おっさん商人、仲間を気ままに最強SSランクパーティーへ育てる

シンギョウ ガク

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第二部 第一五章 情報収集

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 ジェイミーが職員の転職とりまとめを請け負ってくれていたが、現状を取りまとめているアルマへもこの話を伝えておいて欲しかった。

 彼女の助けがあれば、職員たちも一層、新たなら冒険者ギルドに移動してくれると思われる。

「くれぐれも内密に進めてくれるとありがたい。この件はアルマにも伝えて欲しいんだが……」

「いや、アルマのやつはこっちでは連絡できねぇ……。お前の死亡報告でぶっ倒れたらしい、アルガドのメイドが屋敷に連れて行ったと聞かされているぞ」

「なっ!? アルマがか……」

「当たり前だ。あいつはお前のことを心配して、アルガドに捜索隊出せって食い下がってたんだぞ。そんな奴が、お前らの死亡の報告聞けば、そうなるだろうが」

 ジェイミーが重大な情報を伝えてきていた。

「メイドたちが抱えて馬車に乗せて、アルガドの屋敷に連れてったらしい。このところ、職員たちも手出しを許されずに連れ去られるようだったと聞いてるが」

「本当か、それ?」

「ああ、お前も死んだって聞いたし、アルマも倒れたって聞いてやけ酒飲んでたからな」

 ジェイミーからアルマの所在を聞いた俺は、冒険者ギルドで出会ったときの疲れた顔をしたアルマを思い出していた。

 騙す格好になっちまったからなぁ……。アルマには心配しかかけてねぇなぁ。俺は……。しかし、アルガドの屋敷か……。

 アルマの現状を認識した俺はすぐにでも助け出す手はずを考え出すことにした。しかし、俺の存在がバレてはアルガドが証拠を隠滅して逃げ切る可能性もあるため色々と工夫が必要とされる。

「アルマがアルガドの屋敷かぁ。どこにいるかが問題よね」

「アルマさんがアルガドの屋敷に……。私、なにか嫌な予感しかしないです」

「もしかしたら、離れの方かもしれません。わたくしもそこに住まわされていましたから。あそこなら、早々に人も来ないですし……」

「アルガド、アルマに手を出してたら、焼き豚にする」

 みんながアルマの状況を心配している。

 明らかに敵であることが判明したアルガドの屋敷に連れ去られたという状況が、彼女たちや俺を焦らせていた。

「スマン、俺もアルマがそこまで追い詰められたとは思わなかった……。ちょっと、忍び込んで連れ去ってくるわ。アルマもちょっと行方不明になるけど、冒険者ギルドの方はジェイミー頼む」

「アルガドの屋敷に忍び込むのかよっ! あそこも、結構な数の衛兵隊が詰めてるぞ」

「大丈夫だ。俺にとったら何人いようが忍び込めない場所はないってことさ」

 俺の力の全貌を知らないジェイミーがアルガドの屋敷に忍び込むことの危険性を懸念していた。

 いくら厳重に警備していようとも、相手が認識できないスピードで移動すれば、見つかることもないはずだ。

 まして、夜という闇の中であればなおさら見つかりにくい。

「アルマの件は俺が確実につれてくる」

「分かった。そっちはグレイズさんに任せるわね。そうしたら私たちは、これで姿を変えましょうかね。あって良かった『変身の腕輪』。三つしかないけどね」

 この倉庫に来た目的はジェイミーに冒険者ギルドの職員を引き抜いてもらうためと、もう一つ、市場に流せない品物として保管していたムエルたちの使っていた変身の腕輪を取りにくるためであった。

「メラニアの件も泊まってた宿の人の話も確認しておきたいし、闇市も現状を把握しておきたいしね。三人しか変身できないからどうしようかしら……」

「メラニア、自分の無実調べる大事。私もそっち手伝う」

「なら、闇市は私が商人に扮して偵察してこようかしらね。ハクだけは借りとくけど。ファーマとアウリース、セーラたちは神殿でお留守番ね。美味しいご飯作ってて」

「はーいっ! ファーマ、お留守番頑張るー!」

「お任せください。神殿長には私から事情をお話ししておきます」

「お父さんたちが先に話してくれていると思うけど、アウリースさんがいれば、神殿長も協力しているでしょうしね」

「情報収集はヨシュアたちも十分に使って、慎重に頼むぞ。危ないと思ったら近くの仲間に助けを求めろ。ヨシュアが配してはずだからな」

「オッケー」

「心得ました。これ以上、グレイズ様の足手まといにならないように十分に気を付けます」

 情報収集に出向く三人は変身の腕輪を受け取ると、発動させるためのワードを口にしていた。

 そして、三人が先ほどまでの容姿と全く違う別人に変化していく。

「うわぁ、全然違う。カーラさん、おばあちゃんだし、メラニアさんは男の子だし、メリーさんは小太りのおじさんー!」

 変身の腕輪の力によって、メラニア、カーラ、メリーの容姿と声は激変していた。

 これなら、道端で出会っても三人だと気づく者は皆無であろう。

「なんだか、急展開すぎて、頭が追いつかねぇな。まぁ、いい。アルガドには内緒でこっちは冒険者ギルドを纏めてグレイズの作る新しい冒険者ギルドに移せばいいだろ」

 色々と情報をぶち込まれたジェイミーが理解を諦めた様子で自分のツルテカの頭を掻いていた。

 ジェイミーには悪いと思ったが、事は時間との勝負となっている。

 アルガドが俺たちの存在に気付く前に、証拠を押さえ、言い逃れをできない状況を作り出さねばならないのだ。

「悪いな。全部終わったら、俺の驕りで盛大に宴会開いてやるから許せ」

「その言葉、ちゃんとこの耳で聞いたからな。よーし、早いとこアルガドを追い落として酒場の親父に秘蔵の酒を出させるか」

「ジェイミー、その酒、私も興味ある。一口予約しとく」

「余もその酒を賞味してみたいのう。さぞかし美味いのであろうな」

 酒好きのカーラと話を聞いていたジェネシスが、酒場の親父の秘蔵の酒が気になったようで、身を乗り出していた。

 全部、片付いたら一緒に脱出した冒険者たちとの約束もあるから、大宴会の規模が増えるくらいどうってことはない。宴会の原資となるドロップ品も大量に拾ってきているからな。

「じゃあ、それぞれ頼む」

 俺たちはそれぞれやるべきことをするために、真夜中の倉庫からブラックミルズの街に散っていった。
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