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二人きりの打ち合わせ 2
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それでも、まだ三回しか会っていないのに気になってきている自分に戸惑いを隠せなかった。
未だに異性が怖いのは事実だが、悠牙と話す時は本来の自分でいられる。
蘭に指摘されて動揺したのも、心の奥底に秘めていた感情を当てられたからだ。
ふぅ、と紗耶は小さく溜め息を吐いた。
(止めよう、こういうのは)
自分でどこかで区切りを付けなければ、いつか溢れ出してしまう。
小学生以来、久しぶりにこの気持ちが芽生えただけでも良しとしなければならない。
「──撮影も終わりましたし、戻りましょうか。あと、もう少しインタビューもしたいので、待機してほしいんですが大丈夫ですか?」
「分かりました」
蘭と悠牙のやり取りをどこか上の空で聞きながら、紗耶はひっそりと決意した。
(今日で黒木さんと会う事もないんだし、もう止めないと)
「じゃあここで待っていてください。ライターを呼んで来ますので」
蘭と共に先導して悠牙を空き部屋に通すと、蘭はバタバタと急ぎ足で出ていった。
(ど、どうしよう)
何かを言うでもなく悠牙と共に取り残された紗耶は、所在なさげに立っているしかできない。
元々、紗耶の出番はここで終わりのようなもので、あとは編集部に戻って細々とした内容の修正などをするだけだ。
インタビュー自体は蘭がすると事前に伝えられている為、ここまで着いてくる必要はなかったのだが。
(今更『私も戻ります』なんて言えないし。ひとまず蘭が来るまで……)
「ねぇ」
「ひ、は、はい!」
不意に声を掛けられ、紗耶はびくりと肩を震わせる。
「英さんが来るまで座ろうか」
くすくすと口元に手を当て、悠牙が言った。
「は、はい」
私は立っているので、と言える雰囲気でもなく、紗耶は言われるがまま椅子に座った。
真正面に悠牙が座ると同時に、身体に緊張が走る。
机を挟んでいるとはいえ、時折じっと見つめられてはどこを見ていいか困惑してしまう。
紗耶が気を紛らわせるものはインタビュー項目をまとめた記事だけだ。
「俺のこと、知ってるよね」
紗耶の緊張を解そうとしてくれているのか、そっと悠牙が問い掛けてきた。
「え、はい」
瞳を瞬かせ、紗耶はこくりと首肯する。
知っていると言っても、蘭がこの企画に悠牙の名を出すまで知らなかったのだが、伏せるべきだろうか。
「昔から?」
いや、真剣な瞳に嘘は吐けない。
ここで嘘を言っても後になって傷付けるのならば、正直に話してしまう方がマシだ。
「……すみません。あまりテレビを観ないので、英に企画に誘われてから初めて名前を知ったくらいで」
紗耶は小さく謝罪し、頭を下げる。
「そっか」
失言をしてしまった、と気付いた時には遅かった。
一言だけだが、先程よりもずっと抑揚のない悠牙の声に下げた頭が上げられない。
言葉を紡ごうとするも、何かがつっかえた違和感がして唇すら動かせなかった。
「っ!」
すると、タイミングを見計らったかのように携帯のバイブ音が鳴った。
「す、すみません」
途中で会話を途切れさせる事への謝罪なのか、紗耶の頭の中で明確に処理しきれないまま、一言断りを入れてから携帯の画面を確認する。
『ごめん、トラブル! ライターの人が手違いで来れなくなって今対応してる』
蘭からメッセージが来ており、すぐさま猫の土下座をするスタンプが来たと思えば、
『紗耶、書き留めておいてくれる?』
今このタイミングで、絶対に来てほしくなかった文字の羅列。
(それって私がインタビューするって事……?)
編集者とライターでは業務に違いがある、と知らない蘭ではないはずだ。
『黒木くんには残りの二つ答えてもらうだけ』
『文書読み上げるのが無理そうなら、記事渡すだけでいいよ。なんなら黒木くんに空欄に解答してもらって、あとは代わりのライターにやってもらうから』
次から次に蘭からメッセージが来たが、そのどれもが紗耶に対する優しさがあった。
異性が怖いと常に萎縮している紗耶を心配してくれ、優しく見守ってくれるのは蘭だけなのだ。
『ごめんね、こんなこと頼んで』
既読したまま返答がないことを責めるでもなく、申し訳なさそうな文章に泣きそうになってしまう。
(蘭は悪くないのに。怖がってばかりいる私が悪いのに)
文面であろうと、労わってくれる蘭の優しさが今は痛い。
それ以上に気遣われている自分が情けなくて、瞳が潤みかける。
『大丈夫。できるよ』
紗耶は震えそうになる指先で返信する。
そして蘭の返信を見ずにメッセージアプリを閉じ、悠牙に向き直った。
「──すみません、こちら側でトラブルがあったようです。代わりに私がインタビュアーとして質問しますので、よろしくお願い致します」
不思議とそれまでとは打って変わって、喉のつっかえもなく言葉が出た。
先程の恐怖も今はなくなっており、紗耶はじっと悠牙の瞳を見つめて返答を待つ。
ぱちぱちと数度瞳を瞬かせたかと思えば、やがて悠牙はいつも通りの微笑みを浮かべた。
「分かりました」
ほんの数分前、紗耶を責めた時の口調が嘘だったかのようだ。
紗耶はその変化に気付かないふりをし、口を開く。
「ありがとうございます。早速ですが、残り二つのうち──四月から放送されるドラマ『十年後、再会した僕ら』の魅力を教えてください」
手元の記事を何枚か捲り、まだ答えられていない該当のの文章を読み上げた。
「そう、ですねぇ」
うーんと小さく悠牙が思案すると、紗耶はその間に携帯の動画機能を表示させてテーブルに置く。
回答が長くなりそうな場合も鑑みて、この方が効率がいいはずだ。
「タイトルにもある通り、再会するところから物語が始まるんですが、その再会の仕方がまたおかしくて。あまり言ったらネタバレになるんですけど、演じた僕自身も心が温かくなるような……疲れた時に見て欲しい、そんな作品になっています」
「なるほど」
初めて会った時から思ったが、作品について話す時の悠牙は誰よりも輝いている。
心から演じることを楽しみ、そこには紛れもない愛があるのだと分かる。
「分かりました。続いて──あ、これで最後になります。応援してくれるファンの皆さんに一言を」
次の問いを言いながら、紗耶は持っていたシャーペンでチェックを付ける。
これにも少し思案し、悠牙が殊更ゆっくりと口を開いた。
「まだまだ俳優としては若輩者ですが、良ければこれからも僕に着いてきてください」
「……はい、ありがとうございました。では」
終わります、と言い終える前に、悠牙がテーブルに置いた携帯の動画を停止してくれた。
「あ、すみません。ありが──」
止めてくれた礼を言うために視線を上向けると、悠牙がにっこりと微笑んでいた。
その笑みはやや暗く、加えてどこかどんよりとした空気が二人しかいない部屋に立ち込める。
背筋が凍るような薄ら寒い気配には覚えがあった。
(確か、あの時も……)
カフェで初めて会った時に感じたものと同じだ。
あの時は蘭を見つめている視線かと思ったが、やはり違ったのだ。
「さっきの続き。話そうか」
ガタリと椅子が僅かに軋み、表情はそのままに悠牙が距離を詰めてくる。
「え、ちょ」
反射的に紗耶も椅子から立ち上がる。
先程の続きといっても、もう終わったはずだ。
言外に初対面であると伝え、悠牙も納得してくれたと思っていたがまだ何かあるのだろうか。
ゆっくりと悠牙が近付いてくると、紗耶は本能的に後退る。
ここにいてはいけない、逃げろと脳が警鐘を鳴らしていた。
「質問を変えようか、紗耶」
「しつ、もん……?」
震える声で何とかそれだけを尋ねる。
心なしかその口調は重く、こちらの出方を伺っているような口振りだ。
いや、言い方を変えなければ紗耶は分かってくれないと思ったのだろう。
「黒木雅──聞き覚えはない?」
「っ……!」
瞬間、どくんと心臓が大きく高鳴った。
聞き覚えどころか、ずっと会いたいと思っていた男の子の名前なのだ。
まさか悠牙が雅の名前を知っているとは、あの時の同級生の中にいたうちの一人だろうか。
「い、いいえ」
動揺を努めて態度に出さないよう、紗耶はそっと視線を外す。
雅のことは気になるが、今は目の前にいる悠牙の方が大事だ。
悠牙の方から問い掛けてきたのに、紗耶の答えが思っていたものと違うとそれまでの態度や空気が一変した、この男の真意が分からない。
こちらからオファーをしない限り、よっぽどでなければモデル本人とただのいち編集者が会う事はない。
それを分かって尚、悠牙が何故雅の名を口にしたのか紗耶には理解できなかった。
(なんで今……そんなことを言うの)
またあの時みたいな事はごめんだ。
もう、雅やいじめられた時の事で悩みたくはなかった。
紗耶はきゅっと瞼をきつく閉じ、悠牙の姿を追い出そうとする。
しかし、カツンと響く靴音だけはどうにもできない。
後退するのにも限度があり、やがて背中が壁につくのが分かった。
「本当?」
いや、嘘だ。
何故かそう言ってしまいたい衝動に駆られ、ぐっと奥歯を噛み締めて耐える。
「知らなかったらちゃんと目を見て言うものだよ。普通はね」
未だに異性が怖いのは事実だが、悠牙と話す時は本来の自分でいられる。
蘭に指摘されて動揺したのも、心の奥底に秘めていた感情を当てられたからだ。
ふぅ、と紗耶は小さく溜め息を吐いた。
(止めよう、こういうのは)
自分でどこかで区切りを付けなければ、いつか溢れ出してしまう。
小学生以来、久しぶりにこの気持ちが芽生えただけでも良しとしなければならない。
「──撮影も終わりましたし、戻りましょうか。あと、もう少しインタビューもしたいので、待機してほしいんですが大丈夫ですか?」
「分かりました」
蘭と悠牙のやり取りをどこか上の空で聞きながら、紗耶はひっそりと決意した。
(今日で黒木さんと会う事もないんだし、もう止めないと)
「じゃあここで待っていてください。ライターを呼んで来ますので」
蘭と共に先導して悠牙を空き部屋に通すと、蘭はバタバタと急ぎ足で出ていった。
(ど、どうしよう)
何かを言うでもなく悠牙と共に取り残された紗耶は、所在なさげに立っているしかできない。
元々、紗耶の出番はここで終わりのようなもので、あとは編集部に戻って細々とした内容の修正などをするだけだ。
インタビュー自体は蘭がすると事前に伝えられている為、ここまで着いてくる必要はなかったのだが。
(今更『私も戻ります』なんて言えないし。ひとまず蘭が来るまで……)
「ねぇ」
「ひ、は、はい!」
不意に声を掛けられ、紗耶はびくりと肩を震わせる。
「英さんが来るまで座ろうか」
くすくすと口元に手を当て、悠牙が言った。
「は、はい」
私は立っているので、と言える雰囲気でもなく、紗耶は言われるがまま椅子に座った。
真正面に悠牙が座ると同時に、身体に緊張が走る。
机を挟んでいるとはいえ、時折じっと見つめられてはどこを見ていいか困惑してしまう。
紗耶が気を紛らわせるものはインタビュー項目をまとめた記事だけだ。
「俺のこと、知ってるよね」
紗耶の緊張を解そうとしてくれているのか、そっと悠牙が問い掛けてきた。
「え、はい」
瞳を瞬かせ、紗耶はこくりと首肯する。
知っていると言っても、蘭がこの企画に悠牙の名を出すまで知らなかったのだが、伏せるべきだろうか。
「昔から?」
いや、真剣な瞳に嘘は吐けない。
ここで嘘を言っても後になって傷付けるのならば、正直に話してしまう方がマシだ。
「……すみません。あまりテレビを観ないので、英に企画に誘われてから初めて名前を知ったくらいで」
紗耶は小さく謝罪し、頭を下げる。
「そっか」
失言をしてしまった、と気付いた時には遅かった。
一言だけだが、先程よりもずっと抑揚のない悠牙の声に下げた頭が上げられない。
言葉を紡ごうとするも、何かがつっかえた違和感がして唇すら動かせなかった。
「っ!」
すると、タイミングを見計らったかのように携帯のバイブ音が鳴った。
「す、すみません」
途中で会話を途切れさせる事への謝罪なのか、紗耶の頭の中で明確に処理しきれないまま、一言断りを入れてから携帯の画面を確認する。
『ごめん、トラブル! ライターの人が手違いで来れなくなって今対応してる』
蘭からメッセージが来ており、すぐさま猫の土下座をするスタンプが来たと思えば、
『紗耶、書き留めておいてくれる?』
今このタイミングで、絶対に来てほしくなかった文字の羅列。
(それって私がインタビューするって事……?)
編集者とライターでは業務に違いがある、と知らない蘭ではないはずだ。
『黒木くんには残りの二つ答えてもらうだけ』
『文書読み上げるのが無理そうなら、記事渡すだけでいいよ。なんなら黒木くんに空欄に解答してもらって、あとは代わりのライターにやってもらうから』
次から次に蘭からメッセージが来たが、そのどれもが紗耶に対する優しさがあった。
異性が怖いと常に萎縮している紗耶を心配してくれ、優しく見守ってくれるのは蘭だけなのだ。
『ごめんね、こんなこと頼んで』
既読したまま返答がないことを責めるでもなく、申し訳なさそうな文章に泣きそうになってしまう。
(蘭は悪くないのに。怖がってばかりいる私が悪いのに)
文面であろうと、労わってくれる蘭の優しさが今は痛い。
それ以上に気遣われている自分が情けなくて、瞳が潤みかける。
『大丈夫。できるよ』
紗耶は震えそうになる指先で返信する。
そして蘭の返信を見ずにメッセージアプリを閉じ、悠牙に向き直った。
「──すみません、こちら側でトラブルがあったようです。代わりに私がインタビュアーとして質問しますので、よろしくお願い致します」
不思議とそれまでとは打って変わって、喉のつっかえもなく言葉が出た。
先程の恐怖も今はなくなっており、紗耶はじっと悠牙の瞳を見つめて返答を待つ。
ぱちぱちと数度瞳を瞬かせたかと思えば、やがて悠牙はいつも通りの微笑みを浮かべた。
「分かりました」
ほんの数分前、紗耶を責めた時の口調が嘘だったかのようだ。
紗耶はその変化に気付かないふりをし、口を開く。
「ありがとうございます。早速ですが、残り二つのうち──四月から放送されるドラマ『十年後、再会した僕ら』の魅力を教えてください」
手元の記事を何枚か捲り、まだ答えられていない該当のの文章を読み上げた。
「そう、ですねぇ」
うーんと小さく悠牙が思案すると、紗耶はその間に携帯の動画機能を表示させてテーブルに置く。
回答が長くなりそうな場合も鑑みて、この方が効率がいいはずだ。
「タイトルにもある通り、再会するところから物語が始まるんですが、その再会の仕方がまたおかしくて。あまり言ったらネタバレになるんですけど、演じた僕自身も心が温かくなるような……疲れた時に見て欲しい、そんな作品になっています」
「なるほど」
初めて会った時から思ったが、作品について話す時の悠牙は誰よりも輝いている。
心から演じることを楽しみ、そこには紛れもない愛があるのだと分かる。
「分かりました。続いて──あ、これで最後になります。応援してくれるファンの皆さんに一言を」
次の問いを言いながら、紗耶は持っていたシャーペンでチェックを付ける。
これにも少し思案し、悠牙が殊更ゆっくりと口を開いた。
「まだまだ俳優としては若輩者ですが、良ければこれからも僕に着いてきてください」
「……はい、ありがとうございました。では」
終わります、と言い終える前に、悠牙がテーブルに置いた携帯の動画を停止してくれた。
「あ、すみません。ありが──」
止めてくれた礼を言うために視線を上向けると、悠牙がにっこりと微笑んでいた。
その笑みはやや暗く、加えてどこかどんよりとした空気が二人しかいない部屋に立ち込める。
背筋が凍るような薄ら寒い気配には覚えがあった。
(確か、あの時も……)
カフェで初めて会った時に感じたものと同じだ。
あの時は蘭を見つめている視線かと思ったが、やはり違ったのだ。
「さっきの続き。話そうか」
ガタリと椅子が僅かに軋み、表情はそのままに悠牙が距離を詰めてくる。
「え、ちょ」
反射的に紗耶も椅子から立ち上がる。
先程の続きといっても、もう終わったはずだ。
言外に初対面であると伝え、悠牙も納得してくれたと思っていたがまだ何かあるのだろうか。
ゆっくりと悠牙が近付いてくると、紗耶は本能的に後退る。
ここにいてはいけない、逃げろと脳が警鐘を鳴らしていた。
「質問を変えようか、紗耶」
「しつ、もん……?」
震える声で何とかそれだけを尋ねる。
心なしかその口調は重く、こちらの出方を伺っているような口振りだ。
いや、言い方を変えなければ紗耶は分かってくれないと思ったのだろう。
「黒木雅──聞き覚えはない?」
「っ……!」
瞬間、どくんと心臓が大きく高鳴った。
聞き覚えどころか、ずっと会いたいと思っていた男の子の名前なのだ。
まさか悠牙が雅の名前を知っているとは、あの時の同級生の中にいたうちの一人だろうか。
「い、いいえ」
動揺を努めて態度に出さないよう、紗耶はそっと視線を外す。
雅のことは気になるが、今は目の前にいる悠牙の方が大事だ。
悠牙の方から問い掛けてきたのに、紗耶の答えが思っていたものと違うとそれまでの態度や空気が一変した、この男の真意が分からない。
こちらからオファーをしない限り、よっぽどでなければモデル本人とただのいち編集者が会う事はない。
それを分かって尚、悠牙が何故雅の名を口にしたのか紗耶には理解できなかった。
(なんで今……そんなことを言うの)
またあの時みたいな事はごめんだ。
もう、雅やいじめられた時の事で悩みたくはなかった。
紗耶はきゅっと瞼をきつく閉じ、悠牙の姿を追い出そうとする。
しかし、カツンと響く靴音だけはどうにもできない。
後退するのにも限度があり、やがて背中が壁につくのが分かった。
「本当?」
いや、嘘だ。
何故かそう言ってしまいたい衝動に駆られ、ぐっと奥歯を噛み締めて耐える。
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