悪役令嬢なのに「赤い糸」が見えるようになりました!

ねーさん

文字の大きさ
16 / 79

15

しおりを挟む
15

「あ!イライザ様!」
 ん?この声、ミア?
 イライザが振り向くと、ミアが小走りにイライザに近付いて来た。
「げ。ミア…様」
 何でヒロインが出会いイベントで攻略対象者より先に悪役令嬢に声を掛けるの!?
 あれ?しかもミア、トレイ持ってないし。

 ミアの向こうにグレイとアレックスの姿が見えた。
 グレイが見えると、生徒会役員の五人に、イライザがグレイとミアに何かを言い出すのでは、と小さな緊張が走る。

 あ、グレイ殿下に気付かない振りをする筈だったのに。
 ううん。まだ間に合うわ。
 イライザはグレイとアレックスの方から視線を逸らした。
 五人が固唾を飲んでイライザとミアを見ている。
「『げ』って何ですか。イライザ様」
「ちょっと、ミア様、こっちは昼休憩を利用した会議中なんですから邪魔しないで。それに皆が食事を摂る場所で走らないの!」
 グレイたちの方を見ないようにしながらイライザが言った。
「何でイライザ様が生徒会の皆さんと会議を?あ、隣国の王子のガイドになるんですっけ?イライザ様」
 イライザとミアが話しているのを見て「あれ?意外と仲良しなのか?この二人」と副会長の男子生徒が呟く。
「良く知ってるわね。そうよ」

 イライザの隣に座っていた生徒会長ジェフリーがすっと立ち上がりミアとイライザの間に入った。
「ミア・サンライズ嬢。先程イライザ嬢が言った通り、私たちは今会議中なんだ。そろそろ遠慮していただけるかな?」
 ジェフリーがにっこりと笑って言う。
「あ、はあい。ごめんなさい。お邪魔しました」
 ミアも小首を傾げてにっこりと笑った。

 ミアがパタパタと足音を立てながらグレイたちが待つテーブルの方へと行くと、五人はイライザとミアの間に何事もなかったので安堵のため息を吐く。
 ああ、グレイ殿下がすぐそこに…
 ごめんなさい。殿下の目に触れないようにしたいんですけど、会議なので許してください。
 イライザは俯いて膝の上の手を握り合わせた。

-----

「おかしいわ」
 ディアナが言う。
「おかしいな」
 アレックスが言う。
「アレックス様もおかしいと思われますか?」
「ああ。ディアナも?」
 食堂の中二階のテーブルで、向かい合って座るディアナとアレックス。
 二人は顔を見合わせると、同時に頷いた。

「おかしいんです。イライザ様」
「グレイがおかしいんだ」
 ほぼ同時に言うと二人はまた顔を見合わせる。
「グレイ殿下が?」
「イライザ嬢が?」

「確かにグレイ殿下、最近不機嫌な事が多いようですけど」
「確かに付き纏いが止んでグレイを避けているようだけど」
 また声が重なって、顔を見合わせた二人は同時に吹き出した。

「イライザ嬢のグレイへの付き纏いやミア嬢への嫌がらせが止んだのは良い事なのでは?」
 笑いながらアレックスが言う。
 ディアナの話から先に聞いてくれるらしいと気付いてディアナは微笑んだ。
「それは良い事なんですけど…私もイライザ様に避けられているみたいですし、何より、方法は間違えていたし止められなかった私たちも悪かったのですが、イライザ様がグレイ殿下をお慕いする気持ちは本物だったのです。だからこそエドモンド王子のガイド役…無理をしているのではと心配なのです」
「しかし見事なまでにピタリと止めたのは、グレイの事を諦めたからではないのか?」
 アレックスがそう言うとディアナは俯く。
「…イライザ様と話す機会がないので本当の処はわかりませんが、そう簡単に諦められるとは思えなくて…でもグレイ殿下はミア様をお好きなんですよね?だから諦める事ができたのならそれはそれで良いのですけど…」
「それが…俺から見ていて、グレイがミア嬢を好きなのかどうか、今ひとつ確信がもてないんだ」
 テーブルに肘をつき、顎に手を当てるアレックス。
「え?」
 ディアナは俯いていた顔を上げた。
「と言うより、恋愛感情で好きなように見えないんだよ。それに俺がおかしいと思うグレイの不機嫌は、イライザ嬢の付き纏いが止んでから始まって、イライザ嬢がエドモンド殿下のガイド役に選ばれたと知った頃に酷くなった」
「それって…」
「だからと言ってイライザ嬢に特別な気持ちがあるのかはわからない。何しろ付き纏われていた時には本気でイライザ嬢を嫌がっていたからな」
「…そうですよね」

 壁の影で二人の会話を聞いていた人物が、極々小さな声で呟いた。
「やっぱり早すぎたのかな…?」 









しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

悪女と呼ばれた王妃

アズやっこ
恋愛
私はこの国の王妃だった。悪女と呼ばれ処刑される。 処刑台へ向かうと先に処刑された私の幼馴染み、私の護衛騎士、私の従者達、胴体と頭が離れた状態で捨て置かれている。 まるで屑物のように足で蹴られぞんざいな扱いをされている。 私一人処刑すれば済む話なのに。 それでも仕方がないわね。私は心がない悪女、今までの行いの結果よね。 目の前には私の夫、この国の国王陛下が座っている。 私はただ、 貴方を愛して、貴方を護りたかっただけだったの。 貴方のこの国を、貴方の地位を、貴方の政務を…、 ただ護りたかっただけ…。 だから私は泣かない。悪女らしく最後は笑ってこの世を去るわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。  ❈ 処刑エンドなのでバットエンドです。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...