男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される

山口三

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続々と明らかになる事実

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 景子が解雇される前日。

「落合社長、沙耶ちゃんと五瀬さんがいらしてます」
「お通しして、時間通りね」

 前回沙耶と二人で事務所を訪れた時と同じように五瀬は颯爽さっそうとしていた。

「急なアポイントメントで申し訳ありません落合社長」
「いえ、平気ですわ。五瀬さんこそお忙しいんじゃありません? さ、どうぞお掛けになって。時間は無駄にできませんものね」

 ノックがして沢本と山本が入って来た。「すみません、遅れました」そして沙耶を見て心配そうに尋ねた。

「沙耶ちゃん、体は大丈夫なの? もうホントにびっくりしたわよぉ、記憶がないなんて聞いて・・」
「ほとんどの事は覚えてますから大丈夫です。ここ1年位と事故の記憶が抜け落ちてるだけなんです」

「そうですよね、僕の事もちゃんと覚えててくれましたもんね」山本が言った。

「えっと、それじゃあ今日はどんなお話でここにわざわざお運び頂いたのかしら?」落合が口火を切った。

 馨はまず景子の嘘について話した。

「えええ?! アタシもうこんがらがって来ちゃったわ。景子が五瀬さんの本命っていうのは景子の嘘だったの!?」
「密会写真も全部いいように書き立てられただけって事ね」

「高野景子が沙耶に嘘をついた件は後日また週刊誌に報道されるかもしれません。記者が張っていましたから」

「うわぁ、またですか!」

「どうも記者に情報を流していたのは高野景子本人の様ですね。彼女の母親がうちの秘書の一人を買収していた事が判明しまして。そうそう都合よく私のスケジュール先に記者が現れるのは不自然でしたから」

(大井めぐみの事は涼が嗅ぎつけていた。俺のスケジュールを知りえる人間は多くないからな・・)

「それは・・うちの高野が本当にご迷惑をお掛けしました」
「いえ、落合社長が謝られる事はありません。それから・・」

 景子の解雇を勧めたのは馨だった。

 そして馨の話を聞いた山本がユウミのドーランすり替えの事を落合に告白したのだった。

「はぁぁ、なんて事を・・分かりました。景子を解雇する理由としては十分だと思いますし、言い逃れしようとしても疑惑を持ったままうちでは使えないと宣告しましょう」

「じゃあ、もうすぐ給料日ですしちょっと早いけど沙耶ちゃんには直接お給料を渡していいかしら?」沢本がデスクから立ち上がった。

「そうね、いつもは景子の口座にまとめて振り込んでいたんだけど、これからは沙耶ちゃんだけになるんだからそうしましょう」

 沢本は給料を用意しに行き、5分ほどで戻ってきた。「はい、沙耶ちゃん。確かめてみてね」

 封筒の中身を確かめた沙耶は驚いて顔を上げた。「沢本さん、全然多いです。普段の倍はありますけど」
「えっ、アタシ間違ったかしら? ちょっと見せて」中身を数えて明細と照らし合わせた沢本は首を振った。
「いいえ、間違えてないわ。沙耶ちゃん、仕事は休んでても有給扱いになってるから普通に貰えるのよ」
「私、景子からは毎月、この半分しか貰ってなかったわ・・」

「まぁ・・ねこばばしてたのね! ほんとあの子ったら信じられないわ」


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