8 / 27
2-3**
しおりを挟む
ベッドに誘導されて、そっと押し倒された。テオが僕の胸元に顔を寄せて言う。
「人間の姿の君とは一緒に寝たことがなかったな」
「そう……だけど」
「脱がせてもいいか?」
「駄目って言ったら?」
「このまま寝る」
本気で言っているのだということはわかった。だから僕はためらいながらも、どうにか、声に出して言った。
「……駄目じゃない……」
テオがくすりと笑う。実に嬉しそうに。
「その……手加減してくれる? こういうのは初めてなんだよ」
「それは難しいな」
「えぇ?」
「俺だって男を抱くのは初めてだ」
「…………そっか」
この言い方。女性の相手はしたことがありそうだ。いや、あまり考えないことにしよう。
テオは僕の服を脱がせながら、全身を撫で、口付け、時に甘噛みし、舌を這わせた。
「ゃ……ぁ、やだ」
「本当に嫌か?」
「うぅ……」
「気持ち良さそうだけどな?」
睨みつけても相手の笑みが深まるばかり。
「……も……焦らすな、ばか」
「可愛いな、君は」
テオが肌に触れる。それだけで勝手に息が上がる。甘ったるい喘ぎ声が漏れて、でもやっぱり男の声だし、恥ずかしくて仕方がない。
「僕ばっか……」
「じゃあ、俺にも触ってくれるか?」
テオが服を脱ぐ。魔力に頼ることができない男の鍛えられた体が顕になる。割れた腹筋に手を伸ばしたら、くすぐったいと笑われた。
抱きしめられて素肌が密着する。高めの体温がいつもより生々しくて、熱いくらいだ。
「……あ、それ駄目ッ」
テオが腰を揺らした。わざと互いの欲を擦り合わせるように。
「気持ちいいな、ルシィ?」
「ま、まって、あァ」
若草色の目に見つめられる。頬を撫でられ、唇が触れ合う。貪るように口付けられた。ああ。テオも余裕がないんだと、そう感じた。熱い、気持ちいい。もう、どうなっても良いと思った。
「てお……ちゃんと、だいて」
男にこんなことをねだるなんて。予想外だ。けど、きっと後悔はしない。
「テオを、僕にちょうだい?」
全力で助けるから。余命宣告なんてもの、なくしてみせるから。だから、全部。
「まったく、君は……俺を煽るのがうまいな」
枕元の抽斗から、テオが何かを取り出した。
「それは……?」
「洗浄用の魔法薬だ」
ああ、そうか。男同士だから。魔法で済むのは手軽でいいな。でも、そんなものを常備していたのか。
テオの指で準備をされるのは恥ずかしくて、だからって見られながら自分でできるわけもなく。僕はひたすら羞恥に耐えた。
「痛みは?」
「ん……大丈夫」
「無理はしなくていい」
「してな、い……ァ」
潤滑剤を足されて、指が増やされる。
「ちゃんと息しろ」
「……ん、あ……だってぇ」
「力を抜かなきゃ辛いだろ?」
「わかんない、あ、んぅ」
どこに力が入っているのか、どうすれば脱力できるか。勝手に体が強張るし、恥ずかしいし、それなのに。
「あぁ、なんか……へん」
「気持ちいい?」
「わかんないよ……」
「ここは?」
「あっ、や、駄目」
中の一点を押されて、腰が跳ねた。テオが笑う。
「やっぱりここか」
「あ……てお、テオ」
混乱しながら婚約者にしがみつく。僕は誓ってこんなこと初めてだ。僕は男で、受け入れるための体じゃない。初体験は痛いものじゃないのか?
「いい子だ。気持ちいいな」
「ゆび、もう……や、ァ」
このままじゃ、僕だけが一方的に翻弄されてしまう。
「テオ……」
「そろそろ物足りないかな」
「ん、ぁ」
ずるりと指を抜かれて震える。すぐに代わりの熱が押し当てられた。
「痛かったら言ってくれ」
「ん……」
熱い。熱くて、大きくて、苦しい。視界が滲む。嫌なわけじゃない。でもちょっとだけ怖い。だって、こんなの、もう……知らなかった自分には戻れない。
「……あ、テオ……気持ち、いい?」
「ああ。すごく」
良かった。いくら僕の顔が良いと言っても、男としてだ。体だって柔らかな丸みがあるわけじゃない。それでもちゃんと、こうして抱き合える。それが嬉しい。
「ルシィ? 辛いか?」
「あ……ちが、」
腕で涙を隠したら、その腕を剥がされ、目元に口付けられた。
「テオ」
「痛むのなら……」
「そう……じゃ、ない。ちょっとくるし、けど」
テオの首に腕を回して、頬に口付ける。
「気持ちぃ……から、もっと」
テオが一瞬驚いた顔をして、笑った。
「本当に君は……これでも俺は自制しているんだぞ?」
「あッ……」
がつんと突き上げられて息が詰まる。
「ルシィ。大丈夫か」
こくりと頷く。
「あ、ん、うぅん……」
息が上がって苦しいのに、深く口付けられて、呼吸がままならない。僕の喘ぎは飲み込まれて、容赦なく揺さぶられる。頭の中が真っ白になって、勝手に体が強張って。でも、達した余韻に浸ることも許されない。
過ぎた快楽は辛いものでもあると知って、腹の中に熱が弾けるのを感じた。
「ルシィ。頼む。もし、俺が――」
余計なことを言おうとした婚約者の口を口付けで塞ぐ。今は、せめて今だけは、テオがいついなくなるかなんてことは、考えたくない。
招き入れた舌を軽く噛んでやってから、解放する。
「テオ、好きだよ」
「ああ……」
ぎゅっと抱きしめられて、少し苦しい。苦笑しながらテオの赤髪を撫でた。
「俺はまだまだ君を知らない。でも」
泣きそうな顔をして、テオが言う。
「俺の隣に居てくれ。ずっと」
「当然。僕は王弟テオドールの伴侶になると決めているんだからね。大体、ここまでのことをしておいて、離れるなんて許さないから」
「ああ……そうだな」
「どうしたの。まだ何か言いたそうだけど」
妙なことを言い出すなら今はやめて欲しいなと思いつつ聞く。
「その……もう少しだけ、付き合ってくれるか」
申し訳なさそうに尋ねてくるのが可愛らしくて、頬が緩んだ。
「……いいよ。大丈夫、無理じゃない」
テオの腰に足を絡める。可能なだけ応えると決めて。
「人間の姿の君とは一緒に寝たことがなかったな」
「そう……だけど」
「脱がせてもいいか?」
「駄目って言ったら?」
「このまま寝る」
本気で言っているのだということはわかった。だから僕はためらいながらも、どうにか、声に出して言った。
「……駄目じゃない……」
テオがくすりと笑う。実に嬉しそうに。
「その……手加減してくれる? こういうのは初めてなんだよ」
「それは難しいな」
「えぇ?」
「俺だって男を抱くのは初めてだ」
「…………そっか」
この言い方。女性の相手はしたことがありそうだ。いや、あまり考えないことにしよう。
テオは僕の服を脱がせながら、全身を撫で、口付け、時に甘噛みし、舌を這わせた。
「ゃ……ぁ、やだ」
「本当に嫌か?」
「うぅ……」
「気持ち良さそうだけどな?」
睨みつけても相手の笑みが深まるばかり。
「……も……焦らすな、ばか」
「可愛いな、君は」
テオが肌に触れる。それだけで勝手に息が上がる。甘ったるい喘ぎ声が漏れて、でもやっぱり男の声だし、恥ずかしくて仕方がない。
「僕ばっか……」
「じゃあ、俺にも触ってくれるか?」
テオが服を脱ぐ。魔力に頼ることができない男の鍛えられた体が顕になる。割れた腹筋に手を伸ばしたら、くすぐったいと笑われた。
抱きしめられて素肌が密着する。高めの体温がいつもより生々しくて、熱いくらいだ。
「……あ、それ駄目ッ」
テオが腰を揺らした。わざと互いの欲を擦り合わせるように。
「気持ちいいな、ルシィ?」
「ま、まって、あァ」
若草色の目に見つめられる。頬を撫でられ、唇が触れ合う。貪るように口付けられた。ああ。テオも余裕がないんだと、そう感じた。熱い、気持ちいい。もう、どうなっても良いと思った。
「てお……ちゃんと、だいて」
男にこんなことをねだるなんて。予想外だ。けど、きっと後悔はしない。
「テオを、僕にちょうだい?」
全力で助けるから。余命宣告なんてもの、なくしてみせるから。だから、全部。
「まったく、君は……俺を煽るのがうまいな」
枕元の抽斗から、テオが何かを取り出した。
「それは……?」
「洗浄用の魔法薬だ」
ああ、そうか。男同士だから。魔法で済むのは手軽でいいな。でも、そんなものを常備していたのか。
テオの指で準備をされるのは恥ずかしくて、だからって見られながら自分でできるわけもなく。僕はひたすら羞恥に耐えた。
「痛みは?」
「ん……大丈夫」
「無理はしなくていい」
「してな、い……ァ」
潤滑剤を足されて、指が増やされる。
「ちゃんと息しろ」
「……ん、あ……だってぇ」
「力を抜かなきゃ辛いだろ?」
「わかんない、あ、んぅ」
どこに力が入っているのか、どうすれば脱力できるか。勝手に体が強張るし、恥ずかしいし、それなのに。
「あぁ、なんか……へん」
「気持ちいい?」
「わかんないよ……」
「ここは?」
「あっ、や、駄目」
中の一点を押されて、腰が跳ねた。テオが笑う。
「やっぱりここか」
「あ……てお、テオ」
混乱しながら婚約者にしがみつく。僕は誓ってこんなこと初めてだ。僕は男で、受け入れるための体じゃない。初体験は痛いものじゃないのか?
「いい子だ。気持ちいいな」
「ゆび、もう……や、ァ」
このままじゃ、僕だけが一方的に翻弄されてしまう。
「テオ……」
「そろそろ物足りないかな」
「ん、ぁ」
ずるりと指を抜かれて震える。すぐに代わりの熱が押し当てられた。
「痛かったら言ってくれ」
「ん……」
熱い。熱くて、大きくて、苦しい。視界が滲む。嫌なわけじゃない。でもちょっとだけ怖い。だって、こんなの、もう……知らなかった自分には戻れない。
「……あ、テオ……気持ち、いい?」
「ああ。すごく」
良かった。いくら僕の顔が良いと言っても、男としてだ。体だって柔らかな丸みがあるわけじゃない。それでもちゃんと、こうして抱き合える。それが嬉しい。
「ルシィ? 辛いか?」
「あ……ちが、」
腕で涙を隠したら、その腕を剥がされ、目元に口付けられた。
「テオ」
「痛むのなら……」
「そう……じゃ、ない。ちょっとくるし、けど」
テオの首に腕を回して、頬に口付ける。
「気持ちぃ……から、もっと」
テオが一瞬驚いた顔をして、笑った。
「本当に君は……これでも俺は自制しているんだぞ?」
「あッ……」
がつんと突き上げられて息が詰まる。
「ルシィ。大丈夫か」
こくりと頷く。
「あ、ん、うぅん……」
息が上がって苦しいのに、深く口付けられて、呼吸がままならない。僕の喘ぎは飲み込まれて、容赦なく揺さぶられる。頭の中が真っ白になって、勝手に体が強張って。でも、達した余韻に浸ることも許されない。
過ぎた快楽は辛いものでもあると知って、腹の中に熱が弾けるのを感じた。
「ルシィ。頼む。もし、俺が――」
余計なことを言おうとした婚約者の口を口付けで塞ぐ。今は、せめて今だけは、テオがいついなくなるかなんてことは、考えたくない。
招き入れた舌を軽く噛んでやってから、解放する。
「テオ、好きだよ」
「ああ……」
ぎゅっと抱きしめられて、少し苦しい。苦笑しながらテオの赤髪を撫でた。
「俺はまだまだ君を知らない。でも」
泣きそうな顔をして、テオが言う。
「俺の隣に居てくれ。ずっと」
「当然。僕は王弟テオドールの伴侶になると決めているんだからね。大体、ここまでのことをしておいて、離れるなんて許さないから」
「ああ……そうだな」
「どうしたの。まだ何か言いたそうだけど」
妙なことを言い出すなら今はやめて欲しいなと思いつつ聞く。
「その……もう少しだけ、付き合ってくれるか」
申し訳なさそうに尋ねてくるのが可愛らしくて、頬が緩んだ。
「……いいよ。大丈夫、無理じゃない」
テオの腰に足を絡める。可能なだけ応えると決めて。
27
あなたにおすすめの小説
記憶を失くしたはずの元夫が、どうか自分と結婚してくれと求婚してくるのですが。
鷲井戸リミカ
BL
メルヴィンは夫レスターと結婚し幸せの絶頂にいた。しかしレスターが勇者に選ばれ、魔王討伐の旅に出る。やがて勇者レスターが魔王を討ち取ったものの、メルヴィンは夫が自分と離婚し、聖女との再婚を望んでいると知らされる。
死を望まれたメルヴィンだったが、不思議な魔石の力により脱出に成功する。国境を越え、小さな町で暮らし始めたメルヴィン。ある日、ならず者に絡まれたメルヴィンを助けてくれたのは、元夫だった。なんと彼は記憶を失くしているらしい。
君を幸せにしたいと求婚され、メルヴィンの心は揺れる。しかし、メルヴィンは元夫がとある目的のために自分に近づいたのだと知り、慌てて逃げ出そうとするが……。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
悪役のはずだった二人の十年間
海野璃音
BL
第三王子の誕生会に呼ばれた主人公。そこで自分が悪役モブであることに気づく。そして、目の前に居る第三王子がラスボス系な悪役である事も。
破滅はいやだと謙虚に生きる主人公とそんな主人公に執着する第三王子の十年間。
※ムーンライトノベルズにも投稿しています。
少女漫画の当て馬キャラと恋人になったけどキャラ変激しすぎませんか??
和泉臨音
BL
昔から物事に違和感を感じることの多かった衛は周りから浮いた存在だった。国軍養成所で一人の少女に出会い、ここが架空の大正時代を舞台にしたバトルありの少女漫画の世界だと気付く。ならば自分は役に立つモブに徹しようと心に誓うも、なぜかヒロインに惚れるはずの当て馬イケメンキャラ、一条寺少尉に惚れられて絡め取られてしまうのだった。
※ 腹黒イケメン少尉(漫画では当て馬)×前世記憶で戦闘力が無自覚チートな平凡孤児(漫画では完全モブ)
※ 戦闘シーンや受が不当な扱いを受けるシーンがあります。苦手な方はご注意ください。
※ 五章で完結。以降は番外編です。
[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません
月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない?
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
政略結婚のはずが恋して拗れて離縁を申し出る話
藍
BL
聞いたことのない侯爵家から釣書が届いた。僕のことを求めてくれるなら政略結婚でもいいかな。そう考えた伯爵家四男のフィリベルトは『お受けします』と父へ答える。
ところがなかなか侯爵閣下とお会いすることができない。婚姻式の準備は着々と進み、数カ月後ようやく対面してみれば金髪碧眼の美丈夫。徐々に二人の距離は近づいて…いたはずなのに。『え、僕ってばやっぱり政略結婚の代用品!?』政略結婚でもいいと思っていたがいつの間にか恋してしまいやっぱり無理だから離縁しよ!とするフィリベルトの話。
【8話完結】ざまぁされて廃嫡されたバカ王子とは俺のことです。
キノア9g
BL
廃嫡され全てを失った元王子。地道に生きたいのにハイスペ幼馴染が逃がしてくれません。
あらすじ
「第二王子カイル、お前を廃嫡する」
傲慢な振る舞いを理由に、王位継承権も婚約者も失い、国外追放されたカイル。
絶望の最中、彼に蘇ったのは「ブラック企業で使い潰された前世の記憶」だった。
「もう二度と、他人任せにはしない」
前世の反省を活かし、隣国の冒険者ギルドで雑用係(清掃員)として地道にやり直そうとするカイル。しかし、そんな彼を追いかけてきたのは、隣国の貴族であり幼馴染のレオナードだった。
「君がどんな立場になろうと、僕にとっては君は君だ」
落ちぶれたカイルに変わらぬ愛を注ぎ、元婚約者の悪意ある噂からも守り抜くレオナード。
すべてを失った元バカ王子が、社畜根性と幼馴染の溺愛によって幸せを掴むまでの、再起と愛の物語。
全8話。
令嬢に転生したと思ったけどちょっと違った
しそみょうが
BL
前世男子大学生だったが今世では公爵令嬢に転生したアシュリー8歳は、王城の廊下で4歳年下の第2王子イーライに一目惚れされて婚約者になる。なんやかんやで両想いだった2人だが、イーライの留学中にアシュリーに成長期が訪れ立派な青年に成長してしまう。アシュリーが転生したのは女性ではなくカントボーイだったのだ。泣く泣く婚約者を辞するアシュリーは名前を変えて王城の近衛騎士となる。婚約者にフラれて隣国でグレたと噂の殿下が5年ぶりに帰国してーー?
という、婚約者大好き年下王子☓元令嬢のカントボーイ騎士のお話です。前半3話目までは子ども時代で、成長した後半にR18がちょこっとあります♡
短編コメディです
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる
風見鶏ーKazamidoriー
BL
秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。
ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。
※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる