どうやらこの物語、ヒロインが一度死ぬ仕様です

山口三

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23話 ミントティー

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 お、やってるやってる。



 皇子は王室騎士団に交じって訓練をしていた。ああしていると、ちょっと体格のいい騎士団員みたいね。



 私の姿を見つけるとブラウン副団長が手を振った。

 この時間、多くの団員は皇宮の見回りや護衛に付いていて訓練している団員は少数だから大きめのポットふたつで十分ね。



「こんにちは」お茶運びを手伝ってくれたネイサンと共に、私は騎士団が訓練している広場へ足を踏み入れた。



「よーし、休憩にするぞ」ブラウン副団長がみんなに合図すると団員達が私たちの方へ集まってきた。



 皇子がいると休憩時間に美味しいお茶にありつけると、団員たちのちょっとした楽しみになったようだ。



 ネイサンがグラスに氷を入れて、私がそこへアイスティーを注いでいく。



「お好みでハチミツを入れてくださいね~」



 団員達は冷たいアイスティーを美味しそうにゴクゴク飲み干していた。



「これは……ハーブが入っているのか? 後味がスーッとして美味いな」



「はい、ミントとラベンダーが少し入っています。ジェイミー様はハチミツを入れますか?」



「うん、二杯目に入れてみよう」皇子も汗を拭きながらミントティーを味わっている。



 私は少し離れた場所で飲んでいるブラウン副団長の傍へ行った。



「ローズ様、今日も美味しいお茶をありがとうございます」



「皆様に喜んで頂けて私も嬉しいですわ。それと、昨日はありがとうございました。これ、洗濯して綺麗にしてあります」



 洗濯したのは私じゃないんだけれども、綺麗になってるのは事実なので……昨日、スカートの代わりに腰に巻いてくれたクロークを私は返却した。



「ローズ様は、昨日のことに動じてないように見受けられますが、本当に平気ですか? 私で力になれることがあれば何でもおっしゃってください」



 クロークを受け取ったブラウン副団長は、リック兄様みたいに私を心配してくれた。



「自分でも不思議なくらい平気なんです。家でも両親や兄の方がずっとショックを受けていました。きっと私は私を心から心配してくれる人たちのお陰で、こうして平気でいられるのだと思います」



「ご家族に大切にされているのですね。あなたの笑顔を見て安心しました。ところで、あのドレスの件はジェイミー様にお聞きになりましたか?」



「はい。やはり皇子様のプレゼントではありませんでした」

「そうですか……。犯人は捜さないおつもりですね?」



 私の顔をじっと見ていたブラウン副団長が言った。



「ええ、なんとなくですけど心当たりがあるんです。でも今は騒ぎ立てない方がいいと思っています」

「分かりました。ですが本当に、助けが必要な時はおっしゃって下さい」



「ブラウン副団長様が味方になってくださるなんて心強いですわ」



 私がそう言って笑うと、意外にも彼は不満そうな表情をした。



「ルイスと、呼んで下さい。じゃないともうクロークは貸しませんよ」

「あっ……うふふ。分かりました、ルイス様」



 今度はルイスも笑って頷いた。





____





「うちの副団長とローズ様はなかなかお似合いだと思いませんか?」



 一昨年騎士団員になったばかりのジャックは、隣にいたジェイミー皇子にこっそり話しかけた。



「うん? ああ……そうだな」



「二十五歳で副団長なんて異例の出世だそうですよ。しかもイケメンですしねぇ、羨ましいなぁ。今は小子爵様ですがいずれは団長になられるんでしょうし、そうなったら陞爵しょうしゃくですよね。エリート街道まっしぐらだな。しかもローズ様みたいな素敵な方を妻に迎えたりとかしちゃったら……」



 ジャックのおしゃべりは続いていたがジェイミーにはもう届いていなかった。

 ジェイミーの視線の先には、楽しそうに談笑しているローズとルイスの姿があった。





『只今の視聴率3・7%』

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