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「あ!イライザ様!」
ん?この声、ミア?
イライザが振り向くと、ミアが小走りにイライザに近付いて来た。
「げ。ミア…様」
何でヒロインが出会いイベントで攻略対象者より先に悪役令嬢に声を掛けるの!?
あれ?しかもミア、トレイ持ってないし。
ミアの向こうにグレイとアレックスの姿が見えた。
グレイが見えると、生徒会役員の五人に、イライザがグレイとミアに何かを言い出すのでは、と小さな緊張が走る。
あ、グレイ殿下に気付かない振りをする筈だったのに。
ううん。まだ間に合うわ。
イライザはグレイとアレックスの方から視線を逸らした。
五人が固唾を飲んでイライザとミアを見ている。
「『げ』って何ですか。イライザ様」
「ちょっと、ミア様、こっちは昼休憩を利用した会議中なんですから邪魔しないで。それに皆が食事を摂る場所で走らないの!」
グレイたちの方を見ないようにしながらイライザが言った。
「何でイライザ様が生徒会の皆さんと会議を?あ、隣国の王子のガイドになるんですっけ?イライザ様」
イライザとミアが話しているのを見て「あれ?意外と仲良しなのか?この二人」と副会長の男子生徒が呟く。
「良く知ってるわね。そうよ」
イライザの隣に座っていた生徒会長ジェフリーがすっと立ち上がりミアとイライザの間に入った。
「ミア・サンライズ嬢。先程イライザ嬢が言った通り、私たちは今会議中なんだ。そろそろ遠慮していただけるかな?」
ジェフリーがにっこりと笑って言う。
「あ、はあい。ごめんなさい。お邪魔しました」
ミアも小首を傾げてにっこりと笑った。
ミアがパタパタと足音を立てながらグレイたちが待つテーブルの方へと行くと、五人はイライザとミアの間に何事もなかったので安堵のため息を吐く。
ああ、グレイ殿下がすぐそこに…
ごめんなさい。殿下の目に触れないようにしたいんですけど、会議なので許してください。
イライザは俯いて膝の上の手を握り合わせた。
-----
「おかしいわ」
ディアナが言う。
「おかしいな」
アレックスが言う。
「アレックス様もおかしいと思われますか?」
「ああ。ディアナも?」
食堂の中二階のテーブルで、向かい合って座るディアナとアレックス。
二人は顔を見合わせると、同時に頷いた。
「おかしいんです。イライザ様」
「グレイがおかしいんだ」
ほぼ同時に言うと二人はまた顔を見合わせる。
「グレイ殿下が?」
「イライザ嬢が?」
「確かにグレイ殿下、最近不機嫌な事が多いようですけど」
「確かに付き纏いが止んでグレイを避けているようだけど」
また声が重なって、顔を見合わせた二人は同時に吹き出した。
「イライザ嬢のグレイへの付き纏いやミア嬢への嫌がらせが止んだのは良い事なのでは?」
笑いながらアレックスが言う。
ディアナの話から先に聞いてくれるらしいと気付いてディアナは微笑んだ。
「それは良い事なんですけど…私もイライザ様に避けられているみたいですし、何より、方法は間違えていたし止められなかった私たちも悪かったのですが、イライザ様がグレイ殿下をお慕いする気持ちは本物だったのです。だからこそエドモンド王子のガイド役…無理をしているのではと心配なのです」
「しかし見事なまでにピタリと止めたのは、グレイの事を諦めたからではないのか?」
アレックスがそう言うとディアナは俯く。
「…イライザ様と話す機会がないので本当の処はわかりませんが、そう簡単に諦められるとは思えなくて…でもグレイ殿下はミア様をお好きなんですよね?だから諦める事ができたのならそれはそれで良いのですけど…」
「それが…俺から見ていて、グレイがミア嬢を好きなのかどうか、今ひとつ確信がもてないんだ」
テーブルに肘をつき、顎に手を当てるアレックス。
「え?」
ディアナは俯いていた顔を上げた。
「と言うより、恋愛感情で好きなように見えないんだよ。それに俺がおかしいと思うグレイの不機嫌は、イライザ嬢の付き纏いが止んでから始まって、イライザ嬢がエドモンド殿下のガイド役に選ばれたと知った頃に酷くなった」
「それって…」
「だからと言ってイライザ嬢に特別な気持ちがあるのかはわからない。何しろ付き纏われていた時には本気でイライザ嬢を嫌がっていたからな」
「…そうですよね」
壁の影で二人の会話を聞いていた人物が、極々小さな声で呟いた。
「やっぱり早すぎたのかな…?」
「あ!イライザ様!」
ん?この声、ミア?
イライザが振り向くと、ミアが小走りにイライザに近付いて来た。
「げ。ミア…様」
何でヒロインが出会いイベントで攻略対象者より先に悪役令嬢に声を掛けるの!?
あれ?しかもミア、トレイ持ってないし。
ミアの向こうにグレイとアレックスの姿が見えた。
グレイが見えると、生徒会役員の五人に、イライザがグレイとミアに何かを言い出すのでは、と小さな緊張が走る。
あ、グレイ殿下に気付かない振りをする筈だったのに。
ううん。まだ間に合うわ。
イライザはグレイとアレックスの方から視線を逸らした。
五人が固唾を飲んでイライザとミアを見ている。
「『げ』って何ですか。イライザ様」
「ちょっと、ミア様、こっちは昼休憩を利用した会議中なんですから邪魔しないで。それに皆が食事を摂る場所で走らないの!」
グレイたちの方を見ないようにしながらイライザが言った。
「何でイライザ様が生徒会の皆さんと会議を?あ、隣国の王子のガイドになるんですっけ?イライザ様」
イライザとミアが話しているのを見て「あれ?意外と仲良しなのか?この二人」と副会長の男子生徒が呟く。
「良く知ってるわね。そうよ」
イライザの隣に座っていた生徒会長ジェフリーがすっと立ち上がりミアとイライザの間に入った。
「ミア・サンライズ嬢。先程イライザ嬢が言った通り、私たちは今会議中なんだ。そろそろ遠慮していただけるかな?」
ジェフリーがにっこりと笑って言う。
「あ、はあい。ごめんなさい。お邪魔しました」
ミアも小首を傾げてにっこりと笑った。
ミアがパタパタと足音を立てながらグレイたちが待つテーブルの方へと行くと、五人はイライザとミアの間に何事もなかったので安堵のため息を吐く。
ああ、グレイ殿下がすぐそこに…
ごめんなさい。殿下の目に触れないようにしたいんですけど、会議なので許してください。
イライザは俯いて膝の上の手を握り合わせた。
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「おかしいわ」
ディアナが言う。
「おかしいな」
アレックスが言う。
「アレックス様もおかしいと思われますか?」
「ああ。ディアナも?」
食堂の中二階のテーブルで、向かい合って座るディアナとアレックス。
二人は顔を見合わせると、同時に頷いた。
「おかしいんです。イライザ様」
「グレイがおかしいんだ」
ほぼ同時に言うと二人はまた顔を見合わせる。
「グレイ殿下が?」
「イライザ嬢が?」
「確かにグレイ殿下、最近不機嫌な事が多いようですけど」
「確かに付き纏いが止んでグレイを避けているようだけど」
また声が重なって、顔を見合わせた二人は同時に吹き出した。
「イライザ嬢のグレイへの付き纏いやミア嬢への嫌がらせが止んだのは良い事なのでは?」
笑いながらアレックスが言う。
ディアナの話から先に聞いてくれるらしいと気付いてディアナは微笑んだ。
「それは良い事なんですけど…私もイライザ様に避けられているみたいですし、何より、方法は間違えていたし止められなかった私たちも悪かったのですが、イライザ様がグレイ殿下をお慕いする気持ちは本物だったのです。だからこそエドモンド王子のガイド役…無理をしているのではと心配なのです」
「しかし見事なまでにピタリと止めたのは、グレイの事を諦めたからではないのか?」
アレックスがそう言うとディアナは俯く。
「…イライザ様と話す機会がないので本当の処はわかりませんが、そう簡単に諦められるとは思えなくて…でもグレイ殿下はミア様をお好きなんですよね?だから諦める事ができたのならそれはそれで良いのですけど…」
「それが…俺から見ていて、グレイがミア嬢を好きなのかどうか、今ひとつ確信がもてないんだ」
テーブルに肘をつき、顎に手を当てるアレックス。
「え?」
ディアナは俯いていた顔を上げた。
「と言うより、恋愛感情で好きなように見えないんだよ。それに俺がおかしいと思うグレイの不機嫌は、イライザ嬢の付き纏いが止んでから始まって、イライザ嬢がエドモンド殿下のガイド役に選ばれたと知った頃に酷くなった」
「それって…」
「だからと言ってイライザ嬢に特別な気持ちがあるのかはわからない。何しろ付き纏われていた時には本気でイライザ嬢を嫌がっていたからな」
「…そうですよね」
壁の影で二人の会話を聞いていた人物が、極々小さな声で呟いた。
「やっぱり早すぎたのかな…?」
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