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第九章【セントラル】
9-13 隠された力(1)【5月2日公開】
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―――5分後。
ブリレイに案内された魔剣士は、共に選考会の開催される広場へと足を運んだ。
聞いていた通り13時から開催なのか、中央壇上付近にはかなりの数の冒険者と思わしき人々、辺りのカフェは賑わいを見せている。
だが、その治安は最悪で罵倒や怒号といった喧嘩、暴力が絶えないようだった。
魔剣士(……ちっ、それに加えて面白くねぇなあれは…)
また、二階建てのテラスから"青い十字服"を着用した面子がニヤニヤとそれを面白いように見下ろしており、思わず舌打ちする。
ブリレイ「はぁ…本当にここは……」
それを見たブリレイも苦言を漏らし、
「やれやれ」と頭を横に振った。
魔剣士「いっつもこうなのかよ。中央広場なんてそうそう来なかったけどよ、少なくともこんな治安は悪くなかっただろ」
ブリレイ「選考会の影響ですね…。ガストフさんも言っていた通り、こんな輩を相手にするから、店を閉じる方々もいると……」
魔剣士「くそが…、面白くねぇ話だ……」
面白そうに暴れる面々を見て、ますます腹立たしくなる。
ブリレイ「気持ちは分かりますが、魔剣士さん…今は気にするだけ……」
魔剣士「うるせぇ、分かってる。こんなことを止めるためにも、今は動く時じゃねえってことだろ」
ブリレイ「……いらない世話でしたね」
魔剣士「当たり前だ」
ブリレイ「…では、魔剣士さん。これからのことなのですが」
魔剣士「おう」
ブリレイ「とりあえず13時より中央壇上の脇で選考会の募集を行われると思います。それまで少し待機が必要になりますね……」
魔剣士「ほーん…。あと40分くらいか……」
中央にある時計は、選考会まで余裕があることを示していた。
ブリレイ「如何なさいますか?」
魔剣士「どうするかって…、どうしようもなくね?俺の住んでた家にでも行っていいなら、折角だし顔出すけどよ」
ブリレイ「そ、それは……」
魔剣士「わーってるって!何も言うな、冗談だよ!」
ブリレイ「気持ちは…分かりますが……」
魔剣士「冗談だっつってんだろ!」
ブリレイ「そ、そうですか…」
魔剣士「……今更、戻る家があるとは思っちゃいねーよ。俺だって犯罪者なんだってことは重々承知してるっての」
ブリレイ「魔剣士さん……」
魔剣士「ただ、白姫だけは違う。アイツが苦しむことはねぇんだ…、俺はそのためにも絶対に……」
ブリレイ「……分かっております」
拳を握りしめ、震える身体。そのためにも、この選考会に残ってチャンスをつかまなければならない。
ブリレイ「……魔剣士さん」
魔剣士「ンだよ…」
ブリレイ「少し、その空いているテラス席でお茶しませんか?」
魔剣士「……は?」
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ブリレイに誘われるがまま、魔剣士はテラス席に腰を下ろし、人集まる壇上を見ながら可愛らしいウェイトレスにコーヒーを二つ頼んだ。
急に何をと思ったが、テラス席からはザワつく冒険者たちを客観的な目で見ることができ、先ほど燃やした怒りはどこへやら、一気に落ち着くことが出来たのだった。
魔剣士「はぁ…、俺に落ち着けって言いたかったのか……?」
ブリレイ「読まれてしまいましたか。しかし、気を悪くなさらないでください…。熱を持った心では何があるのか……」
魔剣士「わーってるよ、わーってるって!コーヒーでも飲んで落ち着くよ、分かってるって……」
ブリレイ「…フフ、そうですか」
言われなくても分かっている。先ほどまでの考えのままでは、選考会前に喧嘩の一つも起こしそうな勢いだった。
だが、ブリレイのおかげで目を覚ましたのは事実であるわけで、そこは何となくもどかしい。
