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第九章【セントラル】
9-54 覚悟の決着
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――王城の庭園。
白姫とバンシィ、リヒトらは戦いやすい場所を選び、最初の庭園で騎士団と衝突していた。
それほど広いというわけではないが、周りに巻き込む味方がいないことや、いざとなれば城壁を越えて逃げられることも考慮していたからだ。
リヒト「バンシィさん、大丈夫ですか!」
バンシィ「ずっと戦いやすい…、大丈夫…!白姫お姉ちゃんは大丈夫…!?」
白姫「な、何も出来なくてゴメンね……」
戦えないことを悔やんでも悔やみきれない。何人かは目を背けたくなるような、吐き気を催すほどの"死"を見せられたが、戦えずとも"人との戦い"がどのようなものなのか、その瞳はしっかりと全てを刻む。
リヒト「雷撃装填!」
バンシィ「氷…、いくよ……!」
雷と氷の範囲攻撃はかなり強く、特にある程度の自由が利くようになった二人の技はより一層派手に、そして強力なものとなっていた。
「ぐぁっ!き、斬られた!!」
「下がれ、俺がやる!回復、追い付いてねーぞ!!」
「うるっせーな、俺だって一生懸命なんだよ!!」
徐々に、実力差は露わとなっていく。
戦いやすい場所で、リヒトとバンシィの魔法は一発一発が致命傷クラスとなる。団員たちも、牙城となったリヒトとバンシィを崩せないでいた。
バンシィ「守ることは出来る!だけど……」
リヒト「えぇ、これでは終わりがありません!」
長丁場になれば、バンシィの弱点である"体力"の消費が仇となっていつ崩されるか分からない。
リヒト「仕方ない、バンシィさん!彼らの足元を全て凍結させられますか!?」
バンシィ「うん、それは出来るけど…何を……」
実は、この時。既に多くの魔力を放っていたバンシィの限界は近かった。リヒトはそれを理解し、最後の攻撃を行う準備を始める。
バンシィ「で、でもリヒトお兄ちゃんゴメン…!無詠唱じゃできないかもしれない……」
リヒト「呪文詠唱ですね…、了解しました!それまでは僕一人で彼らを抑えます!動きを止めないと、僕の威力が高い攻撃が命中しないと思うので!」
バンシィ「分かった…!」
リヒト「お願いします!」
バンシィ「……thu biguol en Friia, Volla ers suister…」
バンシィはその場で片膝をついて座り、掌を地面につけて、目を閉じて詠唱を始めた。それを隙と見た団員たちは一斉に襲い掛かるも、リヒトとて、そう簡単にやられはしない。
リヒト「近づけさせませんよ!」
扇状に放たれる雷撃は、襲い来る敵を全て弾き飛ばす。だが、その後から次々に押し寄せる騎士団に対処がままならない。次の団員の剣が、ついに迫る。
リヒト「くっ、多すぎる!」
バンシィ「……lid zi giden, sose gelimida……sin!」
リヒト「!」
バンシィ「いくよっ…!」
しかし、バンシィの詠唱はそれよりも更に早かった。
バンシィ「骨に骨、血には血を!手と足が四肢であるように、かつて賢き女ども座り、有る者は戒めの鎖を整え、敵の軍兵を抑えたり!来たれ氷の波よ!」
彼女の詠唱が終えると、その途端に地面に置く掌の周囲から青白い光が強く輝き、前方にいる騎士たちを飲み込む。本来ならば、いつか広場で見せた絶対氷結という氷の嵐の魔法であったのだが、魔力を放出し過ぎた今のバンシィの魔法は、彼らの下半身を凍らせる程度に収まる。
リヒト「―――だけど、充分です!!」
リヒトは剣先を団員らへ向け、刃の側面に片手を置く。掌を開き、指先に電撃を蓄積させ、今までよりも強く、バチバチ!と雷がみるみる巨大化する。5本の指先に、目に見えて"凶悪"な電撃が蓄積されたことに、団員たちは目を丸くするが。
