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第七章【氷山帝国】
7-4 還る場所
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………………………………………………
―――数分後。
魔剣士「…何で俺がこんなこと」
猛竜騎士「もうしばらくの辛抱だ。我慢しろ」
魔剣士「ちっ…」
猛竜騎士「魔馬が動くまでは時間がかかるんだ。分かってくれ」
魔剣士「分かってるっつーの」
無事にレイスを撃破し終えた魔剣士は、馬車へと戻るとその膨大な魔力を生かしてランプ番を任されていた。
運転手は安全になったことを確認すると、一目散に魔馬のワゴン側へと移動し魔馬の魔力の再燃と走るための餌を与える必要があるため、出発まで少しの間、暖のために魔剣士が他の負担を軽減するように魔力を放出し続けていたというわけである。
猛竜騎士(しかし…)
魔剣士の放つ黄金の魔力は、ランプを通して一帯に暖かさをもたらしていたのだがそれは何とも心地いい光だった。熱が目に見えて停滞しているようで、下手をすると魔馬の錬金暖防具よりも柔らかく疲労すら癒してくれているのではないかというほどであった。
白姫「魔剣士、私も手伝うよ!」
魔剣士「アホ…お前にそんな維持する魔力はねーだろ」
白姫「う…、でもやろうと思えばやれるもん!」
魔剣士「無理すんなっての」
白姫「むぅ~」
魔剣士「いいから休んでろ。お前もさっきまでこのランプに魔力を使ってたんだろ?」
白姫「でも…」
魔剣士「でもじゃないっての」
白姫「…分かった」
魔剣士「よろしい」
まるで夫婦漫才だと、猛竜騎士は笑いながらそれを見ていたが、どうにも何か気になったのかランプの協力を行った一人が魔剣士のもとへ近づいた。
銀魔術師「……貴方、それどうなってるの?」
魔剣士「あん?誰だよ」
銀魔術師「失礼。私は銀魔術師っていうんだけど、みんなには魔法研究家"セージ(賢者の意)"って呼ばれてる」
銀魔術師(セージ)「だから、セージって呼んでくれたら嬉しいかな」
魔剣士「ソーセージ?」
セージ「あのね」
魔剣士「別にほっといてくれ」
セージ「魔法研究家としてその魔法は気になるのよ。見せてくれない?」
魔剣士「やなこった」
セージ「ちょっと」
言い合いに発展しそうな雰囲気を察した猛竜騎士は、それを制止し、割り込むように隣へと腰を降ろした。
猛竜騎士「っと、俺の仲間なんです。身内に聞きたいことがあるんでどいてもらっても?」
セージ「ちょっと!」
猛竜騎士「魔剣士、いいか?」
魔剣士「ん?」
猛竜騎士は、気になっていたところもあり、その質問を投げつけた。
猛竜騎士「お前ら、レイスが現れる前に"雪中行軍"と口にしていたな?」
魔剣士「…あぁ」
白姫「あ、はい」
猛竜騎士「どこで知った?」
魔剣士「あん?」
白姫「何をですか?」
猛竜騎士「その雪中行軍、なぜ…この周辺で亡くなったと知ったんだ?」
魔剣士「知ったんだ?って、そりゃ聞いてただろ?」
猛竜騎士「ん?」
魔剣士「ほら、ババァいたじゃん。いや…ババァって言い方はあれだけど」
猛竜騎士「お婆さんがいたのか?」
魔剣士「いただろ?」
猛竜騎士「いや、知らないが…」
魔剣士「は?節穴かよ」
猛竜騎士「寒さのあまりに頭をやられたのか?」
魔剣士「ぶっ殺すぞ」
白姫「も、猛竜騎士さん!いましたよ!」
猛竜騎士「本当か?」
白姫「はい、私たちの近くで一緒にお話しをしてました!猛竜騎士さんも見ていたはずなんですが…」
猛竜騎士「……いや、知らないぞ」
白姫「えっ…?」
魔剣士「どうでもいいが、俺の言うことは信じないオッサンの脳天をかちわりてぇ気持ちは真実だよ」
猛竜騎士「ふむ…どういうことだ……」
魔剣士「聞けよ」
この状況で嘘をつけるはずもなく、実際この二人は老婆としゃべっていた。
だが、猛竜騎士が"その二人が老婆としゃべっていた"という時間で見ていたのは、二人の正面、誰もいない唯一の空席に虚ろ目でぶつぶつとしゃべる姿だけだった……。
…………
……
…
魔剣士「あァ…?」
魔剣士「だから何だよ…」
猛竜騎士(ん…?)
魔剣士「何をだよ…。あん……?」
白姫「せっちゅー…こーぐん……?」
猛竜騎士(何だと…?)
魔剣士「知らねぇことは知らねぇんだ、仕方ねーだろうが」
魔剣士「んで、その雪中行軍がどうしたんだよ」
魔剣士「そうなのか」
魔剣士「そうか…」
魔剣士「…氷の中にか」
猛竜騎士(魔剣士…?)
白姫「……その方たちがいたから、今は平和にこうして吹雪の中を走れるんですよね」
白姫「有難うございます……」
猛竜騎士(白姫…?)
…
……
…………
魔剣士「は?」
白姫「え…」
猛竜騎士「俺はてっきり寝ぼけているのかと思ったが、今考えればどうにも変な話だと思ってな」
魔剣士「……ちょ、ちょっと待ってくれ。あのババァはいるはずだって!」
白姫「そ、そうですよ!お婆さんは私たちと一緒にお話ししました!」
猛竜騎士「なら、見渡してみろ。今日の客に…お婆さんは誰一人いないぞ」
魔剣士「おうよ!」
二人は辺りを見渡す。しかし、疲れから眠る者、魔力を消費し横になる者、手伝った冒険者たちは見つけられたものの、先に話をした"老婆"の姿はどこにもなかった。
魔剣士「い、いねぇ!」
白姫「どうして…!」
猛竜騎士「だから最初からいないんだよ、そんなお婆さんは」
魔剣士「嘘つけって!絶対に俺と白姫は話をしたんだよ!息子がこの雪中行軍で、この辺で亡くなったって!聞いたんだ!」
白姫「私も聞きました!」
猛竜騎士「何ッ…!?」
その一言で、車内で起きていた人々が起き上がり"ざわり"と声が走った。
魔剣士「な、何だよ……」
猛竜騎士「お前、その婆さんは息子が雪中行軍で亡くなったと言ったのか」
魔剣士「おうよ!この氷山帝国の道を切り開くため、"200人"以上が同時に亡くなったとか!」
白姫「氷山帝国の切り開くためにって言ってました!」
猛竜騎士「そ、それは…!」
北方大地の港で"行軍で大勢亡くなった"とは伝えたが、その位置や人数の詳細は伝えていない。この二人が勉強を知るわけもないし、しかも問題はそれだけではなかった。
猛竜騎士「よ、よく聞け二人とも…」
魔剣士「んだよ!」
白姫「は、はい」
"猛竜騎士「氷山帝国の切り開きで亡くなった200名の雪中行軍は、今から500年前の話だ」"
魔剣士「へ…」
白姫「えっ」
"猛竜騎士「お前の言うのが母親だとしたら、少なくとも600歳近いということになる」"
魔剣士「え…」
白姫「え…!」
猛竜騎士「お前たちの口ぶりから、真実だと信じるよ。だが、それが俺の知る真実だ」
魔剣士「ま…まま、まさか……」
白姫「どういうことですか…」
猛竜騎士「言葉にするのも億劫だが、それはその……」
"アレ"なんだろう。
そう口にしようとした時、ワゴン側から運転手が再び現れた。
運転手「皆さま、お待たせいたしました!準備が終えたので、魔馬はすぐに走り始めます!」
猛竜騎士「そうですか、良かった…」
運転手「中間地点を過ぎたので、あとは魔馬が勝手に道なりに走ります。それに、ちょっと変わったことがあって…」
猛竜騎士「どうかしましたか?」
運転手「あの、その…雪が……止んだんですよ」
猛竜騎士「…何ですって」
運転手「ほら……」
指を差した方向、窓ガラスに目をやると、どうして気づかなかったのか先ほどまでの暴風は嘘のように静まり、広大な雪山が燦々太陽に照らされていた。
猛竜騎士「こ、こんなバカな!」
運転手「えぇ…あり得ない話です。こんなこと、50年以上やってきて初めてですよ…」
猛竜騎士「門を境にして決して止むことがない雪のはずなのに、何故!」
運転手「とりあえず出発は致しますが、どうにも不思議なことばかり……」
運転手は首をかしげながらも、ワゴン側へと戻って行った。魔剣士と白姫はこの事態に対し様々なことが重なってキョトンとした表情だったが、猛竜騎士と、それ以上にセージが目を丸くして窓ガラスに映る山々を見つめていた。
セージ「あ、あり得ない!ありないッ!!」
魔剣士「そんな驚くことか?」
セージ「何を言ってるの!!この雪山が晴れるなんて、古書には記載されていたけど実際にそうなるなんて…そんな!」
魔剣士「驚き過ぎだろ」
セージ「当たり前でしょう!てっきり伝記程度の話だと思ってたのに…!」
魔剣士「へぇ、そういうレベルなのか。よく分からんが」
白姫「伝記とかあるんですね?」
セージ「それこそ、そうっ!さっき貴方たちが言ってた変なお話、歴史書では行軍が出発した理由は"晴れ"だったからって言われるの!」
セージ「だけど、すぐに嵐が訪れて行方不明になってそのまま……」
セージ「そしてその後、彼らの遺体が目印となって、氷山帝国までの道を作った……」
セージ「彼らは必要な犠牲とは言わないけど、この晴れがなかったら今日の道は出来ていなかったかもしれないのよ?」
セージ「だけどこの晴れは歴史書が、伝記が本当のものだって位置づける証拠!伝記は真実を語るものに近づいたってことなのよ!」
魔剣士「あ、あぁそういうこと…」
セージ「この晴れを目にできたのは、本当に幸運…。連合で発表出来る!」
魔剣士「連合?」
セージ「えぇ、私は氷山帝国の魔法連合に勤めてるの。あなたの身体も気になるから、着いたら調べさせてもらうからね!」
魔剣士「はっ…」
セージ「ま、今はそれよりメモメモ!フッフッフ、連合で発表したら目が飛び出すわよ~……♪」
嬉しそうにセージは椅子のうえで上機嫌で何かをメモし始めたようだった。
魔剣士「意味わかんねぇ女……」
猛竜騎士「というか魔剣士。別に謎が解けたわけじゃないんだぞ」
魔剣士「あぁ」
猛竜騎士「お前の見た老婆、そしてこの晴れ。というか、声とかも言ってたがどういうことだ?」
魔剣士「ん…」
白姫「あ、えっとそれは…」
白姫「私がその兵士さんたちに"有難う"と言ったら、お婆さんが"還る"とか、お礼にお宝をくれるとか言って……」
魔剣士「あ、そうだ!あのババァは宝をくれるとか言ってさ、声が聞こえて来ただろうとか言ったんだよ!」
猛竜騎士「声…?」
魔剣士「そう!んで、すぐに"ひしひし"って聞こえてきて!」
猛竜騎士「声が、ひし…ひし……?」
魔剣士「そうだよ。そしたらすぐに、あのレイスらだろ?意味わっかんねぇ!」
猛竜騎士「……あの音は、レイスの現れる音だぞ」
魔剣士「あぁ、そう…だっけ?」
猛竜騎士「レイス自体の発生や、音の条件は分からないが…あれがなければ全滅していたかもしれん」
魔剣士「あのババァが呼んだとか?」
猛竜騎士「それは分からないが…」
魔剣士「わっかんねぇなぁ」
猛竜騎士「繋がりそうなんだが、繋がらない…な」
魔剣士「ババァはいねぇしさ…」
白姫「お婆さん、消えちゃったのかな……」
謎の鍵が開き掛かっている気がするのに、分からない。じれったい状況が続いたが、ここで連合の女がそれに意見をしたくなったのか、メモを取りながらも口を開いた。
セージ「私たちにとっては眉唾ものだけど、それでもいいなら話をするわよ」
魔剣士「あん?」
白姫「ふぇ?」
猛竜騎士「ふむ…?」
セージ「特別だからね。レイスの発生条件は、そこのオッサンの言う通り生命の遺体ということは分かってる」
猛竜騎士「ちょっと待て、お前オッサンて」
セージ「魔法連合によるとレイスは"遺体"に残る魔力が何らかの理由で具現化し、吸収性を持って攻撃的になったもの…つまり変異したものと言われているわ」
猛竜騎士「なるほど、確かにその可能性もあるな」
セージ「だけど音の発生原因は分からないし、それがなかったら私たちは死んでいたでしょうね」
魔剣士「そ、そうだな……」
セージ「でもね…このルートは今まで、開通してからずっと…それこそ500年近くはレイスの目撃証言は出ていない」
セージ「なのにこのタイミングで、わざわざ音を出してまでっていうのは研究家として気になる点ではある」
セージ「そこで、私なりの見解よ」
魔剣士「お、おう」
白姫「ど、どういうことなんでしょうか!」
猛竜騎士「良ければ聞かせてくれるか」
セージ「まず、レイスの発生が遺体から残った魔力の変異化が原因と定めた時」
セージ「恐らく発生条件の一つは天候にある。日差しもしくは太陽の出現が原因の可能性が高い」
セージ「500年近く出没していなかったレイスが、この伝記と同じ晴れに現れたことで、恐らくそれは密接な関係にあることは間違いないわ」
セージ「晴れの出現条件は不明だけど、今日はどことなく温度がいつもより高いと思ってたけど、そういうことだったのね」
白姫「そういえば猛竜騎士さん、馬車に乗るときにちょっと暑いとか言ってませんでしたか?」
魔剣士「あ、確かにそういえば言ってたな」
猛竜騎士「あぁ……」
………
猛竜騎士「なるほどな。しかし、前に来た時に比べてもちょっと暑い気はするんだが…」
魔剣士「更年期障害」
猛竜騎士「そんな歳じゃねぇよ!」
魔剣士「へっ、まぁ座ろうぜ」
猛竜騎士「お前な…。はぁ、まぁ良い…座るか……」
白姫「はいっ」
………
セージ「猛竜騎士さん、中々の良いセンスを持ってるわね」
魔剣士「…でもよ、ソーセージババァさん」
セージ「ぶん殴るわよ」
魔剣士「でもよ…レイスの出現条件は分かっても、婆さんの話とは関係ねぇだろ?」
セージ「だから、眉唾だっていったでしょ」
魔剣士「ん?」
セージ「ここからは、研究家としての話は最悪だから聞き流してほしいんだけどね」
セージ「……いい?」
魔剣士「おう…?」
白姫「は、はいっ」
猛竜騎士「ふむ……」
セージ「あのね……」
…………
……
…
………………………………………………
―――もしもの話。
そのお婆さんが本当にそこにいて、行軍出なくなった兵士の親御さんだったら。"還らない"息子を迎えにきていたのかもしれない。
陽の目の当たらない場所で、冷たいまま土へとも戻れない息子の為に…そうね。いつかの晴れる日を信じて、今日までずっと待っていたのかもしれない。
……何度も言うけど、私が研究家としては最悪の言葉よ?
レイスは別称、"魂の意味"もある。遺体からの出現ばかりだし、昔からレイスは魂の叫びとも呼ばれてた。
だから、500年の時を経てやっと太陽を見ること叶い、空へと返れる今日だからこそ"レイス"現れたのかも。
それでね、その親御さんはそこの娘に"有難う"と言われたから、レイスの声をプレゼントした。
そのクソ生意気な魔剣士くんが、彼らに"人の命を奪う"という罪を着せないため、魂の浄化をしてくれるとも信じて。
………………………………………………
セージ「……って感じね」
魔剣士「お前な、良い話風にしてるけど殴られても文句いえねぇ構成してたぞオイ」
セージ「あらそうかしら?」
魔剣士「いい度胸してるな、ソーセージババァ…」
セージ「お互い様でしょ、魔剣士クン」
魔剣士「あァ!?」
セージ「何よ」
魔剣士「てめ……!」
セージに近寄ろうとした魔剣士を、猛竜騎士は肩を掴んでそれを止めた。
猛竜騎士「やめとけ、魔剣士」
魔剣士「ちっ……!」
猛竜騎士「争うこともないだろう。それに、眉唾と言いつつセージさんもそれを信じている風だったように思えるよ」
セージ「さぁーね。だけど言っちゃったことはどう捉えても結構。勝手に考えて頂戴」
猛竜騎士「フフ、確かにそうかもしれないな。良い事をしたんだと思ってもいいのかね」
セージ「だから、どう捉えても結構。今を生きてれば充分だし、結果が良ければそれでいいのよ」
猛竜騎士「そうかい」
セージ「そうよ…」
結果が良ければ全てよし、か。猛竜騎士が妙な納得をしていると、後ろで黙っていた白姫が声を出して涙を流しており、魔剣士はそれに気づくとすぐに急いで傍へと駆け寄った。
魔剣士「ど、どうした!?」
白姫「あぅあぅ…お婆さん、良い人過ぎるよぉ……」
魔剣士「い、いやそうだけどさ!幽霊とかの話になるし、あのソーセージの話に泣くところあったか!?」
白姫「いっぱいあるよぉ~…!ぐすっ…」
魔剣士「そ、そうか!じゃあえっと…ハンカチやるよ!これで涙を拭けって、ほら!」
白姫「ありがとぉ~…あうぅ~……」
魔剣士「あららら、ちょっと泣きすぎだろって…!」
慌てふためく魔剣士に、セージも思わずクスリと笑みを浮かべる。
セージ「ちょっとは優しいところがあるのね。あの女の子は相当な優しいというか…甘いようにも思えるけど」
猛竜騎士「自慢の仲間さ」
"セージ「ふぅん、セントラル王城の白姫さんがねぇ」"
猛竜騎士「たまたま一緒の名で呼んでいるだけさ」
セージ「他の人は騙せても、私は騙せないけどね。賞金首、でしょう」
猛竜騎士「い、いや…!」
セージ「さっきはあの子を思って、名前が一緒なだけで他は知らない振りをしたけど、全部知ってるわよ」
猛竜騎士(魔法研究家、まさかそんな情報が極北まで…!)
セージ「なぁにそんな面喰ったような表情をして。私が首を狙うとでも?」
猛竜騎士「事情を知っているなら、容赦も出来ないぞ」
セージ「あら怖い」
猛竜騎士「俺らを知って、どうするつもりだ」
セージ「そんな怖い目をする人だったのね。さっきまでリーダーシップをとって、優しい方だと思っていたのに」
猛竜騎士「女とて、容赦はしないと言ったはずだ」
腰に着けた短刀と、槍へとそっと手を伸ばす。その眼は最早、敵意を持って彼女を見つめていた。
猛竜騎士「お前は研究家と謳った、その正体はハンターか」
セージ「あり得ないわよ。私は魔法連合本部の人間だと言ったでしょう」
猛竜騎士「頭がいいのなら、その言葉を口にすることで俺らが敵と認識するのは分かったはずだ」
セージ「面白いことが好きなのよ」
猛竜騎士「敵意を持つような情報をわざわざ口に出す人間に、信用はない」
セージ「面白いわね、貴方」
猛竜騎士「眠るように堕とすことが容易とは言っておく」
セージ「暗殺が得意ってわけ?」
猛竜騎士「喰らうか?」
セージ「あのねぇ、何度も言うけど私は連合の人間なの。ハンターじゃないし、賞金に興味もない」
猛竜騎士「本当に面白さだけで、俺の敵意を出したというのか」
セージ「私はどうなるか気になったらそれを試さずにはいられないのよ」
猛竜騎士「研究家よりも冒険者に近い考えだな。やはり貴様……」
セージ「だから、取引をしましょうか」
猛竜騎士「取引だと?」
セージ「フフッ、周りに聞こえると困るからもっとこっちに……」
猛竜騎士「うおっ…!」
セージは猛竜騎士の裾を引っ張り、耳元へと口を近づけ、妖艶の声で呟く。
セージ「あの子、闇魔法の持ち主でしょう…?」
猛竜騎士「なっ…!」
セージ「黄金色はそれだけしかない。だから、魔法連合で研究論文か何かで扱い方も探しに来たとか…?」
猛竜騎士「そ、それは…」
セージ「隠さなくてもいいのよ。闇魔法、バーサク魔法を知れる機会なんてないんだから」
猛竜騎士「そうは言ってもだな…!」
セージ「たぶんだけど、西方大地でそれを知るきっかけになったのかなって思ったんだけど…?」
猛竜騎士「な、何故それを!」
セージ「簡単なことよ。この馬車の出発の日、道具を買い込んでベンチに座る貴方たちを見たの…」
セージ「だから当日に到着したことと、その日は西方大地の船しか到着していないことからそう予想した……」
セージ「違うかしら?」
猛竜騎士「何が…目的だ……」
セージ「だから好奇心よ。それと、取引っていったでしょう」
猛竜騎士「何の取引だというんだ…」
セージ「白姫さんを秘密にするし、彼女を隠すことに協力してあげる。氷山帝国は連合所属の人間の力が強いのよ」
猛竜騎士「見返りに何を望む」
セージ「魔剣士クンを研究させて。極秘研究所があるから、そこで彼の力を見たいの…」
猛竜騎士「実験体にするつもりか」
セージ「力を見たいだけよ。それだけ、私は一度知りたいと思ったことは諦められないのよ…フフッ……」
猛竜騎士「…」
セージの言葉は疑わしい部分も多いものの、二人の素性を見抜かれた以上どのみちそれに手を染めねばならない可能性があった。
しかし、猛竜騎士は彼女がそういう取引を望むのならば、こちらとしても"ある条件"を付けようと思い浮かぶ。
セージ「どう?」
猛竜騎士「……なら、条件がある」
セージ「なぁに?私の身体かしら?」
猛竜騎士「違う!連合が知っている闇魔法の扱い方、最も安全で事実に結び付いている扱い方を教えてくれるか」
当初の目的の一つ、魔剣士の闇魔法を昇華させること。これはセージにとっても悪い取引ではなかった。
もちろん、その答えは。
セージ「お安い御用。今の時代に、闇魔法がどれほどのパワーを持つのか実際に目で見たいから教えるに決まってる」
猛竜騎士「なら、良いだろう。後は白姫に簡単な魔法術も教えるつもりだ」
セージ「分かったわ。協力する、取引成立ね?」
猛竜騎士「仕方ないだろう…」
セージ「そう…有難う」
取引は成立した。だが、彼女が白姫や魔剣士を売らないという確証はない。
猛竜騎士はそれを絶対とするため、「万が一があったら俺はお前を手に染める」。そう口にしようとした。しかし、その口はまさかの形で塞がれる。
セージ「じゃあお礼をあげる。これはツケよ」
猛竜騎士「ん……」
セージは猛竜騎士の頭を捕まえると、自らの顔へと引き寄せ、唇を重ねたのだ。
猛竜騎士「んっ!」
勿論、それでやめるつもりはない。艶やかな表情を見せるセージは、更に――…。
猛竜騎士「やめろっ…!」
続けようとするセージに、猛竜騎士はそれを振り切った。
セージ「あっ!もう……っ」
猛竜騎士「な、何を…!」
セージ「フフッ、興味を持ったからそれだけよ」
猛竜騎士「それだけで…」
セージ「嫌だったかしら?」
猛竜騎士「そういうことじゃない!突然のことで…」
セージ「嫌じゃなかったの。それだけでも私は嬉しいから…良しとしてあげる」
猛竜騎士「く…!」
実は、彼女は意外にも美貌を兼ね備えていた。振りまく長髪に、表情は艶やかなものがあり、"オンナ"という言葉が当てはまるほどに。
そんな女性にいきなり唇を重ねられた猛竜騎士は、忠告することも忘れてしまった。
猛竜騎士「普通、見ず知らずの男にキスをするか!?」
セージ「気に入って、興味を持った。あの状況下で動ける男性に、ときめかない女性はいないと思うわよ?」
猛竜騎士「たまたまだ!俺が動けたから動いた。しかも、実際に倒したのは俺じゃなく魔剣士だろうが!」
セージ「子どもに興味はないから。リーダーとなってみんなを救ったのは事実。だから、興味を持ったの」
猛竜騎士「だからといってな、いきなり…!」
セージ「こういう性分だって言ったでしょう。それより、取引は成立したんだから帝国についたらよろしく頼むわよ?」
猛竜騎士「……分かったよ!」
セージ「宿泊場所も全部用意するから。最高の夜を過ごせるように、最高の部屋を用意するわ」
猛竜騎士「…ッ!」
考えてみれば、勢いで余計な取引をしてしまったようだと思わず顔をしかめる猛竜騎士。幸い魔剣士らにキスには気づかれることはなかったようで、何かを話す二人をこちらへ呼び、仕方なく今後の予定を説明。
魔剣士は当然のごとく「俺ぁモルモットじゃねぇぇ!」と叫んだが、セージの「闇魔法をもっと上手く使えるように教えてアゲル」という言葉に「分かった」と納得し、白姫は相変わらず疑うことを知らず「よろしくお願いします♪」と嬉しそうに微笑んだ。
その後、馬車は問題なく氷山帝国までの道を進み、出発から遅れること11時間後、ついに一行は氷山帝国へと辿り着く―――…。
…………
……
…
セージ(……だけど、レイスのことは本当に不思議ね)
セージ(信じたくはないけど、それが魂だとしたら、太陽を見て魔力を帯びた剣の斬撃程度で浄化するのかしら?)
セージ(魔剣士クンが切り裂いたのは一瞬だけで、本当はもしかしたら……)
ひし…ひし…
…………ひしっ……
ひしっ…………
…………
……
…
―――数分後。
魔剣士「…何で俺がこんなこと」
猛竜騎士「もうしばらくの辛抱だ。我慢しろ」
魔剣士「ちっ…」
猛竜騎士「魔馬が動くまでは時間がかかるんだ。分かってくれ」
魔剣士「分かってるっつーの」
無事にレイスを撃破し終えた魔剣士は、馬車へと戻るとその膨大な魔力を生かしてランプ番を任されていた。
運転手は安全になったことを確認すると、一目散に魔馬のワゴン側へと移動し魔馬の魔力の再燃と走るための餌を与える必要があるため、出発まで少しの間、暖のために魔剣士が他の負担を軽減するように魔力を放出し続けていたというわけである。
猛竜騎士(しかし…)
魔剣士の放つ黄金の魔力は、ランプを通して一帯に暖かさをもたらしていたのだがそれは何とも心地いい光だった。熱が目に見えて停滞しているようで、下手をすると魔馬の錬金暖防具よりも柔らかく疲労すら癒してくれているのではないかというほどであった。
白姫「魔剣士、私も手伝うよ!」
魔剣士「アホ…お前にそんな維持する魔力はねーだろ」
白姫「う…、でもやろうと思えばやれるもん!」
魔剣士「無理すんなっての」
白姫「むぅ~」
魔剣士「いいから休んでろ。お前もさっきまでこのランプに魔力を使ってたんだろ?」
白姫「でも…」
魔剣士「でもじゃないっての」
白姫「…分かった」
魔剣士「よろしい」
まるで夫婦漫才だと、猛竜騎士は笑いながらそれを見ていたが、どうにも何か気になったのかランプの協力を行った一人が魔剣士のもとへ近づいた。
銀魔術師「……貴方、それどうなってるの?」
魔剣士「あん?誰だよ」
銀魔術師「失礼。私は銀魔術師っていうんだけど、みんなには魔法研究家"セージ(賢者の意)"って呼ばれてる」
銀魔術師(セージ)「だから、セージって呼んでくれたら嬉しいかな」
魔剣士「ソーセージ?」
セージ「あのね」
魔剣士「別にほっといてくれ」
セージ「魔法研究家としてその魔法は気になるのよ。見せてくれない?」
魔剣士「やなこった」
セージ「ちょっと」
言い合いに発展しそうな雰囲気を察した猛竜騎士は、それを制止し、割り込むように隣へと腰を降ろした。
猛竜騎士「っと、俺の仲間なんです。身内に聞きたいことがあるんでどいてもらっても?」
セージ「ちょっと!」
猛竜騎士「魔剣士、いいか?」
魔剣士「ん?」
猛竜騎士は、気になっていたところもあり、その質問を投げつけた。
猛竜騎士「お前ら、レイスが現れる前に"雪中行軍"と口にしていたな?」
魔剣士「…あぁ」
白姫「あ、はい」
猛竜騎士「どこで知った?」
魔剣士「あん?」
白姫「何をですか?」
猛竜騎士「その雪中行軍、なぜ…この周辺で亡くなったと知ったんだ?」
魔剣士「知ったんだ?って、そりゃ聞いてただろ?」
猛竜騎士「ん?」
魔剣士「ほら、ババァいたじゃん。いや…ババァって言い方はあれだけど」
猛竜騎士「お婆さんがいたのか?」
魔剣士「いただろ?」
猛竜騎士「いや、知らないが…」
魔剣士「は?節穴かよ」
猛竜騎士「寒さのあまりに頭をやられたのか?」
魔剣士「ぶっ殺すぞ」
白姫「も、猛竜騎士さん!いましたよ!」
猛竜騎士「本当か?」
白姫「はい、私たちの近くで一緒にお話しをしてました!猛竜騎士さんも見ていたはずなんですが…」
猛竜騎士「……いや、知らないぞ」
白姫「えっ…?」
魔剣士「どうでもいいが、俺の言うことは信じないオッサンの脳天をかちわりてぇ気持ちは真実だよ」
猛竜騎士「ふむ…どういうことだ……」
魔剣士「聞けよ」
この状況で嘘をつけるはずもなく、実際この二人は老婆としゃべっていた。
だが、猛竜騎士が"その二人が老婆としゃべっていた"という時間で見ていたのは、二人の正面、誰もいない唯一の空席に虚ろ目でぶつぶつとしゃべる姿だけだった……。
…………
……
…
魔剣士「あァ…?」
魔剣士「だから何だよ…」
猛竜騎士(ん…?)
魔剣士「何をだよ…。あん……?」
白姫「せっちゅー…こーぐん……?」
猛竜騎士(何だと…?)
魔剣士「知らねぇことは知らねぇんだ、仕方ねーだろうが」
魔剣士「んで、その雪中行軍がどうしたんだよ」
魔剣士「そうなのか」
魔剣士「そうか…」
魔剣士「…氷の中にか」
猛竜騎士(魔剣士…?)
白姫「……その方たちがいたから、今は平和にこうして吹雪の中を走れるんですよね」
白姫「有難うございます……」
猛竜騎士(白姫…?)
