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「ロッテ凄い!超似合ってる!」
姿見の前に立つシャーロットの後ろからマリアが鏡を覗き込んで声を上げた。
「そう…?」
シャーロットは苦笑いしながら姿見の中の自分を見る。
「だってストンと落ちるスカートが少しAラインになってて、裾のふわふわしたレースと、胸元のレースがリンクしてて綺麗だし、長身のロッテにすごく映えてるもん。色も、青が少し紫がかっててすごく綺麗だし」
「あんまり褒められると恥ずかしい…」
シャーロットは顔の前で手袋をした両手を擦り合わせた。
「さすがユリウス殿下が贈られたドレスだけあってロッテの魅力を上手く引き出してるわ」
マリアが言うと、シャーロットは頬を染める。
「マリアも、薄ピンクのドレス似合ってる。お兄様が選んだのよね?」
「と言うか、ルーカス様にベースのドレスを選んでもらって、私が自分好みにアレンジしたの」
「だからブローチ付けてくれたんだ」
マリアの薄桃色のドレスの胸元に、シャーロットの編んだレース編みの花のブローチが付いている。元々そういうデザインだったかのように。
「うん。ロッテのドレスのレースもロッテが編んだんでしょ?」
シャーロットのドレスの胸元と裾のレースにも、ブローチと同じ花のモチーフの小さい物が何個も付いているのだ。
「うん。あのね、私、このレース編みで商売ができないかな、と思ってるんだけど」
「商売?」
「栞とかコースターとかの小物も教会でよく売れるじゃない?だから教会だけじゃなくて、雑貨屋さんに卸したり…最終的には自分のお店を持てたら…とか」
「ロッテブランドのレース編みの店?」
「うん。それとね、ほらキャビネットとかのガラスにレース貼ったら地震でも割れにくくなったり、ガラスの飛散防止になったりしないかなって。後、ゴムみたいな素材のレースの敷物を食器棚とかに敷けばお皿とかが揺れで落ちたり割れたりするのが防げるかな、とか」
マリアは目を見開いて大きく頷く。
「なるほど。そう言う何かちょっと身近でかわいく防災みたいな?」
「そうそう」
「いいと思う!」
コンコン。
とシャーロットの部屋の扉がノックされ、返事をすると扉が開く。
先に入って来たのはルーカスで、光沢のある濃灰色の夜会服、ピンクのポケットチーフが差し色になっている。
「ロッテ」
ルーカスに続いて紺の夜会服のユリウスが入って来る。胸ポケットからはシャーロットのドレスと同じレースが覗いていた。
「ロッテ、すごく綺麗だ」
ユリウスはシャーロットの手を取ると手袋越しの手の甲に口付ける。
ひゃああ。やっぱり本物の王子様って何かスゴい。
「で、殿下もカッコいいです…」
赤くなりながら言うと、ユリウスはニッコリと笑った。
「ルーカス様は私に何かないんですか?」
マリアはルーカスを見上げる。
「そうだな。マリアは…」
ルーカスはマジマジとマリアを見つめると、真顔で言った。
「いつもより、よりかわいい」
「…!」
マリアは思わず言葉に詰まると、ルーカスを上目遣いで睨む。
「ルーカス様、真顔は狡いです真顔は」
-----
「アール様は今日はお仕事なのだそうよ。会場の外にいらっしゃるらしいわ」
フェリシティが肩を竦めながら小声で言う。
パーティー会場である講堂の舞台の上では学園長が卒業生に送る挨拶をしていた。
「ああ…アイリーン殿下の護衛ですものね」
シャーロットが言うと、フェリシティは頷く。
「そうなの。でも来年の私が卒業するパーティーの時は絶対に休んでエスコートしてくださるって」
ニコニコと笑うフェリシティ。
「じゃあご婚約のお話は順調に進んでるんですね」
「ええ。今は教会の許可待ちなの」
ふふふっと笑うフェリシティはとても幸せそうだ。
学園長の挨拶が終わり、生徒会長であるユリウスが壇上に立つ。ユリウスが挨拶をして、次の生徒会役員が紹介されれば開会式兼卒業式は終了だ。
「ユリウス殿下、雰囲気変わられたわよね」
フェリシティが壇上を見ながら言う。
「え?」
シャーロットはフェリシティを見てからユリウスに視線を移した。
「柔らかくなられたわ。王太子を辞する事が決まったから…と言うよりは、やっぱりロッテさん効果よね」
「そんな事は…」
そう言いながらシャーロットは挨拶をするユリウスを見つめる。
…私効果はよくわからないけど、殿下が柔らかくなられたなら嬉しい。
ユリウスの挨拶が終わり、新生徒会役員が紹介された直ぐ後、シャーロットの後ろから声がした。
「お兄様の結婚相手は、美しくて、優しくて、嫋やかで、清楚で、奥ゆかしくて、優雅で、艶やかで、麗しい人でないと!私は絶対に認めないわ!」
「ロッテ凄い!超似合ってる!」
姿見の前に立つシャーロットの後ろからマリアが鏡を覗き込んで声を上げた。
「そう…?」
シャーロットは苦笑いしながら姿見の中の自分を見る。
「だってストンと落ちるスカートが少しAラインになってて、裾のふわふわしたレースと、胸元のレースがリンクしてて綺麗だし、長身のロッテにすごく映えてるもん。色も、青が少し紫がかっててすごく綺麗だし」
「あんまり褒められると恥ずかしい…」
シャーロットは顔の前で手袋をした両手を擦り合わせた。
「さすがユリウス殿下が贈られたドレスだけあってロッテの魅力を上手く引き出してるわ」
マリアが言うと、シャーロットは頬を染める。
「マリアも、薄ピンクのドレス似合ってる。お兄様が選んだのよね?」
「と言うか、ルーカス様にベースのドレスを選んでもらって、私が自分好みにアレンジしたの」
「だからブローチ付けてくれたんだ」
マリアの薄桃色のドレスの胸元に、シャーロットの編んだレース編みの花のブローチが付いている。元々そういうデザインだったかのように。
「うん。ロッテのドレスのレースもロッテが編んだんでしょ?」
シャーロットのドレスの胸元と裾のレースにも、ブローチと同じ花のモチーフの小さい物が何個も付いているのだ。
「うん。あのね、私、このレース編みで商売ができないかな、と思ってるんだけど」
「商売?」
「栞とかコースターとかの小物も教会でよく売れるじゃない?だから教会だけじゃなくて、雑貨屋さんに卸したり…最終的には自分のお店を持てたら…とか」
「ロッテブランドのレース編みの店?」
「うん。それとね、ほらキャビネットとかのガラスにレース貼ったら地震でも割れにくくなったり、ガラスの飛散防止になったりしないかなって。後、ゴムみたいな素材のレースの敷物を食器棚とかに敷けばお皿とかが揺れで落ちたり割れたりするのが防げるかな、とか」
マリアは目を見開いて大きく頷く。
「なるほど。そう言う何かちょっと身近でかわいく防災みたいな?」
「そうそう」
「いいと思う!」
コンコン。
とシャーロットの部屋の扉がノックされ、返事をすると扉が開く。
先に入って来たのはルーカスで、光沢のある濃灰色の夜会服、ピンクのポケットチーフが差し色になっている。
「ロッテ」
ルーカスに続いて紺の夜会服のユリウスが入って来る。胸ポケットからはシャーロットのドレスと同じレースが覗いていた。
「ロッテ、すごく綺麗だ」
ユリウスはシャーロットの手を取ると手袋越しの手の甲に口付ける。
ひゃああ。やっぱり本物の王子様って何かスゴい。
「で、殿下もカッコいいです…」
赤くなりながら言うと、ユリウスはニッコリと笑った。
「ルーカス様は私に何かないんですか?」
マリアはルーカスを見上げる。
「そうだな。マリアは…」
ルーカスはマジマジとマリアを見つめると、真顔で言った。
「いつもより、よりかわいい」
「…!」
マリアは思わず言葉に詰まると、ルーカスを上目遣いで睨む。
「ルーカス様、真顔は狡いです真顔は」
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「アール様は今日はお仕事なのだそうよ。会場の外にいらっしゃるらしいわ」
フェリシティが肩を竦めながら小声で言う。
パーティー会場である講堂の舞台の上では学園長が卒業生に送る挨拶をしていた。
「ああ…アイリーン殿下の護衛ですものね」
シャーロットが言うと、フェリシティは頷く。
「そうなの。でも来年の私が卒業するパーティーの時は絶対に休んでエスコートしてくださるって」
ニコニコと笑うフェリシティ。
「じゃあご婚約のお話は順調に進んでるんですね」
「ええ。今は教会の許可待ちなの」
ふふふっと笑うフェリシティはとても幸せそうだ。
学園長の挨拶が終わり、生徒会長であるユリウスが壇上に立つ。ユリウスが挨拶をして、次の生徒会役員が紹介されれば開会式兼卒業式は終了だ。
「ユリウス殿下、雰囲気変わられたわよね」
フェリシティが壇上を見ながら言う。
「え?」
シャーロットはフェリシティを見てからユリウスに視線を移した。
「柔らかくなられたわ。王太子を辞する事が決まったから…と言うよりは、やっぱりロッテさん効果よね」
「そんな事は…」
そう言いながらシャーロットは挨拶をするユリウスを見つめる。
…私効果はよくわからないけど、殿下が柔らかくなられたなら嬉しい。
ユリウスの挨拶が終わり、新生徒会役員が紹介された直ぐ後、シャーロットの後ろから声がした。
「お兄様の結婚相手は、美しくて、優しくて、嫋やかで、清楚で、奥ゆかしくて、優雅で、艶やかで、麗しい人でないと!私は絶対に認めないわ!」
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