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17.鍛錬場にて
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鍛錬場は、中庭の一角にあった。
騎士同士が模擬刀で打ち合いをしたり、攻撃魔法の練習をしたりしている。
「脇をもっと締めろ!攻撃を受けた時に剣が飛ばされるぞ!」
アデルバート様の怒声が響き渡る。
黒衣を翻し、向かってくる騎士達の攻撃をやすやすと躱していた。
ドミニクがうっとりとアデルバート様を見ている。………確かに、見惚れるほど美しいけれど、ドミニクは完全にアデルバート様崇拝者よね。
「皆さん熱心に鍛錬なさっているのですね」
私が感心していると、アデルバート様が私に気がついたのかこちらにやって来た。
「シャトレーヌ、もう出歩いても大丈夫なのか?」
「鍛錬のお邪魔をしてしまい、申し訳ございません。私はこの通り、ご心配には及びませんわ」
「このような場所を見ても、面白くあるまい。あちらに、植物を育てる温室がある。そちらの方に行ってみるといい」
……鍛錬の邪魔だから早く立ち去れと、暗に仰っているのよね。
「アデルバート様や騎士の皆様が、普段どのように過ごされているのかを見てみたいと思っただけですので、鍛錬にお戻り頂いて結構ですわ。私ももうお暇致しますので」
「……待て」
「はい?」
立ち去ろうとした途端にいきなり引き留められて、私は戸惑ってしまう。
「そろそろ休憩の時間だ。もしよければ一緒に茶でも、と思ったのだ」
「休憩?」
ドミニクが不思議そうに声を上げると、何故かアデルバート様がギロリとドミニクを睨んだ。
「どうだ?」
「……ええ、喜んで」
今のやり取りは何かしら、と思いながらも返事をする。
「皆、少し休憩を取れ!」
アデルバート様が鍛錬中の騎士達にそう声をかけると、皆一様に固まっているけれど……どういうことなのかしら?
「そちらに休憩室がある。シャトレーヌの侍女……エブリンと言ったか。すまんが茶を用意してくれるか?」
「は、はい!只今!」
エブリンは弾かれたように駆け出した。
「あ、エブリンさん!そちらではありませんよ!俺が案内しますから付いてきてください!」
給湯室とは逆の方向に向かったらしいエブリンを、ドミニクが慌てて追いかける。ふふ、何だか微笑ましいわね。
私は二人を見送ると、アデルバート様に目を向ける。
「本当に、体は大事ないか?」
そう何度も気遣われると、逆に恥ずかしくなってしまう。
「本当に大丈夫ですわ」
「……お前は、細くて儚げで、乱暴に扱えば壊れてしまいそうで恐ろしいのだ」
アデルバート様がそう呟くのを聞いた瞬間、私は、心臓が大きく跳ねたのを感じたのだった。
騎士同士が模擬刀で打ち合いをしたり、攻撃魔法の練習をしたりしている。
「脇をもっと締めろ!攻撃を受けた時に剣が飛ばされるぞ!」
アデルバート様の怒声が響き渡る。
黒衣を翻し、向かってくる騎士達の攻撃をやすやすと躱していた。
ドミニクがうっとりとアデルバート様を見ている。………確かに、見惚れるほど美しいけれど、ドミニクは完全にアデルバート様崇拝者よね。
「皆さん熱心に鍛錬なさっているのですね」
私が感心していると、アデルバート様が私に気がついたのかこちらにやって来た。
「シャトレーヌ、もう出歩いても大丈夫なのか?」
「鍛錬のお邪魔をしてしまい、申し訳ございません。私はこの通り、ご心配には及びませんわ」
「このような場所を見ても、面白くあるまい。あちらに、植物を育てる温室がある。そちらの方に行ってみるといい」
……鍛錬の邪魔だから早く立ち去れと、暗に仰っているのよね。
「アデルバート様や騎士の皆様が、普段どのように過ごされているのかを見てみたいと思っただけですので、鍛錬にお戻り頂いて結構ですわ。私ももうお暇致しますので」
「……待て」
「はい?」
立ち去ろうとした途端にいきなり引き留められて、私は戸惑ってしまう。
「そろそろ休憩の時間だ。もしよければ一緒に茶でも、と思ったのだ」
「休憩?」
ドミニクが不思議そうに声を上げると、何故かアデルバート様がギロリとドミニクを睨んだ。
「どうだ?」
「……ええ、喜んで」
今のやり取りは何かしら、と思いながらも返事をする。
「皆、少し休憩を取れ!」
アデルバート様が鍛錬中の騎士達にそう声をかけると、皆一様に固まっているけれど……どういうことなのかしら?
「そちらに休憩室がある。シャトレーヌの侍女……エブリンと言ったか。すまんが茶を用意してくれるか?」
「は、はい!只今!」
エブリンは弾かれたように駆け出した。
「あ、エブリンさん!そちらではありませんよ!俺が案内しますから付いてきてください!」
給湯室とは逆の方向に向かったらしいエブリンを、ドミニクが慌てて追いかける。ふふ、何だか微笑ましいわね。
私は二人を見送ると、アデルバート様に目を向ける。
「本当に、体は大事ないか?」
そう何度も気遣われると、逆に恥ずかしくなってしまう。
「本当に大丈夫ですわ」
「……お前は、細くて儚げで、乱暴に扱えば壊れてしまいそうで恐ろしいのだ」
アデルバート様がそう呟くのを聞いた瞬間、私は、心臓が大きく跳ねたのを感じたのだった。
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