…
……
…………
魔剣士「は?」
白姫「え…」
猛竜騎士「俺はてっきり寝ぼけているのかと思ったが、今考えればどうにも変な話だと思ってな」
魔剣士「……ちょ、ちょっと待ってくれ。あのババァはいるはずだって!」
白姫「そ、そうですよ!お婆さんは私たちと一緒にお話ししました!」
猛竜騎士「なら、見渡してみろ。今日の客に…お婆さんは誰一人いないぞ」
魔剣士「おうよ!」
二人は辺りを見渡す。しかし、疲れから眠る者、魔力を消費し横になる者、手伝った冒険者たちは見つけられたものの、先に話をした"老婆"の姿はどこにもなかった。
魔剣士「い、いねぇ!」
白姫「どうして…!」
猛竜騎士「だから最初からいないんだよ、そんなお婆さんは」
魔剣士「嘘つけって!絶対に俺と白姫は話をしたんだよ!息子がこの雪中行軍で、この辺で亡くなったって!聞いたんだ!」
白姫「私も聞きました!」
猛竜騎士「何ッ…!?」
その一言で、車内で起きていた人々が起き上がり"ざわり"と声が走った。
魔剣士「な、何だよ……」
猛竜騎士「お前、その婆さんは息子が雪中行軍で亡くなったと言ったのか」
魔剣士「おうよ!この氷山帝国の道を切り開くため、"200人"以上が同時に亡くなったとか!」
白姫「氷山帝国の切り開くためにって言ってました!」
猛竜騎士「そ、それは…!」
北方大地の港で"行軍で大勢亡くなった"とは伝えたが、その位置や人数の詳細は伝えていない。この二人が勉強を知るわけもないし、しかも問題はそれだけではなかった。
猛竜騎士「よ、よく聞け二人とも…」
魔剣士「んだよ!」
白姫「は、はい」
"猛竜騎士「氷山帝国の切り開きで亡くなった200名の雪中行軍は、今から500年前の話だ」"
魔剣士「へ…」
白姫「えっ」
"猛竜騎士「お前の言うのが母親だとしたら、少なくとも600歳近いということになる」"
魔剣士「え…」
白姫「え…!」
猛竜騎士「お前たちの口ぶりから、真実だと信じるよ。だが、それが俺の知る真実だ」
魔剣士「ま…まま、まさか……」
白姫「どういうことですか…」
猛竜騎士「言葉にするのも億劫だが、それはその……」
"アレ"なんだろう。
そう口にしようとした時、ワゴン側から運転手が再び現れた。
運転手「皆さま、お待たせいたしました!準備が終えたので、魔馬はすぐに走り始めます!」
猛竜騎士「そうですか、良かった…」
運転手「中間地点を過ぎたので、あとは魔馬が勝手に道なりに走ります。それに、ちょっと変わったことがあって…」
猛竜騎士「どうかしましたか?」
運転手「あの、その…雪が……止んだんですよ」
猛竜騎士「…何ですって」
運転手「ほら……」
指を差した方向、窓ガラスに目をやると、どうして気づかなかったのか先ほどまでの暴風は嘘のように静まり、広大な雪山が燦々太陽に照らされていた。
猛竜騎士「こ、こんなバカな!」
運転手「えぇ…あり得ない話です。こんなこと、50年以上やってきて初めてですよ…」
猛竜騎士「門を境にして決して止むことがない雪のはずなのに、何故!」
運転手「とりあえず出発は致しますが、どうにも不思議なことばかり……」
運転手は首をかしげながらも、ワゴン側へと戻って行った。魔剣士と白姫はこの事態に対し様々なことが重なってキョトンとした表情だったが、猛竜騎士と、それ以上にセージが目を丸くして窓ガラスに映る山々を見つめていた。
セージ「あ、あり得ない!ありないッ!!」
魔剣士「そんな驚くことか?」
セージ「何を言ってるの!!この雪山が晴れるなんて、古書には記載されていたけど実際にそうなるなんて…そんな!」
魔剣士「驚き過ぎだろ」
セージ「当たり前でしょう!てっきり伝記程度の話だと思ってたのに…!」
魔剣士「へぇ、そういうレベルなのか。よく分からんが」
白姫「伝記とかあるんですね?」
セージ「それこそ、そうっ!さっき貴方たちが言ってた変なお話、歴史書では行軍が出発した理由は"晴れ"だったからって言われるの!」
セージ「だけど、すぐに嵐が訪れて行方不明になってそのまま……」
セージ「そしてその後、彼らの遺体が目印となって、氷山帝国までの道を作った……」
セージ「彼らは必要な犠牲とは言わないけど、この晴れがなかったら今日の道は出来ていなかったかもしれないのよ?」
セージ「だけどこの晴れは歴史書が、伝記が本当のものだって位置づける証拠!伝記は真実を語るものに近づいたってことなのよ!」
魔剣士「あ、あぁそういうこと…」
セージ「この晴れを目にできたのは、本当に幸運…。連合で発表出来る!」
魔剣士「連合?」
セージ「えぇ、私は氷山帝国の魔法連合に勤めてるの。あなたの身体も気になるから、着いたら調べさせてもらうからね!」
魔剣士「はっ…」
セージ「ま、今はそれよりメモメモ!フッフッフ、連合で発表したら目が飛び出すわよ~……♪」
嬉しそうにセージは椅子のうえで上機嫌で何かをメモし始めたようだった。
魔剣士「意味わかんねぇ女……」
猛竜騎士「というか魔剣士。別に謎が解けたわけじゃないんだぞ」
魔剣士「あぁ」
猛竜騎士「お前の見た老婆、そしてこの晴れ。というか、声とかも言ってたがどういうことだ?」
魔剣士「ん…」
白姫「あ、えっとそれは…」
白姫「私がその兵士さんたちに"有難う"と言ったら、お婆さんが"還る"とか、お礼にお宝をくれるとか言って……」
魔剣士「あ、そうだ!あのババァは宝をくれるとか言ってさ、声が聞こえて来ただろうとか言ったんだよ!」
猛竜騎士「声…?」
魔剣士「そう!んで、すぐに"ひしひし"って聞こえてきて!」
猛竜騎士「声が、ひし…ひし……?」
魔剣士「そうだよ。そしたらすぐに、あのレイスらだろ?意味わっかんねぇ!」
猛竜騎士「……あの音は、レイスの現れる音だぞ」
魔剣士「あぁ、そう…だっけ?」
猛竜騎士「レイス自体の発生や、音の条件は分からないが…あれがなければ全滅していたかもしれん」
魔剣士「あのババァが呼んだとか?」
猛竜騎士「それは分からないが…」
魔剣士「わっかんねぇなぁ」
猛竜騎士「繋がりそうなんだが、繋がらない…な」
魔剣士「ババァはいねぇしさ…」
白姫「お婆さん、消えちゃったのかな……」
謎の鍵が開き掛かっている気がするのに、分からない。じれったい状況が続いたが、ここで連合の女がそれに意見をしたくなったのか、メモを取りながらも口を開いた。
セージ「私たちにとっては眉唾ものだけど、それでもいいなら話をするわよ」
魔剣士「あん?」
白姫「ふぇ?」
猛竜騎士「ふむ…?」
セージ「特別だからね。レイスの発生条件は、そこのオッサンの言う通り生命の遺体ということは分かってる」
猛竜騎士「ちょっと待て、お前オッサンて」
セージ「魔法連合によるとレイスは"遺体"に残る魔力が何らかの理由で具現化し、吸収性を持って攻撃的になったもの…つまり変異したものと言われているわ」
猛竜騎士「なるほど、確かにその可能性もあるな」
セージ「だけど音の発生原因は分からないし、それがなかったら私たちは死んでいたでしょうね」
魔剣士「そ、そうだな……」
セージ「でもね…このルートは今まで、開通してからずっと…それこそ500年近くはレイスの目撃証言は出ていない」
セージ「なのにこのタイミングで、わざわざ音を出してまでっていうのは研究家として気になる点ではある」
セージ「そこで、私なりの見解よ」
魔剣士「お、おう」
白姫「ど、どういうことなんでしょうか!」
猛竜騎士「良ければ聞かせてくれるか」
セージ「まず、レイスの発生が遺体から残った魔力の変異化が原因と定めた時」
セージ「恐らく発生条件の一つは天候にある。日差しもしくは太陽の出現が原因の可能性が高い」
セージ「500年近く出没していなかったレイスが、この伝記と同じ晴れに現れたことで、恐らくそれは密接な関係にあることは間違いないわ」
セージ「晴れの出現条件は不明だけど、今日はどことなく温度がいつもより高いと思ってたけど、そういうことだったのね」
白姫「そういえば猛竜騎士さん、馬車に乗るときにちょっと暑いとか言ってませんでしたか?」
魔剣士「あ、確かにそういえば言ってたな」
猛竜騎士「あぁ……」
………
猛竜騎士「なるほどな。しかし、前に来た時に比べてもちょっと暑い気はするんだが…」
魔剣士「更年期障害」
猛竜騎士「そんな歳じゃねぇよ!」
魔剣士「へっ、まぁ座ろうぜ」
猛竜騎士「お前な…。はぁ、まぁ良い…座るか……」
白姫「はいっ」
………
セージ「猛竜騎士さん、中々の良いセンスを持ってるわね」
魔剣士「…でもよ、ソーセージババァさん」
セージ「ぶん殴るわよ」
魔剣士「でもよ…レイスの出現条件は分かっても、婆さんの話とは関係ねぇだろ?」
セージ「だから、眉唾だっていったでしょ」
魔剣士「ん?」
セージ「ここからは、研究家としての話は最悪だから聞き流してほしいんだけどね」
セージ「……いい?」
魔剣士「おう…?」
白姫「は、はいっ」
猛竜騎士「ふむ……」
セージ「あのね……」
…………
……
…
………………………………………………
―――もしもの話。
そのお婆さんが本当にそこにいて、行軍出なくなった兵士の親御さんだったら。"還らない"息子を迎えにきていたのかもしれない。
陽の目の当たらない場所で、冷たいまま土へとも戻れない息子の為に…そうね。いつかの晴れる日を信じて、今日までずっと待っていたのかもしれない。
……何度も言うけど、私が研究家としては最悪の言葉よ?
レイスは別称、"魂の意味"もある。遺体からの出現ばかりだし、昔からレイスは魂の叫びとも呼ばれてた。
だから、500年の時を経てやっと太陽を見ること叶い、空へと返れる今日だからこそ"レイス"現れたのかも。
それでね、その親御さんはそこの娘に"有難う"と言われたから、レイスの声をプレゼントした。
そのクソ生意気な魔剣士くんが、彼らに"人の命を奪う"という罪を着せないため、魂の浄化をしてくれるとも信じて。
………………………………………………
セージ「……って感じね」
魔剣士「お前な、良い話風にしてるけど殴られても文句いえねぇ構成してたぞオイ」
セージ「あらそうかしら?」
魔剣士「いい度胸してるな、ソーセージババァ…」
セージ「お互い様でしょ、魔剣士クン」
魔剣士「あァ!?」
セージ「何よ」
魔剣士「てめ……!」
セージに近寄ろうとした魔剣士を、猛竜騎士は肩を掴んでそれを止めた。
猛竜騎士「やめとけ、魔剣士」
魔剣士「ちっ……!」
猛竜騎士「争うこともないだろう。それに、眉唾と言いつつセージさんもそれを信じている風だったように思えるよ」
セージ「さぁーね。だけど言っちゃったことはどう捉えても結構。勝手に考えて頂戴」
猛竜騎士「フフ、確かにそうかもしれないな。良い事をしたんだと思ってもいいのかね」
セージ「だから、どう捉えても結構。今を生きてれば充分だし、結果が良ければそれでいいのよ」
猛竜騎士「そうかい」
セージ「そうよ…」
結果が良ければ全てよし、か。猛竜騎士が妙な納得をしていると、後ろで黙っていた白姫が声を出して涙を流しており、魔剣士はそれに気づくとすぐに急いで傍へと駆け寄った。
魔剣士「ど、どうした!?」
白姫「あぅあぅ…お婆さん、良い人過ぎるよぉ……」
魔剣士「い、いやそうだけどさ!幽霊とかの話になるし、あのソーセージの話に泣くところあったか!?」
白姫「いっぱいあるよぉ~…!ぐすっ…」
魔剣士「そ、そうか!じゃあえっと…ハンカチやるよ!これで涙を拭けって、ほら!」
白姫「ありがとぉ~…あうぅ~……」
魔剣士「あららら、ちょっと泣きすぎだろって…!」
慌てふためく魔剣士に、セージも思わずクスリと笑みを浮かべる。
セージ「ちょっとは優しいところがあるのね。あの女の子は相当な優しいというか…甘いようにも思えるけど」
猛竜騎士「自慢の仲間さ」
"セージ「ふぅん、セントラル王城の白姫さんがねぇ」"
猛竜騎士「たまたま一緒の名で呼んでいるだけさ」
セージ「他の人は騙せても、私は騙せないけどね。賞金首、でしょう」
猛竜騎士「い、いや…!」
セージ「さっきはあの子を思って、名前が一緒なだけで他は知らない振りをしたけど、全部知ってるわよ」
猛竜騎士(魔法研究家、まさかそんな情報が極北まで…!)
セージ「なぁにそんな面喰ったような表情をして。私が首を狙うとでも?」
猛竜騎士「事情を知っているなら、容赦も出来ないぞ」
セージ「あら怖い」
猛竜騎士「俺らを知って、どうするつもりだ」
セージ「そんな怖い目をする人だったのね。さっきまでリーダーシップをとって、優しい方だと思っていたのに」
猛竜騎士「女とて、容赦はしないと言ったはずだ」
腰に着けた短刀と、槍へとそっと手を伸ばす。その眼は最早、敵意を持って彼女を見つめていた。
猛竜騎士「お前は研究家と謳った、その正体はハンターか」
セージ「あり得ないわよ。私は魔法連合本部の人間だと言ったでしょう」
猛竜騎士「頭がいいのなら、その言葉を口にすることで俺らが敵と認識するのは分かったはずだ」
セージ「面白いことが好きなのよ」
猛竜騎士「敵意を持つような情報をわざわざ口に出す人間に、信用はない」
セージ「面白いわね、貴方」
猛竜騎士「眠るように堕とすことが容易とは言っておく」
セージ「暗殺が得意ってわけ?」
猛竜騎士「喰らうか?」
セージ「あのねぇ、何度も言うけど私は連合の人間なの。ハンターじゃないし、賞金に興味もない」
猛竜騎士「本当に面白さだけで、俺の敵意を出したというのか」
セージ「私はどうなるか気になったらそれを試さずにはいられないのよ」
猛竜騎士「研究家よりも冒険者に近い考えだな。やはり貴様……」
セージ「だから、取引をしましょうか」
猛竜騎士「取引だと?」
セージ「フフッ、周りに聞こえると困るからもっとこっちに……」
猛竜騎士「うおっ…!」
セージは猛竜騎士の裾を引っ張り、耳元へと口を近づけ、妖艶の声で呟く。
セージ「あの子、闇魔法の持ち主でしょう…?」
猛竜騎士「なっ…!」
セージ「黄金色はそれだけしかない。だから、魔法連合で研究論文か何かで扱い方も探しに来たとか…?」
猛竜騎士「そ、それは…」
セージ「隠さなくてもいいのよ。闇魔法、バーサク魔法を知れる機会なんてないんだから」
猛竜騎士「そうは言ってもだな…!」
セージ「たぶんだけど、西方大地でそれを知るきっかけになったのかなって思ったんだけど…?」
猛竜騎士「な、何故それを!」
セージ「簡単なことよ。この馬車の出発の日、道具を買い込んでベンチに座る貴方たちを見たの…」
セージ「だから当日に到着したことと、その日は西方大地の船しか到着していないことからそう予想した……」
セージ「違うかしら?」
猛竜騎士「何が…目的だ……」
セージ「だから好奇心よ。それと、取引っていったでしょう」
猛竜騎士「何の取引だというんだ…」
セージ「白姫さんを秘密にするし、彼女を隠すことに協力してあげる。氷山帝国は連合所属の人間の力が強いのよ」
猛竜騎士「見返りに何を望む」
セージ「魔剣士クンを研究させて。極秘研究所があるから、そこで彼の力を見たいの…」
猛竜騎士「実験体にするつもりか」
セージ「力を見たいだけよ。それだけ、私は一度知りたいと思ったことは諦められないのよ…フフッ……」
猛竜騎士「…」
セージの言葉は疑わしい部分も多いものの、二人の素性を見抜かれた以上どのみちそれに手を染めねばならない可能性があった。
しかし、猛竜騎士は彼女がそういう取引を望むのならば、こちらとしても"ある条件"を付けようと思い浮かぶ。
セージ「どう?」
猛竜騎士「……なら、条件がある」
セージ「なぁに?私の身体かしら?」
猛竜騎士「違う!連合が知っている闇魔法の扱い方、最も安全で事実に結び付いている扱い方を教えてくれるか」
当初の目的の一つ、魔剣士の闇魔法を昇華させること。これはセージにとっても悪い取引ではなかった。
もちろん、その答えは。
セージ「お安い御用。今の時代に、闇魔法がどれほどのパワーを持つのか実際に目で見たいから教えるに決まってる」
猛竜騎士「なら、良いだろう。後は白姫に簡単な魔法術も教えるつもりだ」
セージ「分かったわ。協力する、取引成立ね?」
猛竜騎士「仕方ないだろう…」
セージ「そう…有難う」
取引は成立した。だが、彼女が白姫や魔剣士を売らないという確証はない。
猛竜騎士はそれを絶対とするため、「万が一があったら俺はお前を手に染める」。そう口にしようとした。しかし、その口はまさかの形で塞がれる。
セージ「じゃあお礼をあげる。これはツケよ」
猛竜騎士「ん……」
セージは猛竜騎士の頭を捕まえると、自らの顔へと引き寄せ、唇を重ねたのだ。
猛竜騎士「んっ!」
勿論、それでやめるつもりはない。艶やかな表情を見せるセージは、更に――…。
猛竜騎士「やめろっ…!」
続けようとするセージに、猛竜騎士はそれを振り切った。
セージ「あっ!もう……っ」
猛竜騎士「な、何を…!」
セージ「フフッ、興味を持ったからそれだけよ」
猛竜騎士「それだけで…」
セージ「嫌だったかしら?」
猛竜騎士「そういうことじゃない!突然のことで…」
セージ「嫌じゃなかったの。それだけでも私は嬉しいから…良しとしてあげる」
猛竜騎士「く…!」
実は、彼女は意外にも美貌を兼ね備えていた。振りまく長髪に、表情は艶やかなものがあり、"オンナ"という言葉が当てはまるほどに。
そんな女性にいきなり唇を重ねられた猛竜騎士は、忠告することも忘れてしまった。
猛竜騎士「普通、見ず知らずの男にキスをするか!?」
セージ「気に入って、興味を持った。あの状況下で動ける男性に、ときめかない女性はいないと思うわよ?」
猛竜騎士「たまたまだ!俺が動けたから動いた。しかも、実際に倒したのは俺じゃなく魔剣士だろうが!」
セージ「子どもに興味はないから。リーダーとなってみんなを救ったのは事実。だから、興味を持ったの」
猛竜騎士「だからといってな、いきなり…!」
セージ「こういう性分だって言ったでしょう。それより、取引は成立したんだから帝国についたらよろしく頼むわよ?」
猛竜騎士「……分かったよ!」
セージ「宿泊場所も全部用意するから。最高の夜を過ごせるように、最高の部屋を用意するわ」
猛竜騎士「…ッ!」
考えてみれば、勢いで余計な取引をしてしまったようだと思わず顔をしかめる猛竜騎士。幸い魔剣士らにキスには気づかれることはなかったようで、何かを話す二人をこちらへ呼び、仕方なく今後の予定を説明。
魔剣士は当然のごとく「俺ぁモルモットじゃねぇぇ!」と叫んだが、セージの「闇魔法をもっと上手く使えるように教えてアゲル」という言葉に「分かった」と納得し、白姫は相変わらず疑うことを知らず「よろしくお願いします♪」と嬉しそうに微笑んだ。
その後、馬車は問題なく氷山帝国までの道を進み、出発から遅れること11時間後、ついに一行は氷山帝国へと辿り着く―――…。
…………
……
…
セージ(……だけど、レイスのことは本当に不思議ね)
セージ(信じたくはないけど、それが魂だとしたら、太陽を見て魔力を帯びた剣の斬撃程度で浄化するのかしら?)
セージ(魔剣士クンが切り裂いたのは一瞬だけで、本当はもしかしたら……)
ひし…ひし…
…………ひしっ……
ひしっ…………
…………
……
…
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