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第七章【氷山帝国】
7-5 氷山帝国
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………………………………………………
ブルノース・ポートを馬車にて出発してから実に11時間。魔剣士一行は、レイスの襲撃を受けながらも無事に氷山帝国へと到着した。
道中、氷山帝国に存在する"魔法連合"の所属員と名乗る女"セージ"と出会ってしまったことで、白姫の存在を隠し魔剣士の闇魔法の扱い方を提供するという取引のもと、魔剣士は彼女の実験体となることとなってしまった。
………………………………………………
魔剣士「到着したのか……」
白姫「ここが氷山帝国なんですね!」
猛竜騎士「あぁ、氷に覆われた北方大地の中心であり心臓部、首都"氷山帝国"だ」
セージ「いわゆる中央大地のセントラル王都みたいなものね」
白姫「凄いキレイな光景ですね…っ」
氷山帝国の門に入ると、以前の話通りに門の中ということもあってか"都市部"が建つほどに気候は安定していたものの空の流れは早く、雲はあっという間に形を変えながら消えていく。
辺りには雪が積もり、河川のような場所も見えたがそれは氷り付き、その上で穴を掘って釣りをしている人々の様子も見ることが出来た。
また、建物は雪を考慮したドーム型ものも多かったが、意外にも高層的で、ガラスで造られた見たことのないようなビル群がいくつか点在していた。
魔剣士「なんじゃこりゃ……」
セージ「驚いたでしょ。錬金術の結晶、ここは世界におけるもっとも近代の技術がある場所といっても過言じゃないのよ」
白姫「す、凄いです!なんか雪も白くてキラキラしてるのに、透明でガラスで造られた建物とかもあって、なんかこう、とにかくすごいです!!」
セージ「全く、白姫さんは裏表がない笑顔で本当に可愛いんだから」
白姫「えぇっ!」
猛竜騎士「……いやしかし、驚いたぞ」
セージ「うん?その言葉はおかしいわね。あなたは一度この帝国へ来たことがあるんじゃなかったかしら?」
猛竜騎士「俺が来た時はもっとドーム状のレンガに魔力を付与した程度の防寒を施した建物ばかりだった」
猛竜騎士「いや、それでもこの大地でその技術があったことは驚かされたものだったが」
猛竜騎士「高層ビル…というのか、それは点在していたが魔法連合本部のみで…今はここまでの発展をしているとは思わなかったんだ」
セージ「ここ最近、急激に技術が上がってね。今まで出来なかったガラスへの氷結耐性の付与や、それに影響を与えない暖房具が次々開発されたの」
猛竜騎士「だから高層の建物で、ガラスだけであそこまでの建物が出来たのか」
セージ「もちろん、貴方たちが滞在してもらうホテルはあのビル群のひとつで、最高のお持て成しをするから安心してちょーだい♪」
魔剣士「おぉ、マジか!?」
セージ「ま、そこに宿泊してもらうことが貴方たちを管理するのに手っ取り早いから♪」
魔剣士「あぁ?」
セージ「フフッ、すぐに分かるから焦らないの」
魔剣士「変な隠し事してるとシワが増えるぞソーセージババァ」
セージ「ぶち殺すわよ」
「少しは穏便に出来ないのか…」
猛竜騎士は一言漏らすが、聞く耳を持つはずもなく罵倒の言い合いのままセージは街の案内を行うのだった。
一方、白姫はクスクスと笑いつつ雪の降る幻想的な町並みに目を輝かせていた。
白姫「でも、凄く綺麗な街ですね…♪」
セージ「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
白姫「ここは氷山帝国っていう名前なのに、街なんですよね?」
セージ「お姫様観点のお話?」
白姫「い、いえ!ちょっと気になっただけで!」
セージ「そう。氷山帝国は、この街自体が"国"として機能をしているから…実際の国という言葉にはちょっと小さすぎるかもしれないわね」
白姫「他の街と併せての"国"という言葉じゃないんですか?」
セージ「それぞれが門と雪山に区切られているから、厳密な区切りはないけど…そのうち氷山帝国という名前に恥じない本当に国になるとは思ってる」
白姫「そうですかっ」
セージ「まぁ、それも難しい話なんだけどねぇ」
