洗髪させていただきます!よろしければ丸ごとお任せ下さいっ。

塚銛イオ

文字の大きさ
5 / 31

5.この世界は。

しおりを挟む
紫沫の年齢を聞いた琅は驚愕の表情で暫く紫沫の顔を見つめていたが、ありえないとばかりに首を左右に振ると、はぁっと息を吐きだした。
そんな琅の姿をみて、紫沫はどれ程自分が子どもだと思われていたのか深く理解した。

(でも子どもだと思っていた相手にあんな事する?とんだ淫行ヤローだよね・・・。)

心の中でこっそり毒づいたのは秘密だ。

「あ、あの。ここってその・・・琅、さんのお家なんですよね・・・。み、道に倒れてたって言ってたけど、僕あんまり覚えて無くて・・・。」

本当は理解している事が少なすぎて何も分からない事だらけだったのだが、ソコを突っ込まれると困るので紫沫は記憶があいまいだという事で押し通してしまおうと思った。

「ここは確かに俺の家だが、時折しか使わないんだ。街には違う家がある。本当は昨日ここを発つ予定だったんだがお前を拾ったからな。それもまた延期だ。」

「え、そ、それじゃとってもご迷惑かけたんじゃ・・・。琅、さんに・。」

「その『琅さん』ってやめてくれ。ロウでいいよ。お前みたいなちっこい奴があんまりにも丁寧な言葉で話してるってもの違和感あるからもっと気楽に話してくれていい。」

急にそんな風に言われてもドキドキするだけだ。

紫沫にはそんな気安く話しかけられる友達も知り合いもいなかった。
店では一番下っ端だったからか敬語で話す先輩しかいなかったし、例え年下であっても紫沫の小柄な体躯にタメ口で話される事が多かったからだ。

「じゃ、ロ、ロウ。こ、これでいい?」

おそるおそる名前を口に乗せると、琅は満足そうにうなずいた。

「ああ、それでいい。で、お前はなんであんな場所に倒れてたんだ?見た目は子どもだぞ、子ども。お前みたいなのが一人であんな時間に歩いてたら攫われて売られるのが関の山だぞ。」

「さ、攫われ?う、売られちゃ・・う?」

「ああ、この辺りはウィッチ地方の外れで城壁の側でもあるからな。外から迷い込んできたやつを狙う悪い連中も多い。壁の外のやつらはウィッチの内情なんて知らないからな。せいぜい噂で良い事ばかり聞いてきたんだろ。夢を持って家族で移住してくるやつらが多いんだ。」

琅の言う城壁っていうのは僕が通ってきたあの壁の事か、と紫沫は思った。

「子どもは高く売れる。労働力としても性的奴隷としてもな。」

「ど、奴隷?」

「そうだ。世の中には子どもみたいに柔らかくて美味そうな身体に興奮する変態も多いって事だ。親たちは獣の属性が入ってるから身体は硬くて中身しか売れないってものも多いさ。」

「な、中身・・・。」

もはや琅の言葉を繰り返す事しか出来なかった。
自分が生きてきた世界とはまるで違う暴力的な行為がまかり通る世界なのだと背筋が凍った。

「子どもとはいってもお前みたいに耳も尻尾もない種族はいない。シブキは身体中が柔らかくて滑らかだ。年齢を聞いたとてそのナリじゃ子どもと変わらないさ。お前の場合は乱暴される恐れもあるが、気を付けないと本当に食われる恐れもあるぞ。」

琅の言葉にギョッとした。
性的に乱暴されるのも恐ろしい事なのに、本当に餌のように食料として食べられてしまう恐れもあるだなんて・・・。
余りにも常識というか倫理観の違いにビックリした。

「お、同じ種族ではないですけど、お、同じ獣人?を食べる事なんてあるんですか?」

「ほとんどないさ。それはやっぱり禁忌だからだな。それでも昔からそう言った悪習を繰り返してきた野蛮な奴らが世の中に少数であってもいる事はいるんだ。やつらは一つの場所にとどまらない。だから注意が必要なんだ。」

厳しい顔でそう琅に言われ、紫沫はあまりの内容に涙が浮かんでくる。

どうしてこんな場所に飛ばされてしまったのか。
ただお店で閉店準備をしていただけなのに。

やっとお客さまに喜んでいただけるようになってきた矢先だったのに。
そんな些細な自信も全て無くなってしまった・・・。

これから僕はどうしたらいいんだろう。
この世界の常識も分からないこの状態でもし琅に放り出されたら・・・。

そう思ったら紫沫は半分パニックになりながら琅の腕をぐっと掴んで訴えていた。

「ぼ、僕、何にも分からなくてっ。お願いです。街へっ、街へ連れて行ってくれませかっ。」

「ま、街か?」

「そ、そう。ま、街へ行ったらや、役所?みたいな人を管理する場所ってあるでしょ?ぼ、僕みたいな迷い人もどうにか面倒見てくれたりするんじゃ。」

「あーまぁなぁ・・・。迷い人は一応届け出することになってはいるからなぁ・・・。でもなぁ・・・。」

紫沫の涙を浮かべて更に幼さを増した顔を長々と眺めていた琅だったが、渋々ながら頷いてくれた。

「取り合えず街まで一緒にいってやる。その後の事も取り合えず心配するな。俺が何とかしてやるから。」

「え?その後?」

「あ~~。取り合えず、追々な、追々。」

どうやら今はその話をする気がないらしい。
それでも街まで連れて行ってくれるという琅の言葉に一気に力が抜けるのが分かった。


ぐぅぅぅぅ


力が抜けたら今度は腹の虫が鳴った。
それはそうか。もう丸一日以上食うや食わずだったのだ。

「ははっ。腹の虫は大人顔負けだな。」

「だから、大人ですって。」

「分かった、分かった。取り合えず食事にしよう。」

琅は快活にそう笑って言うと、紫沫の頭を子どもにするようにグシャグシャにしてから食事の用意に向かった。

今の仕草はどう見たって子どもにする事だな、と紫沫は琅が自分の事をやっぱり子どもだと思っているのではないか、と疑いながら後を追った。


++

「美容・・師?」

「ええ、僕、美容師見習いだったんです。」

「美容師見習い・・・。」

「そうです。髪を切ったり、整えたり。街にはありませんか?」

「髪を切る・・・。」


簡素な木のテーブルに並べられたのは見た目サンドイッチのようなものだった。
薄く硬そうなパンからはみ出していたのは肉のように見える。
パサついたこれまた堅そうな食感に躊躇したが、とにかくお腹の空いていた紫沫は何とか一口齧ると、口の中で何度も何度も噛んで飲み込んだ。

少し塩辛い。それでも噛んでいるとじわじわと旨味が溢れてくる肉だ。

硬いパンは少し酸味があるもので紫沫には食べ慣れぬ味だったが文句など言えない。
こうやって食事を分けてくれるだけでありがたいのだ。

食事をしながら紫沫は自分の事を少し琅に話して聞かせた。

この世界が何処なのかは既に問題ではなく、これから自分はどうやってこの世界で生きていけばいいのかを考えないとならないと思ったからだ。

紫沫のなるようになる精神は順応性もまた発揮したようだった。


このままここで暮らすのであればやはり仕事をしなければならないだろう。
どこでもタダで食べ物が手に入るような事はないのだ。
であるならば自分が出来る事を仕事にするほかない。

紫沫は元いた世界と同じように美容師として働く事が出来れば、と思った。
幸い、琅に聞いたら紫沫のシザーケースはきちんと保管されていたし、見せてもらったが特に破損したものもなかった。

それならば同じような職場?があれば自分もこの世界でやっていけるだろうと考えたのだったが目の前の琅の表情はどうも冴えない。

「あーシブキ。その、美容師?ってのは髪を切ったり・・・その、整えたりするんだよな?」

「ええ、そうです。・・・髪・・・伸びますよね?」

見た目は自分と同じような身体付きに耳と尻尾がついているだけのように見えたので、獣人の彼らも同じように髪が伸びると思ったのだが違うのだろうか。

「そうだなぁ。確かに髪ってのは伸びるけどみんな適当に自分で切ってるはずだぞ。若しくは母親や女房、恋人なんかに切ってもらうとか。それこそ伸ばしっぱなしの奴だっているぐらいだ。」

「そ、そうなんですか。」

「あー、ほら・・・髪を切る時って耳が近いだろ。耳ってのは俺たちにとって急所にもなるんだよ。尻尾もそうだけどな。結構無防備なわけ。それを触らせるってのは信頼できる奴にしかさせないのが俺たち獣人の習性なんだよ。ましてや刃物をもってたりしたら信用できる奴にしか任せられないしな。」

「そうなんだ・・・。」

琅の説明を聞いて紫沫は酷くガッカリしてしまった。
今の話からすると、髪を切れるのは家族や恋人じゃないと無理のようだ。という事は美容師のように散髪を生業にしている店なんかも無いのだろう。

(いい案だと思ったのにな・・・。)

紫沫が出来る事などそれ程ない。
ましてやこの場所では自分が生きてきた常識だって通用しないかも知れない。

またふりだしに戻ってしまった紫沫は、肩を落としてモソモソとパンを齧った。

「まぁ、そんなに落ち込むな。街に付く間に何か思いつくかも知れないだろ。なっ。」

頭をグリグリと撫でられる。

もう琅には何度もされた行為であるけれど、慰められているのは分かる。
そんな琅の優しさが嬉しかった。

「ああ、シブキにはそれちょっと硬かったな。俺用の食事だったからな。スープでもあれば良かったんだが、あいにくもう発つ予定だったから食材なんかは処分した後だったんだよ。」

申し訳なさそうにそう言われこちらの方が恐縮してしまう。

「ごめんなさい。全部は食べれなかった。味は美味しいんですけど、顎が・・・。」

何度も何度も噛んでいた為、次第に顎が疲れてしまっていた紫沫は正直に話して謝罪した。
ここで頑張ってもしょうがないという気持ちもあった。

「いや、いいって。取り合えず今夜もここで過ごして、明日出発しよう。俺はこれからちょっと出かけてくるから。シブキは明日に備えてゆっくりしてろ。」

紫沫の食べ残したサンドイッチをひょいっと一口で飲み込んでしまうと、琅は食器を片付けて出かけていった。

あっという間の出来事で、ごちそうさまの一言も言えなかった紫沫だったが、辛うじて小さく
「いってらっしゃい」
という事は出来た。


誰かの為に『いってらっしゃい』なんて言葉をかけたのは初めてだ。
その事実が面映ゆくて、琅が出て行ったドアを暫く見つめ続けていた紫沫だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

処理中です...