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18話 シャルルの誕生日
しおりを挟むシャルル皇子はその日、十二歳を迎えた。素直で明るく、周囲から愛される第二皇子だ。
皇宮ではシャルルの誕生日を祝う舞踏会が開かれ、帝国中から名だたる貴族が集まってきていた。皇子はまだ子供のため、舞踏会は夕方の早い時間から開催されている。
サトリア家も招待されており、ローズは兄のリックを同伴して舞踏会に参加した。
_____
三十分前
「ローズ・サトリア様、第一皇子様からの言伝がございます。お手数ですがこちらの控室までいらしていただけますでしょうか?」
私がリックと皇宮に着くと、会場の広間に入る前に一人の侍女から声がかかった。
「僕は広間で待っているから行っておいでローズ」
リックは妹と侍女を見送ってから広間へ向かった。――お父様とお母様が先に到着しているはずだから後で合流しよう、と私に告げて。
侍女について行き、私は広間の先にある小さな控室に入った。
「実は皇子様からプレゼントのドレスを預かっております。ぜひそれを着て舞踏会に参加してほしいとの事でございます」
控室には侍女がふたりいて、着替えを手伝ってくれた。
皇子様が私にプレゼントって日頃のお礼とか? でも私は仕事として皇子様の健康管理をしてるわけだし。それに毎日会ってるんだから今日、突然渡さなくてもいいような……皇子様は意外にサプライズ好きなのかな。
そんなことを思いながら、忙しなく手を動かす侍女に目をやると『マリア・二十一歳・カトリーヌの侍女』とテロップが出た。
皇子様に仕える者じゃないのね。ドレス選びを婚約者に頼んだのかしら。
ここに連れてきた侍女もカトリーヌの侍女だった。どうして皇宮の侍女じゃないんだろう? 内心、首を傾げていると、着替えが終わったと、そのまま鏡の前に連れて行かれた。
げげげっ、何この派手なドレス! それにこの頭の飾り!
鏡に映ったドレスは赤い生地でスカートが三段に分かれており、それぞれ違う反対色で構成されていた。まるで喧嘩しているような配色だ。
頭の真ん中には拳ほどもある大きな赤い造花と、黒い羽根が三本も付き立てられている。
これはトーテムポール? それともダルマ落とし? これは誰のセンスなのよ!
いくら以前のローズが派手好きだったとしてもこれは酷過ぎる。だが皇子のプレゼントだというドレスを、しかももう着替えてしまったのに元に戻せと言えるわけがない。
______
その頃舞踏会の広間では……
「ジェイミー様、どなたかお探しですの?」
第一皇子のフィアンセとしてジェイミーに同伴していたカトリーヌは、上機嫌で皇子を見上げた。
(本当に痩せたわね。まだまだ体格はいいけれど、以前とは違ってとても健康そうだわ。剣術も真面目に取り組んでいると聞くし、顔つきも変わったわね。堂々として男らしく……はっ、私ったら嫌ね、皇子に見とれるなんてどうかしてるわ。見た目は変わってもどうせ中身は弱虫の意気地なしの……)
カトリーヌの頭の中がジェイミーの悪口で埋め尽くされそうになった時、広間の入り口にローズが姿を現した。
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