白姫「どうしてですか?」
セージ「政治的な問題があるのよ。この街…いえ、この国には」
白姫「どういうことですか?」
セージ「……貴方、可愛い顔をしてる割にグイグイ切り込むわね」
白姫「あ、あうっ!ごめんなさい!」
セージ「……全く、特別よ?」
セージ「というかね、他国のお姫様に政治的観点の話を私がしたら、反逆罪になりかねないんだけど……」
白姫「えぇっ!?」
セージ「つまりね、この国は何で成り立ってると思う?」
白姫「何で…ですか?」
セージ「そう」
白姫「それはもちろん、民です!」
セージ「そ、そうじゃなくてね」
白姫「違うんですか?」
セージ「その、民は当然なんだけど…国を支えるものよ」
白姫「え、えーっと……?」
口を閉じてムムムと考える白姫。しかし、一向に答えが出ない彼女に猛竜騎士がボソリと口を開く。
猛竜騎士「この圧倒的な技術力だ」
白姫「あっ…!」
セージ「さすがね、大正解」
白姫「この技術力が、政治的観点…?」
猛竜騎士「国とは民が作るもの。そして、国を支えるのは力のある者」
猛竜騎士「この国は、この圧倒的な壮観を生む錬金術や魔法術の長けた者たちが力を持つ」
猛竜騎士「つまり……」
セージ「魔法連合本部が、この政治の実権を握っているということよ」
白姫「な、なるほど……!」
セージ「今も昔も、ずっとね」
白姫「そういうことだったんですか……」
セージ「だから、私がこの国の魔法連合の人間なのに…他国の姫様にお話しをするのは罪になると言ったのよ」
白姫「あぅっ…ごめんなさい……」
セージ「謝ることはないわよ。別に話をしたのは私なんだから、貴方に罪はないでしょう」
白姫「うぅ、でもぉ……」
魔剣士「…」
魔剣士「……で、ソーセージババァ」
セージ「あぁん!?」
魔剣士「アンタが言った、この国が問題なのはその技術者がいることなのか?」
セージ「だからそう言ってるでしょ。聞いてなかったの?さすが、耳が遠いのね」
魔剣士「てめ…!別に技術者が政治に関係しててもいいじゃねえか!」
セージ「技術者が問題なのは、その性格にあるのよ」
魔剣士「あ?」
セージ「……それが問題なの」
魔剣士「どういうことだよ?」
セージ「…」
急に無言になるセージ。それを見た猛竜騎士は何かを察し、魔剣士に「国の話は出来ないこともあるだろう」とそれを抑えると、そこからは静かな時間が流れた。
また、歩いている途中に厳格な警備が街の体制として成り立っているのか、兵士が所々に見受けられ、寒空の下でも確固たる姿勢は見ているこちらも思わず緊張が走る。
やがて、十数分経った頃だろうか。セージは巨大なガラスの高層ビルの前で足を止め、「着いたわよ」と静かに呟いた。
魔剣士「ん?」
セージ「ここが私から紹介する、貴方たちが宿泊するホテル。アイス・エンペラーよ」
魔剣士「こ、ココが?」
猛竜騎士「おいおい、見たまんまヤバイんじゃないの」
白姫「ここに宿泊するんですか!?」
彼らが驚いたのは無理がない。何故なら、目の前には周りの高層ビルと比べても常軌を逸しているような高階層、銀色に輝く建物がグンと建っていたからだ。
白姫「凄い…!銀に光ってて、まるで雪をそのまま建物にしたみたい…っ!」
セージ「貴方の口にする言葉は、いちいち詩的ね。でもその通りなんだけど」
魔剣士「雪で出来てるのか、欠陥品だな。最低の研究者の結晶だ。これが本当の雪の結晶ってか」
セージ「この建物は、ダイヤモンドダストっていう雪の結晶から氷の魔力を抽出して、耐性を固めている特別仕様なのよ」
白姫「そうなんですかぁ♪凄いものを作るんですね、感動です!」
セージ「フフッ、有難う」
魔剣士「雪の結晶、俺の渾身の言葉を聞けよ」
セージ「それじゃ、中に入るわよ」
魔剣士「聞けよ」
魔剣士の罵倒に対し、もはや聞く耳は持たないセージは、入口に立っている制服を着たホテルの関係者と思われる男性に声をかけた。すると、男性は"白姫と猛竜騎士"の前に移動したかと思うと、物腰低く「いらっしゃいませ」と深々と頭を下げ、「荷物を預かります」と猛竜騎士のリュックを手に取って「こちらです」とホテルの中へ入って行った。
セージ「行くわよ」
猛竜騎士「あ、あぁ…」
白姫「はいっ!」
魔剣士「……俺の荷物は持ってくれないの?」
…………
……
…
………………………………………………
