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第九章【セントラル】
9-32 つかの間に
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―――次の日。
騎士団の入団後より、魔剣士たちは朝9時に王城内にある"騎士団用武道場"へと集合していた。魔剣士はバンシィと不本意ながらも、至急された騎士団の制服を着用して足を運んでいた。
だが、きちんとした騎士団というのは名前だけで、所詮は冒険者なのか、道場内はダラダラと座る面々が多かった。統率力は今ひとつといったところだったが、団長リッターが来た途端、全員の顔色が変わる。
リッター「……ハハハッ!おはよう、諸君!!」
この挨拶と同時に、各々は立ち上がり、一部の面子は駆け寄って頭を下げる。
魔剣士「何じゃありゃ……」
バンシィ「何だか大人気だね……」
ジト目でそれを見つめる二人に、リッターは気づいて近づいてきた。
リッター「はっはっは、やっと制服を身に纏ったか!」
魔剣士「今朝、道場に来る前にフランメさん、バンシィさんと呼び止められてな……」
リッター「そうかそうか!きちんと着用しておけよ、それは最上位の魔法糸で縫われた対物理衝撃にも強い制服だからな!」
魔剣士「……道理で」
ならず者が多いはずの面子なのに、律儀に制服を着ている奴らが多いと思った。
魔剣士「まぁ、そんなことはどうでもいいんだが――…って、んあ?」
リッターが入って来た入口側から、二人の男が「うはは、すまない遅刻しちまった」と入って来たのが見えた。
魔剣士「おーいおい、遅刻者も多いんだな随分と……?」
リッター「ま、集まっている面子も理解しているしある程度は許容しているつもりだ。それに、今日は遅刻者を除き全員が揃っているようだしな」
魔剣士「ほぉ……」
どうやら道場内にいる50人近いこの面子が、騎士団の全員らしい。
魔剣士「ところで、騎士団だから集められるのは分かるが…これから何するんだ?」
リッター「……ん?それは愚問だな、決まっているだろう」
魔剣士「は?」
リッター「修行だ。セントラル郊外に出て、肉体の鍛錬や魔法の鍛錬に努める。直々に王から命令を受けるまでは、俺たちは毎日の修行をして過ごすんだ」
魔剣士「い、意外ときちんと行動してるのか。だけどよ、冒険者たちがいくら身体を動かすのが好きだっつっても……」
リッター「修行は好まず、サボる面子が多いと言いたいんだな」
魔剣士「……おうよ、そういうことだ」
自由に動きたい人間ばかりで、ただでさえ今も統率が取れていないのに、修行などと。
リッター「……それは王の考えるところであって、素晴らしき鍛錬方法がある」
魔剣士「素晴らしき鍛錬方法?」
リッター「なぁに、着いて来れば分かる」
魔剣士「お、おう……?」
リッターは道場内にいる全員に向かって、声を上げた。
「さぁ、今日も修行を始めるぞ!」と。
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――30分後。
セントラル郊外にある、荒地。
団員たちは隊列など気にしない様子で、だらだらとリッターへと着いてきていた。
魔剣士「随分と広い荒地だな…、こんな場所があったのか」
バンシィ「広いね……」
リッター「まぁ鍛錬向きの場所だな。ここなら、ある程度暴れても問題はない」
魔剣士「ふーん、それで何すんのよ?」
リッター「鍛錬は至って簡単だ。周囲にいくつもの岩があるだろう?」
魔剣士「あぁ、荒地だしな」
灰色の大地に、ゴツゴツとした、うっかり転べば血を流しそうな鋭利のような危険な岩が多く点在していた。
リッター「……ごほん、それじゃあ騎士団の全員!離れろ!!最終選考の面子も、人と距離を置くようにして目の前に岩がある位置へ移動!!」
魔剣士「うっさ!?」
バンシィ「うるさい……」
大声で注意を呼びかけるリッター。すると、全員はここでやっと統率の取れたようにうだうだとしながらも指示に従った。
魔剣士「お…?」
リッター「フランメとバンシィも一旦、距離を置いておけ。そうだな、そこの岩でいい」
二つの岩を指差し、離れるよう促す。
魔剣士「はいはい」
バンシィ「わかった……」
二人は離れ、リッターは「うむ!」と頷くと、肩に強い魔力を集中させ始めた。
魔剣士(……何だ?)
