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第9話 その3:酔いの夜、揺れる気持ちと確かな言葉
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麻衣子さんはすっかり酔いが回っていて、僕が彼女を支えながらタクシーに乗せた。
「家まで送るんですよね? 部屋に入れるまで手伝いますよ」と僕が言う。
「ほんと、助かるわ」と由香里さんが、さっきまでの嫉妬の表情とは打って変わって、柔らかく微笑んだ。
麻衣子さんは一人暮らしで、立派なマンションに住んでいた。
タクシーを降りて、由香里さんと僕は彼女を支えながらエレベーターに乗り、なんとか二十九階の部屋までたどり着いた。
「麻衣子、鍵はどこにあるの?」と由香里さんが尋ねる。
「うん……そこぉ……」と麻衣子さんは、まだ意識が朦朧としていて、はっきりしない。
「由香里さん、しょうがないからバッグの中を見てください」と僕が言う。
「うん……」と少し気が引けた様子で、由香里さんは麻衣子さんの黒いバッグのホックを開けた。
中は意外にも綺麗に整頓されていて、すぐに鍵が見つかった。
サイドポケットに入っていた鍵を取り出そうとした瞬間、由香里さんがうっかりバッグを床に落としてしまった。
「あっ!」と由香里さんが声を上げ、僕も「えっ?大丈夫ですか?」と慌てた。
すると、バッグの中から何かが微かに振動する音が聞こえてきた。
「ジジジジ……ブルブル……」という音に、僕は「携帯が鳴ってるんじゃないですかね?」と尋ねた。
「そうかもね」と由香里さんは言いながら、もう一度バッグを開けて確認した。しかし、携帯はあったものの、振動の音とは違っていた。
「あっ……うそ……」と由香里さんが小さくつぶやいた。
「どうしたんですか?」と僕が聞くと、
「うん……ちょっと待って。すぐ止まるから……」と由香里さんは動揺を隠そうとしていた。
顔は真っ赤になっていて、僕は気になって「顔が赤いですよ? 何かあったんですか?」と聞いた。
「ダメよぉ……」と由香里さんが言ったその瞬間、僕の視線はバッグの中にある小さな布袋に向かった。
その袋が微かに震えていた。
僕が手を伸ばそうとすると、「麻衣子さんの物を勝手に開けたらダメよ!」と由香里さんが制止したが、僕はすでに袋を手に取っていた。
その時、僕はふと気づいた。由香里さんの表情には、驚きと恥ずかしさ、そしてどこか複雑な感情が入り混じっていた。
それが激しく振動していたのだった。
「えっ、これって……?」と言って僕が袋からを開けた。
「ダメよ! 麻衣子さんの物を勝手に開けたら!」と既に遅かった。
僕は黒色のバイブレーターとピンクのローターを発見してしまった。
それは長さはそれほどではなかったが極太だった。
僕はすぐに袋を閉じて、「すみません、余計なことをしました」と謝った。
由香里さんは少し黙った後、「和也君は、気にしないで」とぽつりと言った。
「すみません」と僕が言うと、彼女は微笑んだ。
その夜、僕は初めて、由香里さんの中にある『揺れる気持ち』に触れた気がした。
年齢や立場を越えて、僕たちは少しずつ、確かな絆を築いているのかもしれないと思っていた。
つづく。
「家まで送るんですよね? 部屋に入れるまで手伝いますよ」と僕が言う。
「ほんと、助かるわ」と由香里さんが、さっきまでの嫉妬の表情とは打って変わって、柔らかく微笑んだ。
麻衣子さんは一人暮らしで、立派なマンションに住んでいた。
タクシーを降りて、由香里さんと僕は彼女を支えながらエレベーターに乗り、なんとか二十九階の部屋までたどり着いた。
「麻衣子、鍵はどこにあるの?」と由香里さんが尋ねる。
「うん……そこぉ……」と麻衣子さんは、まだ意識が朦朧としていて、はっきりしない。
「由香里さん、しょうがないからバッグの中を見てください」と僕が言う。
「うん……」と少し気が引けた様子で、由香里さんは麻衣子さんの黒いバッグのホックを開けた。
中は意外にも綺麗に整頓されていて、すぐに鍵が見つかった。
サイドポケットに入っていた鍵を取り出そうとした瞬間、由香里さんがうっかりバッグを床に落としてしまった。
「あっ!」と由香里さんが声を上げ、僕も「えっ?大丈夫ですか?」と慌てた。
すると、バッグの中から何かが微かに振動する音が聞こえてきた。
「ジジジジ……ブルブル……」という音に、僕は「携帯が鳴ってるんじゃないですかね?」と尋ねた。
「そうかもね」と由香里さんは言いながら、もう一度バッグを開けて確認した。しかし、携帯はあったものの、振動の音とは違っていた。
「あっ……うそ……」と由香里さんが小さくつぶやいた。
「どうしたんですか?」と僕が聞くと、
「うん……ちょっと待って。すぐ止まるから……」と由香里さんは動揺を隠そうとしていた。
顔は真っ赤になっていて、僕は気になって「顔が赤いですよ? 何かあったんですか?」と聞いた。
「ダメよぉ……」と由香里さんが言ったその瞬間、僕の視線はバッグの中にある小さな布袋に向かった。
その袋が微かに震えていた。
僕が手を伸ばそうとすると、「麻衣子さんの物を勝手に開けたらダメよ!」と由香里さんが制止したが、僕はすでに袋を手に取っていた。
その時、僕はふと気づいた。由香里さんの表情には、驚きと恥ずかしさ、そしてどこか複雑な感情が入り混じっていた。
それが激しく振動していたのだった。
「えっ、これって……?」と言って僕が袋からを開けた。
「ダメよ! 麻衣子さんの物を勝手に開けたら!」と既に遅かった。
僕は黒色のバイブレーターとピンクのローターを発見してしまった。
それは長さはそれほどではなかったが極太だった。
僕はすぐに袋を閉じて、「すみません、余計なことをしました」と謝った。
由香里さんは少し黙った後、「和也君は、気にしないで」とぽつりと言った。
「すみません」と僕が言うと、彼女は微笑んだ。
その夜、僕は初めて、由香里さんの中にある『揺れる気持ち』に触れた気がした。
年齢や立場を越えて、僕たちは少しずつ、確かな絆を築いているのかもしれないと思っていた。
つづく。
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