10 / 166
10.初夜(2)※R18です
しおりを挟む
いたたまれない気持ちで、私は寝室のベッドの隅に腰掛ける。
ベッドも、大人が四人横になっても十分な広さがありそう。太い四本の柱に支えられた天蓋。
無駄な装飾はなく、実用性に重点を置いた家具が多い。
と。
「遅くなったな」
ギィ、と扉が開く音がして、公爵様が入ってきた。
長い黒髪は後ろに流したまま、漆黒のバスローブを身に着けていらっしゃる。
私を見ると、深紅の双眸が見開かれた。
やはり、こんな格好、はしたないと思われたわよね。
でも公爵様は何も言わず、私の前までやって来た。
「寒くはないか」
「は、はい」
部屋は十分に温められているし、恥ずかしさのせいで体温もあかっているから、寒さは感じていない。ふと窓の外を見ると、また雪が降り始めていた。
「立て」
短く、公爵様が私に命じる。
羞恥を抑えながら、私はゆっくりと立ち上がった。胸が零れ落ちそうで、腕でそっと隠す。
公爵様が検分でもするように、私の体を見ているのが分かる。
と。
どさり、とベッドに押し倒された。次の瞬間には唇を塞がれた。
昼間よりも更に激しい、貪るようなキスだ。触れ合う唇が熱を帯びている。
「ん……はぁっ……」
ようやく唇が離れる。
間近に、公爵様の深紅の瞳があった。
「公爵、様……」
「……名を、呼べ」
熱い吐息が耳元にかかり、体がびくりと揺れる。
体の芯から、何かが湧き上がってきて、鳥肌がたった。
そんな私の反応を楽しむように、公爵様………アデルバート様は私の耳朶から首筋に掛けて、舌を這わせていく。
「あ……アデルバートさまっ……」
首筋に歯を立てられ、弱い痛みが走って私は声をあげた。痛いはずなのに、それが甘い刺激になって体中を駆け巡る。
と、シュルリと滑らかな音が耳に届き、胸から腹部にかけてが、冷たい空気にさらされた。
「あ……」
「体の割には豊かな胸だな。頂きかほんのりと色付いて、まるで私を誘っているようだ」
途端に羞恥が私に襲いかかる。大きな胸は、私にとってコンプレックスだった。夜会でも、貴族令息から向けられる視線が嫌で仕方なかったのを思い出してしまう。
「や……」
「こんなにも美しいのに、なぜ隠す?」
アデルバート様は胸を隠そうとした私の両手を掴んで胸の前から取り払ってしまう。
その拍子に、胸のたわわな双丘が、ふるりと揺れた。
「触れなくても、私を愉しませるとは……」
「ひあっ!」
突然、片胸の頂に鋭い刺激が走った。初めは強く、徐々に弱く、緩急をつけながらアデルバート様がそこを吸っている。
じゅ、と音を立てて吸われると、そこが硬くなって勃ちあがるのが分かった。
「や……あん……」
舌先で固く張り詰めた頂を転がすように嬲られ、強く吸われると、得も言われぬ快感が襲ってきた。
更にもう片方の胸は、大きくて力強い手によってやわやわと揉みしだかれる。
「ふっ……ああっ……」
何とか堪らえようとするのに、吐息に混じって淫らな声が洩れてしまう。
胸から広がる、未知の感覚に、体がまるで陸に揚がった魚のように勝手に跳ねる。
「清楚な顔に似合わず、感じやすいようだな」
言外に、いやらしい身体だと言われたような気がして、恥ずかしさに唇を噛んだ。
ベッドも、大人が四人横になっても十分な広さがありそう。太い四本の柱に支えられた天蓋。
無駄な装飾はなく、実用性に重点を置いた家具が多い。
と。
「遅くなったな」
ギィ、と扉が開く音がして、公爵様が入ってきた。
長い黒髪は後ろに流したまま、漆黒のバスローブを身に着けていらっしゃる。
私を見ると、深紅の双眸が見開かれた。
やはり、こんな格好、はしたないと思われたわよね。
でも公爵様は何も言わず、私の前までやって来た。
「寒くはないか」
「は、はい」
部屋は十分に温められているし、恥ずかしさのせいで体温もあかっているから、寒さは感じていない。ふと窓の外を見ると、また雪が降り始めていた。
「立て」
短く、公爵様が私に命じる。
羞恥を抑えながら、私はゆっくりと立ち上がった。胸が零れ落ちそうで、腕でそっと隠す。
公爵様が検分でもするように、私の体を見ているのが分かる。
と。
どさり、とベッドに押し倒された。次の瞬間には唇を塞がれた。
昼間よりも更に激しい、貪るようなキスだ。触れ合う唇が熱を帯びている。
「ん……はぁっ……」
ようやく唇が離れる。
間近に、公爵様の深紅の瞳があった。
「公爵、様……」
「……名を、呼べ」
熱い吐息が耳元にかかり、体がびくりと揺れる。
体の芯から、何かが湧き上がってきて、鳥肌がたった。
そんな私の反応を楽しむように、公爵様………アデルバート様は私の耳朶から首筋に掛けて、舌を這わせていく。
「あ……アデルバートさまっ……」
首筋に歯を立てられ、弱い痛みが走って私は声をあげた。痛いはずなのに、それが甘い刺激になって体中を駆け巡る。
と、シュルリと滑らかな音が耳に届き、胸から腹部にかけてが、冷たい空気にさらされた。
「あ……」
「体の割には豊かな胸だな。頂きかほんのりと色付いて、まるで私を誘っているようだ」
途端に羞恥が私に襲いかかる。大きな胸は、私にとってコンプレックスだった。夜会でも、貴族令息から向けられる視線が嫌で仕方なかったのを思い出してしまう。
「や……」
「こんなにも美しいのに、なぜ隠す?」
アデルバート様は胸を隠そうとした私の両手を掴んで胸の前から取り払ってしまう。
その拍子に、胸のたわわな双丘が、ふるりと揺れた。
「触れなくても、私を愉しませるとは……」
「ひあっ!」
突然、片胸の頂に鋭い刺激が走った。初めは強く、徐々に弱く、緩急をつけながらアデルバート様がそこを吸っている。
じゅ、と音を立てて吸われると、そこが硬くなって勃ちあがるのが分かった。
「や……あん……」
舌先で固く張り詰めた頂を転がすように嬲られ、強く吸われると、得も言われぬ快感が襲ってきた。
更にもう片方の胸は、大きくて力強い手によってやわやわと揉みしだかれる。
「ふっ……ああっ……」
何とか堪らえようとするのに、吐息に混じって淫らな声が洩れてしまう。
胸から広がる、未知の感覚に、体がまるで陸に揚がった魚のように勝手に跳ねる。
「清楚な顔に似合わず、感じやすいようだな」
言外に、いやらしい身体だと言われたような気がして、恥ずかしさに唇を噛んだ。
6
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる