ちしてますね」

 みんなは俺がギルドマスターと面会している間に喫茶スペースにて女子のお茶会をするようだ。時間が時間なんで昼食を先に済ませておいてもらってもいいかもしれない。

「面会時間が読めないから、先に昼食も食べていていいぞ。早く終わったら、俺も一緒に喰うことにする」

「「「「はーい。お待ちしてます」」」」

 みんなが喫茶スペースに行くと、勝手知ったる冒険者ギルドであるが、受付嬢の先導に続いて、二階のギルドマスター執務室へ向かうことにした。
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