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「やめてください!クリスティン様!」
クリスティンはローゼの腹の上に馬乗りになりながら口角を上げる。
「…俺の相手は出来ないって言うのか?」
ローゼの肩を押さえ顔を近付ける。
「嫌っ」
じたばたと暴れるローゼの腕を掴み、両腕を頭の上でまとめて押さえたクリスティンは改めてローゼの顎を掴む。
「先生にはとっくに許してるんだろ?王太子殿下もこうして誘惑したんじゃないのか?」
「違…私は何も…」
「そうじゃなきゃどうしてこんな卑しい女にこんなに男が群がるんだ?」
卑しい女。
そう。クリスティンはゲームが始まるまでは陰でこう言ってローゼを疎んでいた。そう言う度にリリーがローゼは卑しくなんかないと庇ってくれていたのだ。
でももう、リリー様もきっと私を庇っては、くれない。
「姉上もこんな女を側に置いたばかりに婚約者を奪われて、後悔してるに決まっている。それなのに、どうして俺はこんな女がこんなに欲しくて堪らないんだ…!?」
吐き出すようにクリスティンは言う。
「…ローゼは俺の物だ」
唇に噛み付くようにクリスティンのそれを押し当てられた。
「やっ」
顔を背けようとするが、クリスティンに後頭部を掴む様に押さえられ、手も押さえられたまま身体全体に体重を掛けられて動けない。
ああ、あの時と同じだ。
「助けて…お兄様…」
振り絞るように呟くローゼに、クリスティンは笑う。
「『お兄様』も、お前のせいで結婚もできなくて気の毒だな」
「…え?」
「実の父親を誘惑する妹と、実の娘を犯そうとする父親が居る家に嫁ぐような物好きなんて居ないだろ?」
私は誘惑なんてしていない。
でもお兄様が結婚していないのは…私のせいなの?
ダンダンダンッ!
「クリスティン様!」
ローゼの部屋のドアを叩く音、執事の声が響く。
「チッ」
クリスティンは舌打ちをするとローゼの手と頭を離して身を起こした。
「クリスティン様!ここに居られるんでしょう!?」
立ち上がり、ドアへ向かうクリスティン。
ローゼは一気に起き上がると、鞄を掴んで窓を開ける。
「お、おい!」
振り向くクリスティン。
ローゼはそのまま窓から外へ飛び出すと、振り向かずに駆け出した。
-----
「『ローゼが飛び出して行ったまま帰って来ない』って…何を言っているの?クリス」
領地から帰って来て馬車を降りたリリーを出迎えながら、クリスティンは俯いている。
「ローゼに何かしたの!?」
ずいっとリリーに迫られて、クリスティンは一歩後退さる。
「…姉上はローゼに怒っているんじゃないのですか?」
「怒る?」
「だって王太子殿下が…」
「ああ。それは…」
リリーは一瞬視線を泳がせる。が、またすぐにクリスティンを見据えた。
「だからってクリスがローゼに何かするのは筋が違うわ。それで?ローゼが飛び出して行ったのはいつなの?」
「……五日前。それで…今どこに居るのかわからないんです」
「五日も前!?どこに居るのかわからないって…実家のエンジェル男爵家じゃないの?」
「ローゼの兄上は『帰って来ていない』と」
「じゃあニューマン先生の所は?コーネリア様だったかしら、そこには?」
「いませんでした」
「じゃあ…サイオン殿下の所…は?」
言いにくそうに言うリリーにクリスティンは首を横に振った。
「サイオン殿下もニューマン先生も、ローゼを探してくださっています」
「そう。じゃあ一体どこへ…?」
「……」
「分かったわ。私この足でローゼの実家へ行って来る」
リリーは今降りた馬車にまた乗り込もうとする。
「姉上?」
「本当に帰っていないのか確かめて、ローゼのお兄様に話を聞いて来るわ」
「リリー様!」
ベティがリリーに追い縋るように声を掛ける。
「ベティ。すぐ出るわ。ベティも乗って」
「は…はい」
ベティが駆け込むように馬車に乗り、その後リリーも乗り込んだ。
「やめてください!クリスティン様!」
クリスティンはローゼの腹の上に馬乗りになりながら口角を上げる。
「…俺の相手は出来ないって言うのか?」
ローゼの肩を押さえ顔を近付ける。
「嫌っ」
じたばたと暴れるローゼの腕を掴み、両腕を頭の上でまとめて押さえたクリスティンは改めてローゼの顎を掴む。
「先生にはとっくに許してるんだろ?王太子殿下もこうして誘惑したんじゃないのか?」
「違…私は何も…」
「そうじゃなきゃどうしてこんな卑しい女にこんなに男が群がるんだ?」
卑しい女。
そう。クリスティンはゲームが始まるまでは陰でこう言ってローゼを疎んでいた。そう言う度にリリーがローゼは卑しくなんかないと庇ってくれていたのだ。
でももう、リリー様もきっと私を庇っては、くれない。
「姉上もこんな女を側に置いたばかりに婚約者を奪われて、後悔してるに決まっている。それなのに、どうして俺はこんな女がこんなに欲しくて堪らないんだ…!?」
吐き出すようにクリスティンは言う。
「…ローゼは俺の物だ」
唇に噛み付くようにクリスティンのそれを押し当てられた。
「やっ」
顔を背けようとするが、クリスティンに後頭部を掴む様に押さえられ、手も押さえられたまま身体全体に体重を掛けられて動けない。
ああ、あの時と同じだ。
「助けて…お兄様…」
振り絞るように呟くローゼに、クリスティンは笑う。
「『お兄様』も、お前のせいで結婚もできなくて気の毒だな」
「…え?」
「実の父親を誘惑する妹と、実の娘を犯そうとする父親が居る家に嫁ぐような物好きなんて居ないだろ?」
私は誘惑なんてしていない。
でもお兄様が結婚していないのは…私のせいなの?
ダンダンダンッ!
「クリスティン様!」
ローゼの部屋のドアを叩く音、執事の声が響く。
「チッ」
クリスティンは舌打ちをするとローゼの手と頭を離して身を起こした。
「クリスティン様!ここに居られるんでしょう!?」
立ち上がり、ドアへ向かうクリスティン。
ローゼは一気に起き上がると、鞄を掴んで窓を開ける。
「お、おい!」
振り向くクリスティン。
ローゼはそのまま窓から外へ飛び出すと、振り向かずに駆け出した。
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「『ローゼが飛び出して行ったまま帰って来ない』って…何を言っているの?クリス」
領地から帰って来て馬車を降りたリリーを出迎えながら、クリスティンは俯いている。
「ローゼに何かしたの!?」
ずいっとリリーに迫られて、クリスティンは一歩後退さる。
「…姉上はローゼに怒っているんじゃないのですか?」
「怒る?」
「だって王太子殿下が…」
「ああ。それは…」
リリーは一瞬視線を泳がせる。が、またすぐにクリスティンを見据えた。
「だからってクリスがローゼに何かするのは筋が違うわ。それで?ローゼが飛び出して行ったのはいつなの?」
「……五日前。それで…今どこに居るのかわからないんです」
「五日も前!?どこに居るのかわからないって…実家のエンジェル男爵家じゃないの?」
「ローゼの兄上は『帰って来ていない』と」
「じゃあニューマン先生の所は?コーネリア様だったかしら、そこには?」
「いませんでした」
「じゃあ…サイオン殿下の所…は?」
言いにくそうに言うリリーにクリスティンは首を横に振った。
「サイオン殿下もニューマン先生も、ローゼを探してくださっています」
「そう。じゃあ一体どこへ…?」
「……」
「分かったわ。私この足でローゼの実家へ行って来る」
リリーは今降りた馬車にまた乗り込もうとする。
「姉上?」
「本当に帰っていないのか確かめて、ローゼのお兄様に話を聞いて来るわ」
「リリー様!」
ベティがリリーに追い縋るように声を掛ける。
「ベティ。すぐ出るわ。ベティも乗って」
「は…はい」
ベティが駆け込むように馬車に乗り、その後リリーも乗り込んだ。
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