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フェアリー・ゴッド・マザー登場
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本を読み終え、うつらうつらとまどろんでいたシンデレラは、急に窓の外が明るくなったことで意識が呼び戻された。
何事かと、外に出る。
すると、家の隣の小さな庭にお婆さんが一人、立っていた。
しかし、ただのお婆さんでないことは一目瞭然だった。
なぜなら、お婆さんは、まるで後光が射しているかのように光輝いていたからだ。
シンデレラは呆然としていた。
ー夢か?
そんなシンデレラの心の声を知ってか知らずか、お婆さんは、
「夢ではありませんよ。
私は妖精。
フェアリー・ゴッド・マザーといいます。」
と自己紹介。
お婆さん、もとい、フェアリー・ゴッド・マザーはそのまま続ける。
「あなたを舞踏会へ連れていってあげましょう。」
「いえ、大丈夫です。」
穏やかにゆっくりと話すフェアリー・ゴッド・マザーに対し、シンデレラはピシャリと即答でお断りしてしまった。
そんなシンデレラに、フェアリー・ゴッド・マザーは目をぱちくりとさせる。
「王子様に会えるわよ。」
「王子に興味ありませんので。」
お互いに引かない様相。
フェアリー・ゴッド・マザーは、シンデレラがこういう子だということを知ってはいたが、ここまでとは、と密かに衝撃を受けていた。
しかし、シンデレラに舞踏会に行ってもらうためにやって来たのだから、ここで引くわけにもいかない。
フェアリー・ゴッド・マザーは、シンデレラが必ず食いつく切り札を取り出した。
「美味しいごはんがいっぱいあるわ!」
「行きます!」
これまた即答。
すっかりもくろみにはまってしまったシンデレラであった。
つい先程まで、何故この妖精さんは私を舞踏会に行かせたいのか、と疑問に思っていたが、そんなものは一瞬にして吹き飛んでしまった。
フェアリー・ゴッド・マザーは満足顔(勝ち誇った顔)でシンデレラに魔法をかけた。
自分の身体が輝き出したことで思わず目を瞑ったシンデレラが、次に目を開けた時には、ものすごく驚いた表情となった。
シンデレラは、普段着ていたなんの飾り気もないシンプルなワンピースのような服から、ドレス姿へと変わっていたのだ。
そのドレスは、いわゆる肩出しというもので、胸の周りを花のようにひらひらとした、少し濃い青の素材が両の二の腕ごとくるんでいた。
そこから下は少し薄い青のワンピースのような作りだが、くびれのすぐ下の部分が盛り上がり、下半身のスカート部分は膨れ上がってふわふわの状態だった。
普段、ぺたんこの靴しか履かないシンデレラは、かかとが高くなっていることに気付いて、ドレスの裾をまくりあげる。
すると、シンデレラの足はガラスの靴を履いていた。
ーガラスの、靴。
さっき読んだ義妹の本を思い出す。
ーそういえば、あの本にも妖精が出てきていた。
そして、美しい娘は舞踏会に行った。
…あれ、でも確か、何か条件があったわ。
ええと、確か…。
「深夜0時までには帰ってきてね。
その時間に魔法が解けてしまうから。」
考えていた言葉が口に出てしまった、とシンデレラはとっさに口を両手でふさいだ。
が、そのセリフを言ったのは、シンデレラではなかった。
あの本と同様に、妖精がシンデレラに条件を出したのだ。
「…?」
不思議なことがあるものだ、とシンデレラは首をかしげた。
「馬車も魔法がかかっているから、時間になれば消えてしまうわ。」
フェアリー・ゴッド・マザーは馬車(運転手付き)まで用意してくれた。
「さあ、行ってらっしゃい。」
シンデレラはあっという間に馬車に乗せられて、何も言えぬまま出発してしまった。
何事かと、外に出る。
すると、家の隣の小さな庭にお婆さんが一人、立っていた。
しかし、ただのお婆さんでないことは一目瞭然だった。
なぜなら、お婆さんは、まるで後光が射しているかのように光輝いていたからだ。
シンデレラは呆然としていた。
ー夢か?
そんなシンデレラの心の声を知ってか知らずか、お婆さんは、
「夢ではありませんよ。
私は妖精。
フェアリー・ゴッド・マザーといいます。」
と自己紹介。
お婆さん、もとい、フェアリー・ゴッド・マザーはそのまま続ける。
「あなたを舞踏会へ連れていってあげましょう。」
「いえ、大丈夫です。」
穏やかにゆっくりと話すフェアリー・ゴッド・マザーに対し、シンデレラはピシャリと即答でお断りしてしまった。
そんなシンデレラに、フェアリー・ゴッド・マザーは目をぱちくりとさせる。
「王子様に会えるわよ。」
「王子に興味ありませんので。」
お互いに引かない様相。
フェアリー・ゴッド・マザーは、シンデレラがこういう子だということを知ってはいたが、ここまでとは、と密かに衝撃を受けていた。
しかし、シンデレラに舞踏会に行ってもらうためにやって来たのだから、ここで引くわけにもいかない。
フェアリー・ゴッド・マザーは、シンデレラが必ず食いつく切り札を取り出した。
「美味しいごはんがいっぱいあるわ!」
「行きます!」
これまた即答。
すっかりもくろみにはまってしまったシンデレラであった。
つい先程まで、何故この妖精さんは私を舞踏会に行かせたいのか、と疑問に思っていたが、そんなものは一瞬にして吹き飛んでしまった。
フェアリー・ゴッド・マザーは満足顔(勝ち誇った顔)でシンデレラに魔法をかけた。
自分の身体が輝き出したことで思わず目を瞑ったシンデレラが、次に目を開けた時には、ものすごく驚いた表情となった。
シンデレラは、普段着ていたなんの飾り気もないシンプルなワンピースのような服から、ドレス姿へと変わっていたのだ。
そのドレスは、いわゆる肩出しというもので、胸の周りを花のようにひらひらとした、少し濃い青の素材が両の二の腕ごとくるんでいた。
そこから下は少し薄い青のワンピースのような作りだが、くびれのすぐ下の部分が盛り上がり、下半身のスカート部分は膨れ上がってふわふわの状態だった。
普段、ぺたんこの靴しか履かないシンデレラは、かかとが高くなっていることに気付いて、ドレスの裾をまくりあげる。
すると、シンデレラの足はガラスの靴を履いていた。
ーガラスの、靴。
さっき読んだ義妹の本を思い出す。
ーそういえば、あの本にも妖精が出てきていた。
そして、美しい娘は舞踏会に行った。
…あれ、でも確か、何か条件があったわ。
ええと、確か…。
「深夜0時までには帰ってきてね。
その時間に魔法が解けてしまうから。」
考えていた言葉が口に出てしまった、とシンデレラはとっさに口を両手でふさいだ。
が、そのセリフを言ったのは、シンデレラではなかった。
あの本と同様に、妖精がシンデレラに条件を出したのだ。
「…?」
不思議なことがあるものだ、とシンデレラは首をかしげた。
「馬車も魔法がかかっているから、時間になれば消えてしまうわ。」
フェアリー・ゴッド・マザーは馬車(運転手付き)まで用意してくれた。
「さあ、行ってらっしゃい。」
シンデレラはあっという間に馬車に乗せられて、何も言えぬまま出発してしまった。
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