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婚約編
28.談笑
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「まぁ………リリアーナ様、どこかお体の調子でも悪いのですか………?」
ラファエロに抱えられたまま、王族専用の控室へとやってきたリリアーナから少し遅れて、エドアルドとクラリーチェが到着した。
クラリーチェも式典と時よりも少し豪奢なデザインのドレスに着替えていた。
クラリーチェはリリアーナに歩み寄ると、いつもと様子が違うことに気がついたようだった。
「いえっ………!私はこの通り元気ですわっ」
まさか、ラファエロに抱き抱えられていたせいだとは、たとえ相手がクラリーチェであっても恥ずかしくて言い出せなかった。
クラリーチェも何度かエドアルドに抱き抱えられているのを見てときめいた記憶はあるが、自分がラファエロに同じことをされるのは、何故こんなにも恥ずかしいのだろう。
まだ引いていかない顔の火照りを隠すように作り笑いを浮かべると、ぴったりと隣に寄り添っていたラファエロがそんなリリアーナの様子を愉しんでいるように笑みを浮かべている。
「なら、良いのですが………」
クラリーチェが心配そうな眼差しをリリアーナに向けるが、リリアーナは何とか平静を装い、クラリーチェに向き直る。
「それよりも、クラリーチェ様!本当におめでとうございます」
「ありがとうございます」
クラリーチェがはにかみながらも、幸せそうな表情を浮かべて微笑むと、いつの間にか隣に寄り添っていたエドアルドが愛おしそうにクラリーチェを見つめていた。
「結婚式が、楽しみですわね」
きっとウエディングドレスに身を包んだクラリーチェはこの上なく美しいだろう。
それを目にする日が、楽しみで仕方がなかった。
「その日取りについては、明日には発表する事にしている。もうカンチェラーラ侯爵にも伝えてある」
有無を言わせないような強引さは、流石国王と言うべきなのだろうか。
一方のクラリーチェは気の早いエドアルドに、少し呆れているようにも見えた。
「まあ………そうだったんですね」
「クラリーチェも忙しくなるから、グロッシ侯爵令嬢にはクラリーチェの気分転換も兼ねて、話相手になってやってほしい」
「私で良ければ喜んでお話相手を務めさせていただきますわ」
リリアーナは、口元に薄っすらと笑みを浮かべたエドアルドからの懇願に、大きく頷いた。
そんなリリアーナの隣で、ラファエロが何やら神妙な面持ちで考え事をしていることに、リリアーナは全く気が付くことなく、クラリーチェと談笑していたのだった。
ラファエロに抱えられたまま、王族専用の控室へとやってきたリリアーナから少し遅れて、エドアルドとクラリーチェが到着した。
クラリーチェも式典と時よりも少し豪奢なデザインのドレスに着替えていた。
クラリーチェはリリアーナに歩み寄ると、いつもと様子が違うことに気がついたようだった。
「いえっ………!私はこの通り元気ですわっ」
まさか、ラファエロに抱き抱えられていたせいだとは、たとえ相手がクラリーチェであっても恥ずかしくて言い出せなかった。
クラリーチェも何度かエドアルドに抱き抱えられているのを見てときめいた記憶はあるが、自分がラファエロに同じことをされるのは、何故こんなにも恥ずかしいのだろう。
まだ引いていかない顔の火照りを隠すように作り笑いを浮かべると、ぴったりと隣に寄り添っていたラファエロがそんなリリアーナの様子を愉しんでいるように笑みを浮かべている。
「なら、良いのですが………」
クラリーチェが心配そうな眼差しをリリアーナに向けるが、リリアーナは何とか平静を装い、クラリーチェに向き直る。
「それよりも、クラリーチェ様!本当におめでとうございます」
「ありがとうございます」
クラリーチェがはにかみながらも、幸せそうな表情を浮かべて微笑むと、いつの間にか隣に寄り添っていたエドアルドが愛おしそうにクラリーチェを見つめていた。
「結婚式が、楽しみですわね」
きっとウエディングドレスに身を包んだクラリーチェはこの上なく美しいだろう。
それを目にする日が、楽しみで仕方がなかった。
「その日取りについては、明日には発表する事にしている。もうカンチェラーラ侯爵にも伝えてある」
有無を言わせないような強引さは、流石国王と言うべきなのだろうか。
一方のクラリーチェは気の早いエドアルドに、少し呆れているようにも見えた。
「まあ………そうだったんですね」
「クラリーチェも忙しくなるから、グロッシ侯爵令嬢にはクラリーチェの気分転換も兼ねて、話相手になってやってほしい」
「私で良ければ喜んでお話相手を務めさせていただきますわ」
リリアーナは、口元に薄っすらと笑みを浮かべたエドアルドからの懇願に、大きく頷いた。
そんなリリアーナの隣で、ラファエロが何やら神妙な面持ちで考え事をしていることに、リリアーナは全く気が付くことなく、クラリーチェと談笑していたのだった。
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