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逆愛Ⅷ《嵐side》3
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最近、睡眠時間が少ない。
3時間寝れればいい方だと思う。
マサやんのスマホを充電してから仮眠室のベッドに横になった。
窓から差す太陽の光が暖かくて気持ち良い。
瞼を閉じれば、簡単に眠りに落ちる。
『洸弍くんは嵐くんを好きだよ』というマサやんの言葉が頭から離れない。
それが真実だったらどんなに嬉しいか。
マサやんのことだから俺をからかってるんだろうけど。
まぁいい、寝よう。
少し眠りに落ちたあと、誰かが仮眠室に入ってくる音がした。
少し寝ぼけつつ、重い瞼を開けるとそこには洸弍先輩が居た。
…先輩!?
先輩は後ろを向いてるから、俺が起きたことには気付いて無いはず。
「あの英語教師マジで苦手…」
何かを探している様子だ。
俺は寝たフリを続けることにした。
早く、早く出てってくれないか。
バレたらどんな顔して先輩を見ればいい?
ああ、なんだよこの心臓のバクバク感は!
「あった。これか」
おお、お探しの物が見つかったんですね!
なら早く出てって…
「…ムカつく寝顔」
―…すいません生まれつきです。
早く出ていくどころか、俺の方に気配が近付いてる気がするのは気のせいか?
先輩の香りが近い。
俺の目の前にいる気がする。
目が開けられないからよく分からないけど。
「なんで帝真なんだよ…」
ボソッと洸弍先輩が呟いた。
帝真…竜のこと?
竜がどうかしたのか?
俺は、洸弍先輩の発言で頭の中が混乱していた。
するとその瞬間、唇に温かくて柔らかい感触がした。
先輩の香りが更に近い。
キスされてる、俺。
―…どうして?
そして洸弍先輩が俺から離れ、仮眠室を出て行こうとした。
俺はベッドから起き上がり、ドアを開けようとしている洸弍先輩の手を掴んだ。
驚いた顔で洸弍先輩が俺を見た。
「大空っ!?」
「今、どうしてキス…」
「―…起きてたのかよお前。気まぐれだよ。気まぐれっ!」
そう言って俺の手を払いのけて慌てて部屋を出て行った。
気まぐれって…
俺はあんたを忘れようとしてるってのに、なんてことしてくれんだ。
『洸弍くんは嵐くんを好きだよ』
あぁもう、頭の中がごちゃごちゃする。
「お帰りー。眠れた?」
実習室に戻ると、マサやんがスマホをいじっていた。
「あれ?スマホ仮眠室で充電してませんでしたっけ?」
「んー。やっぱり哀沢くんの写真見ないと頑張れないから洸弍くんに取ってきてもらった」
だからあそこに洸弍先輩来たのかよ。
眠ったはずなのに何で疲れて戻ってきてんだ俺は。
分からない、何が真実なのか。
「どうかしたの?」
「…洸弍先輩にキスされた」
「わぁ、大胆」
マサやんはニコニコと俺の方を見ながら、ブラインドタッチでパソコンをやり始めた。
真実を知ってるって言ったよな?
冗談かもしれない。
―…けど、知りたい
「マサやん、俺…真実が知りたい」
俺の発言でマサやんの指の動きをピタッと止めた。
「何で知りたいの?ただの先輩と後輩なんでしょ?」
「好きだから、洸弍先輩が。だから知りたい」
それが俺にとって嫌な真実だとしても、受け入れる覚悟はできてる。
それが真実なんだから。
「いいよ。じゃあ話してあげる」
静まる部屋の中、心臓の鼓動が速くなる。
「この前、洸弍くんを抱いたあと『大空としたい…大空が好き』って言われた」
「は?いやいや、俺『嫌い』って言われてますから」
「好きだけど『嫌い』しか言えない状況だったんだよ」
意味が分からない。
好きなのに、どうして嫌いしか言えないんだよ。
あんなに切ない声で、潤んだ瞳で俺を嫌いだと言ってたじゃないか。
――…本当は、好き?
「詳しくは洸弍くんに聞くといいよ。今、過去資料室にいるから行ってみたら?」
そう言うとマサやんは過去資料室専用の鍵を俺に渡した。
あの部屋は特殊で、鍵が無いと入ることも出ることも出来ない。
「洸弍くんは鍵持ってないから、嵐くんが行かないと洸弍くんあの部屋から出てこれないよ」
マサやんの言ったことが真実だとしたら、これはチャンスだと思う。
そう思った俺は、鍵を握りしめて過去資料室へと向かった。
3時間寝れればいい方だと思う。
マサやんのスマホを充電してから仮眠室のベッドに横になった。
窓から差す太陽の光が暖かくて気持ち良い。
瞼を閉じれば、簡単に眠りに落ちる。
『洸弍くんは嵐くんを好きだよ』というマサやんの言葉が頭から離れない。
それが真実だったらどんなに嬉しいか。
マサやんのことだから俺をからかってるんだろうけど。
まぁいい、寝よう。
少し眠りに落ちたあと、誰かが仮眠室に入ってくる音がした。
少し寝ぼけつつ、重い瞼を開けるとそこには洸弍先輩が居た。
…先輩!?
先輩は後ろを向いてるから、俺が起きたことには気付いて無いはず。
「あの英語教師マジで苦手…」
何かを探している様子だ。
俺は寝たフリを続けることにした。
早く、早く出てってくれないか。
バレたらどんな顔して先輩を見ればいい?
ああ、なんだよこの心臓のバクバク感は!
「あった。これか」
おお、お探しの物が見つかったんですね!
なら早く出てって…
「…ムカつく寝顔」
―…すいません生まれつきです。
早く出ていくどころか、俺の方に気配が近付いてる気がするのは気のせいか?
先輩の香りが近い。
俺の目の前にいる気がする。
目が開けられないからよく分からないけど。
「なんで帝真なんだよ…」
ボソッと洸弍先輩が呟いた。
帝真…竜のこと?
竜がどうかしたのか?
俺は、洸弍先輩の発言で頭の中が混乱していた。
するとその瞬間、唇に温かくて柔らかい感触がした。
先輩の香りが更に近い。
キスされてる、俺。
―…どうして?
そして洸弍先輩が俺から離れ、仮眠室を出て行こうとした。
俺はベッドから起き上がり、ドアを開けようとしている洸弍先輩の手を掴んだ。
驚いた顔で洸弍先輩が俺を見た。
「大空っ!?」
「今、どうしてキス…」
「―…起きてたのかよお前。気まぐれだよ。気まぐれっ!」
そう言って俺の手を払いのけて慌てて部屋を出て行った。
気まぐれって…
俺はあんたを忘れようとしてるってのに、なんてことしてくれんだ。
『洸弍くんは嵐くんを好きだよ』
あぁもう、頭の中がごちゃごちゃする。
「お帰りー。眠れた?」
実習室に戻ると、マサやんがスマホをいじっていた。
「あれ?スマホ仮眠室で充電してませんでしたっけ?」
「んー。やっぱり哀沢くんの写真見ないと頑張れないから洸弍くんに取ってきてもらった」
だからあそこに洸弍先輩来たのかよ。
眠ったはずなのに何で疲れて戻ってきてんだ俺は。
分からない、何が真実なのか。
「どうかしたの?」
「…洸弍先輩にキスされた」
「わぁ、大胆」
マサやんはニコニコと俺の方を見ながら、ブラインドタッチでパソコンをやり始めた。
真実を知ってるって言ったよな?
冗談かもしれない。
―…けど、知りたい
「マサやん、俺…真実が知りたい」
俺の発言でマサやんの指の動きをピタッと止めた。
「何で知りたいの?ただの先輩と後輩なんでしょ?」
「好きだから、洸弍先輩が。だから知りたい」
それが俺にとって嫌な真実だとしても、受け入れる覚悟はできてる。
それが真実なんだから。
「いいよ。じゃあ話してあげる」
静まる部屋の中、心臓の鼓動が速くなる。
「この前、洸弍くんを抱いたあと『大空としたい…大空が好き』って言われた」
「は?いやいや、俺『嫌い』って言われてますから」
「好きだけど『嫌い』しか言えない状況だったんだよ」
意味が分からない。
好きなのに、どうして嫌いしか言えないんだよ。
あんなに切ない声で、潤んだ瞳で俺を嫌いだと言ってたじゃないか。
――…本当は、好き?
「詳しくは洸弍くんに聞くといいよ。今、過去資料室にいるから行ってみたら?」
そう言うとマサやんは過去資料室専用の鍵を俺に渡した。
あの部屋は特殊で、鍵が無いと入ることも出ることも出来ない。
「洸弍くんは鍵持ってないから、嵐くんが行かないと洸弍くんあの部屋から出てこれないよ」
マサやんの言ったことが真実だとしたら、これはチャンスだと思う。
そう思った俺は、鍵を握りしめて過去資料室へと向かった。
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