はぐれオーガさん本気だす

KMR

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オーガさん盗賊を退ける

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「親分…どうしますか…?襲いますか辞めますか…」

「お前はどうしたい?」

「辞めた方が良いかと…」

「同意見だ。女6人の為にあんな怪物を相手取るのは愚策中の愚策だ」

「なら、監視で…?」

「いや。監視する必要も無い。あの存在から目を離す事は恐ろしいが、ここに留まっていては見つかるかも知れない」

「わかりました。後方へ伝達します」

「あの怪物がどれほどの強さか分からないからな。安全を期せ。馬には乗らず、ゆっくりと土煙を巻き上げないように森まで後退だ」


ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー


「いかがされました?グランツ様」

「いいや、何でもない」
(盗賊の癖して慎重だな…もっと切羽詰まっているものだと思ったが……)

「それにしても、盗賊が現れませんね?この道は丘二つの窪地になっていて危険なのですが……」

「ある程度の知能があれば危険は察知できるからな。分が悪いと思ったんだろう」
(高額で取引される魔女を六人も連れているんだがなぁ。釣り針がでかすぎたか…?)


「ま、戦闘にならないのならばそれに越した事は無い。それに、力の差が目に見えてるからな。俺という存在は抑止力には充分だろう」

人間同士では、どんなに力の差があろうと、それを知らなければ優位に立っているのは自分だと勘違いする。
体格で一目瞭然だとしても、剣や弓といった『人を殺める為の道具』が身近にあり、そして購入する事ができるこの世界では体格というのは抑止力にならない。

「人間は武器を携帯し、なるべく戦闘を避けるよう努力する。俺は人を殺める道具を持っていますよ。近づかない方が良いですよ。って知らせてな」

「それはまた何故ですか?その理論だと、総合的に強い者が総合的に弱い者を一方的に蹂躙し、食らいつくす。弱肉強食の世界になってしまうのでは?」

「だからそうならない為に一番強い武器を皆が持っているじゃないか」

「ぇ?私はナイフすら持った事がありませんが…」

「『法』だよ」

「あっ、」

「法という武器の前には個人の力など無力だ。法という武器を全員が持っていることで、人を殺める道具を無力化、無害化させてるんだよ」

「一騎当千。って言うように一対千でも勝てる人が居ようと、法を相手取って一対国。で勝てる人間はいない」

「言われてみれば…そうですね…浅学でした…」

「気にするな…そうだな。法は目に見えず、持ち運びが容易で、しかも全員に対して必殺の威力を持つ。こう言い換えてみれば『法』がどれだけ強いか理解し易いんしゃないか?」

「はい!」

「でも、法が通用しない…。つまり知性が無い獣や魔物相手には結局目に見える武器が必要になるのも確かだからな…。つまるところ、法も勉強して武術にも精を出す。ってのが一番だ」

「ただし、『ケンカをふっかけてきたから武器を抜いて戦った』なんてお前らはするんじゃないぞ?。野良犬の喧嘩じゃないんだからな。出来るだけ温和に解決するんだ」

「「はい!」」

「勿論、聞き分けの無い獣には躾が必要になるときもある。その時は俺を呼べ。俺は人間同士がチマチマ自衛の為に考えた『法』如きより、よほど強いからな」


人間は人間にのみ法が通じるが、魔族は魔族にも人間にも法が通じる。
何故なら『魔族』という絶対的強者の放つ『法』は矮小な人間達の思想も法も、全てをねじ伏せる事ができるからだ。

とグランツはその巨岩と見間違うような二の腕の筋肉を見せつけ、また道を進む。


「あっあそこが辺境都市の一つだそうですね」


先導していた魔女が窪地の正面の丘を登り、ついてきた皆を丘の上に立たせ目的地を指差す。

「…なるほど。塁か」


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