自然食品店の熟女店長とパートのボクの切ない恋物語

しらかわからし

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第3話 その1:個室居酒屋で語られる店長の過去と、自然食品店の裏事情

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店内に入ると、案内されたのは四人掛けの掘りごたつ式の個室だった。

由香里さんは「好きな物を注文して」と言ってくれたが、僕は「店長が決めてください。嫌いなものはありませんから」と答え、彼女が注文してくれた。

最初は真面目な話だった。
由香里さんは四十二歳とのことで、僕より二回り年上。僕の好みとしてはドンピシャだった。
彼女は東京農業大学を卒業後、新卒で今の会社に入社し、現在に至るという。

本当は農場勤務を希望していたらしいが、「自画自賛になるけど……」と照れながら話す姿が可愛らしかった。
実際、社長面接の際にあまりの美貌に驚かれ、「農場よりも支店勤務の方が男性客が付くのでは」と判断され、現場勤務になったそうだ。

本社は自然食品だけでなく、野菜や果物を中心に、切り花の栽培も行っている。葬儀や結婚式などの花も扱い、鉢植え植物の温室や農場も所有。自然食品店は全国に四十五店舗を展開しているという。

由香里さんから「どうして、うちの店の求人に応募したの?」と聞かれたが、(貴女ののような美熟女と一緒に働きたい)とはさすがに言えなかった。

そこで、面接時に話した内容――実家がレストランを営んでいて、有機無農薬野菜を使っていることや、アパートのベランダで家庭菜園をしていて、ミニトマトやキュウリ、ハーブなどを育てている――を改めて伝えた。

すると由香里さんは「その話は面接の時に聞いたけど、他にはなかったの?」としつこく聞いてきたので、「今日の最後に言います」と答えると納得してくれた。

ちなみに由香里さんはバツイチで、現在は一人暮らしのアパート住まいとのこと。

その後は、自然食品店のスタッフがすぐ辞めてしまうという話になった。

「まず、自然食品店の仕事で一番大変なのは商品管理なのよ。賞味期限と消費期限がある商品が約五百品目あって、それを毎朝チェックするのが本当に大変なの」

続けて、「それに週二回、農場から野菜や果物、花などが届くから、それを新鮮な状態で陳列しなきゃいけない。重くて腰にくるのよ。今回辞めた人もギックリ腰になっちゃってね」と由香里さん。

僕はその程度なら全然気にならなかったので、正直に「それくらいは大丈夫です」と答えた。

「夏の暑い時期には花に一日二回水やりが必要だし、冬は水が冷たくて寒く感じるでしょ。室内の植物は、夏は蒸れて腐らないように換気も必要なのよ」

僕は「はい、一所懸命やります」と答えた。
さらに、「枯れたり腐ったりしているのを放置すると見栄えが悪くなるでしょ? そうなるとお客様が手に取らなくなるから、定期的に花や野菜の管理をして、綺麗な状態を保たないといけないの」
「はい」
「それが意外と大変なのよ。お花や野菜が好きな人には楽しいと思うけど、ただ興味がある程度の人にはキツイ仕事になるから、辞めちゃうんだと思うの。和也君は大丈夫かな?」
僕はニコニコして「はい、大丈夫です!」と答えた。

つづく。
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