59 / 74
第2部
#54 単眼の男
しおりを挟む
「はい、どうぞ。ホットミルクです」
「ふ……ああ、ありがとう」
ほのかに海の香がする宿の一室で欠伸をする。僕とレイセン君はほぼ同時に目を覚ましていた。
まだ昨晩の余韻に浸っている僕とは違って、レイセン君は早々に着替えを済ませている。
僕は気を利かせて朝から温かい飲み物を持ってきてくれた青年に、ありがとう、と声をかけてからマグカップを受け取った。
「……美味しい、ミルクってこんなに甘かったっけ」
「砂糖を少々」
落ち着いたトーンで、青年は微笑んだ。
「本当、寝る前にシャワー浴びておいてよかったよ」
「ええ、仰るとおりです」
「一人だったら、絶対面倒臭がったと思うな、ふふ」
重くなった体を起こし合って、シャワーを浴びに行ったのは記憶に新しい。
レイセン君の部屋のベッドは汚れてしまったので、眠る時には僕の部屋で、二人で一つの寝具を使った。窮屈で眠れないかと心配していたのが杞憂に終わるほど、疲れてすぐに眠った。
あっという間に最後の一口となった、甘いあまいホットミルクを飲み干す。
「ふう……ごちそうさま、おいしかったよ」
これは僕だけの感覚かもしれないが、今までよりもレイセン君と自然な会話をしているような気がする。
「ん……誰かが走ってくる足音が」
「みんな、早起きだね」
呑気にそんな話をしていると、扉が音を立てて開いた。
血相を変えたエレナが、目を瞠る。
「ああ、どうしよう……」
「どうされたのですか、エレナ。顔色が悪いですよ」
エレナの顔はいよいよ真っ青になって、今にも倒れてしまいそうだった。
「助けて……カノンくんが……」
「どうしたの」
金の髪を乱しながら、おぞましいものを見たような表情のエレナが呟いた。
「きて、あっち……外に……」
灯台の脇の芝生と、雑草のように点々と咲く花々の隙間を埋めるように、仰向けの死体があった。
この亡骸の状態を一言で表すならば──酷い。右手と、顔を執拗に刺された痕跡が痛々しい。
それでいて、まだ顔の判別ができるのだ。
左目の瞳孔が開いた状態でいる。
この死体がカノンであるとわからせるための、意図的な残し方をしたようにしか思えない。
「ねえ……やっぱり、カノンくんは……もう……」
「…………」
「──は」
僕はカノンの右手に嵌められたエンゲイジリングを見る。
宝石部分が、破壊されていた。
もしかしたら、悪魔はこの指輪について、知っているのだろうか。
おそらく、カノンを殺害した何者かが、エンゲイジリングも同時に破壊したのだろう。
「やってはみたけど……指輪が壊れてるから……ごめん」
「嗚呼────」
エレナは、カノンの亡骸の前で崩れ落ちた。
顔を両手で覆い、聞き取れない声が段々と怒鳴り声に変わった。
「……し、の……れ、よ……誰よお。カノン君を殺したのは、誰よおおおおおおおお!!!!」
泣き疲れた女性の、引きつった声が海の波に掻き消されていく。
「カノンは、どうするの……」
「海に運ぶには、階段を使わなければ。私ひとりでも……ですが時間が掛かりそうです」
「──いえ、ここでお願い。ここならいつかは鳥が運んでくれるわ」
僕はエレナの言いたいことが、その言葉通りのことであり、そうでないことを理解する。
「鳥葬ですね、わかりました。ですがこのままでは……」
──鳥葬。それは、遺体を空の世界へと送り届けるための方法。鳥に食べさせるというのは、送り出すための手段に過ぎない。聞こえだけはとても綺麗なように思える。
「あたしじゃ、手に力が入らない。考えただけで駄目なの……おねがい……カノン君を千切って……」
そして、残酷な死体処理が行われた。
鳥に食べさせるためには、鳥が食べやすいように千切る他ない。
レイセン君は、手に持っていた鉈剣を握りしめ、並列になっていた所から突き出るように歩いた。
「では、始めます……」
葬儀が執り行われた。あたりには肉を切り裂く音が鳴り響き、僕はその儀式を行う青年を見つめていた。
エレナは最早蹲って、ただその光景を見ないように顔を隠している。
レイセン君は、宛ら機械仕掛けの人形のように、一定のリズムで遺体に鉈を振り下ろした。その目は、生き生きとしていたように思える。
「僕も手伝おうか……?」
「──いえ、大丈夫です」
