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第9話 その2:歓迎会の夜、嫉妬と優しさが交差する瞬間
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勤務20日目の夜。
いつもの個室居酒屋で、食事を兼ねた歓迎会を開いてもらった。
由香里さんは、会社の新年会や歓迎会のエピソードを面白おかしく話してくれて、場の空気は和やかだった。
自然食品店という業種だからなのか、雰囲気は明るくて自由。
僕が以前勤めていた半官半民の会社では、社員が集まると昔ながらの公務員的な飲み方になりがちで、女性のいる部署との合同飲み会ではセクハラやパワハラがつきものだった。
由香里さんの話を聞いていると、それ以上に盛り上がることもあるようで、僕はお酒がそれほど好きではないし、パートという立場もあるので、そういう場にはあまり参加しないようにしようと思った。
話の流れで、由香里さんが「裸で踊る男性もいたのよ」と笑いながら話し始め、さらに麻衣子さんが酔っぱらって舞台で踊り、スカートから下着が見えるほどだったという話を披露した。
「由香里さん、その話は内緒でしょ!?」と麻衣子さんが慌てて止めた。
普段の麻衣子さんは冷静で落ち着いた印象だったので、そのギャップに場は大いに盛り上がったそうだ。
麻衣子さんと由香里さんは、日頃から仲が良いとのことだった。
後で聞いた話では、由香里さんは麻衣子さんに僕の印象を尋ねていたらしく、少しヤキモチを妬いていたようだった。
だからこそ、あの『禁句』の話を持ち出したのかもしれない。
僕は「そんなにモテる男じゃないですし、麻衣子さんも社交辞令で言っただけだと思います。由香里さんがヤキモチを妬くほどじゃないですよ」と、そっと伝えた。
歓迎会の帰り道、麻衣子さんはすっかり酔っぱらってしまい、由香里さんが彼女を送ることになった。
「眠たいのよぉ……もうダメぇ……」と、麻衣子さんは訳の分からないことを口走りながら、ふらふらと歩いていた。
由香里さんが何とかタクシーを捕まえようとしたが、麻衣子さんを車まで連れて行くのが大変そうだった。
「手伝いましょうか?」と僕が声をかけると、由香里さんは少し戸惑いながらも頷いた。
他の女性の身体に触れるのはどうかと思ったが、由香里さんも困っていたので、僕は麻衣子さんをそっと支えた。
その姿を見た由香里さんが、僕の腕を軽く抓った。
「何をするんですか、由香里さん?」
「そんなに抱きしめないでよ」と、少し拗ねたように言った。
「こんな時にそんなこと言わないでください。僕は由香里さんしか眼中にないですから」と言うと、由香里さんは安心したような表情を浮かべた。
この時、僕は初めて女性の心――特に年上の女性が若くて美人な女性に対して抱く嫉妬心――を少しだけ理解できた気がした。
つづく。
いつもの個室居酒屋で、食事を兼ねた歓迎会を開いてもらった。
由香里さんは、会社の新年会や歓迎会のエピソードを面白おかしく話してくれて、場の空気は和やかだった。
自然食品店という業種だからなのか、雰囲気は明るくて自由。
僕が以前勤めていた半官半民の会社では、社員が集まると昔ながらの公務員的な飲み方になりがちで、女性のいる部署との合同飲み会ではセクハラやパワハラがつきものだった。
由香里さんの話を聞いていると、それ以上に盛り上がることもあるようで、僕はお酒がそれほど好きではないし、パートという立場もあるので、そういう場にはあまり参加しないようにしようと思った。
話の流れで、由香里さんが「裸で踊る男性もいたのよ」と笑いながら話し始め、さらに麻衣子さんが酔っぱらって舞台で踊り、スカートから下着が見えるほどだったという話を披露した。
「由香里さん、その話は内緒でしょ!?」と麻衣子さんが慌てて止めた。
普段の麻衣子さんは冷静で落ち着いた印象だったので、そのギャップに場は大いに盛り上がったそうだ。
麻衣子さんと由香里さんは、日頃から仲が良いとのことだった。
後で聞いた話では、由香里さんは麻衣子さんに僕の印象を尋ねていたらしく、少しヤキモチを妬いていたようだった。
だからこそ、あの『禁句』の話を持ち出したのかもしれない。
僕は「そんなにモテる男じゃないですし、麻衣子さんも社交辞令で言っただけだと思います。由香里さんがヤキモチを妬くほどじゃないですよ」と、そっと伝えた。
歓迎会の帰り道、麻衣子さんはすっかり酔っぱらってしまい、由香里さんが彼女を送ることになった。
「眠たいのよぉ……もうダメぇ……」と、麻衣子さんは訳の分からないことを口走りながら、ふらふらと歩いていた。
由香里さんが何とかタクシーを捕まえようとしたが、麻衣子さんを車まで連れて行くのが大変そうだった。
「手伝いましょうか?」と僕が声をかけると、由香里さんは少し戸惑いながらも頷いた。
他の女性の身体に触れるのはどうかと思ったが、由香里さんも困っていたので、僕は麻衣子さんをそっと支えた。
その姿を見た由香里さんが、僕の腕を軽く抓った。
「何をするんですか、由香里さん?」
「そんなに抱きしめないでよ」と、少し拗ねたように言った。
「こんな時にそんなこと言わないでください。僕は由香里さんしか眼中にないですから」と言うと、由香里さんは安心したような表情を浮かべた。
この時、僕は初めて女性の心――特に年上の女性が若くて美人な女性に対して抱く嫉妬心――を少しだけ理解できた気がした。
つづく。
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