そして、次の瞬間。
リッター「どぉぉぉおおっ!!!!」
その場で強く、地面を思い切りぶん殴る。刹那、怒号と破壊音が"ゴォッ!!"と唸りをあげて、彼が叩いた場所を中心に衝撃波が円を描き波状していく。
魔剣士(ぬおっ!?)
バンシィ(これって、物理と…、魔力の波状……?)
やがて、波状が彼方に消えた頃、それぞれが立つ目の前の岩に"緑"の淡い色が形成されているのに気付く。
魔剣士「ん、なんじゃこ……」
リッター「新人がいるので、改めて説明をしておく!!」
魔剣士「お、おうっ?」
全員に聞こえる声量で、説明を始める。
リッター「お前たちの目の前にあるのは、物理及び魔力が半々の抵抗効果を持つ融合石だ!!今日はこれの破壊を目的とする!」
魔剣士「な、何?」
リッター「今日の破壊に成功した全員に10万ゴールドの金額が下りる!時間は12時まで、存分に腕を振るえ!」
魔剣士「……なるほど」
やる気のない面子が集まった理由は"お金"の存在があったからだ。
魔剣士(つーか……)
抵抗を付与された岩へと触れる。リッターの発した魔法は、この岩に対して間違いなく"半々"で対魔法と対物理の抵抗を宿していた。
魔剣士(この散らばった広さへ、狙った位置へ、しかも割り間違えることなく……)
冷や汗が出る。
普通の人間でもここまでの高みを目指せるものなのか。自分はイメージ操作による魔法で同じことが出来るだろうが、あくまでも闇魔法の力があってこそで、リッターはその類ではない。
魔剣士(マジかよ…。団長に選ばれるだけあるってことだ。それに、この鍛錬は理に適ってやがる……)
この岩を破壊するには、対物理、対魔力それぞれ半々に集中した攻撃が必要になる。
体内の具現化の生成の集中、攻撃のタイミング、あらゆる条件をクリアして初めてヒビを入れられるかどうか。これが破壊できるようになれば、基礎はもちろん、戦いにおける咄嗟の判断や動作といった応用力のレベルアップにも繋がる。
魔剣士(金を釣り道具に使うってのはいささかウゼェけど、こんな鍛錬やってたらそりゃ強くもなって……)
リッター「……どうしたフランメ、試さないのか?」
考察中、ふいにリッターに声をかけられた。
魔剣士「あ?……いや、そういうわけじゃねーけどよ、普段からこんなこと繰り返してたのか?」
リッター「こんなこととは?」
魔剣士「だから鍛錬だよ。騎士団の結成初期から、こういう鍛錬ばっかしてたのか?」
リッター「ま、ある程度はな。騎士団の人数が揃ってからはローテーションを組んで色々と鍛錬をしている」
魔剣士「ふーん、どんな感じなんだ?」
リッター「この鍛錬は12時まで、その後は1時間の休憩を挟んでから、体術実践だで俺が直々に指導する。骨が折れるくらいならヒーリングで何とかなるという配慮だな」
魔剣士「ははぁ……」
武器を持たせて手加減できる面子でもなし、首を刎ねられれば助けられるはずもなく。
リッター「あとはローテーションに、遠征し海で動きを制限された中での実践や同じような砕きの鍛錬、型、魔力を放ち限界まで挑戦すること、様々なことをしている」
魔剣士「意外ときちんとやってんのな……」
間違いなく一般的な冒険者の比ではない鍛錬量とレベル。それぞれが高い実力を保持しているだけに、実践一つで得られる経験は尋常ではない。
リッター「ま、その辺のローテは俺が考えてやっているが。それより、岩を砕けばボーナスが出るぞ、お前の実力を見せてみないか?」
魔剣士「あー……」
バンシィ「うん、僕もお兄ちゃんの実力見たいなー……」
魔剣士「…っうぉ!?」
いつの間にか近づいたバンシィが、魔剣士の腕にぎゅっと抱き着いた。
リッター「それとも、破壊する自信がないのか?……ほれ、もう何人かは既に破壊して寝ている奴もいるぞ?」
魔剣士「んあ……」
バンシィ然り、他の団員も既に破壊し終えた面子がいるようで、背中に風魔法を展開したまま浮いて寝ている者までいた。
魔剣士「本当にレベルたけーな…。バンシィも破壊しちまったのか」
バンシィ「うん、簡単だったよ」
魔剣士「物理技も必要だと思うんだが、お前…魔法以外にも物理的なパワーを持ってたのか?」
バンシィ「体内に無属性のパワー蓄積すれば簡単だったから…。人差し指と中指、薬指と小指、それぞれにこう…分けて物理無属性と純魔力を込めて殴るだけで……」
魔剣士「り、理論は分かるけどよ……」
机上で言われても、それを実際に行う技術力が凄まじい。
リッター「何だ、お前はバンシィよりも劣るのか?」
魔剣士「……あ?」
リッター「ハッハッハ、さっきからしゃべってばっかで行動を起こさないのでな。てっきり、その程度かと思ってなぁ!」
魔剣士「バカにしてんのか?」
弱く見られることにイラっとした反応を見せる。
リッター「なら、お前の前にいる岩を破壊してみろ。そこまで言うのなら簡単に破壊できるのだろう?」
魔剣士「フン……」
そっと掌を拡げ、岩へと触れた。