それは、僕に見ていてほしいというような声音だった。僕は彼の望み通りにした。
「……ノン、く……ごめんね、ごめんなさい……ごめんなさい……あたしが……」
エレナは懺悔を繰り返した。
一通り、カノンを断片化した後で、レイセン君は一息ついた。
花が、綺麗に咲いている。
「……彼の目蓋を閉じましょう。もう見たくは、ないでしょうから」
そして僕たちは、宿に戻った。
レイセン君が一人で作った朝食は、普段と同じ彩りをしているはずなのに、くすんで見えた。
それを言うのは、作ってくれた彼に対して失礼だろう。ただひたすら、千切った食べ物を口に運ぶという動作を繰り返した。
砂のような味しかしない。咀嚼するのがやっとだった。食べている間ずっと、女の人の啜り泣く声が聞こえていたせいかしれない。
白黒な世界で朝食を済ませると、悲しみをそこに全て置いたフリをして、僕たちは灯台の見える宿を去った。
***
灰色の森に辿り着いた僕たちは、あるかないかの細い線でしかない獣道を進んでいた。
カノンが死んだ。その悪夢が、まだ続いているようだった。何もかもが、白と黒の間にある、いずれかの色でできているのだ。
そして、この森は見通しが悪い。全体的に樹木の背が低いのだ。時々枝の下を潜ったり、上を跨いだりする必要がある。
「なんか、寒いし、怖い……」
曇りガラスのような緑色の瞳をしたエレナが、両腕を抱えて呟く。
「ん、向こうからなにか来る……」
「ご主人様、下がっていてください」
木々の隙間から、ピクトグラムのような形をした、檸檬色を覇気に纏うものが、あどけなく向かってきた。
左腕を僕の一歩手前で掲げて制していたレイセン君が、僅かに動きを止める。
「……??」
「ま、魔獣……?」
「う、ううん……? でも、さっき見たのと違って、色が……」
灰の森に入ってからというもの、この環境に染められたような、薄墨色の魔獣ばかりが姿を現した。
そんな魔獣たちとは違い、色彩を持った生き物を、僕たちはここに来てはじめて目の辺りにしたのだ。
『Παρακαλώ περιμένετε. Επιστρέψτε μόνο του, καθώς είναι επικίνδυνο μόνο του! ──お待ちなさい。一人では危ないから戻りなさい!!』
聞き覚えのある言語だ。けれど、標準語ではない。きっと僕にしかわからなかっただろう。
背の高い人が──おそらく、この黄色い人型の記号をしたものを追って来たのだろう──走ってくる。
「あ……」
半透明な黄色がかったピクトグラムは、レイセン君の足の下をくぐり抜け、追手から隠れるように脹脛から顔を出していた。
すると、追手もこちら側に人がいることに気がついたのだろう。足を止め、慄くように背中を反らせた。
『ああっ──!! なんと……いうこと……ひいぃ!!』
あからさまに、僕たちと遭遇したことをマイナスに捉えているような反応だった。
人影は脇目もふらずに、真横の草むらに隠れてしまう。
「…………」
僕とレイセン君が顔を見合わせる。エレナも不思議そうな顔をしたままだ。
見えなくなってしまった声の主を、なんとか説得させなければならない。
その前に──黄色のピクトグラムを見下ろす。
「どうしようか……その子……」
「先程の人と、関係があるのでしょうか……」
眉をひそめながら、レイセン君はしゃがみ込んだ。すると、人型の生き物は少し離れて、両手を顔の前で組んだ。
怖がられてしまったのだろうか。そんな事を考えていると、青年はピクトグラムに手を差し伸べた。
「一緒に、行きますか……?」
はじめは戸惑っていたピクトグラムが、のそのそと腕に近づく。
掌に乗るのではないかと想像を張り巡らせたが、黄色い生き物はレイセン君の腕に抱きついて呼吸をしていた。
「レイセン君、立てる?」
「私は問題ありませんが……。このままゆっくりと立ってみます」
青年はなるべく地面と腕の距離を保ったまま、体を起こし始めた。
続けて、ピクトグラムの足が浮く高さまで持ち上げてみる。すると、今度は器用に短い足を腕にひっかけた。人型の生き物は、今レイセン君の腕にしがみついている状態だ。
「ふふ、なんかちょっとかわいいかも」
今朝から暗い表情をしていたエレナの頬が、僅かに緩んだ。
「僕が説得してみるよ」
そして、僕たちは人影が隠れた茂みへと歩いていった。蹲っている人の背が、半端に突出していたのですぐに見つけられた。
僕はレイセン君とエレナを背にして、草むらを覗き込んだ。
「あの────」
「どうかお許しを!! 私は悪い人ではありません、それに悪魔でもありません。ただ、やんちゃなピクトを追いかけていただけの、平凡な神父に御座います!!」
めちゃくちゃに叫ばれて、正直な所その内容まではよく分からなかった。
覗き込んだ瞬間、神父は虫のように這って来て、僕の足に縋るよう土下座した。
「えと、何……? 僕たちは君の敵じゃないよ」
僕の言葉にはっとした様子の男は、顔を上げた。
しかし、その顔には仮面が付いていた。目元のみを隠した、羽の形によく似たものだった。代わりに口元から、彼の穏やかそうな性格が読み取れるようだった。
「……ああ、なんと……。そうでしたか、いやいや私としたことが、大変失礼しました。こんな大の大人が……見苦しいにも程がありますよねえ」
「あ、はは……僕は、大丈夫……」
落ち着きを取り戻すと、意外にもマイペースな口調で話しかけてくる男性に、僕はどう返事をすればよいのか困った。
おっとりとした男性は、よいしょと声を上げると立ち上がった。僕よりも背が高い。
「そういえば……先程黄色くて小さな生き物を見かけませんでしたか? そうですねえ、高さは膝にも満たない程で、なんかオーラを出しているような──」
「あ! もしかして、この……」
やはり、この男性はピクトグラムを追っていた。
僕は脇に逸れると、レイセン君の腕に目をやって合図をした。目線の先を男性もあとから追ったようで、そこにいるものを見て息を呑んだ。
「──ああ、何ということでしょう!! そんな所に、しかも腕に絡まっているなんて……。とにかく、無事で何よりですよ、ええ」
「……先程から、離れようとしないのですが」
そう言うと、レイセン君はピクトグラムが掴まっている腕を、左右に揺らした。
人型の生き物は、離してなるものかと更に強く抱きついている。
「おやおや、そこが気に入ったのでしょうねえ。お美しい顔をしていらっしゃいますし、あなた」
「後者は関係があるのでしょうか」
「ええ、大いにございますよ。彼女はやんちゃでわかりにくいと思いますが、女の子ですから」
黒髪の青年は、銀髪の青年のそばに来て、黄色いピクトグラムに話しかけた。
「Μη με ενοχλείς; ──迷惑かけない?」
仮面の男に返事を求められた人型の生き物は、頷いた後で初めて声を出した。幼い子どもの声をしている。
「Ναι. Μπαμπά. ──はい。パパ」
「しゃべる、んだ……」
「ええ、それはもう、頭を悩ませるほどお喋りなのですが。大人の皆様に囲まれて、緊張してしまったのでしょうねえ」
「なるほど、そういうことでしたか」
神父と称した男性は、黒いスーツの上に、更に黒のローブを羽織った一風怪しげな容姿をしていた。
仮面を被っているから尚更に。しかし、見かけだけならば、思い描いていた神父像と妙に一致している。
「──あ、そうです、そうですよお。皆様、今夜の宿はお決まりですか? もしまだなのでしたら、うちにいらしてください。何せこの森の先には、峡谷しかありませんからねえ」
仮面の男を除く三人が、目配せをしながら第一声を待った。一番対応が早かったのは、レイセン君だ。
「……よろしいのですか」
「ええ、ええ。もちろんですう。あの教会は一人では広すぎて……使ってあげなきゃ損です。ここからも近いですし、さあ、さあ!」
僕たちは、仮面の神父に案内されるがまま、教会を訪れた。
「おや、私としたことが……椅子が一つ足りませんねえ。今すぐお持ちします」
教会の玄関である、両開きの扉を開けると、まっすぐに伸びた廊下の、すぐ脇の部屋へと通された。
そこは言わばリビングで、キッチンと食事をする部屋が繋がっている。
そそくさと物置きから椅子を持ってきた男性は、テーブルまで運ぶと一呼吸置いて座った。
──神父の名はアイネということ、黄色いピクトグラムをピクトと省略して呼んでいることを知った。どうやらピクトは、他にも四人いるらしい。
僕は続けて、彼が最も話題に出したがらなそうなことを聞いてみることにした。
「部屋の中でも仮面を付けてるの? 外したら良いのに」
「あーー。仮面……そうですよねえ、仮面……」
「外せない事情があるの?」
顎に手を当てて唸るアイネに、エレナが申し訳無さそうな低いトーンで聞き返す。
「ええ……まあ、その……なんといいますか。アイネさんは外しても構わないのですが、皆様への刺激が強いかもしれませんよ?」
「いいよ、そんな事は気にしないから」
「先程も言いましたが、私たちは貴方の容姿次第で悪魔と決めつけたりなどしません。ましてや告発など……したところで」
「そうですか……皆様がそこまで仰るのであれば、腹を括りましょうかねえ……」
そう言ったアイネは、いつの間にか席を立っていた。そして、座っている僕たちに見せるように、後頭部で結んだリボンを解いた。右手と仮面が、同時に幕を下ろす。
青紫のガラス玉が一つ。アイネは単眼だったのだ。
「すごく、綺麗……!」
最初に溜息のような声を漏らしたのは、エレナだった。
「い、いやあ……はは。褒められるのは慣れているつもりだったのですが、少し照れますねえ」
アイネはその言葉以上に頬を赤くしていた。その体質を持って生まれたような赤だった。
「なんで、今まで隠していたの?」
「皆様の話を聞いて解決はしましたけど。万が一もありますからねえ。監獄の者に見つかってしまったら、アイネさんは死んだも同然ですよお」
「はい、監獄メイはもうその機能を果たしていません」
「もうわかったつもりですよ、ええ」
そこまで話し終えると、ひとときの静寂が訪れた。アイネが顔を上げる。
「教会に入ってから顕著だったのですが。なんだか皆さん、顔が疲れ切っていますねえ。特に……そちらの女性のお方? 夕餉まで休んではいかがです?」
「そう、かしら……うん、そう、かも」
「実は、先程──」
僕たちは仲間を失ったばかりで、その後の魔獣との戦闘でも憔悴しきっていた。一番疲れたのは、間違いなくエレナだ。
僕とエレナは、アイネの厚意に甘えることにした。
「アクア様の部屋はこちらです。お手洗いはあちらです、ご自由にどうぞお」
「うん、ありがとう」
個室のドアを閉める。一人になった途端、なんだか眠たくなってきた。疲れが押し寄せてきたようだ。
僕はブーツを脱ぎ捨て、ベッドに潜り込んだ。
***
「お二人とも寝室に案内しました。レイセン様はお休みになられないのですか?」
「ええ。お気遣いありがとうございます」
「そこまで畏まらなくてもいいのに。……話は変わりますけれど、レイセン様はお美しいですよねえ」
「……それはどうも」
「アイネさんは本心から言ったのですがねえ……。あ、すみません、一本吸ってもいいですか? ここで」
「私は構いません。ですが、ご主人様の前ではご遠慮ください」
「ふぅん……彼ですか。善処しますねえ。──そうだ、今度一緒に飲みましょうよお」
「その時間も余裕も、もしあればの話ですけれど。それでも良いのでしたら」
「ふっふーん。ノリが良いのは大変結構。アイネさん、あまり年の差はないように感じますが、実際の所どうなんです」
「……二十五です」
「ええ、ええ。見た目よりは若く見えますよお。アイネさんとは二つしか違わないなんて、驚きました」
「あなたはむしろ幼く見えますがね」
「単眼であることのメリットってそれくらいしかないですがねえ! まあ、多少なりとも需要があるのは知っていますし? アイネさんは特に困っていませんよお」
「クク、そうですか」
「はいそうですう。……まあ、ここで出会えたのもなにかのご縁でしょう。それこそカミサマかもしれません。簡単には手放しませんから、覚悟しておいてくださいねえ」
「…………」
「ふ……ああ、ありがとう」
ほのかに海の香がする宿の一室で欠伸をする。僕とレイセン君はほぼ同時に目を覚ましていた。
まだ昨晩の余韻に浸っている僕とは違って、レイセン君は早々に着替えを済ませている。
僕は気を利かせて朝から温かい飲み物を持ってきてくれた青年に、ありがとう、と声をかけてからマグカップを受け取った。
「……美味しい、ミルクってこんなに甘かったっけ」
「砂糖を少々」
落ち着いたトーンで、青年は微笑んだ。
「本当、寝る前にシャワー浴びておいてよかったよ」
「ええ、仰るとおりです」
「一人だったら、絶対面倒臭がったと思うな、ふふ」
重くなった体を起こし合って、シャワーを浴びに行ったのは記憶に新しい。