魔剣士「ちっ…!」
ブリレイ「ど、どうしました?」
魔剣士「別に何でもねぇよ。ただ、なんだその…、あのよ……」
ブリレイ「はい?」
魔剣士「……あ、ありがとってことだよ!」
ブリレイ「あ、あぁ…!いえいえ、とんでもないです。こちらこそ、無礼に近いことで……」
魔剣士「無礼とかじゃねーよ!俺だってガキなところは分かってんだから、正解なのはアンタだ!それに対して無礼とかねーから、いいんだよ!!」
ブリレイ「……そうですか。それでは、有りがたくそのお気持ちを受け取らせて頂きますね」
にこりと微笑み、軽く会釈するブリレイ。本当は礼儀正しいと取るべきなのだろうが、どうにも今までいなかったタイプのため、魔剣士にとってはこそばゆいばかりだった。
魔剣士「あーはいはい!良いってそういうのは別に!」
ブリレイ「フフッ……」
真面目に、苦手だ。
それから「はぁ」とため息をついた魔剣士は、しばらく広場にいる荒くれ者たちの喧嘩腰なやり取りを見つめていた。
すると、店内から忙しそうにするウェイトレスがコーヒーとイチゴの乗ったショートケーキを「お待たせしました」と二人の前に差し出した。
魔剣士「……ん、ケーキ?」
ブリレイ「おかしいですね、僕たちはコーヒー二つしか頼んでいませんが……」
ウェイトレス「あ、あれ?そうでした…か?」
ブリレイ「ふむ……」
どうやら、かなりの忙しさに間違えてしまったらしい。
ウェイトレス「あ、あわわ…!すみません、ごめんなさい!」
慌てて頭を下げる女の子。対してブリレイは笑みを浮かべて「丁度良かったですね、魔剣士さん」と放った。
ウェイトレス「えっ?」
魔剣士「……あ?」
キョトン顔の二人。気にせずブリレイは続ける。
ブリレイ「実はショートケーキも頼もうとしていたんですよ。ここのケーキは美味しいと評判でしたからね。魔剣士さん、そのお話しをしたと思うのですが……」
魔剣士「……え、は?」
ブリレイ「申し訳ありません、忘れてしまいましたか?」
魔剣士「…」
ブリレイ「魔剣士さん」
魔剣士「……ん、あ?あ、あぁ…!」
……成る程。そういうことか。
ブリレイ「というわけで、是非そちらのケーキも頂きたいのですが…よろしいでしょうか?」
ウェイトレス「あ…、ありがとうございますっ!」
ブリレイ「こちらこそ、気の利かせていただいたようなかたちにして頂き、有難うございます」
ウェイトレス「あ、あはは…!本当に…ありがとうございますっ…!」
ブリレイの言葉に嬉しそうな顔を浮かべた彼女は、小さくお辞儀をすると、メイド服のリボンをふりふり揺らしながら可愛らしく厨房に消えていった。
魔剣士「ケーキ…、こういう系の俺ホントはそこまで甘いモン好きじゃないんだけどよー……」
ブリレイ「では僕が貰ってもいいですか?というか、僕はここのケーキが大好きでして、是非その……」
魔剣士「……いいよ別に。ガキじゃあるまいし」
ブリレイ「は、はは…。ありがとうございます」
子供っぽく、ブリレイは皿を自分のほうに寄せた。
ブリレイ「それと、お話を合わせていただきまして有難うございました」
魔剣士「まぁいいっつーの。だけどよ、なんだか間違いは間違いって指摘したほうが、その子のためなんじゃねーのっても思うけどな」
ブリレイ「そうですか?」
魔剣士「忙しいとはいえ仕事だし、間違ってるなら間違ってるっていうのも…って感じただけだけどな」
ブリレイ「……なるほど、確かにそれはその通りです」
魔剣士「おう」
ブリレイ「しかし、よく考えてください」
魔剣士「何よ」
ブリレイ「……いえ、よく見てくださいと言ったほうが正しいですか」
魔剣士「あ?」
ブリレイ「嫌でも間違うと思うのです。こんな状況では、特に……」
魔剣士「何が…って……!」
ふと厨房から出てきた彼女の目を向けると、その理由は分かった。至って単純、気付けなかった自分が恥ずかしくなる。
魔剣士「……おい、おい…!」
