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流れのままに 2
しおりを挟むある日、重範という男性に出会った。これまでは礼儀として連絡先を交換しても後日のお誘いは断り続けていたけれど、このたびのお誘いは受けてみて、二人で食事に行った。
重範はお役所勤めの公務員で、早生まれの同学年であった。男性陣が公務員だけで構成された中にいた。
ほかの男性たちは公務員に対する世間のイメージ(お日さん西西、有休天国、国民の扶養者等々)と実態がいかにかけ離れているかということについて、女性陣の蒙を啓かんと励んでいたけれど、重範はなんだか恥ずかしそうにしていて、しかしそれでは同僚たちに悪いと思うのか、同意を求められれば力強くうなずいたりしてはいるものの、やっぱりこのような席には相応しくないと感ぜられる、それでもいち抜けはできない、なによりこんな葛藤を見せてはならない――そういうふうな心境が顔に漏れ出ていて、たいへんちぐはぐなことになってしまっていた。
美那子はそんな重範をじっと観察していたのだった。
報告するのが礼儀かしらと考えて、今度二人で食事に行くことになったと言ったら爽子は、
「あァ、あのこざっぱりした優男さんですか。いいじゃないですかァ――……無理やり連れて来られた同士ばっかりよろしくやっちゃって、やってらんないですよ」
重範は車で迎えに来た。運転するので自分は飲まないけれど美那子にはすすめた。美那子は逡巡なく選んで注文し、少し飲み過ぎるくらいだった。
それから夜景を見に行きましょうと言われて、どこかきれいなところへ連れて行ってくれるのかと思えば、あんまり詳しくないものでどこかありませんかと尋ねられた。縁日ヶ丘が思い浮かんだけれども、なんだか胸中に色々のものが錯綜し、決まらなかった。
けっきょく車は縁日ヶ丘の麓の駐車場に向かっていた。早く決断してしまわないとアルコールが頭の中で悪く下がり始めていたので。車内は酒臭いだろうなと思うと申し訳ないやら恥ずかしいやら。
展望台に行くと、思いがけず赤銅の団地に住んでいる中学生の悪童たちが仲間と騒いでいた。思えば以前から時々誰か騒いでいたが、彼らだったのかと氷解する心地であった。
じっさいには静かな縁日ヶ丘のテキヤのおじさん連の代わりに、わけのわからない卑猥な売り口上をがなっている。品物はないけれども、あるていで。
美那子は、近ごろこういう猥雑さに包囲されているのが、偶然なのか、あるいは自分がおびき寄せているものなのかわからなかった。
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