レイセン君の部屋のベッドは汚れてしまったので、眠る時には僕の部屋で、二人で一つの寝具を使った。窮屈で眠れないかと心配していたのが杞憂に終わるほど、疲れてすぐに眠った。
あっという間に最後の一口となった、甘いあまいホットミルクを飲み干す。
「ふう……ごちそうさま、おいしかったよ」
これは僕だけの感覚かもしれないが、今までよりもレイセン君と自然な会話をしているような気がする。
「ん……誰かが走ってくる足音が」
「みんな、早起きだね」
呑気にそんな話をしていると、扉が音を立てて開いた。
血相を変えたエレナが、目を瞠る。
「ああ、どうしよう……」
「どうされたのですか、エレナ。顔色が悪いですよ」
エレナの顔はいよいよ真っ青になって、今にも倒れてしまいそうだった。
「助けて……カノンくんが……」
「どうしたの」
金の髪を乱しながら、おぞましいものを見たような表情のエレナが呟いた。
「きて、あっち……外に……」
灯台の脇の芝生と、雑草のように点々と咲く花々の隙間を埋めるように、仰向けの死体があった。
この亡骸の状態を一言で表すならば──酷い。右手と、顔を執拗に刺された痕跡が痛々しい。
それでいて、まだ顔の判別ができるのだ。
左目の瞳孔が開いた状態でいる。
この死体がカノンであるとわからせるための、意図的な残し方をしたようにしか思えない。
「ねえ……やっぱり、カノンくんは……もう……」
「…………」
「──は」
僕はカノンの右手に嵌められたエンゲイジリングを見る。
宝石部分が、破壊されていた。
もしかしたら、悪魔はこの指輪について、知っているのだろうか。
おそらく、カノンを殺害した何者かが、エンゲイジリングも同時に破壊したのだろう。
「やってはみたけど……指輪が壊れてるから……ごめん」
「嗚呼────」
エレナは、カノンの亡骸の前で崩れ落ちた。
顔を両手で覆い、聞き取れない声が段々と怒鳴り声に変わった。
「……し、の……れ、よ……誰よお。カノン君を殺したのは、誰よおおおおおおおお!!!!」
泣き疲れた女性の、引きつった声が海の波に掻き消されていく。
「カノンは、どうするの……」
「海に運ぶには、階段を使わなければ。私ひとりでも……ですが時間が掛かりそうです」
「──いえ、ここでお願い。ここならいつかは鳥が運んでくれるわ」
僕はエレナの言いたいことが、その言葉通りのことであり、そうでないことを理解する。
「鳥葬ですね、わかりました。ですがこのままでは……」
──鳥葬。それは、遺体を空の世界へと送り届けるための方法。鳥に食べさせるというのは、送り出すための手段に過ぎない。聞こえだけはとても綺麗なように思える。
「あたしじゃ、手に力が入らない。考えただけで駄目なの……おねがい……カノン君を千切って……」
そして、残酷な死体処理が行われた。
鳥に食べさせるためには、鳥が食べやすいように千切る他ない。
レイセン君は、手に持っていた鉈剣を握りしめ、並列になっていた所から突き出るように歩いた。
「では、始めます……」
葬儀が執り行われた。あたりには肉を切り裂く音が鳴り響き、僕はその儀式を行う青年を見つめていた。
エレナは最早蹲って、ただその光景を見ないように顔を隠している。
レイセン君は、宛ら機械仕掛けの人形のように、一定のリズムで遺体に鉈を振り下ろした。その目は、生き生きとしていたように思える。
「僕も手伝おうか……?」
「──いえ、大丈夫です」
それは、僕に見ていてほしいというような声音だった。僕は彼の望み通りにした。
「……ノン、く……ごめんね、ごめんなさい……ごめんなさい……あたしが……」
エレナは懺悔を繰り返した。
一通り、カノンを断片化した後で、レイセン君は一息ついた。
花が、綺麗に咲いている。
「……彼の目蓋を閉じましょう。もう見たくは、ないでしょうから」
そして僕たちは、宿に戻った。
レイセン君が一人で作った朝食は、普段と同じ彩りをしているはずなのに、くすんで見えた。
それを言うのは、作ってくれた彼に対して失礼だろう。ただひたすら、千切った食べ物を口に運ぶという動作を繰り返した。
砂のような味しかしない。咀嚼するのがやっとだった。食べている間ずっと、女の人の啜り泣く声が聞こえていたせいかしれない。
白黒な世界で朝食を済ませると、悲しみをそこに全て置いたフリをして、僕たちは灯台の見える宿を去った。