リッター「……ふむ、まずは感触を確かめるか」
バンシィ「思ったよりも硬いから、気を付けてねお兄ちゃん……」
魔剣士「…」
岩に付与された魔力を掌から読み取る。
いくらリッターが完璧たる戦士だとしても、これだけの力を使えば穴がある。
魔剣士「水、雷……、無属性、魔法を跳ね返す反発する魔力か……」
リッター「……何だと?」
わずかに、混じっていた。
魔剣士は攻撃らしい攻撃をせずとも、付与されたものと同じように魔法を発することでそれが壊れることを認知していた。
魔剣士「感覚なようなもんだがな。何となし、いける気がするぜ」
触れた掌から発した、岩に付与されたものと全く同じ属性に準じた魔力。
それを反発させるように、一瞬のイメージ。ここには闇魔法の使い手がいないことを分かって、傍にいる二人に気付かれない程度に抑えつつ、わずかな本気を出した。
魔剣士「……ふっ!!」
周りから見れば、それは攻撃の動作ではない。ただ触れ、ただ口を開き、ただ岩を押し込んだだけ。なのに、超硬質化していたはずの岩が音を立てて"ボゴン!!"と砕けたことに、リッターを始めとする騎士団の全員が驚くばかりだった。
魔剣士「これで良いんだろ?」
…………
……
…
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―――その夜。
自宅に帰宅した二人。
白姫たちが準備していた晩の食事の席で、バンシィは興奮気味に「魔剣士お兄ちゃんが凄くて、凄くて!」と嬉しそうに連呼していた。
猛竜騎士「ほほぉー……」
白姫「さすが魔剣士!」
魔剣士「もういいよ、俺の話は……」
バンシィ「でも、本当にすごくてかっこよかったから……!」
よっぽど活躍したのが嬉しかったのか、鍛錬最中の魔剣士のことをほめ続けた。
岩の破壊が終了後、他の団員に目をつけられた魔剣士は団員に申し込まれた組手に、リッターが特例として認め、培った技でそれを打破。また、同時に別属性を発する魔法の技術の高さに驚かれ、一目置かれる存在になっていた。
魔剣士「元々、選考会でやらかしてたし悪い意味で目もつけられてただろ?」
バンシィ「うーうん、凄いっていう目で見られてたし…、お兄ちゃんてば凄くかっこよかった……」
白姫「へぇぇ……」
僅か一年で得た戦闘経験と技術は並大抵のものではなかったのだから、当然の結果ではあるが。
猛竜騎士「だが、そこにブレイダーはいなかったのか?」
魔剣士「あ…、おう。それが、俺もに気になって鍛錬終了後に聞いたんだが……」
猛竜騎士「ふむ」
魔剣士「ブレイダーはあくまでも象徴として存在するだけで、団長であるリッターが基本的に全権を預かっているらしい」
猛竜騎士「なるほどな。全権とはいえ、本来動かすべきは王であるだろうし、その辺はまぁ…いいか……」
ブレイダーは"象徴"であり、実技の及ぶところではない。
ただ、顔を出さねば信用もなくなるのが目に見えており、どこかのタイミングでは必ず現れるだろう。
猛竜騎士「それで、動きはあるのか?」
魔剣士「動き?」
猛竜騎士「騎士団としての動きだ。昼間に鍛錬をしていることは分かったが、肝心の世界掌握のために動いていることはあるのかという話で」
魔剣士「……あぁ、それはまだ無いな。なんつーか、マジでただの王城に属する騎士団と変わらない気がするな」
猛竜騎士「世界掌握のために動いているのは確かだろうが、まだ尻尾を見せていないということか」
魔剣士「取り敢えず、動きが有り次第に報告はするからよ」
猛竜騎士「うむ……」
ハイル王、ブレイダー、ブリレイ、今のセントラルを担う三人の男たちはいずれも目立つ動きを見せていない。
それともまさか、世界を掌握するなどという言葉は戯言であり、この騎士団の結成も本当にセントラルを守るだけのことだったのだろうか――…。
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リッター「明日の明朝より、南方港の制圧に入る。各自、セントラル王城の正門前に朝6時に集合してもらうぞ!」
魔剣士「……は?」
それは唐突に訪れた。
―――次の日の朝、道場内にて。
リッター「元々セントラル領の一部ではあるが、セントラル王直属の騎士団の権限を持って、港を閉鎖させる。既に先遣隊である兵士たちは向かっているはずだ!」
突然に下された騎士団としての命令。それは南方港を閉鎖させ、王都セントラルに属する兵士、戦士、騎士団のみ利用できるよう制限を行うものだった。
バンシィ「お兄ちゃん、これって……」
魔剣士「……思ったよりもずっと早く、裏で準備が進められてたって…ことか……」
どうやら秘密裏、水面下で世界掌握の作戦は動いていたらしい。
魔剣士(しかし、兵士が裏で動いていたとなると…。騎士団でもない面子に任せるっつーことは、兵士もいわゆる騎士団に属するってことなのか……?)
この読みは当たっていた。
当初より、ブリレイから王城の兵士たちは騎士団の選考に漏れた面子や、その場合は遠征として別の場所に飛ばされていたような話を聞いていたのだが。
リッター「既に、遠征隊として王城に属する兵士たちも各地から情報を伝達を受けている。お前たちは安心して暴れるだけで良い!」
魔剣士(……そういうことかよ…!)
最初から遠征に回された面子は"そういう役割"だったのだ。本隊として騎士団が完成するまでに、どのようなルートをもって世界を制圧できるのか、遠征隊によって判別をつけていたということだったらしい。
魔剣士(思ったよりも、ずっと手回しは早かったっつーことか……っ)
計画を気付くのに少し遅かったと、魔剣士が不味ったと頭を悩ませる。すると、騎士団の一人が「どうして俺たちが制圧の手助けをせにゃいかんのだ!」と声を上げた。
リッター「……ん?」
その声は最もな言葉で、突然「港を閉鎖しろ」と言われても納得が出来るはずがない。
元々が自由に動く面子なこともあって、それなりの理由がなければ動くことはないだろう。
リッター「全て、我らが騎士団の主である"ハイル王"のご命令だ。いかなる場合だろうと、ハイル王に背くことは許されん!」
理由らしい理由はない。そう言い切ったリッターに対して「ふざけるな!」と罵倒が飛び始める。
魔剣士(やっぱりな、こんな統率の取れない面子じゃ動くわけもねーんだよな……)
無理だろうなと一安心したのもつかの間、リッターは騎士団の心を簡単に掴む一言を発した。
リッター「南方港で起きたことは、ハイル王が直々に目をつぶる。お前たちに課せられた使命は、制圧の他に自由に暴れることだ!」
何をしても罪にはならないと、そう言った。
魔剣士「……はい?」
バンシィ「お、お兄ちゃん……」
魔剣士「ちょっと待て、そんなこと許可したら……!」
盛り上がらないわけがない。その許可が出た瞬間より、騎士団の全員が歓喜の声をあげた。狙っていた女も、金になる宝石店も、何もかも自由になるんだと、最悪な言葉ばかりが耳に入ってくる。
魔剣士(ちょっと待て、マジで言ってるのか…!最寄りの港を封鎖してセントラルへ有利に動かすってことは、もう本格的な始動をするってことじゃねーのか!?)