―――5分後。
ホテルの中は、外観よりも更に圧倒的であった。
真っ赤なカーペットに大理石で造られた柱、鳳凰の石膏と枯れる事のない四季の花々が出迎え、屋内だというのにロビー内部には小さな川と橋が非日常の世界を感じさせる。
また、セージが宿泊の手続きしている間、三人が椅子に座っているとホテルマンともいうのだろうか…荷物を運んだ男性が再び現れ、「サービスのコーヒーです」と湯気が立つ温かそうなコップ"2つ"を目の前に机に並べたのだった。
魔剣士「あれ、コーヒーを2つしか持ってきてないんだけど」
猛竜騎士「何てサービスだ。何て光景だ。これが本当に同じ時代に生きる建物かと目を疑うよ」
白姫「凄くキレイですよね」
魔剣士「俺の前にコーヒー置いてないんだけど」
猛竜騎士「一晩いくらなのか。本来ならこんな宿場に泊まるのは予定が必要なんだろうな」
白姫「冒険者らしい恰好してる人はいませんよね」
魔剣士「俺のコーヒーは?」
猛竜騎士「もうちょっと、恰好に気を遣えばよかったか?」
三人の格好は、出発前の港で購入した防寒具こそ身に着けていたが、その下に着用する魔法衣は以前の中央大地で購入したもので、いい加減、千切れたり落せない汚れが見えて隠れしていた。
白姫「いえっ!私たちは今、冒険者ですから。私はこの格好が好きですっ」
猛竜騎士「……そうか、俺もだよ」
白姫「はいっ♪」
魔剣士「俺のコーヒーは?」
雑談をしているうちに、手続きを終えたセージは後ろから「そんな珈琲が好きならあげるわよ」と背中に熱々のコーヒーをジョロジョロと流し込んだ。
魔剣士「ほあぢゃああああっ!!!?」
"ドタァンッ!ゴロゴロゴロッ!!"
魔剣士は思わずのたうちに回り、周りのお客たちに目を点けられたが知ったことではない。
セージ「もう、静かにしてよね恥ずかしい」
魔剣士「おまっ、おま…お前なあぁぁっ!!」
セージ「飲みたそうにしてたから」
魔剣士「誰が好んで背中から飲むんだよ!!背中に口なんかねぇんだよバカかてめぇは!!」
セージ「ごめんなさい、てっきり魔剣士クンなら背中に口があると」
魔剣士「てめぇの脳みそまでソーセージかコラァ!!クッソババァ!!」
セージ「たまたまよ。というか、私はババァっていう歳じゃないんだけど?」
セージ「……そんなことも分からない貴方の脳のほうがソーセージ詰まってるんじゃない?」
魔剣士「い、いい度胸だなこの野郎…!」
猛竜騎士「……魔剣士うるさいぞ、静かにしろ」
魔剣士「えぇ……」
猛竜騎士「セージ、宿泊についての手続きを全てやってくれたのか?」
セージ「もちろん。時間は取れる限り無期限にしておいたわよ」
猛竜騎士「…幾らだ?」
セージ「気にしなくていいわよ」
猛竜騎士「いや、少しでも足しになるくらいは払う」
セージ「じゃあ半額も払ってって言ったら払えるの?」
猛竜騎士「そのくらいは出す」
セージ「じゃ、一晩辺り20万ゴールドね」
猛竜騎士「そうか、20万ゴールドか」
セージ「えぇ」
猛竜騎士「……20万だと!?」
セージ「これでもサービス代金は抜いてるから、一晩の話で言ったら70万かな?」
猛竜騎士「お前、そんな高いところで!?」
セージ「別にお金の問題じゃないから」
猛竜騎士「あのな、そうは言っても……!」
セージ「それにココに宿泊した理由があるの。取引の意味も考えてね」
猛竜騎士「何?」
セージ「ここは機密事項の守られやすい場所だから、公でも話をしちゃうけど」
セージ「お姫様や魔剣士クンの秘密を保持するためにココが一番良いのよ。実験的な意味でもね」
猛竜騎士「どういうことだ?」
セージ「ここは特級区域と言って、冒険者は勿論のこと国民ですら入れない区に建つホテルなのよ」
猛竜騎士「特級区域だって?」
セージ「えぇ。このホテルに到着する前に、警備をする兵士たちが居たでしょう?」
猛竜騎士「あぁ確かに」
白姫「あ、いました!なんか凄くキリっとしてて、見てるこっちも緊張しちゃって…」
魔剣士「雑魚っぽかったけどな」
セージ「あれが区域ごとを隔てる警備のラインになってるの。このホテルは氷山帝国の中心にある通称"特級"と呼ばれる場所にある宿場なのよ」
セージ「私たち連合本部の人間は、状況に応じて個人の権限の変更…つまり、選んだ人をこの区域内へと招くことが許可されているってわけ」
セージ「ちなみに、特級の他、ラインとランクはこんな感じかな」
氷山帝国はそれぞれの独自のラインとランクを持っている。
"魔法研究連合"を中心とし、そのわずか半径二キロをSランクの特級区域。以下、A、B、C、最も外部のラインはFランクの位置づけをされていた。
馬車が到着するのは商業区域のBライン。以下、Cからは住居区となりアルファベット順に土地の価格が下落し、生活環境や水準に影響する。FランクとAランクでの土地価格差は実に100倍差以上となり、貧困の問題も小さいわけではないのだが、政府はこれを特に注視していないため改善される見通しがなく、一つの問題ともなっていた。
魔剣士「クソ政府じゃねえか。どっかの王城にもいるぜ、そういう王様がよ?」
白姫「……あっ」
魔剣士「あっ!で、でもねぇな!?いや、意外と…うん!?」
白姫「い、いいよ…。事実だもん、本当のことだから。目をそむけちゃダメなことだからっ…」
魔剣士「わ、悪ぃ…そんなつもりじゃなかったんだ…」
白姫「ううん、いいの。気にしないで…!魔剣士のそんな弱気な顔、らしくないよ!」
魔剣士「白姫……」
白姫「ねっ♪」
魔剣士「……そうか。そうだよな」
白姫「うんっ♪」
健気な娘というか何というか。セージは苦く口角を緩ませた。魔剣士と白姫の会話を他所に、小声で猛竜騎士へと語りかける。
セージ「あの王様の娘ってのが、本当に信じられないわねぇ」
猛竜騎士「王のことを知っているのか?」
セージ「世界の覇権を持つ、セントラル王国の王にして冷酷非道。成り上がりに手段は択ぶことがなく、周辺国ですら支配をした男…でしょう」
猛竜騎士「兵士は笑えるほどに呑気なもんだったけどな」
セージ「あら、そうなの?」
猛竜騎士「知っているだろうが、魔剣士はその包囲網を突破して姫様を誘拐したんだ。実力は衰えているに間違いはない」
セージ「本当に怖いのは、王を慕う、従える者にある。彼のために命を賭す兵士がいるというのは、もはや洗脳に近いわね」
猛竜騎士「人は流されやすい。王国の民の質として、右を向けば右ということもあるんだろう」
セージ「あら、ちょっと研究気質な言葉」
猛竜騎士「俺は王都の人間じゃないからな。儲けるためにそこにはいたが、王国の管理下で従い過ぎる心はちょっと分からなかった」
セージ「だから冒険者となっていたんでしょう。立ち上がることができるから、あの民にはなれなかったから、結局は王国を出たってこと」
猛竜騎士「そういうもの…か」
セージ「そういうものよ」
セージ「いつの時代も、民を従えるのは自身に素直で。行動力があって。右を向け左をする者ばかりなのよ?」
セージ「必ずとは言わないけど、首席が英雄にも独裁者にもなるのは、その素直さと行動力を持つ者が当たり前だと思ってるわ」
猛竜騎士「そうか……」
その考えならば、恐らく旅立ちを決意した"姫様"も。彼女が素直な優しさと行動力を持つのならば、それは……。
セージ「幼すぎるけどね、彼女は」
猛竜騎士「うっ…」
セージ「考えが顔に出るのね。いくら優しさと行動が指導者の条件としても、なることはできないのよ?」
猛竜騎士「分かっているさ」
セージ「もしそうなるのなら、彼女が成長するきっかけ…そうね。重い経験や、その覚悟を受ける日が来ればあるいは…かな」
猛竜騎士「そんな重いさせたくはないんだがな。追われる身としても、それは難しい話だ」
セージ「ハンターに捕まって絶望をさせてみるとか?」
猛竜騎士「ふざけるな」
セージ「お姫様の反応、彼女のような気品かつ優しさもある女の子が無茶苦茶になってどう反応するかは生体実験に等しい気がするけど」
猛竜騎士「貴様、まさかそれが狙いで……!」
セージ「冗談よ」
猛竜騎士「もし怪しい動きをすれば、その口を封じると言って置くぞ」
セージ「フフッ、口を塞がれたのはアナタでしょう」
猛竜騎士「むっ…」
"とくんっ"
その言葉に、あの時のキスが脳裏を過ぎる。
セージ「…もう一度、試す?」
唇を自身の舌で舐め、上目使いで猛竜騎士を見つめる。
猛竜騎士「……余計な世話だ。さっさと部屋に案内してくれ」
セージ「え~、釣れないのねぇ」
猛竜騎士「白姫、魔剣士!部屋に行くぞ!」
白姫「あっ、はい!」
魔剣士「ういうい」
セージ「も~っ……」
…………
……
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ブルノース・ポートを馬車にて出発してから実に11時間。魔剣士一行は、レイスの襲撃を受けながらも無事に氷山帝国へと到着した。
道中、氷山帝国に存在する"魔法連合"の所属員と名乗る女"セージ"と出会ってしまったことで、白姫の存在を隠し魔剣士の闇魔法の扱い方を提供するという取引のもと、魔剣士は彼女の実験体となることとなってしまった。
………………………………………………
魔剣士「到着したのか……」
白姫「ここが氷山帝国なんですね!」
猛竜騎士「あぁ、氷に覆われた北方大地の中心であり心臓部、首都"氷山帝国"だ」
セージ「いわゆる中央大地のセントラル王都みたいなものね」
白姫「凄いキレイな光景ですね…っ」
氷山帝国の門に入ると、以前の話通りに門の中ということもあってか"都市部"が建つほどに気候は安定していたものの空の流れは早く、雲はあっという間に形を変えながら消えていく。
辺りには雪が積もり、河川のような場所も見えたがそれは氷り付き、その上で穴を掘って釣りをしている人々の様子も見ることが出来た。
また、建物は雪を考慮したドーム型ものも多かったが、意外にも高層的で、ガラスで造られた見たことのないようなビル群がいくつか点在していた。
魔剣士「なんじゃこりゃ……」
セージ「驚いたでしょ。錬金術の結晶、ここは世界におけるもっとも近代の技術がある場所といっても過言じゃないのよ」
白姫「す、凄いです!なんか雪も白くてキラキラしてるのに、透明でガラスで造られた建物とかもあって、なんかこう、とにかくすごいです!!」
セージ「全く、白姫さんは裏表がない笑顔で本当に可愛いんだから」
白姫「えぇっ!」
猛竜騎士「……いやしかし、驚いたぞ」
セージ「うん?その言葉はおかしいわね。あなたは一度この帝国へ来たことがあるんじゃなかったかしら?」
猛竜騎士「俺が来た時はもっとドーム状のレンガに魔力を付与した程度の防寒を施した建物ばかりだった」
猛竜騎士「いや、それでもこの大地でその技術があったことは驚かされたものだったが」
猛竜騎士「高層ビル…というのか、それは点在していたが魔法連合本部のみで…今はここまでの発展をしているとは思わなかったんだ」
セージ「ここ最近、急激に技術が上がってね。今まで出来なかったガラスへの氷結耐性の付与や、それに影響を与えない暖房具が次々開発されたの」
猛竜騎士「だから高層の建物で、ガラスだけであそこまでの建物が出来たのか」
セージ「もちろん、貴方たちが滞在してもらうホテルはあのビル群のひとつで、最高のお持て成しをするから安心してちょーだい♪」
魔剣士「おぉ、マジか!?」
セージ「ま、そこに宿泊してもらうことが貴方たちを管理するのに手っ取り早いから♪」
魔剣士「あぁ?」
セージ「フフッ、すぐに分かるから焦らないの」
魔剣士「変な隠し事してるとシワが増えるぞソーセージババァ」
セージ「ぶち殺すわよ」
「少しは穏便に出来ないのか…」
猛竜騎士は一言漏らすが、聞く耳を持つはずもなく罵倒の言い合いのままセージは街の案内を行うのだった。
一方、白姫はクスクスと笑いつつ雪の降る幻想的な町並みに目を輝かせていた。
白姫「でも、凄く綺麗な街ですね…♪」
セージ「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
白姫「ここは氷山帝国っていう名前なのに、街なんですよね?」
セージ「お姫様観点のお話?」
白姫「い、いえ!ちょっと気になっただけで!」
セージ「そう。氷山帝国は、この街自体が"国"として機能をしているから…実際の国という言葉にはちょっと小さすぎるかもしれないわね」
白姫「他の街と併せての"国"という言葉じゃないんですか?」
セージ「それぞれが門と雪山に区切られているから、厳密な区切りはないけど…そのうち氷山帝国という名前に恥じない本当に国になるとは思ってる」
白姫「そうですかっ」
セージ「まぁ、それも難しい話なんだけどねぇ」
白姫「どうしてですか?」
セージ「政治的な問題があるのよ。この街…いえ、この国には」
白姫「どういうことですか?」
セージ「……貴方、可愛い顔をしてる割にグイグイ切り込むわね」
