俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク

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第50話 ガチャとイチャイチャすることにした

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 調査依頼の完遂のため、倒したミミックの情報を登録しつつ、鑑定を始める。

 ―――――――――――――――――――――――――――――――

  ミミック(鉄箱)LV10

 HP0/100

 MP0/0

 攻撃方法:噛みつき 擬態

 弱点属性:なし

 解体時取得物:なし

 解説:ウィンダミアのダンジョンに発生する宝箱に擬態した魔物。宝箱と思い、近付いた探索者を捕食する。ごくまれに隠蔽されている場合もある。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――


 ミミックを解体しても手に入る物はないのか……。残念だな。


 箱の中身が報酬ってことかもしれない。


 ガチャが拾ってくれた中身は魔導具っぽいが、これはどう見てもアレだよな? アレ。


 ―――――――――――――――――――――――――――――――

 魔導時計

 効果:魔石を消費して現在時刻を表示する。

 必要物品:魔石

 解説:動力源に魔石を利用した魔導式の小型時計。24時間表示をしてくれる。燃料として魔石を消費する。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――


 ですよねー。懐中時計みたいな形だし、そうだと思った。


 でも、盤面がデジタル表示なんだよな。24時間表示の。


 リアリーさんの冒険者ギルドでもデジタル掛け時計みたいなのはあったし、普通に24時間表示だし、暦も現代のものを利用してる感じではあるわけで。


 これも『渡り人』が、この世界に輸入した概念だろうか。


 俺の予想だと、もともとの異世界ウィンダミアにあった暦を排除して、現代の暦法を導入するのに邁進した人が居た気がしてならないわけだが。


「時計があると探索中も便利ですよね。外の様子が見えるダンジョンなら時間の経過が分かりますが、洞窟とか建物の中のダンジョンとかだと、夜になったのが分からない場合もありますし」


「実は気になってたんだが、この時計の時間とか暦って昔からのもの?」


 俺が鑑定した懐中時計を見たアスターシアが、頷きを返してきた。


「ええ、少なくともわたしの両親が生まれる前から使われてる暦法ですね。大昔、各国で違っていた暦法を統一ダンジョン協会が現在の物に変えるよう推奨したとも言われてますし、『渡り人』が広めたという俗説もあるらしいですよ」


「『渡り人』が広めたのは俗説なのか……」


「ですね。でも、かなり昔の話なので案外真実だと思いますが、時の流れで事実が改変されたのかもしれませんね」


 アスターシアはそう言うが、絶対に後者だよな……。異世界の暦だりぃから、俺様の世界の優れた暦法を使わせてやるぜ! うひょーってやった人が居たに違いないんだよなぁ。


 ともあれ、俺としてはそういった『やらかし渡り人』のおかげで助かるわけだが。


 でも、1年365日ってのも、1週間が7日ってのも、ここが地球じゃない限り、絶対に合わない暦法なはず。


 地球ですらズレるわけで、うるう年で修正するわけだし。


 ズレをどうやって修正してるのか、それともしてないのかも気になる。


 きっと暦法をもとに農作業も進めてるんだろうしな。今度、リアリーさんとかに聞いてみよ。


「とりあえず、使わせてもらうか」


「はい、あると便利なのは違いありませんし。ガチャ様のおやつの時間も管理できるわけですし」


 アスターシアの発したおやつの声にガチャがレバーを回して反応を示した。


「ガチャ、今日はおやつはないぞ。昨日、いっぱい食べたからなー」


 ガチャが、ショックを受けた感じに身体を震わせても、今日は絶対にあげない。


 ダメな時はダメだって厳しくしつけないと。


 おやつがないことを知ったガチャが、俺の足元に近寄ってきてスリスリと身体を擦り付けて甘えてくる。


 ぐぅ、かわいい……。


 見上げた顔で哀れさを示すようにレバーがゆっくり回し、スリスリしてきた。


 そんな攻撃には屈しないぞ。屈しないんだ。


 ズボンが濡れてる!? まさか、おやつが食べれなくて泣いてるのかガチャ!


 小刻みにガチャの身体が揺れているため、泣いているような気がする。


 ごめん、ガチャ。そんなにおやつが欲しかったのか……。ごめんな、ガチャ。


 俺はベルトポーチに忍ばせた、ガチャ用のおやつにしている干し肉に手を伸ばした。


「ガチャ様ー、ダメですよ。今食べたら、お昼がなくなりますからねー」


 小刻みに震え泣いている感じだったガチャが、お昼抜きを嫌がってアスターシアに媚を売りに去った。


 ガチャ、ガチャ可愛いよ。ガチャ……。


 あれ? しょっぱい水が頬を伝ってる? まさかな……。


 俺は頬を伝った水を拭い、一人寂しく手にした干し肉をポーチの中に戻した。


「さぁ、お宝の鑑定も終ったし、まだまだ奥がありそうだから、探索を再開しようか」


 できるだけ元気な声を振り絞って、探索の再開を告げた。


「ガチャ様ー、ヴェルデ様がいじけておりますので、ご機嫌を取りませんと」


 ちちち、ちげーし。いじけてないし、ガチャに振られて泣いちゃったとかないし。


 足元に来たガチャが抱っこして欲しそうにレバーを回す。


 俺はその要求に抗えず、抱っこすることになった。
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