記憶を無くしたお姫様

ひゃくえんチップ

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第1章

記憶のナカ

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「美里ちゃん!」

玄関ドアの前で腕を組んでいる美里ちゃんを見つけ呼びかける。

声に気づいた美里ちゃんは私をギューと抱きしめると不意に背中に交差されていた腕が離れ、私の体をペタペタと触り何かを確認している「み、みさとちゃん……?」私の声に驚いたのかハッとしてそれをやめる。

「ねぇ、詩音本当に大丈夫?何も無い?……まぁあなんかされてたらあいつ殺してるけどね。」

あいつ?誰?

不思議に思い考えていると「ほら入って」と背中を押され家にお邪魔した。

……美里ちゃんの匂いだ~落ち着く。

変態チックな事を思う時分に嫌気を指しながらいつもの場所、美里ちゃんの部屋に着いた。

「はい、どーぞ。」

ガチャっと大きいドアを空けて手招きされる。

「詩音来たの久しぶりだからね。今日は夜ご飯食べて帰りなよ。」

「うん」と言って近くにあった時計に目をやると、7時30分を指していてどうせ食べてないんでしょ?と言った言葉に頷き少し微笑む。

……ちょっとまって……さっきの来たの久しぶりって、美里ちゃんの家ほぼ毎日行ってるし、行けなかったとしても久しぶりってほど空けて行かないことなんてないしどういうこと?

考えているうちに美里ちゃんが口を開ける。

「詩音、あんた……昨日の事覚えてる?学校終わってから何してたか」

「え?何したかって……そりゃ!……」

゛美里ちゃんといたじゃん!゛と言おうとすると忘れたのか記憶が無く少し戸惑う。





あれ?昨日って私何してた……?





深く考えていても頭は真っ白で何も思い出せない。

ズキッ

「……っ痛い……!」

「詩音?!大丈夫?!」

青い顔をしてよってくる美里ちゃんに大丈夫だよと言ってソファに座らせてもらう。

「今日お父さん居るから後で見てもらお『プルルルルルルプルルルルルル『ピッ』」

「こんな時に何なのよ」と言いながら電話に出た美里ちゃんは、手でごめんとしながら部屋を出た。
 


美里ちゃんの見慣れた部屋を見渡すと、思った事を嘆く。


「不思議なことばっかだなぁ」

少し経つとドアの取手が回る

ガチャ


「詩音?ごめんね。」

「大丈夫だよ」

「……あのさ詩音……ねぇ雪峰って知ってる?」

困った顔をしている美里ちゃんの言葉に首を傾げた。

雪峰……雪峰……

「あ!この人!」

携帯の不在着信画面を見せて、この人だよね?と美里ちゃんに言う。

「詩音この人誰か分かるよね?」

「え…………」

「……」

「詩音来て!」
私の腕を掴み部屋を出てどこかへ向かう。

「ね、ねぇ!美里ちゃん?」



1つのドアの前に足を止めるとガチャっと音が鳴る。

「お父さん。入るよ。」

「あぁ。美里」

本が沢山ある部屋の真ん中で紙を持ちながらこちらを見る美里ちゃんのお父さん。秀次さんだ。

「秀次さんこんにちは!」

ニコッと笑うと笑い返してくれた

「元気だったかい?隼人とは仲良くしてるのかな?」

「……?隼人?」

思いついたように美里ちゃんは秀次さんに寄ると耳打ちで何かを話す。

「……。そうか」

「詩音ちゃんそこのソファ来て貰える?」

秀次さんと対面となっているソファに座る。

「詩音ちゃん。自分の名前は分かるかな?」

「……?高崎詩音です……けど……」

「うん。次は家族の名前は?」

次々と当たり前に知っているような質問を投げかけられる。

「じゃあ、昨日は何をしていた?」

「えーと…………」

「無理に思い出さなくてもいいよ。うん。ありがとうね。」

「詩音ちゃん。君この5ヶ月間のアイツら記憶が無いみたいだね。俗に言う記憶喪失だよ。」

「記憶……喪失?……」





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