***
灰色の森に辿り着いた僕たちは、あるかないかの細い線でしかない獣道を進んでいた。
カノンが死んだ。その悪夢が、まだ続いているようだった。何もかもが、白と黒の間にある、いずれかの色でできているのだ。
そして、この森は見通しが悪い。全体的に樹木の背が低いのだ。時々枝の下を潜ったり、上を跨いだりする必要がある。
「なんか、寒いし、怖い……」
曇りガラスのような緑色の瞳をしたエレナが、両腕を抱えて呟く。
「ん、向こうからなにか来る……」
「ご主人様、下がっていてください」
木々の隙間から、ピクトグラムのような形をした、檸檬色を覇気に纏うものが、あどけなく向かってきた。
左腕を僕の一歩手前で掲げて制していたレイセン君が、僅かに動きを止める。
「……??」
「ま、魔獣……?」
「う、ううん……? でも、さっき見たのと違って、色が……」
灰の森に入ってからというもの、この環境に染められたような、薄墨色の魔獣ばかりが姿を現した。
そんな魔獣たちとは違い、色彩を持った生き物を、僕たちはここに来てはじめて目の辺りにしたのだ。
『Παρακαλώ περιμένετε. Επιστρέψτε μόνο του, καθώς είναι επικίνδυνο μόνο του! ──お待ちなさい。一人では危ないから戻りなさい!!』
聞き覚えのある言語だ。けれど、標準語ではない。きっと僕にしかわからなかっただろう。
背の高い人が──おそらく、この黄色い人型の記号をしたものを追って来たのだろう──走ってくる。
「あ……」
半透明な黄色がかったピクトグラムは、レイセン君の足の下をくぐり抜け、追手から隠れるように脹脛から顔を出していた。
すると、追手もこちら側に人がいることに気がついたのだろう。足を止め、慄くように背中を反らせた。
『ああっ──!! なんと……いうこと……ひいぃ!!』
あからさまに、僕たちと遭遇したことをマイナスに捉えているような反応だった。
人影は脇目もふらずに、真横の草むらに隠れてしまう。
「…………」
僕とレイセン君が顔を見合わせる。エレナも不思議そうな顔をしたままだ。
見えなくなってしまった声の主を、なんとか説得させなければならない。
その前に──黄色のピクトグラムを見下ろす。
「どうしようか……その子……」
「先程の人と、関係があるのでしょうか……」
眉をひそめながら、レイセン君はしゃがみ込んだ。すると、人型の生き物は少し離れて、両手を顔の前で組んだ。
怖がられてしまったのだろうか。そんな事を考えていると、青年はピクトグラムに手を差し伸べた。
「一緒に、行きますか……?」
はじめは戸惑っていたピクトグラムが、のそのそと腕に近づく。
掌に乗るのではないかと想像を張り巡らせたが、黄色い生き物はレイセン君の腕に抱きついて呼吸をしていた。
「レイセン君、立てる?」
「私は問題ありませんが……。このままゆっくりと立ってみます」
青年はなるべく地面と腕の距離を保ったまま、体を起こし始めた。
続けて、ピクトグラムの足が浮く高さまで持ち上げてみる。すると、今度は器用に短い足を腕にひっかけた。人型の生き物は、今レイセン君の腕にしがみついている状態だ。
「ふふ、なんかちょっとかわいいかも」
今朝から暗い表情をしていたエレナの頬が、僅かに緩んだ。
「僕が説得してみるよ」
そして、僕たちは人影が隠れた茂みへと歩いていった。蹲っている人の背が、半端に突出していたのですぐに見つけられた。
僕はレイセン君とエレナを背にして、草むらを覗き込んだ。
「あの────」
「どうかお許しを!! 私は悪い人ではありません、それに悪魔でもありません。ただ、やんちゃなピクトを追いかけていただけの、平凡な神父に御座います!!」
めちゃくちゃに叫ばれて、正直な所その内容まではよく分からなかった。
覗き込んだ瞬間、神父は虫のように這って来て、僕の足に縋るよう土下座した。
「えと、何……? 僕たちは君の敵じゃないよ」
僕の言葉にはっとした様子の男は、顔を上げた。
しかし、その顔には仮面が付いていた。目元のみを隠した、羽の形によく似たものだった。代わりに口元から、彼の穏やかそうな性格が読み取れるようだった。
「……ああ、なんと……。そうでしたか、いやいや私としたことが、大変失礼しました。こんな大の大人が……見苦しいにも程がありますよねえ」
