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ああ、私、また溺れて死ぬのか…
湖に落ちたローゼはキラキラ光りながら遠ざかる水面を見ながら思う。
ああ、どうか、デビィが助かりますように。
願わくば、私が死んでもこの世界が消える事なく、リリー様が世界一幸せになれますように。
…サイオン殿下が、幸せに、なれますように。
-----
「うーん、いくらかわいくてもこんなお子ちゃま好きになるものかなあ?」
前世で、スマホの画面を見ながら私は呟く。
ここは私の部屋で、私の他に人は居ない。完全な一人言だ。
画面に映るのは、攻略対象者の王太子サイオン。青紫の髪に青紫の瞳、穏やかに笑う大人の男性だ。対するヒロインはまだ十五歳の少女。
「十五って、中三でしょ?サイオンは二十四だっけ。歳の離れた結婚があるあるの時代設定だって言っても二十四歳婚約者ありの王太子が、中学三年生の男爵令嬢を好きになるなんて、リアリティがないよねぇ」
重ねて言うけど、これは一人言。
友達がいないから一人言の癖がついちゃったんだよね。
とか言いつつ、結局今回もサイオンルートにしちゃうんだよね。
推しだから仕方ないよね。
ルート確定の救護室での初チューも良いけど、卒業パーティーの後二人きりになってからのプロポーズあーんどチューが最高なんだよねぇ。
「学園を卒業したら私の妃になりなさい」からの、少し情熱的なキス。
はあ…カッコいい…
こんな人に「好き」って言われるのって、どんな感じなんだろう。
いや、その前に私、人に好かれた事ないな…
もし生まれ変わるなら、家族の仲が良くて、友達もいっぱいいて、サイオンみたいな人に「好き」って言ってもらえるような人になりたいな。
生まれ変わりなんて、所詮夢物語なんだけどね。
「ローゼ」
ぼんやりと青紫が見える。
…あれぇ?私、ゲームしながら寝ちゃったのかな…?
夢にまでサイオンが出てくるなんて、どんだけハマってんだか。
「殿下、とにかく呼吸が戻ったので、運びましょう」
「ああ」
ふわりと身体が浮く感覚。
自分の手足が重い。
「殿下私が…」
「いや、ローゼは俺が運ぶ」
俺…サイオンは自分の事いつも私って言ってたのに…夢だからアレンジ効いちゃってるのかな?
本当に抱き上げられてるみたいな浮遊感。ふわふわして気持ちい…
お姫様抱っこなんてされた事ないのに妙にリアルな夢…だな…
-----
「クレイグ殿は何者なんですか?」
湖の近くのキャストン伯爵家の屋敷にデボラを運び込み、呼んでいた医者に診てもらう間、血の付いた服を着替えているクレイグにイヴァンが話し掛ける。
「ん?」
「王都で一番大きな娼館の主にすぐに会えて、情報をもらえるなんて普通じゃないです」
クレイグはシャツを脱ぐと、伯爵家が貸してくれたシャツに袖を通す。
「…良い筋肉ついてますね」
「はは。まあ、あの男…父が生きている間は、何をしでかすか判らなくて、対抗するために鍛えていましたから。今も惰性で鍛錬は続けているので」
「あー…」
シャツのボタンを留めながらクレイグは言う。
「ローゼを公爵家へ行かせた後、あの男から爵位を奪うために娼館や闇人身売買の事を調べていて、流れで違法に小児買春を行って居た組織を一つ潰した事がありまして」
さらりと何て事言うんだこの人。
「その潰した組織の元頭が今経営しているのが、王都で一番大きな娼館で。そのおかけでそちら方面に少し顔が利きます」
少し顔が利く、なんてもんじゃあ…
「ローゼを連れて来いと依頼をしたのは、とある侯爵でした。これは下位貴族の私の手には余る相手なので、王太子殿下に対処していただこうと考えているんです」
サイオンにローゼを攫おうとした奴の対処をさせようとか、本当は恐らく自分でも対処できるんだろうに…何だこの人…格好良すぎるだろ。
「クレイグ殿…惚れそうなのでもう止めてください」
イヴァンは両手で顔を覆いながら言う。
サイオンもローゼもいなければ惚れていたぞ。これは。
「ん?惚れても良いですが応えられませんよ」
クレイグはイヴァンに笑顔を向ける。
「私は今日、生まれて初めて異性に心を奪われたので」
クレイグは笑いながら言った。
ああ、私、また溺れて死ぬのか…
湖に落ちたローゼはキラキラ光りながら遠ざかる水面を見ながら思う。
ああ、どうか、デビィが助かりますように。
願わくば、私が死んでもこの世界が消える事なく、リリー様が世界一幸せになれますように。
…サイオン殿下が、幸せに、なれますように。
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「うーん、いくらかわいくてもこんなお子ちゃま好きになるものかなあ?」
前世で、スマホの画面を見ながら私は呟く。
ここは私の部屋で、私の他に人は居ない。完全な一人言だ。
画面に映るのは、攻略対象者の王太子サイオン。青紫の髪に青紫の瞳、穏やかに笑う大人の男性だ。対するヒロインはまだ十五歳の少女。
「十五って、中三でしょ?サイオンは二十四だっけ。歳の離れた結婚があるあるの時代設定だって言っても二十四歳婚約者ありの王太子が、中学三年生の男爵令嬢を好きになるなんて、リアリティがないよねぇ」
重ねて言うけど、これは一人言。
友達がいないから一人言の癖がついちゃったんだよね。
とか言いつつ、結局今回もサイオンルートにしちゃうんだよね。
推しだから仕方ないよね。
ルート確定の救護室での初チューも良いけど、卒業パーティーの後二人きりになってからのプロポーズあーんどチューが最高なんだよねぇ。
「学園を卒業したら私の妃になりなさい」からの、少し情熱的なキス。
はあ…カッコいい…
こんな人に「好き」って言われるのって、どんな感じなんだろう。
いや、その前に私、人に好かれた事ないな…
もし生まれ変わるなら、家族の仲が良くて、友達もいっぱいいて、サイオンみたいな人に「好き」って言ってもらえるような人になりたいな。
生まれ変わりなんて、所詮夢物語なんだけどね。
「ローゼ」
ぼんやりと青紫が見える。
…あれぇ?私、ゲームしながら寝ちゃったのかな…?
夢にまでサイオンが出てくるなんて、どんだけハマってんだか。
「殿下、とにかく呼吸が戻ったので、運びましょう」
「ああ」
ふわりと身体が浮く感覚。
自分の手足が重い。
「殿下私が…」
「いや、ローゼは俺が運ぶ」
俺…サイオンは自分の事いつも私って言ってたのに…夢だからアレンジ効いちゃってるのかな?
本当に抱き上げられてるみたいな浮遊感。ふわふわして気持ちい…
お姫様抱っこなんてされた事ないのに妙にリアルな夢…だな…
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「クレイグ殿は何者なんですか?」
湖の近くのキャストン伯爵家の屋敷にデボラを運び込み、呼んでいた医者に診てもらう間、血の付いた服を着替えているクレイグにイヴァンが話し掛ける。
「ん?」
「王都で一番大きな娼館の主にすぐに会えて、情報をもらえるなんて普通じゃないです」
クレイグはシャツを脱ぐと、伯爵家が貸してくれたシャツに袖を通す。
「…良い筋肉ついてますね」
「はは。まあ、あの男…父が生きている間は、何をしでかすか判らなくて、対抗するために鍛えていましたから。今も惰性で鍛錬は続けているので」
「あー…」
シャツのボタンを留めながらクレイグは言う。
「ローゼを公爵家へ行かせた後、あの男から爵位を奪うために娼館や闇人身売買の事を調べていて、流れで違法に小児買春を行って居た組織を一つ潰した事がありまして」
さらりと何て事言うんだこの人。
「その潰した組織の元頭が今経営しているのが、王都で一番大きな娼館で。そのおかけでそちら方面に少し顔が利きます」
少し顔が利く、なんてもんじゃあ…
「ローゼを連れて来いと依頼をしたのは、とある侯爵でした。これは下位貴族の私の手には余る相手なので、王太子殿下に対処していただこうと考えているんです」
サイオンにローゼを攫おうとした奴の対処をさせようとか、本当は恐らく自分でも対処できるんだろうに…何だこの人…格好良すぎるだろ。
「クレイグ殿…惚れそうなのでもう止めてください」
イヴァンは両手で顔を覆いながら言う。
サイオンもローゼもいなければ惚れていたぞ。これは。
「ん?惚れても良いですが応えられませんよ」
クレイグはイヴァンに笑顔を向ける。
「私は今日、生まれて初めて異性に心を奪われたので」
クレイグは笑いながら言った。
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