フラワー・マリッジ ― 咲かぬ花嫁は、王のために咲く ―

霜月@如月さん改稿中&バース準備中

文字の大きさ
48 / 83
第二章 セレスティアの伝承

第四十七話 #『明けゆく夜に、君を抱きしめて』

しおりを挟む


「あ、あっ……えっ、まっまって、殿下……っ」
「今日は慣らすだけ。けれど、きっと気持ちいいよ」


 潤滑剤を取り出し、指に垂らす。ゆっくりとその指を、窄みに押し込んでいく。ぐちゅりと、濡れた水音が立った。


「んぁっ……あっ、やあっ……!」


 指先が溶けるほど熱く、指一本でもきつく感じる。けれど、目尻を下げて、とろんと見つめるルイスが可愛くて、もう一本、指を足して押し開く。指先がきゅっと、また締め付けられた。


 ルイスが息を詰め、腰をよじる。


「あっ、あっ……だめっ、そこっ……やだあっ」
「ここ……? ここが好きなのか?」


 感じる部分を突くと、ルイスの身体が跳ね、甘い鳴き声が漏れた。


「ああっ、だめっ……あっ、やっそこ……っ、んっ、あっだめぇっ……!」
「……可愛い。もっと、いっぱい感じて」


 胸の突起を舌先で撫でながら、前立腺を繰り返し刺激する。ぐちゅぐちゅと音を立てるたび、ルイスの喉が震え、吐息が熱を帯びた。


「やだっあっ、ぁっあっ、だめぇっ……いっちゃうっ……はあっっ」
「……いいよ、イッて。私に、ルイスの全部見せて」


 先を強請ねだるようにひくひくと収縮する窄みの奥を、最後にひと突きする。ルイスの背が弓なりに跳ね、甘い声が溢れた。小さな手が私の背を締め付ける。


「ーーっぁあ……っ、やあっ……んっ、あっ……はぁっ……!」
「……愛してるよ、ルイス」


 ルイスの身体がびくりと震え、甘い声を漏らしながら全てを託すように崩れ落ちた。細い肩が震えて、涙を溜めた瞳が揺れる。


 触れただけで泣きそうにほどけていく表情が、あまりにも愛しくて、そっと唇を重ねた。


「……殿下は……ずるい……っ」
「私が?」


 息を吸うたびに濡れた肌の熱が伝わる。腕の中で震えるルイスをさらに抱き寄せた。逃げられないように、でも壊さないように、優しく覆う。


 小さな喉がひくりと動き、弱々しい息が漏れた。


「……だって……そんなふうに触れられたら……一生、離れられなくなる……っ」
「それでいい。君はずっと、私のそばにいればいい」


 抱きしめた腕の中で、ルイスの心臓がどくどくと速く脈を打つ。泣き腫れた白いまつ毛が頬に触れ、涙が頬を伝った。


「ふふ……そうだ。私のも触ってみないか?」
「ぇっ……! やっ……っ、そっ、それは……っ……ま、また、今度……っ……!」


 耳まで真っ赤に染めて目を逸らすルイスが可愛くて、耐えきれず喉の奥で小さく笑みが溢れる。


「……今度ね。次は逃がさないよ」
「~~~っ」


 濡れた唇に触れ、頬を撫でる。まだ快楽の余韻で力の入らない身体をそっと抱き起こし、胸元に抱き寄せた。肩に触れるたび、ぴくりと小さな反応が返ってくる。


 さっきまで自分の指で乱していた場所が、まだ熱く蠢いているのが分かった。


「ルイス」
「……っ、はい……っ」
「今度は……君の心も身体も、全部もらう。遠慮も我慢もしないし、させない」


 耳元で囁くと、ルイスはびくりと震え、私の寝着を掴んだ。頬を両手で包み、深く、長く、口唇を重ねる。


「ん……」
「今夜はゆっくり眠るといい。……私はずっとそばにいるよ」


 腕の中で落ち着いていく呼吸のリズムを感じながら、ルイスを優しく抱きしめる。外では雨が静かに降り続き、部屋の中は私たちの熱と、甘い余韻だけが満ちていった。


 ーーーーーーーーーーーー
 ーーーーーーーー
 ーーーー


 窓の外は、まだ淡い藍色に包まれていて。夜と朝の境い目が、ふわりと揺れる。


 寝台の布団の中で、私の腕にすっぽり収まって眠るルイスの頬が、ほんのりと赤く染まっていた。かすかに眉を寄せ、胸にすり寄ってくる仕草が愛らしくて、そっと指先で背をなぞる。


(……可愛い)


