4 / 31
4.子どもじゃないですからっ。
しおりを挟む
「んっ・・・。」
紫沫が目を覚ますと、そこはやはり記憶にあるベッドの上だった。
広々としたベッドの上で、きっとここは自分が生きていた場所とは違うのだろう、と昨日の出来事を思い浮かべながら再認識した。
(だって、耳っ。ケモ耳ついてたっ。)
脳裏に浮かぶのは昨日の男の頭に付いていた耳だ。
カチューシャのようなファッションとは言い難い、滑らかな曲線と、音に反応するその様子から作り物ではないと思う。
それに、動物の毛というとごわごわとした短い毛を思い浮かべる事が多いが、触れてみると見た目以上に柔らかい毛もたくさんあるのだ。あの耳は柔らかそうな毛質をしていた。
もっとも、ごわごわとした毛も手触りは太く硬いものだが、一本一本の毛の力強さを感じさせてくれるものでもあって、紫沫にとってはそれもまた愛しいものだった。
(あのケモ耳、動きも可愛かったな。それにさ、尻尾、尻尾だよっ。ああ、もう一回ちゃんと見たいなぁ。
それにしても・・・あの人?人で良いのかな?まぁ呼び名なんてどうでもいいか。
あの人、一体何であんな事したんだろ・・・。)
知らない男に裸に剝かれ、あまつさえ自分の大事な部分を見られ、擦られ、最後までイってしまった。
そこに全く嫌悪感がなかったのは疲労と空腹から意識が朦朧としていたからだろうか。
それとも、ぴょこぴょこ動くケモ耳と、ふさふさ尻尾に目を奪われたからだろうか。
理由はどうあれ、少なくとも紫沫にはあの男との行為が”嫌なもの”とは認識できなかった。
ただ理由は知りたいと思ったが・・・。
ふと、自分の身体を見ると紫沫は見た事のないワンピースのようなつなぎの衣を着ていた。
色はベージュの大人しい色だ。前合わせになっている浴衣みたいな造りだ。
「これ・・・着替えさせてくれたのかな?」
ふわりと花のような華やかな香りとお日様に当てて乾いたぷくぷくとした匂いがする。
洗濯された清潔な衣類なんだと思うと着替えさせてくれた男に感謝した。
多少、ワンピースみたいな形が残念ではあるけれど。
このままベッドにとどまっていてもどうしようもないか、と紫沫は起き上がり男を探しに行く事にした。
結局ここは何処で、あなたは誰で、この世界はどんな世界なのか、というのは聞かない限り分からないからだ。
「この服・・・もしかしてパジャマなのかな?こんな格好で外に出ても怒られないかなぁ。でもこれしかない・・・よね。」
ちょっと不安にはなるけれど、自分が着てきた洋服は見当たらないし、確か腰に掛けていたシザーケースも見当たらない。
あれは大事な自分の商売道具だ。取られたなら取り返さなくてはならない。
一生懸命働いて、少しずつ貯めたお金で買った散髪用のハサミやコームがあれには入っている。
紫沫はあまり物に執着する性格ではなかったし、なるようになる、という性格でもあったが、あれだけは取り返したいと思った。
それだけ紫沫にとって大切で大事なものだったのだ。
「よっと。」
紫沫が小柄だからというよりも、このベッドが大きすぎるのだ。
紫沫が床に降りようとすると、思った以上に高く床からの距離があった。
ずっと歩き通しだったし、疲労もあった。そして、昨夜のアレコレで身体の機能が強張ってしまったのか。
紫沫はしっかり降り立つ事が出来ず、ヨロヨロと倒れそうになってしまった。
「おいっーーー。」
いつのまに傍にいたのか、紫沫の身体は男の腕の中だった。倒れそうになった腰と肩に腕を回され支えられている。
力強い腕で体勢を立て直されると、ひょいっと両脇に手を差し入れられそのまま持ち上げられた。
「わっ。」
「危ないからそのままな。お前はもう少しベッドで寝てろ。」
これまたひょいっという感じでベッドに降ろされた紫沫は、宥めるように頭をぐりぐりと撫でられた。まるで小さな子供扱いだ。
そのまま背を向けて去って行こうとする男に向かって、紫沫は慌てて声を掛けた。
「あのっ、ちょっとまって。」
「ん?」
「た、助けてくれたんですよね?ありがとうございます。」
昨夜の身体検査もどきのアレコレはさておき、紫沫が林の中で倒れたのは確かだった。その時この男の姿を見た覚えはないが、自分がこうして世話になっているという事は助けてもらったのだろう。
記憶が間違ってなければあの時見たのは銀色の綺麗な生き物だったはずだ。もしかして目の前のこの男はあの銀色の動物の事を知っているのかも知れない。
そう、あの光輝く銀の艶やかな毛並みを持つ孤高の狼・・・。あの毛に指を差し入れて、思う存分モフモフしたい・・・。
そんな風に妄想してしまった紫沫の様子に男は不思議そうな顔をしていたが、取り合えず答えてくれた。
「ああ、まぁな。お前が道の真ん中で倒れてたんだからしょうがないだろ。俺だってそこまで薄情じゃない。」
「え?道?」
「なんだ、お前記憶がないのか?もう辺りは暗かったしあのままにはしておけなくてな。俺が自分の家まで連れて帰ったんだぞ。」
道の真ん中で倒れた記憶なんてない。
紫沫は男が自分に嘘をついているんじゃないか、と思った。けれど、すぐにその疑念を打ち消した。
だって、紫沫を騙して何の得があるのか。
きっとこの男は口では面倒くさいと言いながら放っておけない気の良い男なのだろう。
そう結論付けた紫沫はもう一度頭を下げた。
「そうですか。ご迷惑おかけしました。つきましては、少々お伺いしたい事があるんですが・・・。」
「なんだ、その喋り方?子どもがそんな喋り方しなくていいんだぞ。もっと大人になってからで十分だ。」
男は紫沫の頭をもう一度よしよしと撫でた。
本当に紫沫の事を年端もいかない子どもだと思っているらしい。
「いえっ。あのっ、僕子どもじゃないんです・・・。」
「いやいや、大人をからかうもんじゃないぞ。お前どう見たってまだ乳飲み子ぐらいの大きさじゃないか。」
「ち、乳飲み子!!」
「いや、それは言い過ぎか・・・。でも手だってこんなに小さいし、毛は頭にしか生えてないし、耳もツルツル。尻尾だってなかっただろ。もっと大きくなったら生えてくる種族なのか?」
「しゅ、種族・・・。」
「俺もそんなに博識って訳じゃないからな。お前みたいなのは見た事がないんだけど・・・。種族は何なんだろうなぁ。お前親はどうした?名前は?」
ここに来てやっと名前を尋ねられた。
ずっとこのまま名無しでいなければならないのかと思った。
「紫沫(シブキ)と言います。親は・・・知りません。僕、親の顔見たことなくて。」
そう言った紫沫の顔を見て、男は少々痛そうな顔をした。
こんな顔は見た事がある。
紫沫が『親の顔を知らない』『児童養護施設出身だ』と言うと決まって現れる表情。
可哀想、悪い事聞いたな、といったマイナスの表情だ。
紫沫にとって親の顔を知らない事はもうどうにもならない事実だった。
時間は巻き戻せないし、親というのがどういうものなのかよく分からない。
知らないものはそんなもの、そう生きてきた紫沫にとって相手から受ける同情は理解できないものであった。
それでも、そんな顔をさせてしまって申し訳ない、という気持ちは生まれる。
だから、紫沫はあまり親がいない事を他人に話す事はしなかった。なのに、この現状に普段の思考回路が混乱しているらしい。落ち着いた態度ではいられない。
「あっ、あの。あなたはどなたなんでしょう。しゅ、種族は?」
「ああ、俺は琅。種族は狼。バーウルフっていう種類なんだ。」
「バーウルフ?普通の狼とは違うんですか?」
「いや、普通の狼と同じだよ。バーっていうのは俗称さ。バーミー地方に端を発する狼ってだけだ。」
「バーミー地方・・・。」
「そういや、シブキは?どこ出身なんだ?大人になってどんな尻尾が生えてくるんだよ。」
何故かワクワクとした感じで琅が詰め寄ってきた。
「お前、本当にツルツルだもんな。ちょっと転んだだけで大けがでもしそうで危なっかしい。」
結局元に戻ってしまった琅の誤解を解こうと紫沫は琅の腕に縋り付いた。
「僕、本当に子どもじゃないんですっ。僕、こう見えても20歳ですから!」
「へ?」
男は何を冗談を、という顔をしていたが、紫沫が至極真剣な顔つきでジッと見ていると、じわじわとその表情を変えた。
「だからもう成体?なんですぅぅ・・・。」
「嘘だろっ!!」
紫沫が目を覚ますと、そこはやはり記憶にあるベッドの上だった。
広々としたベッドの上で、きっとここは自分が生きていた場所とは違うのだろう、と昨日の出来事を思い浮かべながら再認識した。
(だって、耳っ。ケモ耳ついてたっ。)
脳裏に浮かぶのは昨日の男の頭に付いていた耳だ。
カチューシャのようなファッションとは言い難い、滑らかな曲線と、音に反応するその様子から作り物ではないと思う。
それに、動物の毛というとごわごわとした短い毛を思い浮かべる事が多いが、触れてみると見た目以上に柔らかい毛もたくさんあるのだ。あの耳は柔らかそうな毛質をしていた。
もっとも、ごわごわとした毛も手触りは太く硬いものだが、一本一本の毛の力強さを感じさせてくれるものでもあって、紫沫にとってはそれもまた愛しいものだった。
(あのケモ耳、動きも可愛かったな。それにさ、尻尾、尻尾だよっ。ああ、もう一回ちゃんと見たいなぁ。
それにしても・・・あの人?人で良いのかな?まぁ呼び名なんてどうでもいいか。
あの人、一体何であんな事したんだろ・・・。)
知らない男に裸に剝かれ、あまつさえ自分の大事な部分を見られ、擦られ、最後までイってしまった。
そこに全く嫌悪感がなかったのは疲労と空腹から意識が朦朧としていたからだろうか。
それとも、ぴょこぴょこ動くケモ耳と、ふさふさ尻尾に目を奪われたからだろうか。
理由はどうあれ、少なくとも紫沫にはあの男との行為が”嫌なもの”とは認識できなかった。
ただ理由は知りたいと思ったが・・・。
ふと、自分の身体を見ると紫沫は見た事のないワンピースのようなつなぎの衣を着ていた。
色はベージュの大人しい色だ。前合わせになっている浴衣みたいな造りだ。
「これ・・・着替えさせてくれたのかな?」
ふわりと花のような華やかな香りとお日様に当てて乾いたぷくぷくとした匂いがする。
洗濯された清潔な衣類なんだと思うと着替えさせてくれた男に感謝した。
多少、ワンピースみたいな形が残念ではあるけれど。
このままベッドにとどまっていてもどうしようもないか、と紫沫は起き上がり男を探しに行く事にした。
結局ここは何処で、あなたは誰で、この世界はどんな世界なのか、というのは聞かない限り分からないからだ。
「この服・・・もしかしてパジャマなのかな?こんな格好で外に出ても怒られないかなぁ。でもこれしかない・・・よね。」
ちょっと不安にはなるけれど、自分が着てきた洋服は見当たらないし、確か腰に掛けていたシザーケースも見当たらない。
あれは大事な自分の商売道具だ。取られたなら取り返さなくてはならない。
一生懸命働いて、少しずつ貯めたお金で買った散髪用のハサミやコームがあれには入っている。
紫沫はあまり物に執着する性格ではなかったし、なるようになる、という性格でもあったが、あれだけは取り返したいと思った。
それだけ紫沫にとって大切で大事なものだったのだ。
「よっと。」
紫沫が小柄だからというよりも、このベッドが大きすぎるのだ。
紫沫が床に降りようとすると、思った以上に高く床からの距離があった。
ずっと歩き通しだったし、疲労もあった。そして、昨夜のアレコレで身体の機能が強張ってしまったのか。
紫沫はしっかり降り立つ事が出来ず、ヨロヨロと倒れそうになってしまった。
「おいっーーー。」
いつのまに傍にいたのか、紫沫の身体は男の腕の中だった。倒れそうになった腰と肩に腕を回され支えられている。
力強い腕で体勢を立て直されると、ひょいっと両脇に手を差し入れられそのまま持ち上げられた。
「わっ。」
「危ないからそのままな。お前はもう少しベッドで寝てろ。」
これまたひょいっという感じでベッドに降ろされた紫沫は、宥めるように頭をぐりぐりと撫でられた。まるで小さな子供扱いだ。
そのまま背を向けて去って行こうとする男に向かって、紫沫は慌てて声を掛けた。
「あのっ、ちょっとまって。」
「ん?」
「た、助けてくれたんですよね?ありがとうございます。」
昨夜の身体検査もどきのアレコレはさておき、紫沫が林の中で倒れたのは確かだった。その時この男の姿を見た覚えはないが、自分がこうして世話になっているという事は助けてもらったのだろう。
記憶が間違ってなければあの時見たのは銀色の綺麗な生き物だったはずだ。もしかして目の前のこの男はあの銀色の動物の事を知っているのかも知れない。
そう、あの光輝く銀の艶やかな毛並みを持つ孤高の狼・・・。あの毛に指を差し入れて、思う存分モフモフしたい・・・。
そんな風に妄想してしまった紫沫の様子に男は不思議そうな顔をしていたが、取り合えず答えてくれた。
「ああ、まぁな。お前が道の真ん中で倒れてたんだからしょうがないだろ。俺だってそこまで薄情じゃない。」
「え?道?」
「なんだ、お前記憶がないのか?もう辺りは暗かったしあのままにはしておけなくてな。俺が自分の家まで連れて帰ったんだぞ。」
道の真ん中で倒れた記憶なんてない。
紫沫は男が自分に嘘をついているんじゃないか、と思った。けれど、すぐにその疑念を打ち消した。
だって、紫沫を騙して何の得があるのか。
きっとこの男は口では面倒くさいと言いながら放っておけない気の良い男なのだろう。
そう結論付けた紫沫はもう一度頭を下げた。
「そうですか。ご迷惑おかけしました。つきましては、少々お伺いしたい事があるんですが・・・。」
「なんだ、その喋り方?子どもがそんな喋り方しなくていいんだぞ。もっと大人になってからで十分だ。」
男は紫沫の頭をもう一度よしよしと撫でた。
本当に紫沫の事を年端もいかない子どもだと思っているらしい。
「いえっ。あのっ、僕子どもじゃないんです・・・。」
「いやいや、大人をからかうもんじゃないぞ。お前どう見たってまだ乳飲み子ぐらいの大きさじゃないか。」
「ち、乳飲み子!!」
「いや、それは言い過ぎか・・・。でも手だってこんなに小さいし、毛は頭にしか生えてないし、耳もツルツル。尻尾だってなかっただろ。もっと大きくなったら生えてくる種族なのか?」
「しゅ、種族・・・。」
「俺もそんなに博識って訳じゃないからな。お前みたいなのは見た事がないんだけど・・・。種族は何なんだろうなぁ。お前親はどうした?名前は?」
ここに来てやっと名前を尋ねられた。
ずっとこのまま名無しでいなければならないのかと思った。
「紫沫(シブキ)と言います。親は・・・知りません。僕、親の顔見たことなくて。」
そう言った紫沫の顔を見て、男は少々痛そうな顔をした。
こんな顔は見た事がある。
紫沫が『親の顔を知らない』『児童養護施設出身だ』と言うと決まって現れる表情。
可哀想、悪い事聞いたな、といったマイナスの表情だ。
紫沫にとって親の顔を知らない事はもうどうにもならない事実だった。
時間は巻き戻せないし、親というのがどういうものなのかよく分からない。
知らないものはそんなもの、そう生きてきた紫沫にとって相手から受ける同情は理解できないものであった。
それでも、そんな顔をさせてしまって申し訳ない、という気持ちは生まれる。
だから、紫沫はあまり親がいない事を他人に話す事はしなかった。なのに、この現状に普段の思考回路が混乱しているらしい。落ち着いた態度ではいられない。
「あっ、あの。あなたはどなたなんでしょう。しゅ、種族は?」
「ああ、俺は琅。種族は狼。バーウルフっていう種類なんだ。」
「バーウルフ?普通の狼とは違うんですか?」
「いや、普通の狼と同じだよ。バーっていうのは俗称さ。バーミー地方に端を発する狼ってだけだ。」
「バーミー地方・・・。」
「そういや、シブキは?どこ出身なんだ?大人になってどんな尻尾が生えてくるんだよ。」
何故かワクワクとした感じで琅が詰め寄ってきた。
「お前、本当にツルツルだもんな。ちょっと転んだだけで大けがでもしそうで危なっかしい。」
結局元に戻ってしまった琅の誤解を解こうと紫沫は琅の腕に縋り付いた。
「僕、本当に子どもじゃないんですっ。僕、こう見えても20歳ですから!」
「へ?」
男は何を冗談を、という顔をしていたが、紫沫が至極真剣な顔つきでジッと見ていると、じわじわとその表情を変えた。
「だからもう成体?なんですぅぅ・・・。」
「嘘だろっ!!」
0
あなたにおすすめの小説
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
悪役令息の花図鑑
蓮条緋月
BL
公爵令息シュヴァリエ・アクナイトはある日、毒にあたり生死を彷徨い、唐突に前世を思い出す。自分がゲームの悪役令息に生まれ変わったことに気づいたシュヴァリエは思った。
「公爵家の力を使えば世界中の花を集めて押し花が作れる!」
押し花作りが中毒レベルで趣味だったシュヴァリエはゲームのストーリーなどお構いなしに好き勝手動くことに決め行動が一変。その変化に周囲がドン引きする中、学園で奇妙な事件が発生!現場に一輪の花が置かれていたことを知ったシュヴァリエはこれがゲームのストーリーであることを思い出す。花が関わっているという理由で事件を追うことにしたシュヴァリエは、ゲームの登場人物であり主人公の右腕となる隣国の留学生アウル・オルニスと行動を共にするのだが……?
※☆はR描写になります
※他サイトにて重複掲載あり
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる