Melty romance 〜甘S彼氏の執着愛〜

yuzu

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臆病な恋 side真乃

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いつもなら今頃、ドラマの見逃し配信を見ながらベッドの上でゴロゴロするだけの休日を過ごしているのに。

「これなんかどお?」

 今まで人生で一度も手に取ったことの無い、布面積が少ない洋服を私に差し出す美春さん。

「必要ないです。」

 彼を部屋に泊めて、朝まで二人で過ごしたこと。
 過去のことで喧嘩になってしまったこと。
 今日の19時に駅前のツリーの前で待ってると言われたけれど、行くのを迷っていること。
 
 何の使命感を感じたのか、はたまた面白がっているのか、すぐにアパートまで駆けつけた美春さんは、私をショッピングに連れ回している。

「元カレと再会して喧嘩、からの仲直りといったら……ねぇ♡」

 美春さんの目がキラキラ……というよりもギラギラしている。
 刺激に飢えている狼、、もしくは新しいおもちゃを手に入れた子供みたいだ。完全に面白がっている。

「真剣に悩んでるんです……どうしよう、本当に」
「悩むことないでしょ?だってお互い過去を引きずってたなら両想いじゃん。」
「いや~……両想いとは、違う気が……」
「とにかく、今夜は初デートでしょ?」
「デート?」
「真乃は真面目過ぎだよ。試食してみて気に入らなかったら買わない。それでいいじゃない。」
「試食……ですか?」
「そ。だって彼、医者だよ。顔もイケメンだし。一人暮らし。優良物件なんだからキープしとかなきゃ。」

確かに彼は、肩書と経歴だけみれば優良物件かもしれない。
でも……

「でも、彼が体目当てかもしれないって?体の相性って大事よ。t」
身体目当てならもっとグラマーな子選ぶでしょ。……真乃のスタイルで体目当てって、無い。」

 無自覚に失礼なことを言う美春さんは、「どうせ幼児体系ですよ」といじけてみせる私を完全無視でつぎつぎに商品に手を伸ばしては見定める作業を続けている。

 デパートの衣料品売り場を何周もして、購入したのは普段絶対に買わない女子力全開の花柄ワンピース。

「似たような柄で、もう少し手頃な値段のがあるのに」

 そう溢した私を美春さんは一蹴した。

「だめ。前ボタン一択でしょ。それにラビットファーのベストを羽織ったらかわいいとおもうんだよねぇ……」
「ラビットファー……まだ買うんですか?」
「当たり前でしょ。女子力って武器を今使わずにいつ使うのよ?それに、真乃のクローゼット。デート向きな服ゼロなんだもん。」

 前ボタンにこだわる理由は、あとからわかる……とかなんとか楽しそう。
 最後に寄ったランジェリーショップ。
 美春さんが手に取るのはどれも、誰から見たって勝負下着だと分かる色気全開のデザインだ。
 中には透け感にこだわったものや、露出がとんでもないものまで。

「……面白がってますよね?」
「大事な後輩の初体験が上手くいくように協力してるの♡ 」
「しょ……初体験⁉話を聞きに行くだけだもん」

 話したことを後悔し始めた私を横目に、「これ、全部ください」と販売員に手渡す美春さん。

 慌てて鞄の中の財布を手に取る。

「いいのいいの♡私から真乃へ、25歳の誕生日プレゼント」

 そう言われて思い出す。
 今日、25歳の誕生日だ。
 
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