縁日ヶ丘物語

「私は飛んでっちゃいたい。もっとラクな世界に」
「どこでも駆けつけるよ。呼ばれなくても遊びに行くよ」
「一緒に来てもいいよ」
 けれども、舞は優しくなでながら、
「一緒には、もう行けないよ」
 美那子の閉じた目に、涙がにじんだりしたかもしれなかった。しばらく閉じたままでこらえて、それは流れることなく消えたりしたかもしれなかった。
「――……仕方ないね。きっと遊びに来てね」
「うん。絶対に行くね」
(本文より)

※第四十四回すばる文学賞(2020)第1次予選通過(のち改稿)
 第5回幻冬舎ルネッサンス新人賞(2024)大賞候補(のち改稿)

※ステキブンゲイにも掲載中。
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