まさにその通りで、騎士団のメンバーが揃ってすぐに行動を起こさせるのはハイル王の命によってだった。
荒くれ者たちを騎士団としたところで、自由に動くに決まっている。例え金を積んでも、自由を求めていなくなるのは必須。ならば、考える暇もなく自由を与える褒賞を与えればよいと。
リッター「では、明日の朝6時に集合することだ。今日は前日ということで休暇を取るといい!」
先ほど前の反発の声はどこへやら、罪を罪なく行動できることにそれぞれが喜びに溢れている。
リッターは「ふぅ」とため息をつきつつ、魔剣士のもとへと近づいた。
リッター「魔剣士とバンシィ、ちょっといいか?」
魔剣士「んあ?」
リッター「ちょっとばかり、お前たちに用があるんだ。明日のことじゃなく、個人的に話をしたいことがある」
魔剣士「……何だ?」
………
…
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―――次の日。
騎士団の入団後より、魔剣士たちは朝9時に王城内にある"騎士団用武道場"へと集合していた。魔剣士はバンシィと不本意ながらも、至急された騎士団の制服を着用して足を運んでいた。
だが、きちんとした騎士団というのは名前だけで、所詮は冒険者なのか、道場内はダラダラと座る面々が多かった。統率力は今ひとつといったところだったが、団長リッターが来た途端、全員の顔色が変わる。
リッター「……ハハハッ!おはよう、諸君!!」
この挨拶と同時に、各々は立ち上がり、一部の面子は駆け寄って頭を下げる。
魔剣士「何じゃありゃ……」
バンシィ「何だか大人気だね……」
ジト目でそれを見つめる二人に、リッターは気づいて近づいてきた。
リッター「はっはっは、やっと制服を身に纏ったか!」
魔剣士「今朝、道場に来る前にフランメさん、バンシィさんと呼び止められてな……」
リッター「そうかそうか!きちんと着用しておけよ、それは最上位の魔法糸で縫われた対物理衝撃にも強い制服だからな!」
魔剣士「……道理で」
ならず者が多いはずの面子なのに、律儀に制服を着ている奴らが多いと思った。
魔剣士「まぁ、そんなことはどうでもいいんだが――…って、んあ?」
リッターが入って来た入口側から、二人の男が「うはは、すまない遅刻しちまった」と入って来たのが見えた。
魔剣士「おーいおい、遅刻者も多いんだな随分と……?」
リッター「ま、集まっている面子も理解しているしある程度は許容しているつもりだ。それに、今日は遅刻者を除き全員が揃っているようだしな」
魔剣士「ほぉ……」
どうやら道場内にいる50人近いこの面子が、騎士団の全員らしい。
魔剣士「ところで、騎士団だから集められるのは分かるが…これから何するんだ?」
リッター「……ん?それは愚問だな、決まっているだろう」
魔剣士「は?」
リッター「修行だ。セントラル郊外に出て、肉体の鍛錬や魔法の鍛錬に努める。直々に王から命令を受けるまでは、俺たちは毎日の修行をして過ごすんだ」
魔剣士「い、意外ときちんと行動してるのか。だけどよ、冒険者たちがいくら身体を動かすのが好きだっつっても……」
リッター「修行は好まず、サボる面子が多いと言いたいんだな」
魔剣士「……おうよ、そういうことだ」
自由に動きたい人間ばかりで、ただでさえ今も統率が取れていないのに、修行などと。
リッター「……それは王の考えるところであって、素晴らしき鍛錬方法がある」
魔剣士「素晴らしき鍛錬方法?」
リッター「なぁに、着いて来れば分かる」
魔剣士「お、おう……?」
リッターは道場内にいる全員に向かって、声を上げた。
「さぁ、今日も修行を始めるぞ!」と。
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――30分後。
セントラル郊外にある、荒地。
団員たちは隊列など気にしない様子で、だらだらとリッターへと着いてきていた。
魔剣士「随分と広い荒地だな…、こんな場所があったのか」
バンシィ「広いね……」
リッター「まぁ鍛錬向きの場所だな。ここなら、ある程度暴れても問題はない」
魔剣士「ふーん、それで何すんのよ?」
リッター「鍛錬は至って簡単だ。周囲にいくつもの岩があるだろう?」
魔剣士「あぁ、荒地だしな」
灰色の大地に、ゴツゴツとした、うっかり転べば血を流しそうな鋭利のような危険な岩が多く点在していた。
リッター「……ごほん、それじゃあ騎士団の全員!離れろ!!最終選考の面子も、人と距離を置くようにして目の前に岩がある位置へ移動!!」
魔剣士「うっさ!?」
バンシィ「うるさい……」
大声で注意を呼びかけるリッター。すると、全員はここでやっと統率の取れたようにうだうだとしながらも指示に従った。
魔剣士「お…?」
リッター「フランメとバンシィも一旦、距離を置いておけ。そうだな、そこの岩でいい」
二つの岩を指差し、離れるよう促す。
魔剣士「はいはい」
バンシィ「わかった……」
二人は離れ、リッターは「うむ!」と頷くと、肩に強い魔力を集中させ始めた。
魔剣士(……何だ?)
そして、次の瞬間。
リッター「どぉぉぉおおっ!!!!」
その場で強く、地面を思い切りぶん殴る。刹那、怒号と破壊音が"ゴォッ!!"と唸りをあげて、彼が叩いた場所を中心に衝撃波が円を描き波状していく。
魔剣士(ぬおっ!?)
バンシィ(これって、物理と…、魔力の波状……?)
やがて、波状が彼方に消えた頃、それぞれが立つ目の前の岩に"緑"の淡い色が形成されているのに気付く。
魔剣士「ん、なんじゃこ……」
リッター「新人がいるので、改めて説明をしておく!!」
魔剣士「お、おうっ?」
全員に聞こえる声量で、説明を始める。
リッター「お前たちの目の前にあるのは、物理及び魔力が半々の抵抗効果を持つ融合石だ!!今日はこれの破壊を目的とする!」
魔剣士「な、何?」
リッター「今日の破壊に成功した全員に10万ゴールドの金額が下りる!時間は12時まで、存分に腕を振るえ!」
魔剣士「……なるほど」
やる気のない面子が集まった理由は"お金"の存在があったからだ。
魔剣士(つーか……)
抵抗を付与された岩へと触れる。リッターの発した魔法は、この岩に対して間違いなく"半々"で対魔法と対物理の抵抗を宿していた。
魔剣士(この散らばった広さへ、狙った位置へ、しかも割り間違えることなく……)
冷や汗が出る。
普通の人間でもここまでの高みを目指せるものなのか。自分はイメージ操作による魔法で同じことが出来るだろうが、あくまでも闇魔法の力があってこそで、リッターはその類ではない。
魔剣士(マジかよ…。団長に選ばれるだけあるってことだ。それに、この鍛錬は理に適ってやがる……)
この岩を破壊するには、対物理、対魔力それぞれ半々に集中した攻撃が必要になる。
体内の具現化の生成の集中、攻撃のタイミング、あらゆる条件をクリアして初めてヒビを入れられるかどうか。これが破壊できるようになれば、基礎はもちろん、戦いにおける咄嗟の判断や動作といった応用力のレベルアップにも繋がる。
魔剣士(金を釣り道具に使うってのはいささかウゼェけど、こんな鍛錬やってたらそりゃ強くもなって……)
リッター「……どうしたフランメ、試さないのか?」
考察中、ふいにリッターに声をかけられた。
魔剣士「あ?……いや、そういうわけじゃねーけどよ、普段からこんなこと繰り返してたのか?」
リッター「こんなこととは?」
魔剣士「だから鍛錬だよ。騎士団の結成初期から、こういう鍛錬ばっかしてたのか?」
リッター「ま、ある程度はな。騎士団の人数が揃ってからはローテーションを組んで色々と鍛錬をしている」
魔剣士「ふーん、どんな感じなんだ?」
リッター「この鍛錬は12時まで、その後は1時間の休憩を挟んでから、体術実践だで俺が直々に指導する。骨が折れるくらいならヒーリングで何とかなるという配慮だな」
魔剣士「ははぁ……」
武器を持たせて手加減できる面子でもなし、首を刎ねられれば助けられるはずもなく。
リッター「あとはローテーションに、遠征し海で動きを制限された中での実践や同じような砕きの鍛錬、型、魔力を放ち限界まで挑戦すること、様々なことをしている」
魔剣士「意外ときちんとやってんのな……」
間違いなく一般的な冒険者の比ではない鍛錬量とレベル。それぞれが高い実力を保持しているだけに、実践一つで得られる経験は尋常ではない。
リッター「ま、その辺のローテは俺が考えてやっているが。それより、岩を砕けばボーナスが出るぞ、お前の実力を見せてみないか?」
魔剣士「あー……」
バンシィ「うん、僕もお兄ちゃんの実力見たいなー……」
魔剣士「…っうぉ!?」
いつの間にか近づいたバンシィが、魔剣士の腕にぎゅっと抱き着いた。
リッター「それとも、破壊する自信がないのか?……ほれ、もう何人かは既に破壊して寝ている奴もいるぞ?」
魔剣士「んあ……」
バンシィ然り、他の団員も既に破壊し終えた面子がいるようで、背中に風魔法を展開したまま浮いて寝ている者までいた。
魔剣士「本当にレベルたけーな…。バンシィも破壊しちまったのか」
バンシィ「うん、簡単だったよ」
魔剣士「物理技も必要だと思うんだが、お前…魔法以外にも物理的なパワーを持ってたのか?」
バンシィ「体内に無属性のパワー蓄積すれば簡単だったから…。人差し指と中指、薬指と小指、それぞれにこう…分けて物理無属性と純魔力を込めて殴るだけで……」
魔剣士「り、理論は分かるけどよ……」
机上で言われても、それを実際に行う技術力が凄まじい。
リッター「何だ、お前はバンシィよりも劣るのか?」
魔剣士「……あ?」
リッター「ハッハッハ、さっきからしゃべってばっかで行動を起こさないのでな。てっきり、その程度かと思ってなぁ!」
魔剣士「バカにしてんのか?」
弱く見られることにイラっとした反応を見せる。
リッター「なら、お前の前にいる岩を破壊してみろ。そこまで言うのなら簡単に破壊できるのだろう?」
魔剣士「フン……」
そっと掌を拡げ、岩へと触れた。
リッター「……ふむ、まずは感触を確かめるか」
バンシィ「思ったよりも硬いから、気を付けてねお兄ちゃん……」
魔剣士「…」
岩に付与された魔力を掌から読み取る。
いくらリッターが完璧たる戦士だとしても、これだけの力を使えば穴がある。
魔剣士「水、雷……、無属性、魔法を跳ね返す反発する魔力か……」
リッター「……何だと?」
わずかに、混じっていた。
魔剣士は攻撃らしい攻撃をせずとも、付与されたものと同じように魔法を発することでそれが壊れることを認知していた。
魔剣士「感覚なようなもんだがな。何となし、いける気がするぜ」
触れた掌から発した、岩に付与されたものと全く同じ属性に準じた魔力。
それを反発させるように、一瞬のイメージ。ここには闇魔法の使い手がいないことを分かって、傍にいる二人に気付かれない程度に抑えつつ、わずかな本気を出した。
魔剣士「……ふっ!!」
周りから見れば、それは攻撃の動作ではない。ただ触れ、ただ口を開き、ただ岩を押し込んだだけ。なのに、超硬質化していたはずの岩が音を立てて"ボゴン!!"と砕けたことに、リッターを始めとする騎士団の全員が驚くばかりだった。
魔剣士「これで良いんだろ?」
…………
……
…
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―――その夜。
自宅に帰宅した二人。
白姫たちが準備していた晩の食事の席で、バンシィは興奮気味に「魔剣士お兄ちゃんが凄くて、凄くて!」と嬉しそうに連呼していた。
猛竜騎士「ほほぉー……」
白姫「さすが魔剣士!」
魔剣士「もういいよ、俺の話は……」
バンシィ「でも、本当にすごくてかっこよかったから……!」
よっぽど活躍したのが嬉しかったのか、鍛錬最中の魔剣士のことをほめ続けた。
岩の破壊が終了後、他の団員に目をつけられた魔剣士は団員に申し込まれた組手に、リッターが特例として認め、培った技でそれを打破。また、同時に別属性を発する魔法の技術の高さに驚かれ、一目置かれる存在になっていた。
魔剣士「元々、選考会でやらかしてたし悪い意味で目もつけられてただろ?」
バンシィ「うーうん、凄いっていう目で見られてたし…、お兄ちゃんてば凄くかっこよかった……」
白姫「へぇぇ……」
僅か一年で得た戦闘経験と技術は並大抵のものではなかったのだから、当然の結果ではあるが。
猛竜騎士「だが、そこにブレイダーはいなかったのか?」
魔剣士「あ…、おう。それが、俺もに気になって鍛錬終了後に聞いたんだが……」
猛竜騎士「ふむ」
魔剣士「ブレイダーはあくまでも象徴として存在するだけで、団長であるリッターが基本的に全権を預かっているらしい」
猛竜騎士「なるほどな。全権とはいえ、本来動かすべきは王であるだろうし、その辺はまぁ…いいか……」
ブレイダーは"象徴"であり、実技の及ぶところではない。
ただ、顔を出さねば信用もなくなるのが目に見えており、どこかのタイミングでは必ず現れるだろう。
猛竜騎士「それで、動きはあるのか?」
魔剣士「動き?」
猛竜騎士「騎士団としての動きだ。昼間に鍛錬をしていることは分かったが、肝心の世界掌握のために動いていることはあるのかという話で」
魔剣士「……あぁ、それはまだ無いな。なんつーか、マジでただの王城に属する騎士団と変わらない気がするな」
猛竜騎士「世界掌握のために動いているのは確かだろうが、まだ尻尾を見せていないということか」
魔剣士「取り敢えず、動きが有り次第に報告はするからよ」
猛竜騎士「うむ……」
ハイル王、ブレイダー、ブリレイ、今のセントラルを担う三人の男たちはいずれも目立つ動きを見せていない。
それともまさか、世界を掌握するなどという言葉は戯言であり、この騎士団の結成も本当にセントラルを守るだけのことだったのだろうか――…。
………
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リッター「明日の明朝より、南方港の制圧に入る。各自、セントラル王城の正門前に朝6時に集合してもらうぞ!」
魔剣士「……は?」
それは唐突に訪れた。
―――次の日の朝、道場内にて。
リッター「元々セントラル領の一部ではあるが、セントラル王直属の騎士団の権限を持って、港を閉鎖させる。既に先遣隊である兵士たちは向かっているはずだ!」
突然に下された騎士団としての命令。それは南方港を閉鎖させ、王都セントラルに属する兵士、戦士、騎士団のみ利用できるよう制限を行うものだった。
バンシィ「お兄ちゃん、これって……」
魔剣士「……思ったよりもずっと早く、裏で準備が進められてたって…ことか……」
どうやら秘密裏、水面下で世界掌握の作戦は動いていたらしい。
魔剣士(しかし、兵士が裏で動いていたとなると…。騎士団でもない面子に任せるっつーことは、兵士もいわゆる騎士団に属するってことなのか……?)
この読みは当たっていた。
当初より、ブリレイから王城の兵士たちは騎士団の選考に漏れた面子や、その場合は遠征として別の場所に飛ばされていたような話を聞いていたのだが。
リッター「既に、遠征隊として王城に属する兵士たちも各地から情報を伝達を受けている。お前たちは安心して暴れるだけで良い!」
魔剣士(……そういうことかよ…!)
最初から遠征に回された面子は"そういう役割"だったのだ。本隊として騎士団が完成するまでに、どのようなルートをもって世界を制圧できるのか、遠征隊によって判別をつけていたということだったらしい。
魔剣士(思ったよりも、ずっと手回しは早かったっつーことか……っ)
計画を気付くのに少し遅かったと、魔剣士が不味ったと頭を悩ませる。すると、騎士団の一人が「どうして俺たちが制圧の手助けをせにゃいかんのだ!」と声を上げた。
リッター「……ん?」
その声は最もな言葉で、突然「港を閉鎖しろ」と言われても納得が出来るはずがない。
元々が自由に動く面子なこともあって、それなりの理由がなければ動くことはないだろう。
リッター「全て、我らが騎士団の主である"ハイル王"のご命令だ。いかなる場合だろうと、ハイル王に背くことは許されん!」
理由らしい理由はない。そう言い切ったリッターに対して「ふざけるな!」と罵倒が飛び始める。
魔剣士(やっぱりな、こんな統率の取れない面子じゃ動くわけもねーんだよな……)
無理だろうなと一安心したのもつかの間、リッターは騎士団の心を簡単に掴む一言を発した。
リッター「南方港で起きたことは、ハイル王が直々に目をつぶる。お前たちに課せられた使命は、制圧の他に自由に暴れることだ!」
何をしても罪にはならないと、そう言った。
魔剣士「……はい?」
バンシィ「お、お兄ちゃん……」
魔剣士「ちょっと待て、そんなこと許可したら……!」
盛り上がらないわけがない。その許可が出た瞬間より、騎士団の全員が歓喜の声をあげた。狙っていた女も、金になる宝石店も、何もかも自由になるんだと、最悪な言葉ばかりが耳に入ってくる。
魔剣士(ちょっと待て、マジで言ってるのか…!最寄りの港を封鎖してセントラルへ有利に動かすってことは、もう本格的な始動をするってことじゃねーのか!?)
まさにその通りで、騎士団のメンバーが揃ってすぐに行動を起こさせるのはハイル王の命によってだった。
荒くれ者たちを騎士団としたところで、自由に動くに決まっている。例え金を積んでも、自由を求めていなくなるのは必須。ならば、考える暇もなく自由を与える褒賞を与えればよいと。
リッター「では、明日の朝6時に集合することだ。今日は前日ということで休暇を取るといい!」
先ほど前の反発の声はどこへやら、罪を罪なく行動できることにそれぞれが喜びに溢れている。
リッターは「ふぅ」とため息をつきつつ、魔剣士のもとへと近づいた。
リッター「魔剣士とバンシィ、ちょっといいか?」
魔剣士「んあ?」
リッター「ちょっとばかり、お前たちに用があるんだ。明日のことじゃなく、個人的に話をしたいことがある」
魔剣士「……何だ?」
………
…
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