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流れのままに 3
しおりを挟むその内容は乱雑極まりないけれど、細部が時々やたらに練られているのはどんな事情であろうか。こういうのを考えるのが好きな子が混じっているらしい。
ワルやゴンタの集団が時にぼんやりした美形のテンネンや変な知識に富んでいるオタクを仲間に入れていることは、美那子も学生時分によく見た事例であったけれども。
――さあさあ御用とお急ぎでないかたは寄せてらっしゃい上げてらっしゃい、今からお目こにかけますものは、北斎蛸のお墨付き、稗田もアレエと腰抜かす、紫式部も赤面の、マス柿本人麻呂でさえ股から手が出るほどの風趣あふるるお珍品だお立ち合い、ほかではお目にかかれない、ヘソノオノミコトがオマタノオロチから取りいだしたる……
――今は昔、爺ィは山へハバカリに、婆ァは川へセンズリに、せっせと洗いまくっているところへどんぶらこっこォどんぶらこっこと流れ来たるは大ォォきな尻だ、これさえあれば爺ィの相手をせずに済むわと喜び勇んで持ち帰り、いざ御開帳をば仕ったらなにをかいわんや孕み尻だよ、ひり出て来たのは鬼も敵わぬ……
――さあおッ立ち合い、こうなりゃ自棄だ、清水の舞台から飛び降りたつもり、坂上タムシ麻呂に建立せられた清水の舞台から! さて手前ここに取りいだしたるは浦スジ太郎が子宮城から持ち帰りたるホト姫さまの玉手箱、玉手箱だよ玉手箱、これなるはあんまり励むと早く老けるという教訓、
代わって取りいだしたるここな若返りの水もまた飲み過ぎるといけない、なにごとも過ぎたるは猶及ばざるが如し、ほどというものが肝心だサアお立ち合い、欲をかいて赤ん坊にまで戻った婆ァもいるが、ほどさえ守ればたちまちのうち、どんなチンクシャ婆さんも小野小マネチさながらに……
――云々。
左様どうしようもないことをがなり立てている悪童たちの中に一人、美那子をじろじろ見ているのがいると思うと、誰であるのか判明したらしく卑猥な口上をやめさせて、律儀に挨拶しに来た。
しょっちゅう敷地内を歩き回っていた自分と命子はまあ目立っていたであろうし、団地住人からことさら記憶されていたのだろうと察しられつつ、
「あんまり騒いじゃ駄目よ」
とかなんとか、そんなことを言っておいた。悪童たちは美那子からじきじきに注意されてホコホコ顔に、たいそう爽やかに頭を下げて、すいませんした! 失礼します! お疲れっした! などと言って去って行った。
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