22 / 24
第10話 勤務30日目 別れの知らせ、静かに訪れる転機
しおりを挟む
由香里さんをはじめ、お客様、ご近所の方々、そしてスーパーのスタッフたち。
この職場には、優しさと温もりが溢れていて、僕はこの環境で花の勉強ができることに心から感謝していた。
由香里さんから教えてもらうことは多く、まだまだ勉強不足だと感じることもある。
それでも、理想の自分に近づけるように、日々努力を重ねていた。
お客様に「和也君に頼んで良かった」と思ってもらえるように、これからも真剣に仕事と向き合っていきたい。
そんな思いで、僕は毎朝一時間早く出勤し、タイムカードを押す前に花の世話を済ませるようにしていた。
そのことを由香里さんは知らなかった。
けれど、彼女の休務日に店長代理として来ていた麻衣子さんが気づき、由香里さんに伝えてくれた。
翌日、由香里さんはその話を聞いて、「出てきた時にタイムカードを押しなさい」と言ってくれた。
でも僕は、見習いの今だからこそ、できることを積み重ねていきたいと思っていた。
◇◆◇
今朝、由香里さんから大切な話を聞かされた。
彼女の母親が若年性認知症を患い、自宅で介護をしなければならなくなったという。
父親はすでに他界していて、母親は独り暮らし。
由香里さんが帰らなければ、誰も看る人がいない状況だった。
実家は静岡県清水市。
この会社の支店は県庁所在地にしかなく、通勤は不可能だった。
だから、今月いっぱいで退職することが決まっていた。
そのことを僕に言い出せず、ずっと悩んでいたという。
年次有給休暇を使って、残り一日だけの出勤。
それが、由香里さんとこの店で過ごす最後の日になる。
僕が入社する前から、彼女の退職は決まっていた。
それでも、僕は彼女と過ごした日々を、かけがえのない時間として胸に刻んでいた。
つづく
この職場には、優しさと温もりが溢れていて、僕はこの環境で花の勉強ができることに心から感謝していた。
由香里さんから教えてもらうことは多く、まだまだ勉強不足だと感じることもある。
それでも、理想の自分に近づけるように、日々努力を重ねていた。
お客様に「和也君に頼んで良かった」と思ってもらえるように、これからも真剣に仕事と向き合っていきたい。
そんな思いで、僕は毎朝一時間早く出勤し、タイムカードを押す前に花の世話を済ませるようにしていた。
そのことを由香里さんは知らなかった。
けれど、彼女の休務日に店長代理として来ていた麻衣子さんが気づき、由香里さんに伝えてくれた。
翌日、由香里さんはその話を聞いて、「出てきた時にタイムカードを押しなさい」と言ってくれた。
でも僕は、見習いの今だからこそ、できることを積み重ねていきたいと思っていた。
◇◆◇
今朝、由香里さんから大切な話を聞かされた。
彼女の母親が若年性認知症を患い、自宅で介護をしなければならなくなったという。
父親はすでに他界していて、母親は独り暮らし。
由香里さんが帰らなければ、誰も看る人がいない状況だった。
実家は静岡県清水市。
この会社の支店は県庁所在地にしかなく、通勤は不可能だった。
だから、今月いっぱいで退職することが決まっていた。
そのことを僕に言い出せず、ずっと悩んでいたという。
年次有給休暇を使って、残り一日だけの出勤。
それが、由香里さんとこの店で過ごす最後の日になる。
僕が入社する前から、彼女の退職は決まっていた。
それでも、僕は彼女と過ごした日々を、かけがえのない時間として胸に刻んでいた。
つづく
0
あなたにおすすめの小説
密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
放課後の保健室
一条凛子
恋愛
はじめまして。
数ある中から、この保健室を見つけてくださって、本当にありがとうございます。
わたくし、ここの主(あるじ)であり、夜間専門のカウンセラー、**一条 凛子(いちじょう りんこ)**と申します。
ここは、昼間の喧騒から逃れてきた、頑張り屋の大人たちのためだけの秘密の聖域(サンクチュアリ)。
あなたが、ようやく重たい鎧を脱いで、ありのままの姿で羽を休めることができる——夜だけ開く、特別な保健室です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる