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逆愛Ⅷ《嵐side》2
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「…特に間違ってる部分は無いね。こっちの予算は来月に回してもいいけど、このままでもいいかな」
「マサやんって…経理できるんすね」
「言っとくけどルイちゃんより経理詳しいんだからね俺」
俺でもルイルイが経理に詳しいってことは知ってる。
マサやんはあのルイルイを超すぐらい経理が出来るのか。
すげぇ。
「ははっ。驚いてるね」
「俺はそんなに経理できないですから。だから先輩の仕事増やしてんだろうな…」
マサやんは席を立ち、紅茶を入れ始めた。
「この紅茶美味しいから飲んでみて」
「あざす」
さっき洸弍先輩に出してた紅茶かな。
同じ紅茶を飲めるだけで嬉しいとか、アイドルとファンかよと思いつつ飲み干す。
洸弍先輩の仕事は俺よりも遥かに多い。
俺はそんな洸弍先輩に無意識に甘えて、先輩の仕事を増やしてたんだ。
「嵐くんは仕事できるよ。ルイちゃんもそう言ってたし」
「でも、洸弍先輩に迷惑かけてたら意味が無いです」
ただでさえ嫌いだと言われてるのに、更に嫌われてしまうじゃないか。
現にマサやんには俺のこと使えないってを話してるみたいだし。
「なになに?嵐くんって洸弍くんのこと好きなの?」
マサやんが席に座りながら言った。
痛いところを抉ってくるなぁ。
『好き』なんて感情じゃない。
―…もう『愛』に近い感情
「…ただの先輩と後輩です」
今では、『普通の先輩と後輩』以下の関係だけど。
「へぇ。そうなんだ」
マサやんは紅茶を飲みながら決算書の整理をしている。
俺は来期の予算の配当について下書きをしていた。
紙をめくる音と、シャーペンの削れる音しかしない静けさの中で、マサやんが口を開いた。
「俺この前、洸弍くんを抱いたよ」
あまりの急な発言に、俺は手の動きを止めた。
抱いた?
マサやんが、洸弍先輩を?
「まぁ飲み過ぎて洸弍くんは覚えてないだろうけど」
笑顔で俺を見つめるマサやんを、俺はどんな顔して見てる?
羨ましいとか、
悔しいとか、
色んな感情が混ざり合ってるのは確かだ。
「先輩、セックス出来るなら誰とでもいいって言ってましたから」
洸弍先輩、マサやんのこと苦手って言ってたのに…
マサやんが先輩を抱いたってことは、一緒に飲み会に居た神威も先輩を抱いたはずだ。
だって洸弍先輩は、神威を好きだから。
抱かれたら余計に好きになるよな。
可哀想に。
愁弥さんの恋人なのに。
辛い恋だよな。
結果は見えてる。
「酔った勢いじゃなかったら、洸弍くんは俺を拒否したはずだよ」
いや、違う。
洸弍先輩は誰とでもいいんだ、セックス出来るなら。
だから嫌いだって言った俺と体の関係を続けてたんだ。
―…それでも、俺は
「洸弍くんは嵐くんを好きだよ」
「…冗談。俺は現に『嫌い』って言われてますから」
それでも俺は、先輩を求めてる。
「信じなくてもいいけど、真実が知りたくなったらいつでも聞きにおいで。役に立てると思うよ」
真実?
俺は先輩を好きで、先輩は俺を嫌いっていうのが真実じゃないのか?
―…からかってるだけか
「ちょっと仮眠室で休んできます」
「いってらっしゃい」
先輩が俺を好きとか有り得ないだろ。
こっちは何度も『嫌い』って言われてるんだ。
「あ!嵐くん」
「何ですか?」
マサやんが俺に駆け寄りスマホを差し出してきた。
「仮眠室に充電器あるじゃん?俺のスマホ充電しといて」
「ここで充電すれば…」
「ここだと哀沢くんの写真見返したりしてスマホいじって集中出来ないから。俺も後で仮眠するつもりだったし」
「了解っす」
俺はマサやんのスマホを持って仮眠室へと向かい、そこで少し休むことにした。
「マサやんって…経理できるんすね」
「言っとくけどルイちゃんより経理詳しいんだからね俺」
俺でもルイルイが経理に詳しいってことは知ってる。
マサやんはあのルイルイを超すぐらい経理が出来るのか。
すげぇ。
「ははっ。驚いてるね」
「俺はそんなに経理できないですから。だから先輩の仕事増やしてんだろうな…」
マサやんは席を立ち、紅茶を入れ始めた。
「この紅茶美味しいから飲んでみて」
「あざす」
さっき洸弍先輩に出してた紅茶かな。
同じ紅茶を飲めるだけで嬉しいとか、アイドルとファンかよと思いつつ飲み干す。
洸弍先輩の仕事は俺よりも遥かに多い。
俺はそんな洸弍先輩に無意識に甘えて、先輩の仕事を増やしてたんだ。
「嵐くんは仕事できるよ。ルイちゃんもそう言ってたし」
「でも、洸弍先輩に迷惑かけてたら意味が無いです」
ただでさえ嫌いだと言われてるのに、更に嫌われてしまうじゃないか。
現にマサやんには俺のこと使えないってを話してるみたいだし。
「なになに?嵐くんって洸弍くんのこと好きなの?」
マサやんが席に座りながら言った。
痛いところを抉ってくるなぁ。
『好き』なんて感情じゃない。
―…もう『愛』に近い感情
「…ただの先輩と後輩です」
今では、『普通の先輩と後輩』以下の関係だけど。
「へぇ。そうなんだ」
マサやんは紅茶を飲みながら決算書の整理をしている。
俺は来期の予算の配当について下書きをしていた。
紙をめくる音と、シャーペンの削れる音しかしない静けさの中で、マサやんが口を開いた。
「俺この前、洸弍くんを抱いたよ」
あまりの急な発言に、俺は手の動きを止めた。
抱いた?
マサやんが、洸弍先輩を?
「まぁ飲み過ぎて洸弍くんは覚えてないだろうけど」
笑顔で俺を見つめるマサやんを、俺はどんな顔して見てる?
羨ましいとか、
悔しいとか、
色んな感情が混ざり合ってるのは確かだ。
「先輩、セックス出来るなら誰とでもいいって言ってましたから」
洸弍先輩、マサやんのこと苦手って言ってたのに…
マサやんが先輩を抱いたってことは、一緒に飲み会に居た神威も先輩を抱いたはずだ。
だって洸弍先輩は、神威を好きだから。
抱かれたら余計に好きになるよな。
可哀想に。
愁弥さんの恋人なのに。
辛い恋だよな。
結果は見えてる。
「酔った勢いじゃなかったら、洸弍くんは俺を拒否したはずだよ」
いや、違う。
洸弍先輩は誰とでもいいんだ、セックス出来るなら。
だから嫌いだって言った俺と体の関係を続けてたんだ。
―…それでも、俺は
「洸弍くんは嵐くんを好きだよ」
「…冗談。俺は現に『嫌い』って言われてますから」
それでも俺は、先輩を求めてる。
「信じなくてもいいけど、真実が知りたくなったらいつでも聞きにおいで。役に立てると思うよ」
真実?
俺は先輩を好きで、先輩は俺を嫌いっていうのが真実じゃないのか?
―…からかってるだけか
「ちょっと仮眠室で休んできます」
「いってらっしゃい」
先輩が俺を好きとか有り得ないだろ。
こっちは何度も『嫌い』って言われてるんだ。
「あ!嵐くん」
「何ですか?」
マサやんが俺に駆け寄りスマホを差し出してきた。
「仮眠室に充電器あるじゃん?俺のスマホ充電しといて」
「ここで充電すれば…」
「ここだと哀沢くんの写真見返したりしてスマホいじって集中出来ないから。俺も後で仮眠するつもりだったし」
「了解っす」
俺はマサやんのスマホを持って仮眠室へと向かい、そこで少し休むことにした。
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