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オーガさん、スピリッツでガッカリ
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「やっぱり!貯蔵庫じゃないか!」
グランツの降りていった先には長い直線の地下通路が、そしてその壁面には大量の樽が所狭しと陳列されていた。
「一つ開けてみるか…」
グランツが近くの樽を掴み、爪で蓋をくり抜くと…
「…透明?まだウイスキーになってないのか。…かといってスピリッツを呑んでもしょうがないし…」
グランツが開けた樽の中には透明なアルコールが入っていた。樽の色が移り、ウイスキーになる前の段階だったようだ。
「こっちが若い酒樽か。じゃあ一番奥のは……」
再度くり抜くと、酒樽の中にはまたもや透明の酒、スピリッツの段階のウィスキーが入っていた。
「まさかウォッカじゃないよな?街の外は大麦畑だったし、それこそこれには大麦麦芽の匂いがするし……」
グランツが混乱するのも頷ける。何故なら人間達は熟成をさせないからである。
これらの樽は全て蒸留し、アルコール度数を更に高めた後、医療用として医者や冒険者、家庭向けに売られるのだ。
「というと、まさか医療用のアルコール?」
魔物が蔓延り、破傷風など、雑菌によりひき起こされる病気が蔓延しているこの人間領では、どうしてもウイスキーのように最低でもって五年や七年寝かして、ようやく売れるような物は作りたくても作れないのである。
そんな酒を作る暇があるなら蒸留してアルコール度数を高めた奴を売りさばく方が遥かに稼げる上、そもそも技術が後世に伝わりにくいと言うのが理由だ。
人間領では、殆どの国がミードといった簡単な
発酵させただけの酒とエールが主流である。
「ちっ、もったいないから開けちまった奴は消毒用として持って行くか」
しかし、グランツが開けた酒樽、この状態ではアルコール度数が高く殺菌作用が落ちている。
何故なら揮発性が高すぎて、殺菌する前にアルコールが乾いてしまうからだ。
「あっ。この樽、内側にガラスが使われやがる。こんなんじゃ蒸発はしねえだろうがウイスキーになれないじゃないか」
何故ガラスで内側を覆っているのか?それは売れる量を減らさない為だ。
木の樽で保存すると、どうしても木樽自身が中のスピリッツを吸い込んだり、蒸発したものを隙間から逃がしてしまうことがある。
それは一年で2パーセントから3パーセントものロスになる。
そのため、酒樽の内側にガラスをくっつけ蒸散を防ぐ形をとったのだ。元々アルコール度数は高かった為、蒸発さえ防げば腐らず何時までも売る事ができた。
「とりあえず水と混ぜて度数を75パーセント程度に落とさないとな…」
売り切れたら後は1日2日蓋を開けて置いておけば蒸発してまた綺麗な状態で使い回せるのも大きな利点のようだ
「しっかし、酒樽にガラスねぇ…天使の分け前がないじゃねぇか」
グランツは樽を抱え上げ地上に戻る。
「小瓶…はねぇよなぁ…。しょうがねえ」
グランツは装備を外し酒樽の中へ漬け込み始めた。
「アルコールを飲まないのは勿体ないが、そろそろ装備もくすんで来たしなぁ」
井戸から汲んだ水で、服を丁寧に濯ぎ天日に当てる。
乾かしている間に先程漬け込んだ武具についた砂や乾いた泥などの汚れを拭い落とす。
みるみるうちに武具についたアルコールは蒸発していき、水垢一つない綺麗な光沢を取り戻した。
「内側の衝撃吸収材についた汗や垢も、とりあえずは落ちたし、後は全身に水とアルコールをかければいいか」
グランツは結局、丸々一樽を全て使い果たした。
「後は小瓶を見つけ次第煮沸してアルコールを瓶詰めしていくか」
グランツの降りていった先には長い直線の地下通路が、そしてその壁面には大量の樽が所狭しと陳列されていた。
「一つ開けてみるか…」
グランツが近くの樽を掴み、爪で蓋をくり抜くと…
「…透明?まだウイスキーになってないのか。…かといってスピリッツを呑んでもしょうがないし…」
グランツが開けた樽の中には透明なアルコールが入っていた。樽の色が移り、ウイスキーになる前の段階だったようだ。
「こっちが若い酒樽か。じゃあ一番奥のは……」
再度くり抜くと、酒樽の中にはまたもや透明の酒、スピリッツの段階のウィスキーが入っていた。
「まさかウォッカじゃないよな?街の外は大麦畑だったし、それこそこれには大麦麦芽の匂いがするし……」
グランツが混乱するのも頷ける。何故なら人間達は熟成をさせないからである。
これらの樽は全て蒸留し、アルコール度数を更に高めた後、医療用として医者や冒険者、家庭向けに売られるのだ。
「というと、まさか医療用のアルコール?」
魔物が蔓延り、破傷風など、雑菌によりひき起こされる病気が蔓延しているこの人間領では、どうしてもウイスキーのように最低でもって五年や七年寝かして、ようやく売れるような物は作りたくても作れないのである。
そんな酒を作る暇があるなら蒸留してアルコール度数を高めた奴を売りさばく方が遥かに稼げる上、そもそも技術が後世に伝わりにくいと言うのが理由だ。
人間領では、殆どの国がミードといった簡単な
発酵させただけの酒とエールが主流である。
「ちっ、もったいないから開けちまった奴は消毒用として持って行くか」
しかし、グランツが開けた酒樽、この状態ではアルコール度数が高く殺菌作用が落ちている。
何故なら揮発性が高すぎて、殺菌する前にアルコールが乾いてしまうからだ。
「あっ。この樽、内側にガラスが使われやがる。こんなんじゃ蒸発はしねえだろうがウイスキーになれないじゃないか」
何故ガラスで内側を覆っているのか?それは売れる量を減らさない為だ。
木の樽で保存すると、どうしても木樽自身が中のスピリッツを吸い込んだり、蒸発したものを隙間から逃がしてしまうことがある。
それは一年で2パーセントから3パーセントものロスになる。
そのため、酒樽の内側にガラスをくっつけ蒸散を防ぐ形をとったのだ。元々アルコール度数は高かった為、蒸発さえ防げば腐らず何時までも売る事ができた。
「とりあえず水と混ぜて度数を75パーセント程度に落とさないとな…」
売り切れたら後は1日2日蓋を開けて置いておけば蒸発してまた綺麗な状態で使い回せるのも大きな利点のようだ
「しっかし、酒樽にガラスねぇ…天使の分け前がないじゃねぇか」
グランツは樽を抱え上げ地上に戻る。
「小瓶…はねぇよなぁ…。しょうがねえ」
グランツは装備を外し酒樽の中へ漬け込み始めた。
「アルコールを飲まないのは勿体ないが、そろそろ装備もくすんで来たしなぁ」
井戸から汲んだ水で、服を丁寧に濯ぎ天日に当てる。
乾かしている間に先程漬け込んだ武具についた砂や乾いた泥などの汚れを拭い落とす。
みるみるうちに武具についたアルコールは蒸発していき、水垢一つない綺麗な光沢を取り戻した。
「内側の衝撃吸収材についた汗や垢も、とりあえずは落ちたし、後は全身に水とアルコールをかければいいか」
グランツは結局、丸々一樽を全て使い果たした。
「後は小瓶を見つけ次第煮沸してアルコールを瓶詰めしていくか」
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