白姫「あ、あうっ!ごめんなさい!」
セージ「……全く、特別よ?」
セージ「というかね、他国のお姫様に政治的観点の話を私がしたら、反逆罪になりかねないんだけど……」
白姫「えぇっ!?」
セージ「つまりね、この国は何で成り立ってると思う?」
白姫「何で…ですか?」
セージ「そう」
白姫「それはもちろん、民です!」
セージ「そ、そうじゃなくてね」
白姫「違うんですか?」
セージ「その、民は当然なんだけど…国を支えるものよ」
白姫「え、えーっと……?」
口を閉じてムムムと考える白姫。しかし、一向に答えが出ない彼女に猛竜騎士がボソリと口を開く。
猛竜騎士「この圧倒的な技術力だ」
白姫「あっ…!」
セージ「さすがね、大正解」
白姫「この技術力が、政治的観点…?」
猛竜騎士「国とは民が作るもの。そして、国を支えるのは力のある者」
猛竜騎士「この国は、この圧倒的な壮観を生む錬金術や魔法術の長けた者たちが力を持つ」
猛竜騎士「つまり……」
セージ「魔法連合本部が、この政治の実権を握っているということよ」
白姫「な、なるほど……!」
セージ「今も昔も、ずっとね」
白姫「そういうことだったんですか……」
セージ「だから、私がこの国の魔法連合の人間なのに…他国の姫様にお話しをするのは罪になると言ったのよ」
白姫「あぅっ…ごめんなさい……」
セージ「謝ることはないわよ。別に話をしたのは私なんだから、貴方に罪はないでしょう」
白姫「うぅ、でもぉ……」
魔剣士「…」
魔剣士「……で、ソーセージババァ」
セージ「あぁん!?」
魔剣士「アンタが言った、この国が問題なのはその技術者がいることなのか?」
セージ「だからそう言ってるでしょ。聞いてなかったの?さすが、耳が遠いのね」
魔剣士「てめ…!別に技術者が政治に関係しててもいいじゃねえか!」
セージ「技術者が問題なのは、その性格にあるのよ」
魔剣士「あ?」
セージ「……それが問題なの」
魔剣士「どういうことだよ?」
セージ「…」
急に無言になるセージ。それを見た猛竜騎士は何かを察し、魔剣士に「国の話は出来ないこともあるだろう」とそれを抑えると、そこからは静かな時間が流れた。
また、歩いている途中に厳格な警備が街の体制として成り立っているのか、兵士が所々に見受けられ、寒空の下でも確固たる姿勢は見ているこちらも思わず緊張が走る。
やがて、十数分経った頃だろうか。セージは巨大なガラスの高層ビルの前で足を止め、「着いたわよ」と静かに呟いた。
魔剣士「ん?」
セージ「ここが私から紹介する、貴方たちが宿泊するホテル。アイス・エンペラーよ」
魔剣士「こ、ココが?」
猛竜騎士「おいおい、見たまんまヤバイんじゃないの」
白姫「ここに宿泊するんですか!?」
彼らが驚いたのは無理がない。何故なら、目の前には周りの高層ビルと比べても常軌を逸しているような高階層、銀色に輝く建物がグンと建っていたからだ。
白姫「凄い…!銀に光ってて、まるで雪をそのまま建物にしたみたい…っ!」
セージ「貴方の口にする言葉は、いちいち詩的ね。でもその通りなんだけど」
魔剣士「雪で出来てるのか、欠陥品だな。最低の研究者の結晶だ。これが本当の雪の結晶ってか」
セージ「この建物は、ダイヤモンドダストっていう雪の結晶から氷の魔力を抽出して、耐性を固めている特別仕様なのよ」
白姫「そうなんですかぁ♪凄いものを作るんですね、感動です!」
セージ「フフッ、有難う」
魔剣士「雪の結晶、俺の渾身の言葉を聞けよ」
セージ「それじゃ、中に入るわよ」
魔剣士「聞けよ」
魔剣士の罵倒に対し、もはや聞く耳は持たないセージは、入口に立っている制服を着たホテルの関係者と思われる男性に声をかけた。すると、男性は"白姫と猛竜騎士"の前に移動したかと思うと、物腰低く「いらっしゃいませ」と深々と頭を下げ、「荷物を預かります」と猛竜騎士のリュックを手に取って「こちらです」とホテルの中へ入って行った。
セージ「行くわよ」
猛竜騎士「あ、あぁ…」
白姫「はいっ!」
魔剣士「……俺の荷物は持ってくれないの?」
…………
……
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―――5分後。
ホテルの中は、外観よりも更に圧倒的であった。
真っ赤なカーペットに大理石で造られた柱、鳳凰の石膏と枯れる事のない四季の花々が出迎え、屋内だというのにロビー内部には小さな川と橋が非日常の世界を感じさせる。
また、セージが宿泊の手続きしている間、三人が椅子に座っているとホテルマンともいうのだろうか…荷物を運んだ男性が再び現れ、「サービスのコーヒーです」と湯気が立つ温かそうなコップ"2つ"を目の前に机に並べたのだった。
魔剣士「あれ、コーヒーを2つしか持ってきてないんだけど」
猛竜騎士「何てサービスだ。何て光景だ。これが本当に同じ時代に生きる建物かと目を疑うよ」
白姫「凄くキレイですよね」
魔剣士「俺の前にコーヒー置いてないんだけど」
猛竜騎士「一晩いくらなのか。本来ならこんな宿場に泊まるのは予定が必要なんだろうな」
白姫「冒険者らしい恰好してる人はいませんよね」
魔剣士「俺のコーヒーは?」
猛竜騎士「もうちょっと、恰好に気を遣えばよかったか?」
三人の格好は、出発前の港で購入した防寒具こそ身に着けていたが、その下に着用する魔法衣は以前の中央大地で購入したもので、いい加減、千切れたり落せない汚れが見えて隠れしていた。
白姫「いえっ!私たちは今、冒険者ですから。私はこの格好が好きですっ」
猛竜騎士「……そうか、俺もだよ」
白姫「はいっ♪」
魔剣士「俺のコーヒーは?」
雑談をしているうちに、手続きを終えたセージは後ろから「そんな珈琲が好きならあげるわよ」と背中に熱々のコーヒーをジョロジョロと流し込んだ。
魔剣士「ほあぢゃああああっ!!!?」
"ドタァンッ!ゴロゴロゴロッ!!"
魔剣士は思わずのたうちに回り、周りのお客たちに目を点けられたが知ったことではない。
セージ「もう、静かにしてよね恥ずかしい」
魔剣士「おまっ、おま…お前なあぁぁっ!!」
セージ「飲みたそうにしてたから」
魔剣士「誰が好んで背中から飲むんだよ!!背中に口なんかねぇんだよバカかてめぇは!!」
セージ「ごめんなさい、てっきり魔剣士クンなら背中に口があると」
魔剣士「てめぇの脳みそまでソーセージかコラァ!!クッソババァ!!」
セージ「たまたまよ。というか、私はババァっていう歳じゃないんだけど?」
セージ「……そんなことも分からない貴方の脳のほうがソーセージ詰まってるんじゃない?」
魔剣士「い、いい度胸だなこの野郎…!」
猛竜騎士「……魔剣士うるさいぞ、静かにしろ」
魔剣士「えぇ……」
猛竜騎士「セージ、宿泊についての手続きを全てやってくれたのか?」
セージ「もちろん。時間は取れる限り無期限にしておいたわよ」
猛竜騎士「…幾らだ?」
セージ「気にしなくていいわよ」
猛竜騎士「いや、少しでも足しになるくらいは払う」
セージ「じゃあ半額も払ってって言ったら払えるの?」
猛竜騎士「そのくらいは出す」
セージ「じゃ、一晩辺り20万ゴールドね」
猛竜騎士「そうか、20万ゴールドか」
セージ「えぇ」
猛竜騎士「……20万だと!?」
セージ「これでもサービス代金は抜いてるから、一晩の話で言ったら70万かな?」
猛竜騎士「お前、そんな高いところで!?」
セージ「別にお金の問題じゃないから」
猛竜騎士「あのな、そうは言っても……!」
セージ「それにココに宿泊した理由があるの。取引の意味も考えてね」
猛竜騎士「何?」
セージ「ここは機密事項の守られやすい場所だから、公でも話をしちゃうけど」
セージ「お姫様や魔剣士クンの秘密を保持するためにココが一番良いのよ。実験的な意味でもね」
猛竜騎士「どういうことだ?」
セージ「ここは特級区域と言って、冒険者は勿論のこと国民ですら入れない区に建つホテルなのよ」
猛竜騎士「特級区域だって?」
セージ「えぇ。このホテルに到着する前に、警備をする兵士たちが居たでしょう?」
猛竜騎士「あぁ確かに」
白姫「あ、いました!なんか凄くキリっとしてて、見てるこっちも緊張しちゃって…」
魔剣士「雑魚っぽかったけどな」
セージ「あれが区域ごとを隔てる警備のラインになってるの。このホテルは氷山帝国の中心にある通称"特級"と呼ばれる場所にある宿場なのよ」
セージ「私たち連合本部の人間は、状況に応じて個人の権限の変更…つまり、選んだ人をこの区域内へと招くことが許可されているってわけ」
セージ「ちなみに、特級の他、ラインとランクはこんな感じかな」
氷山帝国はそれぞれの独自のラインとランクを持っている。
"魔法研究連合"を中心とし、そのわずか半径二キロをSランクの特級区域。以下、A、B、C、最も外部のラインはFランクの位置づけをされていた。
馬車が到着するのは商業区域のBライン。以下、Cからは住居区となりアルファベット順に土地の価格が下落し、生活環境や水準に影響する。FランクとAランクでの土地価格差は実に100倍差以上となり、貧困の問題も小さいわけではないのだが、政府はこれを特に注視していないため改善される見通しがなく、一つの問題ともなっていた。
魔剣士「クソ政府じゃねえか。どっかの王城にもいるぜ、そういう王様がよ?」
白姫「……あっ」
魔剣士「あっ!で、でもねぇな!?いや、意外と…うん!?」
白姫「い、いいよ…。事実だもん、本当のことだから。目をそむけちゃダメなことだからっ…」
魔剣士「わ、悪ぃ…そんなつもりじゃなかったんだ…」
白姫「ううん、いいの。気にしないで…!魔剣士のそんな弱気な顔、らしくないよ!」
魔剣士「白姫……」
白姫「ねっ♪」
魔剣士「……そうか。そうだよな」
白姫「うんっ♪」
健気な娘というか何というか。セージは苦く口角を緩ませた。魔剣士と白姫の会話を他所に、小声で猛竜騎士へと語りかける。
セージ「あの王様の娘ってのが、本当に信じられないわねぇ」
猛竜騎士「王のことを知っているのか?」
セージ「世界の覇権を持つ、セントラル王国の王にして冷酷非道。成り上がりに手段は択ぶことがなく、周辺国ですら支配をした男…でしょう」
猛竜騎士「兵士は笑えるほどに呑気なもんだったけどな」
セージ「あら、そうなの?」
猛竜騎士「知っているだろうが、魔剣士はその包囲網を突破して姫様を誘拐したんだ。実力は衰えているに間違いはない」
セージ「本当に怖いのは、王を慕う、従える者にある。彼のために命を賭す兵士がいるというのは、もはや洗脳に近いわね」
猛竜騎士「人は流されやすい。王国の民の質として、右を向けば右ということもあるんだろう」
セージ「あら、ちょっと研究気質な言葉」
猛竜騎士「俺は王都の人間じゃないからな。儲けるためにそこにはいたが、王国の管理下で従い過ぎる心はちょっと分からなかった」
セージ「だから冒険者となっていたんでしょう。立ち上がることができるから、あの民にはなれなかったから、結局は王国を出たってこと」
猛竜騎士「そういうもの…か」
セージ「そういうものよ」
セージ「いつの時代も、民を従えるのは自身に素直で。行動力があって。右を向け左をする者ばかりなのよ?」
セージ「必ずとは言わないけど、首席が英雄にも独裁者にもなるのは、その素直さと行動力を持つ者が当たり前だと思ってるわ」
猛竜騎士「そうか……」
その考えならば、恐らく旅立ちを決意した"姫様"も。彼女が素直な優しさと行動力を持つのならば、それは……。
セージ「幼すぎるけどね、彼女は」
猛竜騎士「うっ…」
セージ「考えが顔に出るのね。いくら優しさと行動が指導者の条件としても、なることはできないのよ?」
猛竜騎士「分かっているさ」
セージ「もしそうなるのなら、彼女が成長するきっかけ…そうね。重い経験や、その覚悟を受ける日が来ればあるいは…かな」
猛竜騎士「そんな重いさせたくはないんだがな。追われる身としても、それは難しい話だ」
セージ「ハンターに捕まって絶望をさせてみるとか?」
猛竜騎士「ふざけるな」
セージ「お姫様の反応、彼女のような気品かつ優しさもある女の子が無茶苦茶になってどう反応するかは生体実験に等しい気がするけど」
猛竜騎士「貴様、まさかそれが狙いで……!」
セージ「冗談よ」
猛竜騎士「もし怪しい動きをすれば、その口を封じると言って置くぞ」
セージ「フフッ、口を塞がれたのはアナタでしょう」
猛竜騎士「むっ…」
"とくんっ"
その言葉に、あの時のキスが脳裏を過ぎる。
セージ「…もう一度、試す?」
唇を自身の舌で舐め、上目使いで猛竜騎士を見つめる。
猛竜騎士「……余計な世話だ。さっさと部屋に案内してくれ」
セージ「え~、釣れないのねぇ」
猛竜騎士「白姫、魔剣士!部屋に行くぞ!」
白姫「あっ、はい!」
魔剣士「ういうい」
セージ「も~っ……」
…………
……
…
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