 数時間前、泣きそうな声でとろけていった小さな身体。何もかもを晒してくれたルイスのぬくもりを、まだ腕の中に感じる。


 触れたら壊れてしまいそうで、でも確かめずにはいられなくて。そんな想いで、もう一度、頬に指を添えた。


「……ん……っ」


 小さな声が漏れ、ルイスがゆっくりと目を開けた。寝ぼけたままの、とろんとした瞳が私を映す。


「……殿下……?」


 その甘い響きに、感情が昂る。触れたくて仕方がなくなる、無防備な寝起きのルイスの姿に下腹が熱くなる。頬に触れると、彼はぎゅっと目を閉じ、私に顔を寄せてきた。


「……昨日……っ」
「昨日?」


 問い返すと、ルイスの指が私の寝着の胸元を、そっとつまんだ。


「……最後まで、したかった……」


 言葉が落ちると同時に、鼓動が跳ねる。


「……ルイス……」


 私の腕にしがみついたまま、顔を赤らめ、身体を擦り寄せてくる。その吐息が胸にかかり、理性がぐらつく。


「……殿下が、ほしかった……っ」


 白い寝着の隙間から覗く、昨夜刻んだ赤い痕。目に入るだけで、心も身体も熱を帯びていく。


「……ルイス、起きているのか?」
「……うん、たぶん……寝ぼけて……ない……です」


 潤んだ瞳で見上げてくるその顔が、あまりにも可愛くて、息を呑む。胸に頬を押し付けたまま、ルイスが小さく囁いた。


「……殿下に、抱かれたかったなぁ……」


 その一言で、心が灼けつくように疼き、私は迷わず、腕の中の小さな身体を強く抱きしめた。


「……君は、どうして……そんな可愛いことを言うんだ」


 掠れそうになる声を押し殺して、頬に口づける。震える肩に触れるだけで、胸が満たされていく。


「……そんなふうに言われたら、今すぐ抱きたくなるだろう……?」
「……ふふ、だめ、ですか……?」


 甘えるように囁かれ、喉がひくりと鳴る。今すぐ押し倒したくなる衝動を、かろうじて押し留めた。


「……だめじゃない。でも……今の君はまだ、眠たげで……壊れてしまいそうだ」


 そう言うと、ルイスが胸元に顔をうずめながら、そっと手を動かした。ぎこちないながらも私の熱く昂ぶった場所に触れ、撫でるように確かめる。


「……今も、こんなに……大きくなってる……」
「……だから、それ以上は……っ」
「……殿下?」


 慌ててルイスの手を取って押さえ、苦しくなるほどに抱きしめる。


「……我慢できなくなる」
「……ふふ……じゃあ……次は、絶対、最後まで……」
「……ああ。必ず、全部」


 そのまま、ルイスの額に口づけを落とす。ぬくもりを確かめ合うように、静かに目を閉じた。


しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

嫌われた暴虐な僕と喧嘩をしに来たはずの王子は、僕を甘くみているようだ。手を握って迫ってくるし、聞いてることもやってることもおかしいだろ!

迷路を跳ぶ狐
BL
 悪逆の限りを尽くした公爵令息を断罪しろ! そんな貴族たちの声が高まった頃、僕の元に、冷酷と恐れられる王子がやって来た。  その男は、かつて貴族たちに疎まれ、王城から遠ざけられた王子だ。昔はよく城の雑用を言いつけられては、魔法使いの僕の元を度々訪れていた。  ひどく無愛想な王子で、僕が挨拶した時も最初は睨むだけだったのに、今は優しく微笑んで、まるで別人だ。  出会ったばかりの頃は、僕の従者まで怯えるような残酷ぶりで、鞭を振り回したこともあったじゃないか。それでも度々僕のところを訪れるたびに、少しずつ、打ち解けたような気がしていた。彼が民を思い、この国を守ろうとしていることは分かっていたし、応援したいと思ったこともある。  しかし、あいつはすでに王位を継がないことが決まっていて、次第に僕の元に来るのはあいつの従者になった。  あいつが僕のもとを訪れなくなってから、貴族たちの噂で聞いた。殿下は、王城で兄たちと協力し、立派に治世に携わっていると。  嬉しかったが、王都の貴族は僕を遠ざけたクズばかり。無事にやっているのかと、少し心配だった。  そんなある日、知らせが来た。僕の屋敷はすでに取り壊されることが決まっていて、僕がしていた結界の魔法の管理は、他の貴族が受け継ぐのだと。  は? 一方的にも程がある。  その直後、あの王子は僕の前に現れた。何と思えば、僕を王城に連れて行くと言う。王族の会議で決まったらしい。  舐めるな。そんな話、勝手に進めるな。  貴族たちの間では、みくびられたら終わりだ。  腕を組んでその男を睨みつける僕は、近づいてくる王子のことが憎らしい反面、見違えるほど楽しそうで、従者からも敬われていて、こんな時だと言うのに、嬉しかった。  だが、それとこれとは話が別だ! 僕を甘く見るなよ。僕にはこれから、やりたいことがたくさんある。  僕は、屋敷で働いてくれていたみんなを知り合いの魔法使いに預け、王族と、それに纏わり付いて甘い汁を吸う貴族たちと戦うことを決意した。  手始めに……  王族など、僕が追い返してやろう!  そう思って対峙したはずなのに、僕を連れ出した王子は、なんだか様子がおかしい。「この馬車は気に入ってもらえなかったか?」だの、「酒は何が好きだ?」だの……それは今、関係ないだろう……それに、少し距離が近すぎるぞ。そうか、喧嘩がしたいのか。おい、待て。なぜ手を握るんだ? あまり近づくな!! 僕は距離を詰められるのがどうしようもなく嫌いなんだぞ!

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。 これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。 無自覚両片想いの勇者×親友。 読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。

溺愛極道と逃げたがりのウサギ

イワキヒロチカ
BL
完全会員制クラブでキャストとして働く湊には、忘れられない人がいた。 想い合いながら、…想っているからこそ逃げ出すしかなかった初恋の相手が。 悲しい別れから五年経ち、少しずつ悲しみも癒えてきていたある日、オーナーが客人としてクラブに連れてきた男はまさかの初恋の相手、松平竜次郎その人で……。 ※本編完結済。アフター&サイドストーリー更新中。 二人のその後の話は【極道とウサギの甘いその後+ナンバリング】、サイドストーリー的なものは【タイトル(メインになるキャラ)】で表記しています。

辺境の酒場で育った少年が、美貌の伯爵にとろけるほど愛されるまで

月ノ江リオ
BL
◆ウィリアム邸でのひだまり家族な子育て編 始動。不器用な父と、懐いた子どもと愛される十五歳の青年と……な第二部追加◆断章は残酷描写があるので、ご注意ください◆ 辺境の酒場で育った十三歳の少年ノアは、八歳年上の若き伯爵ユリウスに見初められ肌を重ねる。 けれど、それは一時の戯れに過ぎなかった。 孤独を抱えた伯爵は女性関係において奔放でありながら、幼い息子を育てる父でもあった。 年齢差、身分差、そして心の距離。 不安定だった二人の関係は年月を経て、やがて蜜月へと移り変わり、交差していく想いは複雑な運命の糸をも巻き込んでいく。

【完結】「奥さまは旦那さまに恋をしました」〜紫瞠柳(♂)。学生と奥さまやってます

天白
BL
誰もが想像できるような典型的な日本庭園。 広大なそれを見渡せるどこか古めかしいお座敷内で、僕は誰もが想像できないような命令を、ある日突然下された。 「は?」 「嫁に行って来い」 そうして嫁いだ先は高級マンションの最上階だった。 現役高校生の僕と旦那さまとの、ちょっぴり不思議で、ちょっぴり甘く、時々はちゃめちゃな新婚生活が今始まる! ……って、言ったら大袈裟かな? ※他サイト(フジョッシーさん、ムーンライトノベルズさん他)にて公開中。

王宮魔術師オメガは、魔力暴走した王子殿下を救いたい

こたま
BL
伯爵家次男のオメガで魔術師のリンは変わり者として知られている。素顔を見たものは少なく、魔力は多いが魔力の種類が未確定。いつも何か新しい魔道具を作っている。ある時、魔物が現れ、その魔術攻撃を浴びた幼馴染のアルファ王子クリスが魔力暴走を起こしてしまった。リンはクリスを救おうと奔走するが、治癒の為には…。ハッピーエンドオメガバース、魔法ありの異世界BLです。

陰日向から愛を馳せるだけで

麻田
BL
 あなたに、愛されたい人生だった…――  政略結婚で旦那様になったのは、幼い頃、王都で一目惚れした美しい銀髪の青年・ローレンだった。  結婚式の日、はじめて知った事実に心躍らせたが、ローレンは望んだ結婚ではなかった。  ローレンには、愛する幼馴染のアルファがいた。  自分は、ローレンの子孫を残すためにたまたま選ばれただけのオメガに過ぎない。 「好きになってもらいたい。」  …そんな願いは、僕の夢でしかなくて、現実には成り得ない。  それでも、一抹の期待が拭えない、哀れなセリ。  いつ、ローレンに捨てられてもいいように、準備はしてある。  結婚後、二年経っても子を成さない夫婦に、新しいオメガが宛がわれることが決まったその日から、ローレンとセリの間に変化が起こり始める…  ―――例え叶わなくても、ずっと傍にいたかった…  陰日向から愛を馳せるだけで、よかった。  よかったはずなのに…  呼ぶことを許されない愛しい人の名前を心の中で何度も囁いて、今夜も僕は一人で眠る。 ◇◇◇  片思いのすれ違い夫婦の話。ふんわり貴族設定。  二人が幸せに愛を伝えあえる日が来る日を願って…。 セリ  (18) 南方育ち・黒髪・はしばみの瞳・オメガ・伯爵 ローレン(24) 北方育ち・銀髪・碧眼・アルファ・侯爵 ◇◇◇  50話で完結となります。  お付き合いありがとうございました!  ♡やエール、ご感想のおかげで最後まではしりきれました。  おまけエピソードをちょっぴり書いてますので、もう少しのんびりお付き合いいただけたら、嬉しいです◎  また次回作のオメガバースでお会いできる日を願っております…!

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...