「あ、はは……僕は、大丈夫……」
落ち着きを取り戻すと、意外にもマイペースな口調で話しかけてくる男性に、僕はどう返事をすればよいのか困った。
おっとりとした男性は、よいしょと声を上げると立ち上がった。僕よりも背が高い。
「そういえば……先程黄色くて小さな生き物を見かけませんでしたか? そうですねえ、高さは膝にも満たない程で、なんかオーラを出しているような──」
「あ! もしかして、この……」
やはり、この男性はピクトグラムを追っていた。
僕は脇に逸れると、レイセン君の腕に目をやって合図をした。目線の先を男性もあとから追ったようで、そこにいるものを見て息を呑んだ。
「──ああ、何ということでしょう!! そんな所に、しかも腕に絡まっているなんて……。とにかく、無事で何よりですよ、ええ」
「……先程から、離れようとしないのですが」
そう言うと、レイセン君はピクトグラムが掴まっている腕を、左右に揺らした。
人型の生き物は、離してなるものかと更に強く抱きついている。
「おやおや、そこが気に入ったのでしょうねえ。お美しい顔をしていらっしゃいますし、あなた」
「後者は関係があるのでしょうか」
「ええ、大いにございますよ。彼女はやんちゃでわかりにくいと思いますが、女の子ですから」
黒髪の青年は、銀髪の青年のそばに来て、黄色いピクトグラムに話しかけた。
「Μη με ενοχλείς; ──迷惑かけない?」
仮面の男に返事を求められた人型の生き物は、頷いた後で初めて声を出した。幼い子どもの声をしている。
「Ναι. Μπαμπά. ──はい。パパ」
「しゃべる、んだ……」
「ええ、それはもう、頭を悩ませるほどお喋りなのですが。大人の皆様に囲まれて、緊張してしまったのでしょうねえ」
「なるほど、そういうことでしたか」
神父と称した男性は、黒いスーツの上に、更に黒のローブを羽織った一風怪しげな容姿をしていた。
仮面を被っているから尚更に。しかし、見かけだけならば、思い描いていた神父像と妙に一致している。
「──あ、そうです、そうですよお。皆様、今夜の宿はお決まりですか? もしまだなのでしたら、うちにいらしてください。何せこの森の先には、峡谷しかありませんからねえ」
仮面の男を除く三人が、目配せをしながら第一声を待った。一番対応が早かったのは、レイセン君だ。
「……よろしいのですか」
「ええ、ええ。もちろんですう。あの教会は一人では広すぎて……使ってあげなきゃ損です。ここからも近いですし、さあ、さあ!」
僕たちは、仮面の神父に案内されるがまま、教会を訪れた。
「おや、私としたことが……椅子が一つ足りませんねえ。今すぐお持ちします」
教会の玄関である、両開きの扉を開けると、まっすぐに伸びた廊下の、すぐ脇の部屋へと通された。
そこは言わばリビングで、キッチンと食事をする部屋が繋がっている。
そそくさと物置きから椅子を持ってきた男性は、テーブルまで運ぶと一呼吸置いて座った。
──神父の名はアイネということ、黄色いピクトグラムをピクトと省略して呼んでいることを知った。どうやらピクトは、他にも四人いるらしい。
僕は続けて、彼が最も話題に出したがらなそうなことを聞いてみることにした。
「部屋の中でも仮面を付けてるの? 外したら良いのに」
「あーー。仮面……そうですよねえ、仮面……」
「外せない事情があるの?」
顎に手を当てて唸るアイネに、エレナが申し訳無さそうな低いトーンで聞き返す。
「ええ……まあ、その……なんといいますか。アイネさんは外しても構わないのですが、皆様への刺激が強いかもしれませんよ?」
「いいよ、そんな事は気にしないから」
「先程も言いましたが、私たちは貴方の容姿次第で悪魔と決めつけたりなどしません。ましてや告発など……したところで」
「そうですか……皆様がそこまで仰るのであれば、腹を括りましょうかねえ……」
そう言ったアイネは、いつの間にか席を立っていた。そして、座っている僕たちに見せるように、後頭部で結んだリボンを解いた。右手と仮面が、同時に幕を下ろす。
青紫のガラス玉が一つ。アイネは単眼だったのだ。
「すごく、綺麗……!」
最初に溜息のような声を漏らしたのは、エレナだった。
「い、いやあ……はは。褒められるのは慣れているつもりだったのですが、少し照れますねえ」
アイネはその言葉以上に頬を赤くしていた。その体質を持って生まれたような赤だった。
「なんで、今まで隠していたの?」
「皆様の話を聞いて解決はしましたけど。万が一もありますからねえ。監獄の者に見つかってしまったら、アイネさんは死んだも同然ですよお」
「はい、監獄メイはもうその機能を果たしていません」
「もうわかったつもりですよ、ええ」
そこまで話し終えると、ひとときの静寂が訪れた。アイネが顔を上げる。
「教会に入ってから顕著だったのですが。なんだか皆さん、顔が疲れ切っていますねえ。特に……そちらの女性のお方? 夕餉まで休んではいかがです?」
「そう、かしら……うん、そう、かも」
「実は、先程──」
僕たちは仲間を失ったばかりで、その後の魔獣との戦闘でも憔悴しきっていた。一番疲れたのは、間違いなくエレナだ。
僕とエレナは、アイネの厚意に甘えることにした。
「アクア様の部屋はこちらです。お手洗いはあちらです、ご自由にどうぞお」
「うん、ありがとう」
個室のドアを閉める。一人になった途端、なんだか眠たくなってきた。疲れが押し寄せてきたようだ。
僕はブーツを脱ぎ捨て、ベッドに潜り込んだ。
***
「お二人とも寝室に案内しました。レイセン様はお休みになられないのですか?」
「ええ。お気遣いありがとうございます」
「そこまで畏まらなくてもいいのに。……話は変わりますけれど、レイセン様はお美しいですよねえ」
「……それはどうも」
「アイネさんは本心から言ったのですがねえ……。あ、すみません、一本吸ってもいいですか? ここで」
「私は構いません。ですが、ご主人様の前ではご遠慮ください」
「ふぅん……彼ですか。善処しますねえ。──そうだ、今度一緒に飲みましょうよお」
「その時間も余裕も、もしあればの話ですけれど。それでも良いのでしたら」
「ふっふーん。ノリが良いのは大変結構。アイネさん、あまり年の差はないように感じますが、実際の所どうなんです」
「……二十五です」
「ええ、ええ。見た目よりは若く見えますよお。アイネさんとは二つしか違わないなんて、驚きました」
「あなたはむしろ幼く見えますがね」
「単眼であることのメリットってそれくらいしかないですがねえ! まあ、多少なりとも需要があるのは知っていますし? アイネさんは特に困っていませんよお」
「クク、そうですか」
「はいそうですう。……まあ、ここで出会えたのもなにかのご縁でしょう。それこそカミサマかもしれません。簡単には手放しませんから、覚悟しておいてくださいねえ」
「…………」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!
藤吉めぐみ
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。
そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。
初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが……
架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】毎日きみに恋してる
藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました!
応援ありがとうございました!
*******************
その日、澤下壱月は王子様に恋をした――
高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。
見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。
けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。
けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど――
このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる