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リリー様が帰って来られるまであと十九日。
と言うか、一昨日王都を立たれて領地へ向かわれたばかりなんだけどね。
「そろそろ領地屋敷に着かれた頃かしら」
毎年大人数での移動だったので、領地までたっぷり三日は掛かっていたが、今年はリリーとベティだけなので馬車は二台。丸々三日までは掛からない筈だ。
「ローゼ?ぼんやりしてどうした?」
テーブルの向かい側に座るイヴァンが言う。
「リリー様そろそろ到着されたかな、と思いまして」
「ああ、領地で避暑だったか」
「はい」
「マーシャル公爵家の領地って南の方だったかしら?」
ローゼの隣に座るコーネリアが言う。
「はい。王都から一番近い海のある領地です」
「海!いいわねぇ」
ここは王宮の使用人棟のコーネリアの部屋だ。
舞踏会でのサフィの発言により、街に出ればひそひそと噂をされるローゼ。珍しいピンクの髪の毛のせいですぐにローゼだと分かってしまうのだ。
夏期休暇が始まってから公爵家に篭っているローゼを連れ出してやりたいイヴァンだが、一人暮らしの自分のフラットや実家にローゼを呼ぶ訳にもいかず、こうしてコーネリアの部屋を二人で訪ねて三人で過ごす事が増えていた。
「コーネリア様、お休みの邪魔してばかりして済みません…」
「あら、気にする事ないわ。私は楽しいわよ」
「でも折角のお休み、お出掛けしたかったりするでしょう?」
「うーん…私あまり物欲ないから買い物とかは必要最低限で良いし、乙ゲーにハマるような人間だから基本インドア派なのよね。あ、でもローゼさんと一緒にお出掛けしたら楽しいかも」
自分の胸の前でパンッと手を合わせるコーネリア。
「でも…」
「変装したら良いのよ。大きな帽子で髪を隠せば…そうだわ」
コーネリアは立ち上がると、隣の部屋へと入って行く。
そして出て来たコーネリアは大きなキャスケットのような帽子を手にしていた。
「これなら髪を全部隠せるわ。シャツにズボンにベストで少年風ローゼさんの出来上がりよ」
コーネリアはローゼの頭に帽子を被せる。
確かにこれなら特徴的なピンクの髪の毛をすっぽり隠せそうだ。
「シャツにズボン…」
「ローゼその帽子よく似合ってる。今度実家に帰ったら俺の子供の頃の服と靴を持って来るよ。さすがに今の俺の服じゃ大きすぎるからな」
イヴァンがニコニコして帽子を被るローゼを見ていた。
「伊達眼鏡もあるわよ」
「コーネリアは何でこんな物を持ってるんだ?」
「…乙ゲー好きとしては『お忍びデート』というものに憧れがありましてね。でもインドア派で、更にお忍びでデートするような相手と縁がないから帽子と眼鏡しかないんですけども」
少し照れた様子でコーネリアが言う。
ああ。お忍びデートって「愛しの生徒会」でも王太子と第二王子のルートにはそんなイベントもあったっけ。
そう言えば教師生徒カプのイヴァンのルートにもあったかも…
ローゼがそう思った時、コーネリアがニヤッと笑う。
「イヴァンルートにもあったわよね?『お忍びデート』」
「ありましたね」
「俺のルートにあるんだ。じゃあローゼ、俺とお忍びデートしよ」
「あ、イヴァン様狡い!私とローゼさんのお忍びデートが先ですからね」
「デートなんだ?」
「かわいい女の子が男の子に変装するとか大好物なので歴としたデートです」
コーネリアは胸を張って言った。
-----
「設定は姉と弟かしら」
「そうですね」
ローゼはコーネリアの部屋の寝室に置いてある姿見に写る、少年になった自分を眺めながら言う。
「私の背が小さいからか思ったより子供っぽくなったんで恋人同士の設定はちょっと苦しそう」
「んー…ゲームの世界観の中で麗しの男性キャラとのデートって夢だったけど、そもそもローゼさん女の子だし、姉弟のデートもアリよね」
「はい!」
「早く出て来て見せて~」
ダイニングからイヴァンの声。
「イヴァン様とのデートも兄弟設定かしら?」
くすくす笑いながらコーネリアが言う。
「そうなりますかね」
「イヴァン様はバイだから、少年風ローゼさんでも恋人扱いしそうよね…」
「先生ってバイなの公言してましたっけ?」
「してないと思うけど…」
「じゃあ先生も変装が必要ですね」
「本当ね」
コーネリアとローゼは顔を見合わせて笑う。
コーネリアとローゼはその日、姉の買い物に付き合わされる弟という設定でショッピングを楽しんだ。
リリー様が帰って来られるまであと十九日。
と言うか、一昨日王都を立たれて領地へ向かわれたばかりなんだけどね。
「そろそろ領地屋敷に着かれた頃かしら」
毎年大人数での移動だったので、領地までたっぷり三日は掛かっていたが、今年はリリーとベティだけなので馬車は二台。丸々三日までは掛からない筈だ。
「ローゼ?ぼんやりしてどうした?」
テーブルの向かい側に座るイヴァンが言う。
「リリー様そろそろ到着されたかな、と思いまして」
「ああ、領地で避暑だったか」
「はい」
「マーシャル公爵家の領地って南の方だったかしら?」
ローゼの隣に座るコーネリアが言う。
「はい。王都から一番近い海のある領地です」
「海!いいわねぇ」
ここは王宮の使用人棟のコーネリアの部屋だ。
舞踏会でのサフィの発言により、街に出ればひそひそと噂をされるローゼ。珍しいピンクの髪の毛のせいですぐにローゼだと分かってしまうのだ。
夏期休暇が始まってから公爵家に篭っているローゼを連れ出してやりたいイヴァンだが、一人暮らしの自分のフラットや実家にローゼを呼ぶ訳にもいかず、こうしてコーネリアの部屋を二人で訪ねて三人で過ごす事が増えていた。
「コーネリア様、お休みの邪魔してばかりして済みません…」
「あら、気にする事ないわ。私は楽しいわよ」
「でも折角のお休み、お出掛けしたかったりするでしょう?」
「うーん…私あまり物欲ないから買い物とかは必要最低限で良いし、乙ゲーにハマるような人間だから基本インドア派なのよね。あ、でもローゼさんと一緒にお出掛けしたら楽しいかも」
自分の胸の前でパンッと手を合わせるコーネリア。
「でも…」
「変装したら良いのよ。大きな帽子で髪を隠せば…そうだわ」
コーネリアは立ち上がると、隣の部屋へと入って行く。
そして出て来たコーネリアは大きなキャスケットのような帽子を手にしていた。
「これなら髪を全部隠せるわ。シャツにズボンにベストで少年風ローゼさんの出来上がりよ」
コーネリアはローゼの頭に帽子を被せる。
確かにこれなら特徴的なピンクの髪の毛をすっぽり隠せそうだ。
「シャツにズボン…」
「ローゼその帽子よく似合ってる。今度実家に帰ったら俺の子供の頃の服と靴を持って来るよ。さすがに今の俺の服じゃ大きすぎるからな」
イヴァンがニコニコして帽子を被るローゼを見ていた。
「伊達眼鏡もあるわよ」
「コーネリアは何でこんな物を持ってるんだ?」
「…乙ゲー好きとしては『お忍びデート』というものに憧れがありましてね。でもインドア派で、更にお忍びでデートするような相手と縁がないから帽子と眼鏡しかないんですけども」
少し照れた様子でコーネリアが言う。
ああ。お忍びデートって「愛しの生徒会」でも王太子と第二王子のルートにはそんなイベントもあったっけ。
そう言えば教師生徒カプのイヴァンのルートにもあったかも…
ローゼがそう思った時、コーネリアがニヤッと笑う。
「イヴァンルートにもあったわよね?『お忍びデート』」
「ありましたね」
「俺のルートにあるんだ。じゃあローゼ、俺とお忍びデートしよ」
「あ、イヴァン様狡い!私とローゼさんのお忍びデートが先ですからね」
「デートなんだ?」
「かわいい女の子が男の子に変装するとか大好物なので歴としたデートです」
コーネリアは胸を張って言った。
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「設定は姉と弟かしら」
「そうですね」
ローゼはコーネリアの部屋の寝室に置いてある姿見に写る、少年になった自分を眺めながら言う。
「私の背が小さいからか思ったより子供っぽくなったんで恋人同士の設定はちょっと苦しそう」
「んー…ゲームの世界観の中で麗しの男性キャラとのデートって夢だったけど、そもそもローゼさん女の子だし、姉弟のデートもアリよね」
「はい!」
「早く出て来て見せて~」
ダイニングからイヴァンの声。
「イヴァン様とのデートも兄弟設定かしら?」
くすくす笑いながらコーネリアが言う。
「そうなりますかね」
「イヴァン様はバイだから、少年風ローゼさんでも恋人扱いしそうよね…」
「先生ってバイなの公言してましたっけ?」
「してないと思うけど…」
「じゃあ先生も変装が必要ですね」
「本当ね」
コーネリアとローゼは顔を見合わせて笑う。
コーネリアとローゼはその日、姉の買い物に付き合わされる弟という設定でショッピングを楽しんだ。
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