人権を持たない離れの人間よりは大分ましだっただろうが、客層が最悪なのには変わりない。メイド服をまとった若い彼女が、マナーのない冒険者に囲まれて、何もされないわけがないのだ。
ブリレイ「あんなことでは……」
魔剣士「……ッ!」
とにかく、何をするにも女性にとっては深い心の傷を負うような手が伸びる。店の者は見て見ぬふり。涙を浮かべようが、声を上げようが、むしろそれは男たちの楽しみを助長するばかりだった。
魔剣士「ンだよあれ、何してんだよ……!」
ブリレイ「……お店を辞めるにも、それを許さないよう恐らくは強い圧力が上からかかってるのでしょうね。この程度で荒くれ者が収まる一つなら…と。他のお店でも同じような状況のようですので……」
魔剣士「嫌がってんじゃねーかよ…!誰か止めないのかよ!」
ブリレイ「この状況に、お店で働く者たちは力で勝てません。中には行動をしたい者もいるでしょうが、それ以上に楽しもうとする人間のほうが多く……」
先ほどまで笑っていた彼女は、やがて奥の席にいる一人に腕を引っ張られてソファ席に倒れ込み、そこで男たちに囲まれる。
魔剣士「……ちょっ、待てって!」
ブリレイ「魔剣士さん…!」
助けに行こうとする魔剣士の肩を掴み、落ち着かせようとするブリレイ。
魔剣士「離せっつーの!おま…、あれはダメだろうが!!」
ブリレイ「ここで暴れては、目をつけられてしまいます!今までの作戦も全て、全てが無駄になるかもしれないのですよ……!」
魔剣士「うっ…!」
ブリレイ「それでも、助けるというのですか…。姫様も、未来のために覚悟を決めたことが無駄になる可能性があるというのに……!」
魔剣士「……く、くそっ!何で…!」
行動が出来ないジレンマの中、彼女の悲鳴が聞こえる。だが、その声は手で抑えられたのか、すぐに静寂が訪れた。また、奥の席へ興味を持った男たちが立ち上がり様子を伺い始める。
魔剣士「ふ、ふざけんなよ……!」
ブリレイ「魔剣士さん…!」
魔剣士「……ッ!」
ブリレイ「…っ」
こんな時、我慢が正解なのだろうか。彼女を助けただけで、今までの努力が無駄になるのだろうか。
魔剣士「……違う、だろ」
ブリレイ「え……?」
―――違う。
魔剣士「ちげぇよ…!ここであの女を救えなかったのなら、俺に世界を救えるわけがねーんだよ!!」
ブリレイ「…ッ!!」
その言葉に、ブリレイは強く反応を示した。
魔剣士「だから、俺は!!」
そして、ブリレイは動きを見せる。
ブリレイ「魔剣士さん、確かにその通りです。……それが正解です」
魔剣士「……は?」
確かに、納得したと、正解だと、そう言った。
ブリレイ「……魔剣士さんの手を汚すことはありません。ここは僕に任せてください」
魔剣士「は、はい?」
ブリレイはポンと魔剣士の肩を押して席に戻すと、丸メガネを外して立ち上がった。
魔剣士「お、おい…!?」
ブリレイ「……気を悪くなさらないでください」
魔剣士「何がだよ!?」
ブリレイ「本当のことを言いますと、少し不安だったんです」
魔剣士「不安だと?」
ブリレイ「僕はまだ貴方たちと出会えて日が浅く、猛竜騎士さんはまだしも、まだ若い貴方に世界を任せられるのかが……」
魔剣士「!」
ブリレイ「強さがあるのは知っています。しかし、それは勢いで動いてきたに等しいと感じました。……世界の明日を担っているのかが、どうしても信じられなかった」
整えられた髪の毛をグシャグシャとかき分け、ボサボサの頭に、雰囲気が変わった。
魔剣士「あ…、あぁ……」
ブリレイ「ですから、この一瞬でそれが本気だったのかと思い…あの女の子に悪いとは思いながら試させて頂いたのです」
魔剣士「ブ、ブリレイ……」
ブリレイ「ご安心下さい。すぐに済みますから――…」
魔剣士に背を向け、ブリレイは群がる男たちのもとへ瞬時に近づく。だが、熱狂する彼らにその存在は気づかれない。
ブリレイ「……失礼」
ぼそり一言を放つと、両手に"風魔力"を込めたかと思えば、男たちにそっと触れて……。
"グォンッ!!"
