死の餞ヲ、君ニ

弋慎司

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第1部

#33 【地下一階】魔研室

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 僕とレイセン君は、魔研室と呼ばれる部屋の一角に足を運んだ。
 鼻に染みる薬物の臭いだったり、将又、腐敗した死体の臭いだったり、思いつくもののどれにも当てはまらない臭いがした。
「また本を読まなきゃいけないのかな、と思ったけど。ここは何の部屋なんだろう……」
「何を仰るのかと思えば。良いですか、ご主人様。ペンは剣よりも強し。思想や文学を学ぶことは、貴方の知恵となり糧となるでしょう」
「ペンが、剣よりも強いの? うーん、想像もつかないなぁ……」
 この時僕は、ペンと剣を物理的に戦わせていた。……勝てるはずがない。と真剣に悩んでいると、レイセン君は言った。
「想像するためにも、学びは必要なことですよ。では、私は資料を探してきます」
「えー、僕はどうすれば……」
「魔研室と呼ばれるだけあって、魔術に関連する武器庫もあります。一度覗いてみては如何でしょう」
「わかった、僕はその武器庫を見てくるよ。そろそろ替え時かなって思ってたし」
 僕は腐って黒くなった木目のドアの前に立ち、錆びたリング状のドアノブに指を引っ掛けた。
 扉を開けると、赤く光る煙が立ち込め、煙を顔面に食らった僕は咳き込んだ。鼻がツンと痛み、頭がふらついてまともに立っていられない。
 背後でレイセン君が呆れて溜息を吐くのが聞こえた。
「ご主人様、念を押して言いますが警戒は怠らないで下さい。今のが煙ではなく魔獣だったらどうするおつもりだったんですか」
「わかってるよ……うう、これは暫く鼻が利かないかも」
 次、また扉を見つけたら、今度はちゃんと鼻をつまんでおこうと自分に言い聞かせた。
「青とか緑とか、目に優しい色にしてくれればいいのに……」
 補色の緑が恋しくなるほどの明かりに、整然と並ぶ凶器たちの群れ。
「…………」
 短剣、鈍器、槍、両手剣、そして杖。必ずと言っていい程、それぞれには石が埋め込まれていた。
 部屋中が赤で満ちているのは、武器に込められた魔力とか、そういったものを逃さないようにしているから。なのかもしれない──。推測だが。
 そして、幸運にも交換予定だった杖を発見して、僕は目を輝かせた後で手に取る。
「おお、これは……かっこいい……!!」
 暖かいような、冷たいような。そんな風が僕の背中に染み込んでいく。
「!?」
 刹那、夥しい噪音と視界の乱れが僕を襲った。

──あれは、何?
 いつも僕が意識を失う時とは、少し違う。
 記憶の断片みたいなものが次々と映し出されては、消える。
 映像は言葉にしようとすると消え、思い出すこともできずに過ぎ去っていく。
 ただ、唯一、明白な文字だけが頭に焼き付いていた。
──聖典。ヴェーダという響きが意識の中でこだまする。そこで僕は、自分が声を出したことに気づいた。
「……いま何時?」
 僕は急ぎ足で扉を出て、レイセン君のいた部屋に向かう。
「ねぇねぇ、見てみて!! この杖かっこいいよ、なんかキラキラしたのが付いてる」
「……随分と長いこと見てたんですね」
「えっ、僕そんなにぼーっとしてたの……?」
 小声で驚いていた僕に、腕を組んで難しそうにしているレイセン君の頬が緩んだ。
「冗談ですよ。僅か数分で戻ってきたので、余程つまらなかったのでしょうと思っていたところです」
 なんとなしに首を回すと、ノアみたいな人物が使いそうな、三角の形をした瓶がずらりと並んでいた。
「なんだぁ。びっくりさせないでよ。……ところで君は何を見ているの?」
 そう言いつつ覗き込んではみたものの、いつも通りだった。いつも通り何もわからなかった。
「貴方には、少々難しすぎるかもしれませんね」
「少々じゃない! 沢山だ!!」
 意地悪い顔をする青年に向かって、頬をリスのように膨らませる僕。
「それが、君の言っていた資料なの?」
「いかにも、やはりこちらの魔研室にあったようで。……ところで、その杖ですが」
「これ?」
 レイセン君は、僕が両手で握りしめていた新たな杖を見つめていた。七色に輝く石が、手元を照らす。
「はい、その杖の先にある石……貴方が『キラキラしたの』と形容していたものです」
「もしかして、なにかすごい物だったり……?」
「その石は、宝石ジェムよりも魔力を含んだ『魔石ジュエル』というものです」
「ジュエル……?」
「手にした時に、何か感じませんでしたか? そうですね、感覚には個人差がありますから一概に言えないですが……」
 僕が杖を持った時に感じた、風の事だろうか。最も心当たりのあることと言えば、それくらいしか思いつかない。僕はそれを言葉にした。
「あー……なんていうんだろう、身体に暖かいような、冷たいような何かが入り込んできて……」
「それはおそらく、貴方自身の持つ魔力が、杖によって底上げされたのではないか……と、推量します」
「ってことはさ、僕も手品みたいな……そう、例えば炎を出したりとか! できないかなぁ……」
「炎を? 貴方が?」
「えっ、何か変なこと言った……?」
「いえ、炎を出すのは、あの不死鳥だけで十分と思ってしまっただけです」
 僕は頬を膨らませたが、冷静になって考えてみるとそうかもしれない。
「じゃあ、他にどんな?」
「はい、これは私の個人的な意見なのですが……転移術を習得しては如何でしょうか」
「転移……瞬間移動みたいな?」
「仰るとおりです。転移術が使えるようになれば、戦闘の際に有利な位置から攻撃できるでしょう」
 確かにレイセン君の言う通りだ。僕が不利な場所──接近戦になりそうならば、そこから転移術を使って離れた位置から矢を撃つのが良いだろう。
「だ、ね。あ! それに危なくなったら、その術ですぐに逃げられるね!!」
「強ち間違いではありません。戦略は多ければ多いほど良いですから。それに貴方は武器を扱う能力に長けていますし、習得に然程時間はかからないでしょう」
「え、き、急に褒められちゃったら照れるなぁ……それに、なんだか今すぐできそうな気がしてきた!」
 事実を伝えたまでです。と落ち着いた声で付け加えられた。それでも僕は嬉しかったし、できる気がしたのも本当だ。既に、杖を振り翳して転移術を行っている自分を、頭の中に思い浮かべている。
「今ここで……ですか?」
「うん! いいから見てて、多分できるから」
 僕はレイセン君から距離を取り、特に意味はないが杖を二、三回振った。それから五歩くらい先にいる僕をイメージして、意識を集中させた。腕を組んだレイセン君が僕を見ている
──いける。今なら。
 段々と周囲が暗くなって、あと少しで視界から光が消えようとしていた────。
「────お二方! あの、ノアを、ノアを見かけませんでしたか!?」
 突如開いた扉の音と、フィリアの甲高い声で意識は引き戻された。
「ノアが……どうかしたの?」
 僕は杖を下ろし、焦燥感に囚われた少女に優しく問いかけた。
「ずっと図書館にいると思って、フィリアも絵本を読んでいましたの。だけどあまりにも静かで……気づいたらもう……」
「まさか、魔獣に……? 一先ず、校内を探しましょう。皆さん、できるだけ一人にならないように」
 僕とフィリアはレイセン君の指示に頷き、魔研室を後にした。

「ねぇ、フィリアは何でノアがいないなって気づいたの?」
「先程も言いましたけれど、なんと言いましょう……人の気配というものですわね。ノアと一緒に図書館に入った時はまだあったんですけど……」
「音とか、しなかったの?」
「ええ、そうなんです……フィリアは少し本を読むのに夢中になってしまって、気づいた時には既に遅かったですわ……」
 物音一つ立てずに、図書館を出るなんて。そんなこと、できるのだろうか?
 フィリアの言葉にレイセン君も怪訝そうな表情をしていた。しかし、今はとにかくノアを探すのが最優先だ。僕とレイセン君は目線だけの会話に終始した。
「最初は二階を。それから一階を見てみましょう。念の為に私が先頭を歩きますので、ご主人様は最後尾を任せます」
「わかった、行こう」
 魔研室を出ると目前にある階段を上ってゆく。僕は手摺りを背にした状態で、今迄僕等がいた地下一階を睨みながら段差を踏んでいった。
 ただでさえ仄暗いのに、警戒せずに歩いていたら、悪霊にでも取り憑かれてしまいそうだ。
 一階まで戻り、同じように二階まで上がる。まるで誰もいない建物の中を、空気と共に駆けていくようだった。
「うぅ……なんだか雰囲気があってとても怖いですわ……」
「どのような魔獣が潜んでいるのか、知れたものではありませんね」
 三人は、一つの扉の前で足を止めた。
「虱潰しかぁ……」
「仕方ないでしょう、これしか方法がないんですから」
「わかってるよ」
 レイセン君がドアノブに手を掛ける。一呼吸置いた後、一気にドアを開けて中の様子を確かめた。
「…………」
「何も、いませんわね……」
「ノアー、ノアー? ……ここにはいないみたいだ」
「とても心臓に悪いですわ……もう、ノアったら。人を心配させるのも大概にしてくださいましよ」
「ええ、それを是非本人の前で言って聞かせてください」

 それから、全ての部屋を探して回ったが、ノアの姿はどこにもなかった。一階に下り、少年の名前を何度叫んでも結果は変わらない。
「もうここにはいないのかな」
「……外に出てみましょう。可能性はゼロとは言い切れません」
「そうですわね……なんだか、空気が……ごほっ、ごほ。埃っぽくて、よろしくないみたいです」
「フィリア、大丈夫? 確かに僕もそう思う、早くここを出よう」
 入口の扉を開けると、隙間からオレンジ色の光と新鮮な空気が入り込む。そして校門の前まで歩くと、僕は深く息を吸った。
「すー、はー……。本当に、ノアはどこ行っちゃったんだ……ろ?」
 僕が鉄柵から見たのは、紛れもなく、探していた少年の後ろ姿だった。
「ノア!?」
「本当ですわ……」
 僕の声に気がついたのか、ノアは顔を僅かにこちらへ向けた。
「ああ、ごめんね、途中で抜け出しちゃったりして。ここにいれば、見つけてくれるかなって思って……」
「急にいなくなったって言うから、心配したんだよ。どこを探してもいないし……今まで何してたの?」
 僕はノアに近づいていった。レイセン君とフィリアも後を付いてきた。
「ん? あぁ、そういえば。まだ言ってなかったっけ……僕の家、この近くなんだ」
 ノアは淡々と理由を説明した。声色一つ変えずに。
「そう、なんだ……」
「あ、そうだ! 今日は僕の家に泊まっていったらどう? うんうん、それが良い。丁度日も暮れるし、皆だって疲れたでしょ?」
 僕たちに背中を向けたまま、ノアは空を見上げた。僕にはそれが不気味に思われた。
「ええ、貴方の家が近くにあるというのは初耳ですがね。折角ですし、今夜は彼の家に上がらせてもらいましょう」
 レイセン君の意外な返答。彼も同じ事を考えていると思い込んでいただけあって、僕は困惑した。
「本当に、いいの? なんだかノアの様子が変な気がするんだけど」
「そうでしょうか。私の認識では、ノアはあのような雰囲気を常日頃お持ちだったかと」
「否定はできないけど……うーん……」
 そして、僕とレイセン君の会話を聞いていたノアが唐突に笑った。
「っはは、心外だなー。でも、断られなくてよかった。案内するよ」
 夕日が傾き、雪の止んだ街を焼くように照らす。ノアの右目がやけに赤く、残光のように見えた。
 そして、ノアの違和感を僕と同じように感じていたのは、目を見開いて声一つ上げなかったフィリアだった。

 ***

「ふぁ~~~~。レイセン君、おはよー」
「おはようございます」
 朝、僕は普段より三時間も四時間も早く目覚めてしまったらしい。また眠りにつこうとしても、やけに目が冴えて寝付けなかったので、二階の寝室から下りてきたのだった。
 それから、音を聞いて見ればわかりきったことをエプロン姿の青年に問いかけた。
「こんな朝早くから、何してるの?」
「朝食の準備をしています。私が起こしに言っても尚寝たいと駄々をこねる主人の為に」
「あははぁ……今日こそは、って何度思ったことか……」
「もう一度寝てもよろしいのでは? 朝食の準備をしているとは言いましたが、朝食を摂るのはまだ二時間も先ですよ」
「え!? そんなに……。道理でノアもフィリアも起きてこないと思った……」
「貴方にしては、随分と珍しく早起きでしたね」
「僕にしてはね!」
 僕はいつの間にか、彼の嫌味を聞くことに慣れてしまったらしい。聞いていて心地の良い嫌味──と言えば、少し語弊があるけれど。悪い気はしない。僕はそれを耳に入れる為に起きた節もあった、のかも。
──空腹という名の獣が呻く声がした。
「お、お腹空いた……二時間も待てる気がしない……」
「わかりました。今、暖かいものをお作りしますので」
「やったぁ……! レイセン君、やっさしい~」
「……椅子に座ってお待ち下さい」
「うん! 何が出るかな、楽しみだ」
 僕は特にすることもなく、レイセン君の後ろ姿と艶のある木目調のテーブルを交互に眺めていた。野菜を削ぎ落とす爽快な音楽と、鍋の中で沸騰する甘い香りが口鼻を擽る。

 それから暫く、頭を上下に揺らして船を漕いでいると、目の前になめらかな黄色いスープの入ったカップが置かれた。
「うわぁ、甘い匂いがする! これは何?」
「コーンスープです。朝に頂くにはちょうどよいかと」
 水に濡れた手を布巾で拭いながら、レイセン君が微笑んだ。
「ありがとう! じゃ、早速いただきまーす」
 息を吹きかけて湯気を追いやってから、熱々のスープを啜る。
 コーンの甘みに、とろみのあるスープが程よく喉に絡まる。カップの底を混ぜると、粒状のとうもろこしが幾つかスプーンの上に乗っていた。口の中に放り投げ、咀嚼すると歯ごたえのある食感に舌が嬉々とする。
「ぷはっ、美味しかった!」
 僕はあっという間にコーンスープを平らげてしまった。美味しすぎるのがいけないんだ。と、心の中で言い訳をする。
「スープに食パンの耳をつけて食べるのも、意外と合いますよ」
「えー!? ちょっと、それ先に言ってよ! 食べたい!」
「クク……では、それはまた別の機会に。どうしてもというのなら、ご自分で作ってください」
「僕は食べるの専門だから! 作るのは嫌だ、レイセン君が作ったのが食べたいー」
「でしたら、明日も早起きすることですね」
「やだ、いーまーがーいーいー」
 一言ごとに、料理に戻った青年に近づいていき、思わず両手を広げて抱きしめた。
「…………」
 腹部に手を回し、触れる。無機質だと思っていた身体は、生ぬるくもあり、暖かくもあった。背中に顔を埋めると、この人のイメージそのままの匂いがした。僕は花の名前も種類もまるでわからないけど、例えるならそういったものの香りだ。
 確かに、彼は僕よりも身長があって、体躯もしっかりしている。けれど、ただ見ていた頃とはかけ離れた印象を抱いた。
 僕はこの人を守るべきだ。否、守らなければいけない。そう強く思うほど、青年の身体は細くて、今にも脆く崩れ去ってしまいそうで────。
「ご主人様、調理の邪魔ですので避けてください」
 少し厳しいレイセン君の声を耳にした時、僕は無意識的に、片手を彼の心臓に伸ばしていた。触れるか触れないかというあたりで、悪いことをしたと気づき両腕を離してしまう。
「あ……えと、ごめん急に」
「ふぁ~……皆さん、早起きですわねぇ」
 後ろを振り返ると、寝ぼけ眼を擦って大きな欠伸をしたフィリアが立っていた。僕は恥ずかしくなって即座にその場を離れた。
「おはよう、フィリア。よく眠れた?」
「ええ、フィリアが寝るまで、ノアが見ててくださいましたから……」
「そっか、それは良かった……朝ご飯までまだ時間あるけど、どうしたの?」
「フィリアはお手洗いに起きたら声がしたので、見に来ただけですわよ……時間になるまでは部屋に居ますから、呼んでくださいまし」
 フィリアはそう言い残すと、僕とレイセン君のいる部屋から出ていった。扉の閉まる音が鳴り響く。
「ご主人様は、朝食までどうなさるのですか?」
「んー……部屋まで戻るのが面倒だから、ソファで寝る」
「結局寝るんですね、毛布を持ってきましょうか」
「ん、ありがとう……」
 僕はレイセン君が毛布を持ってきたことに気づかず、再び小一時間の眠りについた。
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