「う、嘘だろ…!おいっ!!」
「止めてくれ、た、助けてくれ!!」
「動けない、なんだこの氷は…、う、動けないッ!!」
嫌な気配を察した団員たちは暴れるが、バンシィの氷結はそう簡単に逃れられない。広範囲に及ぶ氷結効果は、団員たちの一番奥にいた数人の回復役たちの動きも止めていた。
リヒト「白姫さん、これはただの処刑です。これは嫌ならば見なくても……」
白姫「……ダメだよ。これから作る未来のために、私は全てを見ると決めたから!」
バンシィ「さすがだよお姉ちゃん…。きっとお姉ちゃんならできるよ……」
リヒト「では、遠慮も必要ありませんね」と言い、蓄電した雷を一気に放出する。更にバンシィは力をふり絞り、鏡のように輝く薄い氷刃を作り出し、動けない団員らの首に投擲した。
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
―――そして王城、上空。
ブリレイは魔剣士から逃れるため、天井を破り空中へと飛ぶ。それを追った魔剣士は、上空でブリレイを範囲内に掴まえる。
魔剣士「ブリレイィィッ!!」
ブリレイ「魔剣士……!」
王城の真上、高い位置で二人はにらみ合う。ブリレイは先ほどの連撃により深いダメージがあるのだろう、時折、咳き込んでは血を吐いた。
ブリレイ「ごふっ…!き、貴様ァ……!」
魔剣士「テメェなんかより、よっぽどアサシンのほうが強かったぜ!覚悟決めろやぁ!!」
ブリレイ「黙れェ!!」
魔剣士「黙るのはテメェだコラァッ!」
風魔力を展開し、更に飛び上がる。ブリレイの真上を取るが、彼はまさかの反撃に転じた。
ブリレイ「見えているぞ!」
魔剣士「ッ!?」
闇の瞳は、目視できずとも感覚的にそれを読めたのだ。
ブリレイ「ぬぅおりゃあっ!!」
拳を突き立て、魔剣士の腹部へと打撃を加える。
魔剣士「ごほっ…!」
ブリレイ「貴様の身体、俺の魔刃ならば!」
とにかく魔法に長けたブリレイは、この状況でも集中し、脚に宿した魔力を刃として宿し、魔剣士の右腕を斬撃した。
魔剣士「痛ッ…!?」
鋭い痛みに、思わず剣を手放してしまう。剣は落下し、王城のてっぺんに突き刺さった。
魔剣士「ちっ…!」
ブリレイ「次はどうする!だが、魔法化されては困るのでな」
風の足場から、ブリレイは真横へと飛ぶ。落下を駆使して斜めに、右、左とジグザグに軌道を描く。
魔剣士「逃げるのかテメェ!!」
ブリレイ「フン…!」
彼を追い、魔剣士も飛ぶ。どうもブリレイが向かっていたのは、広場の方角であった。
魔剣士(こっちは広場…だが、今はまだ人が……!)
王城から近い広場には、今日の即位式を聞きつけた人々と、王城で起きている騒動についての野次馬など、大勢の国民たちが詰めかけていた。
魔剣士「待てブリレイ、お前何をするつもりだ!!」
ブリレイ「ククッ、別に何もない。ただ逃げているだけだが?」
明らかな嘘。斜めに落下、移動しているブリレイの目標は間違いなく"広場"にある。何か考えがあるに違いない。
魔剣士「人ごみに紛れて消えるつもりか!?俺の感知は、お前を逃がしはしねーぞ!!」
ブリレイ「さぁてな、どうだろうな……!」
空を翔ける二人は、グングン広場へと近づいていく。その頃、庭園でひと段落していたリヒトたちも、飛んでいく魔剣士を見つけてその方角から広場へ向かっていることを知る。
リヒト「あれは魔剣士さんたち…、ですがあの方角は!」
白姫「横に移動しているんじゃなくて、斜めに落ちてるけど……広場のほうに!」
バンシィ「何だか嫌な予感がする…!リヒトお兄ちゃん、白姫お姉ちゃん…!」
三人は頷き合い、壁を飛んで広場へと向かう。
……一方で、王城で戦い続けていた屈強な二人にも決着は迫る。
リッター「ぬぅぅおっ!!!」
猛竜騎士「うぉぉおっ!!!」
"ガキャアンッ!!!"
最早、高度な戦闘技術や魔法など以前に、力任せの打ち合いをしていた。
リッター「猛竜騎士、いい加減に目を覚ませ!!」
猛竜騎士「俺がどんなことをしてるかは重々承知している。しかし、それも良いという気になって仕方がない」
リッター「目を覚まさせるには、これしか…ないか……!」
猛竜騎士「何をしても無駄なことだ!」
打ち合いのさ中、リッターの奥義である十字斬を放つ。だが、手負いのリッターでは速度がなく、猛竜騎士は簡単に見切った。
猛竜騎士「ここでその技とは、愚かな男だ」
十字斬の二撃目を放つ前に、猛竜騎士は槍の柄でそれを弾く。そして、身体を捻じり、近距離での"竜突"を繰り出したのだ。
リッター「ッ!!」
構えなく、打ち合いのさ中に射出された槍の突技は、通常よりも威力はなかったが、今のリッターの脇を抉るには充分過ぎる火力だった。
リッター「ゴホッ…!?」
リッターの左脇腹を、猛竜騎士の槍が貫いた。その瞬間、両脚が尋常ではない震えで、身体を支えることが出来ない。内臓が傷つけられた血液は喉を通り口から吹き出す。
猛竜騎士「リッターともあろう男が、情けないことだ」
リッター「……ブフッ…!」
血の海が広がっていく。これで戦いは終わる。
猛竜騎士は槍を引き抜こうとしたが、その脇を抉った槍は、うんともすんとも動かなかった。
猛竜騎士(動かないだと…?)
それを見て、血を吹きながらブリレイは笑った。
リッター「よく見ろ、馬鹿者が…!」
脇腹を貫いた槍の先を、リッターは厚い掌で握りしめていた。力の勝負ならば、リッターに圧倒的な分がある。
リッター「さて、猛竜騎士くん…ゴホッ!」
猛竜騎士「無理をするな。死ぬぞ」
リッター「自我がある以上、お前を…ゲホッ!目覚め…ゴホゴホッ!させるには、これしかないだろうが…よ……!」
猛竜騎士「……本当に死ぬぞ」
リッターは右腕に魔力を込める。猛竜騎士は槍を抜こうとするが、微動だにせず。
リッター「いい加減、目を覚ますんだな」
次の瞬間、リッターの強烈な一撃が顔面に命中した。
………
…
―――王城の庭園。
白姫とバンシィ、リヒトらは戦いやすい場所を選び、最初の庭園で騎士団と衝突していた。
それほど広いというわけではないが、周りに巻き込む味方がいないことや、いざとなれば城壁を越えて逃げられることも考慮していたからだ。
リヒト「バンシィさん、大丈夫ですか!」
バンシィ「ずっと戦いやすい…、大丈夫…!白姫お姉ちゃんは大丈夫…!?」
白姫「な、何も出来なくてゴメンね……」
戦えないことを悔やんでも悔やみきれない。何人かは目を背けたくなるような、吐き気を催すほどの"死"を見せられたが、戦えずとも"人との戦い"がどのようなものなのか、その瞳はしっかりと全てを刻む。
リヒト「雷撃装填!」
バンシィ「氷…、いくよ……!」
雷と氷の範囲攻撃はかなり強く、特にある程度の自由が利くようになった二人の技はより一層派手に、そして強力なものとなっていた。
「ぐぁっ!き、斬られた!!」
「下がれ、俺がやる!回復、追い付いてねーぞ!!」
「うるっせーな、俺だって一生懸命なんだよ!!」
徐々に、実力差は露わとなっていく。
戦いやすい場所で、リヒトとバンシィの魔法は一発一発が致命傷クラスとなる。団員たちも、牙城となったリヒトとバンシィを崩せないでいた。
バンシィ「守ることは出来る!だけど……」
リヒト「えぇ、これでは終わりがありません!」
長丁場になれば、バンシィの弱点である"体力"の消費が仇となっていつ崩されるか分からない。
リヒト「仕方ない、バンシィさん!彼らの足元を全て凍結させられますか!?」
バンシィ「うん、それは出来るけど…何を……」
実は、この時。既に多くの魔力を放っていたバンシィの限界は近かった。リヒトはそれを理解し、最後の攻撃を行う準備を始める。
バンシィ「で、でもリヒトお兄ちゃんゴメン…!無詠唱じゃできないかもしれない……」
リヒト「呪文詠唱ですね…、了解しました!それまでは僕一人で彼らを抑えます!動きを止めないと、僕の威力が高い攻撃が命中しないと思うので!」
バンシィ「分かった…!」
リヒト「お願いします!」
バンシィ「……thu biguol en Friia, Volla ers suister…」
バンシィはその場で片膝をついて座り、掌を地面につけて、目を閉じて詠唱を始めた。それを隙と見た団員たちは一斉に襲い掛かるも、リヒトとて、そう簡単にやられはしない。
リヒト「近づけさせませんよ!」
扇状に放たれる雷撃は、襲い来る敵を全て弾き飛ばす。だが、その後から次々に押し寄せる騎士団に対処がままならない。次の団員の剣が、ついに迫る。
リヒト「くっ、多すぎる!」
バンシィ「……lid zi giden, sose gelimida……sin!」
リヒト「!」
バンシィ「いくよっ…!」
しかし、バンシィの詠唱はそれよりも更に早かった。
バンシィ「骨に骨、血には血を!手と足が四肢であるように、かつて賢き女ども座り、有る者は戒めの鎖を整え、敵の軍兵を抑えたり!来たれ氷の波よ!」
彼女の詠唱が終えると、その途端に地面に置く掌の周囲から青白い光が強く輝き、前方にいる騎士たちを飲み込む。本来ならば、いつか広場で見せた絶対氷結という氷の嵐の魔法であったのだが、魔力を放出し過ぎた今のバンシィの魔法は、彼らの下半身を凍らせる程度に収まる。
リヒト「―――だけど、充分です!!」
リヒトは剣先を団員らへ向け、刃の側面に片手を置く。掌を開き、指先に電撃を蓄積させ、今までよりも強く、バチバチ!と雷がみるみる巨大化する。5本の指先に、目に見えて"凶悪"な電撃が蓄積されたことに、団員たちは目を丸くするが。
「う、嘘だろ…!おいっ!!」
「止めてくれ、た、助けてくれ!!」
「動けない、なんだこの氷は…、う、動けないッ!!」
嫌な気配を察した団員たちは暴れるが、バンシィの氷結はそう簡単に逃れられない。広範囲に及ぶ氷結効果は、団員たちの一番奥にいた数人の回復役たちの動きも止めていた。
リヒト「白姫さん、これはただの処刑です。これは嫌ならば見なくても……」
白姫「……ダメだよ。これから作る未来のために、私は全てを見ると決めたから!」
バンシィ「さすがだよお姉ちゃん…。きっとお姉ちゃんならできるよ……」
リヒト「では、遠慮も必要ありませんね」と言い、蓄電した雷を一気に放出する。更にバンシィは力をふり絞り、鏡のように輝く薄い氷刃を作り出し、動けない団員らの首に投擲した。
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―――そして王城、上空。
ブリレイは魔剣士から逃れるため、天井を破り空中へと飛ぶ。それを追った魔剣士は、上空でブリレイを範囲内に掴まえる。
魔剣士「ブリレイィィッ!!」
ブリレイ「魔剣士……!」
王城の真上、高い位置で二人はにらみ合う。ブリレイは先ほどの連撃により深いダメージがあるのだろう、時折、咳き込んでは血を吐いた。
ブリレイ「ごふっ…!き、貴様ァ……!」
魔剣士「テメェなんかより、よっぽどアサシンのほうが強かったぜ!覚悟決めろやぁ!!」
ブリレイ「黙れェ!!」
魔剣士「黙るのはテメェだコラァッ!」
風魔力を展開し、更に飛び上がる。ブリレイの真上を取るが、彼はまさかの反撃に転じた。
ブリレイ「見えているぞ!」
魔剣士「ッ!?」
闇の瞳は、目視できずとも感覚的にそれを読めたのだ。
ブリレイ「ぬぅおりゃあっ!!」
拳を突き立て、魔剣士の腹部へと打撃を加える。
魔剣士「ごほっ…!」
ブリレイ「貴様の身体、俺の魔刃ならば!」
とにかく魔法に長けたブリレイは、この状況でも集中し、脚に宿した魔力を刃として宿し、魔剣士の右腕を斬撃した。
魔剣士「痛ッ…!?」
鋭い痛みに、思わず剣を手放してしまう。剣は落下し、王城のてっぺんに突き刺さった。
魔剣士「ちっ…!」
ブリレイ「次はどうする!だが、魔法化されては困るのでな」
風の足場から、ブリレイは真横へと飛ぶ。落下を駆使して斜めに、右、左とジグザグに軌道を描く。
魔剣士「逃げるのかテメェ!!」
ブリレイ「フン…!」
彼を追い、魔剣士も飛ぶ。どうもブリレイが向かっていたのは、広場の方角であった。
魔剣士(こっちは広場…だが、今はまだ人が……!)
王城から近い広場には、今日の即位式を聞きつけた人々と、王城で起きている騒動についての野次馬など、大勢の国民たちが詰めかけていた。
魔剣士「待てブリレイ、お前何をするつもりだ!!」
ブリレイ「ククッ、別に何もない。ただ逃げているだけだが?」
明らかな嘘。斜めに落下、移動しているブリレイの目標は間違いなく"広場"にある。何か考えがあるに違いない。
魔剣士「人ごみに紛れて消えるつもりか!?俺の感知は、お前を逃がしはしねーぞ!!」
ブリレイ「さぁてな、どうだろうな……!」
空を翔ける二人は、グングン広場へと近づいていく。その頃、庭園でひと段落していたリヒトたちも、飛んでいく魔剣士を見つけてその方角から広場へ向かっていることを知る。
リヒト「あれは魔剣士さんたち…、ですがあの方角は!」
白姫「横に移動しているんじゃなくて、斜めに落ちてるけど……広場のほうに!」
バンシィ「何だか嫌な予感がする…!リヒトお兄ちゃん、白姫お姉ちゃん…!」
三人は頷き合い、壁を飛んで広場へと向かう。
……一方で、王城で戦い続けていた屈強な二人にも決着は迫る。
リッター「ぬぅぅおっ!!!」
猛竜騎士「うぉぉおっ!!!」
"ガキャアンッ!!!"
最早、高度な戦闘技術や魔法など以前に、力任せの打ち合いをしていた。
リッター「猛竜騎士、いい加減に目を覚ませ!!」
猛竜騎士「俺がどんなことをしてるかは重々承知している。しかし、それも良いという気になって仕方がない」
リッター「目を覚まさせるには、これしか…ないか……!」
猛竜騎士「何をしても無駄なことだ!」
打ち合いのさ中、リッターの奥義である十字斬を放つ。だが、手負いのリッターでは速度がなく、猛竜騎士は簡単に見切った。
猛竜騎士「ここでその技とは、愚かな男だ」
十字斬の二撃目を放つ前に、猛竜騎士は槍の柄でそれを弾く。そして、身体を捻じり、近距離での"竜突"を繰り出したのだ。
リッター「ッ!!」
構えなく、打ち合いのさ中に射出された槍の突技は、通常よりも威力はなかったが、今のリッターの脇を抉るには充分過ぎる火力だった。
リッター「ゴホッ…!?」
リッターの左脇腹を、猛竜騎士の槍が貫いた。その瞬間、両脚が尋常ではない震えで、身体を支えることが出来ない。内臓が傷つけられた血液は喉を通り口から吹き出す。
猛竜騎士「リッターともあろう男が、情けないことだ」
リッター「……ブフッ…!」
血の海が広がっていく。これで戦いは終わる。
猛竜騎士は槍を引き抜こうとしたが、その脇を抉った槍は、うんともすんとも動かなかった。
猛竜騎士(動かないだと…?)
それを見て、血を吹きながらブリレイは笑った。
リッター「よく見ろ、馬鹿者が…!」
脇腹を貫いた槍の先を、リッターは厚い掌で握りしめていた。力の勝負ならば、リッターに圧倒的な分がある。
リッター「さて、猛竜騎士くん…ゴホッ!」
猛竜騎士「無理をするな。死ぬぞ」
リッター「自我がある以上、お前を…ゲホッ!目覚め…ゴホゴホッ!させるには、これしかないだろうが…よ……!」
猛竜騎士「……本当に死ぬぞ」
リッターは右腕に魔力を込める。猛竜騎士は槍を抜こうとするが、微動だにせず。
リッター「いい加減、目を覚ますんだな」
次の瞬間、リッターの強烈な一撃が顔面に命中した。
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