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てんごく・・・?
しおりを挟む色んなお店を回り、大きなお家に戻ってきた後、オレはイヌを抱いて眠ってしまった。
ああ、そういえば…オレを叩いたあの人がりゅるに手を伸ばそうとした時…凄い衝撃が襲ってきたな。
何故か頭の中が熱くなったように感じて…その後どうなったんだっけ?
オレにならいいけど…りゅるに手を出すなんて許さないって思ったら体が勝手に動いてた気がする。
あの人がりゅるに近付こうとする度邪魔をして、手を出せないように牽制して威嚇する。
痛いのは嫌い。
でも、りゅるの為なら何でもする。
りゅるに、絶対に、手は、出させないから!
ガアウッと強く吠えると人が転けたので、これ幸いと背中に座る。
これなら起き上がれないでしょ?
これならりゅるに手は出せないでしょ?
流石に口は塞げないけど、実害が無ければいいの!
得意気にりゅるを見れば褒めてくれた。
ああ、良かった…合ってた。
何か色々話している傍で、その人が手を出さないか確り確認しつつりゅるに抱っこしてもらっていた。
その後色々な人が何か色々して、解散した後は服をいっぱい見て回ったんだよね。
カゴいっぱいに盛られた服を買うつもりなのかと思ったけど、手に持たなかったし返したみたい。
他の人も同じようにしてたし…ここって買った気分になれるお店なのかも。
お昼寝から起きると外が暗くなっていた。
部屋の中の電気はついていなくて、目を凝らすと微かな光を受けてキラキラとりゅるの毛が光っているように見えた。
いいな…俺も黒髪じゃなければ、キラキラ光ったのかな?
「りゅ、る……りゅーる」
暗い中では何故か体が動かないし声も出にくい。
小さなオレの声を拾ってりゅるの目が開き少し安心した。
電気つけて…動けないの…。
何故か分からない。
何も分からなくて、初めは凄い驚いて硬直したまま朝が来て動けるようになった。
…明るくないと、オレは満足に動けない。
なんて不甲斐ない体だ…鍛えたら治るだろうか?
だけど気に入っている所もある。
それは、体の軽さとお腹。
早く動けるし、沢山動いてもちょっと休んだらすぐまた動ける。
高く飛べるし早く走れるし…初めて知ったけどオレ柵を曲げられる位手の力強いみたい。
アレは見ない振りをした。
うん、だってまさか曲がるとは思わなかったし、自分が怖い。
お腹は、沢山食べられるから。
今まで沢山食べるなんて…って思ってたけど、食べた方がりゅるが笑ってくれるから、いっぱい食べれるこのお腹が好き。
お腹がパンパンになると息がしにくくてふぐふぐ鳴っちゃうけど、お腹いっぱいってすっごい幸せ。
今日も卵をいっぱい食べれて幸せ。
朝起きてご飯を食べて、お風呂に入って寝てまたご飯を食べての繰り返し。
そんな一日が終わった後、今日は耳がキーンッてなるぐらい煩い場所に来た。
大丈夫…慣れるまでだから…それまで待って……。
肌で振動を感じられるぐらい大きな音に、りゅるは何で平気なのかと思った。
爆音に慣れ始めた頃、遠くにぷいんの姿が見えりゅるにあっちへ行こうと呼びかける。
ああ、大きい…。
今まで見た中で一番大きいぷいんを見て、息が上がりヨダレが出てきた。
これ食べたい。
食べたい!
頑張って伝えると、りゅるはオレを何かよく分からない場所に座らせて離れていった。
待ての合図があったから待っていると、大きなぷいんがオレの前に運ばれて来て、いい匂いが鼻を擽った。
ああ、美味しそう…まだかな…食べたい…。
良しの合図が聞こえ、いつもより少し大きいスプーンでぷいんをどんどん口に入れていく。
ああ、食べても食べても減らないなんて…大きいは正義だ。
殆ど噛まなくても飲み込めるから好き。
甘くて美味しいから好き。
りゅるが食べさせてくれたから、好き。
四皿目を食べ終えると、流石にお腹が苦しくなった。
息がしにくくなってきたから、このお皿で終わりにしよ…残念だけど…まだまだ食べたかったけど…吐いちゃったら勿体無いもんね。
りゅるの近くに座り込み休もうと思ったら、抱き上げてくれて苦しいお腹を撫でてくれた。
ああ、お腹いっぱいでりゅるに撫でてもらえるなんて…なんだ、そうか…ここが天国か…。
応援ありがとうございます!
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