強烈な風が男たち目がけて具現化され、吹き荒れる空気は一気に男たちを吹き飛ばして壁へと強打させた。それは針の穴を通すように正確で、ソファにいる彼女以外の全員が両脇へと飛ばされていた。
壁に叩きつけられた者たちは一瞬の出来事に、痛みに悶えつつ何が起こったのか唖然としていた。
ブリレイ「……おっと、失礼しました。僕はウェイトレスさんに用事があるのでちょっと道を開けて頂きたく」
両脇に倒れる男たちの中心を、ブリレイは相変わらずの表情で堂々と歩き、奥の席へと辿り着く。そして、衣服を乱され泣きじゃくる彼女にそっと手を伸ばした。
「……いやぁっ!!」
恐怖に怯える彼女は思い切りその腕を叩き落とすが、ブリレイはもう一度、優しい声で「先ほどの美味しいケーキのお礼を言いたくて、つい乱暴に来ちゃいました。怖がらせてすみません」と微笑むと、そこでようやく彼女はブリレイが敵でないと分かり、その手を受け入れる。
ブリレイ「失礼しますね」
乱れた衣服を直し、自身のベストで肌を隠すと、「さぁ参りましょう」とその手を引いた。
魔剣士(ブリレイ…!)
先ほどまでの状況で、動けるのは人間として限られている。
あの騒ぎの中で反発した行動を起こせるのはよっぽどな馬鹿か、よっぽどな"実力"を確信している者だけだろう。
「……おい、そこのボサボサ頭、コラァッ!!!」
荒くれ者たちは、快感の時間を邪魔されたことに苛立つことくらい分かっているのだから。
ブリレイ「……おや」
「てめェ、良い度胸じゃねぇか……!」
いよいよ、飛ばされた痛みから回復した男の一人が、立ち上がり近づいてくる。ウェイトレスは恐怖にブリレイの手をギュっと握りしめた。
ブリレイ「どなたか存じませんが、僕は彼女に用事があるんですよ」
しかしブリレイは我関せず、構わず通ろうとした。
「……ホントに良い度胸してるなテメェはよぉ!!」
これに腹を立てた男は、腰から短剣を抜く。
ブリレイ「…なるほど。いえ、しかしですね……」
それを見たブリレイは、ちょっと待ってくださいと片手で"止めろ"のポーズを取る。
「あァ!?今更おせーんだよ、ぶっ殺してやるよコラァ!!」
完全に血が上っている男に静止など効く筈がない。更に、それを境にして吹き飛ばした男たちも立ち上がり、ブリレイとウェイトレスを取り囲んでいく。
ブリレイ「…止めたほうがいいですよ?」
「はァ!?何言ってんの、バカなんですかーーーっ!!?」
数を手に入れた男は調子づき、今にも短剣を振いそうな勢いだった。
不味い!と思った魔剣士は動こうとしたが、ブリレイは至って冷静に対応する。しかし、その言葉は完全に"敵対"を意味するものだった。
「……武器を振いたくば振えば良い」と。
「は?そりゃお前を殺してそこの女と遊ばせてもらうけど、そんなの当然なんですけどー!!?」
「そんなことは分かっておりますよ。その気持ち、凄く分かっております」
「……分かる?はァ!?」
「分かるからこそ、忠告している。…いえ。この展開の場合は、まず貴方たちがそんな目にあってから痛みで気付くことでしょうけど」
「ぷっ…!ハハハハッ!!何言ってんの?この状況分かってる?マジでバカなのか?」
先立つ男の笑い。それにつられた周囲の男たちもまた笑った。
「……やれやれだ」
―――ここで、悪寒。
この感覚は魔剣士にのみ直感したことだが、その一言が、髪型と雰囲気以上に普段のブリレイと全く違うことが分かった。
ブリレイ「ほんの、ほーんの昔までは、実力差くらい分かる奴らが多かったっつーに。今の後任者たちはここまでレベルが低いモンかねぇ……」
彼の癖の一つ、困った時に見せる頭を掻くこと。今回ばかりは、それが目に見えて音を立てる。
ブリレイ「……特別だ。ちょっとばかし教育をしてやるよ、先輩としてな」
…………………………………
【謝罪について】
========
2016年5月1日頃より、9-22話が公開状態となっていると報告をいただき、当該の話は非公開とさせていただきました。
詳細については「第一章」上記「謝罪」よりご確認いただければ幸いです。
こちらの問題について、9-13,14,15話の公開および9-22話まで5月3日より1日間隔の更新を行わせていただきます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
========
―――5分後。
ブリレイに案内された魔剣士は、共に選考会の開催される広場へと足を運んだ。
聞いていた通り13時から開催なのか、中央壇上付近にはかなりの数の冒険者と思わしき人々、辺りのカフェは賑わいを見せている。
だが、その治安は最悪で罵倒や怒号といった喧嘩、暴力が絶えないようだった。
魔剣士(……ちっ、それに加えて面白くねぇなあれは…)
また、二階建てのテラスから"青い十字服"を着用した面子がニヤニヤとそれを面白いように見下ろしており、思わず舌打ちする。
ブリレイ「はぁ…本当にここは……」
それを見たブリレイも苦言を漏らし、
「やれやれ」と頭を横に振った。
魔剣士「いっつもこうなのかよ。中央広場なんてそうそう来なかったけどよ、少なくともこんな治安は悪くなかっただろ」
ブリレイ「選考会の影響ですね…。ガストフさんも言っていた通り、こんな輩を相手にするから、店を閉じる方々もいると……」
魔剣士「くそが…、面白くねぇ話だ……」
面白そうに暴れる面々を見て、ますます腹立たしくなる。
ブリレイ「気持ちは分かりますが、魔剣士さん…今は気にするだけ……」
魔剣士「うるせぇ、分かってる。こんなことを止めるためにも、今は動く時じゃねえってことだろ」
ブリレイ「……いらない世話でしたね」
魔剣士「当たり前だ」
ブリレイ「…では、魔剣士さん。これからのことなのですが」
魔剣士「おう」
ブリレイ「とりあえず13時より中央壇上の脇で選考会の募集を行われると思います。それまで少し待機が必要になりますね……」
魔剣士「ほーん…。あと40分くらいか……」
中央にある時計は、選考会まで余裕があることを示していた。
ブリレイ「如何なさいますか?」
魔剣士「どうするかって…、どうしようもなくね?俺の住んでた家にでも行っていいなら、折角だし顔出すけどよ」
ブリレイ「そ、それは……」
魔剣士「わーってるって!何も言うな、冗談だよ!」
ブリレイ「気持ちは…分かりますが……」
魔剣士「冗談だっつってんだろ!」
ブリレイ「そ、そうですか…」
魔剣士「……今更、戻る家があるとは思っちゃいねーよ。俺だって犯罪者なんだってことは重々承知してるっての」
ブリレイ「魔剣士さん……」
魔剣士「ただ、白姫だけは違う。アイツが苦しむことはねぇんだ…、俺はそのためにも絶対に……」
ブリレイ「……分かっております」
拳を握りしめ、震える身体。そのためにも、この選考会に残ってチャンスをつかまなければならない。
ブリレイ「……魔剣士さん」
魔剣士「ンだよ…」
ブリレイ「少し、その空いているテラス席でお茶しませんか?」
魔剣士「……は?」
………
…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ブリレイに誘われるがまま、魔剣士はテラス席に腰を下ろし、人集まる壇上を見ながら可愛らしいウェイトレスにコーヒーを二つ頼んだ。
急に何をと思ったが、テラス席からはザワつく冒険者たちを客観的な目で見ることができ、先ほど燃やした怒りはどこへやら、一気に落ち着くことが出来たのだった。
魔剣士「はぁ…、俺に落ち着けって言いたかったのか……?」
ブリレイ「読まれてしまいましたか。しかし、気を悪くなさらないでください…。熱を持った心では何があるのか……」
魔剣士「わーってるよ、わーってるって!コーヒーでも飲んで落ち着くよ、分かってるって……」
ブリレイ「…フフ、そうですか」
言われなくても分かっている。先ほどまでの考えのままでは、選考会前に喧嘩の一つも起こしそうな勢いだった。
だが、ブリレイのおかげで目を覚ましたのは事実であるわけで、そこは何となくもどかしい。
魔剣士「ちっ…!」
ブリレイ「ど、どうしました?」
魔剣士「別に何でもねぇよ。ただ、なんだその…、あのよ……」
ブリレイ「はい?」
魔剣士「……あ、ありがとってことだよ!」
ブリレイ「あ、あぁ…!いえいえ、とんでもないです。こちらこそ、無礼に近いことで……」
魔剣士「無礼とかじゃねーよ!俺だってガキなところは分かってんだから、正解なのはアンタだ!それに対して無礼とかねーから、いいんだよ!!」
ブリレイ「……そうですか。それでは、有りがたくそのお気持ちを受け取らせて頂きますね」
にこりと微笑み、軽く会釈するブリレイ。本当は礼儀正しいと取るべきなのだろうが、どうにも今までいなかったタイプのため、魔剣士にとってはこそばゆいばかりだった。
魔剣士「あーはいはい!良いってそういうのは別に!」
ブリレイ「フフッ……」
真面目に、苦手だ。
それから「はぁ」とため息をついた魔剣士は、しばらく広場にいる荒くれ者たちの喧嘩腰なやり取りを見つめていた。
すると、店内から忙しそうにするウェイトレスがコーヒーとイチゴの乗ったショートケーキを「お待たせしました」と二人の前に差し出した。
魔剣士「……ん、ケーキ?」
ブリレイ「おかしいですね、僕たちはコーヒー二つしか頼んでいませんが……」
ウェイトレス「あ、あれ?そうでした…か?」
ブリレイ「ふむ……」
どうやら、かなりの忙しさに間違えてしまったらしい。
ウェイトレス「あ、あわわ…!すみません、ごめんなさい!」
慌てて頭を下げる女の子。対してブリレイは笑みを浮かべて「丁度良かったですね、魔剣士さん」と放った。
ウェイトレス「えっ?」
魔剣士「……あ?」
キョトン顔の二人。気にせずブリレイは続ける。
ブリレイ「実はショートケーキも頼もうとしていたんですよ。ここのケーキは美味しいと評判でしたからね。魔剣士さん、そのお話しをしたと思うのですが……」
魔剣士「……え、は?」
ブリレイ「申し訳ありません、忘れてしまいましたか?」
魔剣士「…」
ブリレイ「魔剣士さん」
魔剣士「……ん、あ?あ、あぁ…!」
……成る程。そういうことか。
ブリレイ「というわけで、是非そちらのケーキも頂きたいのですが…よろしいでしょうか?」
ウェイトレス「あ…、ありがとうございますっ!」
ブリレイ「こちらこそ、気の利かせていただいたようなかたちにして頂き、有難うございます」
ウェイトレス「あ、あはは…!本当に…ありがとうございますっ…!」
ブリレイの言葉に嬉しそうな顔を浮かべた彼女は、小さくお辞儀をすると、メイド服のリボンをふりふり揺らしながら可愛らしく厨房に消えていった。
魔剣士「ケーキ…、こういう系の俺ホントはそこまで甘いモン好きじゃないんだけどよー……」
ブリレイ「では僕が貰ってもいいですか?というか、僕はここのケーキが大好きでして、是非その……」
魔剣士「……いいよ別に。ガキじゃあるまいし」
ブリレイ「は、はは…。ありがとうございます」
子供っぽく、ブリレイは皿を自分のほうに寄せた。
ブリレイ「それと、お話を合わせていただきまして有難うございました」
魔剣士「まぁいいっつーの。だけどよ、なんだか間違いは間違いって指摘したほうが、その子のためなんじゃねーのっても思うけどな」
ブリレイ「そうですか?」
魔剣士「忙しいとはいえ仕事だし、間違ってるなら間違ってるっていうのも…って感じただけだけどな」
ブリレイ「……なるほど、確かにそれはその通りです」
魔剣士「おう」
ブリレイ「しかし、よく考えてください」
魔剣士「何よ」
ブリレイ「……いえ、よく見てくださいと言ったほうが正しいですか」
魔剣士「あ?」
ブリレイ「嫌でも間違うと思うのです。こんな状況では、特に……」
魔剣士「何が…って……!」
ふと厨房から出てきた彼女の目を向けると、その理由は分かった。至って単純、気付けなかった自分が恥ずかしくなる。
魔剣士「……おい、おい…!」
人権を持たない離れの人間よりは大分ましだっただろうが、客層が最悪なのには変わりない。メイド服をまとった若い彼女が、マナーのない冒険者に囲まれて、何もされないわけがないのだ。
ブリレイ「あんなことでは……」
魔剣士「……ッ!」
とにかく、何をするにも女性にとっては深い心の傷を負うような手が伸びる。店の者は見て見ぬふり。涙を浮かべようが、声を上げようが、むしろそれは男たちの楽しみを助長するばかりだった。
魔剣士「ンだよあれ、何してんだよ……!」
ブリレイ「……お店を辞めるにも、それを許さないよう恐らくは強い圧力が上からかかってるのでしょうね。この程度で荒くれ者が収まる一つなら…と。他のお店でも同じような状況のようですので……」
魔剣士「嫌がってんじゃねーかよ…!誰か止めないのかよ!」
ブリレイ「この状況に、お店で働く者たちは力で勝てません。中には行動をしたい者もいるでしょうが、それ以上に楽しもうとする人間のほうが多く……」
先ほどまで笑っていた彼女は、やがて奥の席にいる一人に腕を引っ張られてソファ席に倒れ込み、そこで男たちに囲まれる。
魔剣士「……ちょっ、待てって!」
ブリレイ「魔剣士さん…!」
助けに行こうとする魔剣士の肩を掴み、落ち着かせようとするブリレイ。
魔剣士「離せっつーの!おま…、あれはダメだろうが!!」
ブリレイ「ここで暴れては、目をつけられてしまいます!今までの作戦も全て、全てが無駄になるかもしれないのですよ……!」
魔剣士「うっ…!」
ブリレイ「それでも、助けるというのですか…。姫様も、未来のために覚悟を決めたことが無駄になる可能性があるというのに……!」
魔剣士「……く、くそっ!何で…!」
行動が出来ないジレンマの中、彼女の悲鳴が聞こえる。だが、その声は手で抑えられたのか、すぐに静寂が訪れた。また、奥の席へ興味を持った男たちが立ち上がり様子を伺い始める。
魔剣士「ふ、ふざけんなよ……!」
ブリレイ「魔剣士さん…!」
魔剣士「……ッ!」
ブリレイ「…っ」
こんな時、我慢が正解なのだろうか。彼女を助けただけで、今までの努力が無駄になるのだろうか。
魔剣士「……違う、だろ」
ブリレイ「え……?」
―――違う。
魔剣士「ちげぇよ…!ここであの女を救えなかったのなら、俺に世界を救えるわけがねーんだよ!!」
ブリレイ「…ッ!!」
その言葉に、ブリレイは強く反応を示した。
魔剣士「だから、俺は!!」
そして、ブリレイは動きを見せる。
ブリレイ「魔剣士さん、確かにその通りです。……それが正解です」
魔剣士「……は?」
確かに、納得したと、正解だと、そう言った。
ブリレイ「……魔剣士さんの手を汚すことはありません。ここは僕に任せてください」
魔剣士「は、はい?」
ブリレイはポンと魔剣士の肩を押して席に戻すと、丸メガネを外して立ち上がった。
魔剣士「お、おい…!?」
ブリレイ「……気を悪くなさらないでください」
魔剣士「何がだよ!?」
ブリレイ「本当のことを言いますと、少し不安だったんです」
魔剣士「不安だと?」
ブリレイ「僕はまだ貴方たちと出会えて日が浅く、猛竜騎士さんはまだしも、まだ若い貴方に世界を任せられるのかが……」
魔剣士「!」
ブリレイ「強さがあるのは知っています。しかし、それは勢いで動いてきたに等しいと感じました。……世界の明日を担っているのかが、どうしても信じられなかった」
整えられた髪の毛をグシャグシャとかき分け、ボサボサの頭に、雰囲気が変わった。
魔剣士「あ…、あぁ……」
ブリレイ「ですから、この一瞬でそれが本気だったのかと思い…あの女の子に悪いとは思いながら試させて頂いたのです」
魔剣士「ブ、ブリレイ……」
ブリレイ「ご安心下さい。すぐに済みますから――…」
魔剣士に背を向け、ブリレイは群がる男たちのもとへ瞬時に近づく。だが、熱狂する彼らにその存在は気づかれない。
ブリレイ「……失礼」
ぼそり一言を放つと、両手に"風魔力"を込めたかと思えば、男たちにそっと触れて……。
"グォンッ!!"
強烈な風が男たち目がけて具現化され、吹き荒れる空気は一気に男たちを吹き飛ばして壁へと強打させた。それは針の穴を通すように正確で、ソファにいる彼女以外の全員が両脇へと飛ばされていた。
壁に叩きつけられた者たちは一瞬の出来事に、痛みに悶えつつ何が起こったのか唖然としていた。
ブリレイ「……おっと、失礼しました。僕はウェイトレスさんに用事があるのでちょっと道を開けて頂きたく」
両脇に倒れる男たちの中心を、ブリレイは相変わらずの表情で堂々と歩き、奥の席へと辿り着く。そして、衣服を乱され泣きじゃくる彼女にそっと手を伸ばした。
「……いやぁっ!!」
恐怖に怯える彼女は思い切りその腕を叩き落とすが、ブリレイはもう一度、優しい声で「先ほどの美味しいケーキのお礼を言いたくて、つい乱暴に来ちゃいました。怖がらせてすみません」と微笑むと、そこでようやく彼女はブリレイが敵でないと分かり、その手を受け入れる。
ブリレイ「失礼しますね」
乱れた衣服を直し、自身のベストで肌を隠すと、「さぁ参りましょう」とその手を引いた。
魔剣士(ブリレイ…!)
先ほどまでの状況で、動けるのは人間として限られている。
あの騒ぎの中で反発した行動を起こせるのはよっぽどな馬鹿か、よっぽどな"実力"を確信している者だけだろう。
「……おい、そこのボサボサ頭、コラァッ!!!」
荒くれ者たちは、快感の時間を邪魔されたことに苛立つことくらい分かっているのだから。
ブリレイ「……おや」
「てめェ、良い度胸じゃねぇか……!」
いよいよ、飛ばされた痛みから回復した男の一人が、立ち上がり近づいてくる。ウェイトレスは恐怖にブリレイの手をギュっと握りしめた。
ブリレイ「どなたか存じませんが、僕は彼女に用事があるんですよ」
しかしブリレイは我関せず、構わず通ろうとした。
「……ホントに良い度胸してるなテメェはよぉ!!」
これに腹を立てた男は、腰から短剣を抜く。
ブリレイ「…なるほど。いえ、しかしですね……」
それを見たブリレイは、ちょっと待ってくださいと片手で"止めろ"のポーズを取る。
「あァ!?今更おせーんだよ、ぶっ殺してやるよコラァ!!」
完全に血が上っている男に静止など効く筈がない。更に、それを境にして吹き飛ばした男たちも立ち上がり、ブリレイとウェイトレスを取り囲んでいく。
ブリレイ「…止めたほうがいいですよ?」
「はァ!?何言ってんの、バカなんですかーーーっ!!?」
数を手に入れた男は調子づき、今にも短剣を振いそうな勢いだった。
不味い!と思った魔剣士は動こうとしたが、ブリレイは至って冷静に対応する。しかし、その言葉は完全に"敵対"を意味するものだった。
「……武器を振いたくば振えば良い」と。
「は?そりゃお前を殺してそこの女と遊ばせてもらうけど、そんなの当然なんですけどー!!?」
「そんなことは分かっておりますよ。その気持ち、凄く分かっております」
「……分かる?はァ!?」
「分かるからこそ、忠告している。…いえ。この展開の場合は、まず貴方たちがそんな目にあってから痛みで気付くことでしょうけど」
「ぷっ…!ハハハハッ!!何言ってんの?この状況分かってる?マジでバカなのか?」
先立つ男の笑い。それにつられた周囲の男たちもまた笑った。
「……やれやれだ」
―――ここで、悪寒。
この感覚は魔剣士にのみ直感したことだが、その一言が、髪型と雰囲気以上に普段のブリレイと全く違うことが分かった。
ブリレイ「ほんの、ほーんの昔までは、実力差くらい分かる奴らが多かったっつーに。今の後任者たちはここまでレベルが低いモンかねぇ……」
彼の癖の一つ、困った時に見せる頭を掻くこと。今回ばかりは、それが目に見えて音を立てる。
ブリレイ「……特別だ。ちょっとばかし教育をしてやるよ、先輩としてな」
…………………………………
【謝罪について】
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2016年5月1日頃より、9-22話が公開状態となっていると報告をいただき、当該の話は非公開とさせていただきました。
詳細については「第一章」上記「謝罪」よりご確認いただければ幸いです。
こちらの問題について、9-13,14,15話の公開および9-22話まで5月3日より1日間隔の更新を行わせていただきます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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